【最新版】認知症の診断の流れとは?検査内容・何科を受診すべきか・早期発見のメリットから診断書の作成まで徹底解説

    • 「高齢の親の物忘れが増えてきて、『もしかして認知症?』と不安になっている」というお悩み
    • 「病院で認知症の診断を受けるには、何科を受診してどのような検査を行うのだろう」という疑問
    • 「免許更新や手続きで『認知症の診断書』が必要と言われたけれど、どうやって発行してもらうの?」という不安

40代・50代を迎えて親の介護や健康管理に関わるようになった方の中で、このような疑問や戸惑いを抱くケースが増えています。

認知症は、早期に正しい診断を受け、適切な治療や介護ケアを開始することが、その後の症状の進行を抑え、本人やご家族の生活の質(QOL)を保つ最大の鍵となります。

しかし、「どのタイミングでどこに相談すればいいのか」「どんな検査をされるのか」が分からないと、受診をためらって発見が遅れてしまうことも少なくありません。

本記事では、認知症の早期診断が大切な理由をはじめ、受診すべき医療機関、診察・検査の具体的な流れ、国際的な診断基準、判別すべき他の病気、簡易セルフチェック、さらに診断書の発行費用やセカンドオピニオンの受け方まで、専門的な知見をもとに分かりやすく解説します。

ご家族やご自身の将来の健康と安心を守るためのガイドとして、ぜひ最後までお役立てください。


目次

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認知症の「早期診断」が極めて重要な2つの理由

認知症は、さまざまな要因で脳の神経細胞がダメージを受けることで発症し、記憶力や判断力などの認知機能が低下する病気です。

「認知症は治らないから受診しても意味がないのではないか」と思われがちですが、早期に診断を受けることには極めて大きなメリットが存在します。

    • 進行の早期抑制および自分らしい生活期間の延伸
    • 「治る可能性のある認知症」やMCI(軽度認知障害)段階での改善期待

① 進行を早期に遅らせることができる

一度進行した認知症を元の状態まで完全に回復させることは、現在の医療では困難です。そのため、認知症治療の主な目的は「症状の進行を抑制し、穏やかな生活を長く維持すること」にあります。

初期段階で発見して治療やリハビリを開始できれば、軽度の状態に留めて進行を遅らせることができます。また、本人の判断力(意思能力)が残っているうちに、将来の介護方針や資産管理について家族で話し合えるという大きな利点もあります。

② 治療可能な病気や「MCI(軽度認知障害)」からの回復が狙える

一口に認知症のような症状と言っても、原因によっては「適切に対処すれば治る・改善するケース」が存在します。

MCI(軽度認知障害)段階での改善:
認知症の前段階であるMCIの時期に早期発見し、生活習慣の改善や運動、脳トレに取り組むことで、認知機能を健常な状態へ戻せる可能性があります。

「治せる認知症」の発見:
脳に髄液が溜まる「正常圧水頭症」や、頭部打撲による「慢性硬膜下血腫」、甲状腺機能低下症などは、手術や投薬治療によって症状が大幅に改善する「治る認知症」です。早期の画像検査や診察で見つけ出すことが重要となります。

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認知症の診断は「何科」を受診すべき?主な相談窓口

「物忘れが気になったとき、どこで受診すればいいのか分からない」という場合は、以下の3つの選択肢を参考にしてください。

① かかりつけ医(まずは日頃の健康状態を知る医師へ)

普段から持病の治療や健康診断で通っている「かかりつけ医」がいる場合は、まず最初に相談してみるのがおすすめです。

これまでの病歴や服薬状況、元々の性格などを把握しているため、変化に気づきやすく、必要に応じて専門の医療機関へスムーズな紹介状(情報提供書)を書いてもらえます。

② 認知症サポート医

厚生労働省の研修を修了し、認知症に関する専門的な知識を持った医師のことです。

地域のかかりつけ医への助言や、専門医療機関・地域包括支援センターとの連携役を担っています。各自治体のWebサイトや保健所の窓口で、近隣の「認知症サポート医」が在籍するクリニックを確認できます。

③ 物忘れ外来・専門診療科

認知症の精査や診断を専門的に行う専門外来です。

主な専門診療科:脳神経内科(神経内科)、精神科、心療内科、脳神経外科、老年内科など

特徴:認知症専門医が常駐し、各種心理テストや高度な脳画像検査装置が整っているため、精密な診断が受けられます。

認知症診断の具体の流れと3つの検査プロセス

医療機関で認知症の診断を受ける際は、医師による診察と段階的な検査が実施されます。

    1. 面談・問診(生活状況・変化のきっかけ等のヒアリング)
    1. 身体検査(血液検査・尿検査・心電図等)
    1. 認知症専門検査(神経心理学検査+脳画像検査)

ステップ1:面談・問診(本人・家族へのヒアリング)

医師が本人および同伴したご家族と面談を行います。

いつ頃からどのような変化があったか、日常生活で困っていること、病歴、元々の性格、発症のきっかけとなった出来事などを詳しく聞き取ります。本人は「不都合なことを隠そうとする」場合もあるため、ご家族が客観的な観察メモを持参すると大変役立ちます。

ステップ2:身体検査(血液・尿・心電図検査)

血液検査、尿検査、胸部X線検査、心電図検査などを行います。

内科的な身体疾患(甲状腺疾患、ビタミン不足、肝・腎機能障害、感染症など)が原因で認知機能が低下していないか確認し、他の病気との鑑別を行います。

ステップ3:認知症専門検査(神経心理学検査+脳画像検査)

① 神経心理学検査(認知機能レベルの評価)

質問やテストを通じて、記憶力・理解力・計算力・判断力などを数値化します。

HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール):
日本で最も広く使われている口頭の質問テストです。9つの質問(日時、場所の理解、言葉の暗記など)からなり、30点満点中20点以下の場合に認知症が疑われます。

MMSE(ミニメンタルステート検査):
世界的に使用されている国際的な質問テストです。図形模写や口頭指示などの作業も含まれ、30点満点中23点以下で認知機能低下が疑われます。

時計描画テスト(CDT):
「10時10分を指す時計の文字盤を描いてください」といった課題で、空間認識能力や計画実行能力を調べます。

② 脳画像検査(脳の萎縮・血流の確認)

脳の構造変化や血流状態を画像化し、認知症の種類(アルツハイマー型、脳血管性、レビー小体型など)を特定します。

CT検査:X線を用いて脳の断面図を撮影し、脳の萎縮や脳出血、脳腫瘍の有無を確認します。

MRI検査:磁気を利用してより精密な断面画像を撮影します。放射線被ばくがなく、海馬(記憶の司令塔)の萎縮度合いを詳細に分析できます。

SPECT検査:微量の放射性用剤を用いて脳の血流量を調べる検査です。構造的な萎縮が起きる前の「機能低下」を捉えるのに優れています。

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認知症の国際的な3つの診断ガイドライン

医師が認知症と診断を下す際には、国際的に認められた医学的ガイドラインが基準として用いられます。

ICD-10(世界保健機関:WHO)

制定:1993年

主な基準:記憶力や認知能力の低下により日常生活・自己ケアに支障があり、意識混濁がない状態で症状が6ヶ月以上継続していることなどを条件とします。

DSM-5(米国精神医学会)

制定:2013年

主な基準:記憶・遂行機能・注意・言語などの認知領域が以前より有意に低下し、毎日の行動において自立を阻害していること(他の精神疾患やせん妄で説明できないこと)を条件とします。

NIA-AA(米国国立老化研究所・アルツハイマー病協会)

制定:2011年

主な基準:仕事や日常活動への支障、遂行機能低下、精神疾患の除外などを定め、特にアルツハイマー病の病期分類(MCI〜認知症)に重点を置いているのが特徴です。

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医師に伝えるべき「診断に必要な3つの情報」

診察の際、医師が最も知りたい情報は患者本人やご家族からの「客観的な日常のエピソード」です。受診前にメモを用意しておきましょう。

必要な情報 具体的に伝えるべきポイント
① 発症時期と変化のきっかけ いつ頃から物忘れが気になり始めたか。配偶者の死、定年退職、引っ越し、病気入院などの生活変化があったか。
② 現在治療中の持病・既往歴 高血圧、糖尿病、脳卒中、アルコール依存症、パーキンソン病などの治療歴(レビー小体型や脳血管性の鑑別に重要)。
③ 服用中のお薬(お薬手帳の持参) 服用している医薬品。特に「抗コリン作用」を持つお薬(睡眠薬、抗精神病薬、胃腸薬など)が原因で一時的な認知機能低下が起きる「薬剤誘発性認知症」の除外に不可欠です。

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【セルフチェック】自分で試せる認知症の簡易診断テスト(10項目)

「親の行動に不安がある」という方は、以下の10項目の簡易診断テストでチェックしてみてください。

【認知症 10の簡易チェック表】

チェック項目
チェック1:財布や鍵、書類など、大切な物を置いた場所が分からなくなることがある
チェック2:5分前に聞いたばかりの話や指示を思い出せないことがある
チェック3:周りの人から「いつも同じことを繰り返し聞く」と物忘れを指摘される
チェック4:今日が何月何日か、曜日や季節が分からなくなるときがある
チェック5:言おうとしている言葉(物の名前など)がすぐに出てこない
チェック6:預貯金の出し入れや、公共料金・家賃の支払いを1人でこなせない
チェック7:1人で買い出しに行き、正しいお釣りを受け取ることが難しい
チェック8:バスや電車、自家用車を使って1人で目的地まで外出できない
チェック9:自分で掃除機やほうきを使って部屋の掃除をするのが難しい
チェック10:電話番号を調べて、1人で正しく電話をかけることができない

【点数計算】

各項目について、本人の状態に合わせて点数をつけます。

    • 問題なくできる場合:1点
    • 大体できる場合:2点
    • あまりできない場合:3点
    • できない場合:4点

【判定目安】
10項目の合計点数が「20点以上」となった場合は、認知機能に何らかの支障が出ている可能性があります。

※このテストはあくまで受診の目安です。20点以上だからといって直ちに認知症と確定するわけではありませんので、早めに医療機関を受診しましょう。

認知症の診断で「区別すべき他の病気(鑑別疾患)」

認知症と非常によく似た症状(混乱、抑うつ、物忘れなど)を示す病気がいくつか存在します。医師はこれらを慎重に見極めて誤診を防ぎます。

① せん妄

身体の急激な不調(脱水、感染症、発熱等)や入院などの環境変化によって、一時的に意識障害や興奮、幻覚があらわれる病気です。

認知症との違い:せん妄は急激に発症し、症状の日内変動(夜間に激しくなるなど)が強く、原因が解決すれば数日〜数週間で回復します。

② うつ病(仮面うつ病・高齢者うつ)

気分が落ち込み、気力が湧かなくなる精神疾患です。高齢者のうつ病は「物忘れ」や「集中力低下」が前面に出るため、認知症と間違われやすい特徴があります。

認知症との違い:うつ病は比較的急に発症し、本人が「物忘れがひどくて辛い」と自分の不調を自覚・過剰評価する傾向があります(認知症は自覚が乏しいことが多い)。抗うつ薬によく反応します。

③ 加齢に伴う生理的健忘(年相応の物忘れ)

加齢によって脳の処理スピードが落ちる正常な現象です。

認知症との違い:生理的健忘は「昨日の夕飯の『メニュー』を忘れる(体験の一部)」のに対し、認知症は「夕飯を食べたこと『自体』を忘れる(体験の丸ごと)」という決定的な違いがあります。また、生理的健忘は自覚があり、進行しません。

④ 統合失調症

幻覚や妄想、思考の混乱があらわれる精神疾患です。好発年齢が10代〜40代と若く、抗精神病薬での治療効果が高い点で高齢発症の認知症と区別されます。

⑤ 知的障害(精神遅滞)

発達期(18歳未満)までに生じた全般的な知的発達の障害です。生後獲得した認知機能が後天的に低下していく「認知症」とは根本的に異なります。

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「臨床診断」と「確定診断」の違いとは?

医療の現場では、「診断」という言葉が2つの意味で使い分けられています。

分類 目的 主な検査内容 実施時期
臨床診断 生存している患者に対し、症状や検査から認知症か判定する 問診、HDS-R/MMSE、血液検査、CT/MRI/SPECT検査 生前(疑いが出たら速やかに受診)
確定診断 認知症の原因となった病理・疾患を100%確実に特定する 脳組織を取り出して顕微鏡で調べる「病理組織診断」 死後(解剖による確認)

日常の診療や介護保険の手続きで行われているのは、すべて「臨床診断」です。臨床診断であっても、画像検査や心理テストを組み合わせることで非常に高い精度で種類を特定できます。

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「認知症の診断書」が必要な場面・費用・発行手順

病院で認知症の診察を受けた際、正式な「診断書」の提出を求められる場面があります。

診断書が必要になる主な3つの場面

高齢ドライバー(75歳以上)の運転免許更新:
免許更新時の認知機能検査で「認知症の恐れがある」と判定された場合、公安委員会から医師の診断書の提出が命じられます。

成年後見制度の利用申請:
認知症により判断能力が低下した本人の財産を守るため、家庭裁判所に後見人選任の申し立てを行う際に医師の「成年後見用診断書」が必要です。

障害年金や介護保険の申請・見直し:
障害年金の請求や、特定の福祉サービスを利用する際に診断書が必要となる場合があります。

費用と発行の流れ

費用相場:公的医療保険が適用されない自費書類となるため、5,000円〜20,000円程度(医療機関や検査内容によって異なる)。

発行までの流れ:専門外来を受診 ➔ 問診・各種検査を受ける ➔ 医師が診断基準に基づき記入 ➔ 窓口で受け取り。

様式:免許更新用の場合は、警察庁が指定する「モデル診断書様式」が用いられます。

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認知症と診断されたら?本人と家族がとるべき対応

診断結果が出た直後は、本人もご家族もショックを受けるのは当然です。しかし、あせらず冷静に今後の生活環境を整えていきましょう。

患者本人がとるべき行動

    • 病気の正しい理解:「上手につきあっていく病気」としての認知構築
    • 介護保険制度の活用:地域包括支援センターへの相談、要介護認定申請、ケアプラン作成
    • 信頼できる「かかりつけ医」の確保:長期服薬・健康管理を任せられる主治医選定

家族や周囲がとるべき対応

    • 否定排除・安心環境の構築:失敗や物忘れへの責め・説教の回避と寄り添い姿勢の保持
    • 将来計画の早期対話:本人の意思能力保持期における介護担当・希望施設・資産(預貯金・不動産)管理方針の事前協議

診断結果に納得がいかない場合の「セカンドオピニオン」

「診断結果に疑問がある」「受診した医師の対応や説明に納得がいかない」という場合は、セカンドオピニオン(別の専門医への相談)を求めることも選択肢の一つです。

セカンドオピニオンの注意点:
セカンドオピニオンは「診察や検査をやり直すこと」ではなく、「現在の主治医の診断や治療方針について、他の医師の意見を聞くこと」です。
全額自己負担(公的保険適用外の自費診療)となるため、数万円程度の費用がかかる場合があります。

受診する際は、現在の主治医に「セカンドオピニオンを受けたい」旨を伝え、診療情報提供書(紹介状)と検査データを準備してもらう必要があります。

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まとめ

今回は、認知症の診断における重要性、受診先、検査手順から診断書の発行まで詳しく解説しました。

    • 早期診断のメリット:進行の早期抑制、MCIからの回復、および「治る認知症」の早期発見
    • 受診すべき機関:かかりつけ医への初期相談と「認知症サポート医」「物忘れ外来(脳神経内科・精神科等)」の活用
    • 診断の流れ:面談・問診 ➔ 身体検査 ➔ 認知症専門検査(HDS-R/MMSE質問テスト、CT/MRI/SPECT画像検査)
    • 必要な情報:発症時期、持病、服用中お薬(お薬手帳持参)の事前整理

「年齢のせいかな?」と思うような些細な変化であっても、放置せず早めに専門医へ相談することが、ご本人とご家族の穏やかで前向きな未来を守る第一歩となります。

認知症の予防法や初期症状、介護保険サービスの活用法についてさらに詳しく知りたい方は、以下の関連記事一覧も併せてご覧ください。

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