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なぜ3月3日が「骨の健康」なのか? 現代人が直面する骨の危機

女性の健康と「骨」の密接な関係
3月3日は、女の子の健やかな成長を願う「ひな祭り」です。
この日が「骨の健康デー(耳の日などとともに健康を啓発する日)」として意識される背景には、骨粗鬆症の患者の約8割が女性であるという事実があります。
女性は閉経を迎えると、骨を守る働きをする女性ホルモン(エストロゲン)が激減し、骨密度が急激に低下します。
つまり、女性のライフサイクルと骨の健康は切っても切れない関係にあるのです。
この日に改めて自分の「骨」と向き合うことは、未来の自分へのプレゼントとなります。
「沈黙の疾患(サイレント・ディジーズ)」の恐怖
骨粗鬆症の最大の特徴は、「自覚症状がほとんどない」ことです。
骨の強度が低下し、スカスカの状態になっていても、痛みはありません。
多くの人は、転倒して骨折したり、いつの間にか背骨が押しつぶされたり(圧迫骨折)して初めて、自分が骨粗鬆症であることに気づきます。
骨折は、介護が必要になる原因の第3位(※1)です。
特に大腿骨(太ももの付け根)を骨折すると、そのまま寝たきりになったり、認知症が進行したりするリスクが跳ね上がります。
「痛くないから大丈夫」ではなく、「痛くなる前に対策する」ことが、健康寿命を延ばす絶対条件なのです。
骨粗鬆症のメカニズム:骨は毎日作り変えられている
骨は一度できたら変わらない硬い棒ではありません。
毎日、古い骨を壊す「骨吸収(こつきゅうしゅう)」と、新しい骨を作る「骨形成(こつけいせい)」を繰り返しています(骨のリモデリング)。
健康な状態であれば、このバランスは保たれています。
しかし、加齢やホルモンバランスの乱れ、生活習慣の乱れによって「壊すスピード」が「作るスピード」を上回ってしまうと、骨の量が減り、骨粗鬆症へと進行します。
以下の記事では、骨粗鬆症の基本的な定義や、どのような人がなりやすいのかについて詳しく解説しています。
まずは敵を知ることから始めましょう。
▼詳しくはこちらの記事をチェック
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あなたは大丈夫? 原因とリスクセルフチェック
主な原因とリスクファクター
骨粗鬆症の原因は多岐にわたりますが、大きく分けて「避けられない要因」と「生活習慣による要因」があります。
【避けられない要因】
- 加齢:
男女ともに、年をとればカルシウム吸収率が低下します。 - 閉経:
女性ホルモンの減少により、骨吸収のブレーキが効かなくなります。 - 遺伝・体質:
家族に骨粗鬆症の人がいる場合、リスクが高まります。
【生活習慣による要因】
- 偏った食生活:
カルシウム、ビタミンD、ビタミンKの不足。 - 運動不足:
骨に負荷がかからないと、骨は弱くなります。 - 過度なダイエット:
若い頃の無理なダイエットは、将来の骨密度に深刻な影響を与えます。 - 喫煙・過度な飲酒:
カルシウムの吸収を妨げます。
専門家の視点:骨粗鬆症リスクを知る
骨粗鬆症は、単に「骨が弱くなる病気」というだけでなく、糖尿病や慢性腎臓病(CKD)などの生活習慣病とも深く関わっていることが近年の研究でわかってきました。
「骨粗鬆症になりやすい人」には明確な特徴があります。
以下の記事では、なりやすい人の特徴や、専門家によるリスク研究の最前線について紹介しています。
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今すぐできるセルフチェック
以下の項目に当てはまる数が多いほど、リスクが高いと言えます。
- 以前より身長が2cm以上縮んだ。
- 壁に背中をつけて立つと、後頭部と壁の間に隙間ができる。
- 背中や腰が曲がってきた気がする。
- 牛乳や乳製品をあまり摂らない。
- 運動習慣がほとんどない。
- 日光に当たる機会が少ない。
- 閉経を迎えた(女性)。
特に「身長の低下」は、背骨の圧迫骨折の重要なサインです。
見逃さないようにしましょう。
早期発見がカギ! 骨密度検査の種類と受診のすすめ

骨の状態を正確に知るためには、医療機関での検査が不可欠です。
自治体の検診や人間ドックなどを活用し、定期的に骨密度を測定しましょう。
主な検査方法
1. DEXA(デキサ)法
微量なX線を使って骨密度を測定する方法です。
- 腰椎・大腿骨DEXA:
最も精度が高く、骨粗鬆症の診断基準として推奨されています。大きな病院や整形外科で受けられます。 - 前腕DEXA:
腕の骨で測定します。検診などで簡易的に行われることが多いです。
2. 超音波法(QUS法)
かかとの骨に超音波を当てて測定します。
被曝がなく、検診車やイベントなどで手軽に行えますが、確定診断にはDEXA法が優先されます。
3. MD法
手の骨とアルミスケールを同時にX線撮影し、画像の濃淡で骨密度を算出します。
クリニックなどで普及しています。
骨代謝マーカー(血液・尿検査)
骨密度だけでなく、「骨の代謝バランス(壊すスピードと作るスピード)」を知るための検査です。
現在の骨の状態だけでなく、近い将来骨密度が低下しやすいかどうかを予測したり、薬の効果が出ているかを確認したりするために用いられます。
検査の詳細な流れや、自宅でできるより詳細なチェックポイントについては、以下の記事をご参照ください。
▼詳しくはこちらの記事をチェック
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【予防・改善】骨を強くする「食事」の黄金ルール
骨を作る材料は、毎日の食事からしか摂取できません。
骨粗鬆症の予防・改善には、以下の3つの栄養素を意識して摂ることが基本です。
1. カルシウム(骨の材料)
日本人に最も不足しているミネラルです。
骨の主成分となります。
- 目標摂取量:
1日700mg~800mg - 多く含む食品:
牛乳・乳製品、小魚、大豆製品(木綿豆腐、納豆)、小松菜、モロヘイヤなど。 - ポイント:
吸収率が最も高いのは乳製品です。苦手な方は、吸収を助けるクエン酸(レモンや酢)と一緒に小魚を食べるなどの工夫をしましょう。
2. ビタミンD(カルシウムの吸収を助ける)
腸管でのカルシウム吸収を促進し、骨への沈着を助けます。
また、筋肉を維持し、転倒を防ぐ効果も期待されています。
- 多く含む食品:
鮭、サンマ、うなぎ、干し椎茸、きくらげなど。 - ポイント:
日光(紫外線)を浴びることで、皮膚でも合成されます。夏なら木陰で30分、冬なら1時間程度の日光浴も有効です。
3. ビタミンK(骨の形成を促す)
カルシウムが骨に定着するのを助け、カルシウムの流出を防ぎます。
- 多く含む食品:
納豆、ブロッコリー、ほうれん草、小松菜などの緑黄色野菜。 - ポイント:
納豆はビタミンKの宝庫です。ただし、血液サラサラの薬(ワーファリン)を服用している方は納豆の摂取を制限される場合があるため、主治医に相談してください。
避けるべき食習慣
- リンの過剰摂取:
インスタント食品や加工食品に含まれる添加物(リン)は、カルシウムの吸収を妨げます。 - カフェイン・アルコール・塩分:
摂りすぎると、尿と一緒にカルシウムが排泄されてしまいます。
具体的なレシピや、骨を強くするための食生活のポイントについては、以下の記事でさらに詳しく紹介しています。
▼詳しくはこちらの記事をチェック
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【予防・改善】骨に刺激を与える「運動療法」
「骨は衝撃を与えることで強くなる」という性質を持っています。
骨に縦方向の負荷がかかると、骨を作る細胞が活性化されるのです。
逆に、宇宙飛行士や寝たきりの人のように重力がかからない状態では、骨は急速に弱くなります。
骨粗鬆症に効果的な運動
1. かかと落とし運動
背筋を伸ばして立ち、かかとを上げてつま先立ちになり、ストンとかかとを落とします。
1日30回程度行うことで、骨全体に良い刺激が伝わります。
2. フラミンゴ療法(片脚立ち)
壁や机につかまり、片足を5〜10cm程度上げて1分間キープします。
左右交互に1日3セット行います。
大腿骨の付け根に体重がかかり、骨密度の上昇が期待できます。
転倒しないよう、必ずつかまれる場所で行ってください。
3. ウォーキング・ジョギング
重力がかかる有酸素運動も有効です。
散歩のついでに階段を使ったり、少し早歩きをしたりするだけでも効果があります。
背筋を鍛える重要性
背筋が弱まると、背中が丸まり、背骨への負担が増加します。
背筋を鍛えるストレッチを取り入れることで、姿勢を改善し、圧迫骨折のリスクを減らすことができます。
運動は継続することが何より大切です。
無理のない範囲で、毎日の習慣にしましょう。
具体的な運動方法や注意点については、以下の記事をご覧ください。
▼詳しくはこちらの記事をチェック
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【治療】骨密度アップの切り札! 進化する「薬物療法」の種類と副作用
骨密度がYAM(若年成人平均値)の70%未満、あるいは骨折の既往がある場合などは、食事や運動だけでなく「薬物療法」が必要です。
近年、骨粗鬆症の治療薬は飛躍的に進化しており、患者さんの骨の状態やライフスタイルに合わせて、飲み薬や注射など様々なタイプが選べるようになっています。
主な治療薬の種類と作用メカニズム
骨粗鬆症の薬は、大きく分けて「骨が壊れるのを防ぐ薬」「骨を作るのを助ける薬」「栄養素を補う薬」の3つに分類されます。
骨吸収抑制薬(骨が壊れるのを防ぐ)
現在、最も多く使われているタイプです。
- ビスホスホネート製剤:
破骨細胞の働きを強力に抑えます。起床時に飲み、その後30分横になれないなどの制約があるタイプや、月1回、年1回の製剤もあります。 - SERM(サーム):
女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きをし、骨密度を上げます。乳がんリスクを下げる効果も報告されています。 - 抗RANKL抗体薬(デノスマブ):
半年に1回の注射で、強力に骨吸収を抑え、骨密度を増加させます。
骨形成促進薬(新しい骨を作るのを助ける)
骨折リスクが非常に高い場合や、すでに骨折している場合などに用いられます。
- 副甲状腺ホルモン製剤(テリパラチド):
骨を作る細胞(骨芽細胞)を活性化させます。自己注射タイプなどがあります。 - 抗スクレロスチン抗体薬(ロモソズマブ):
骨形成を促進しつつ、骨吸収も抑制する(骨を壊れにくくする)という「デュアル効果」を持つ新しいタイプの薬です。
その他(栄養素を補う)
- 活性型ビタミンD3製剤:
腸からのカルシウム吸収を助け、骨への沈着を促します。 - カルシウム製剤:
食事での摂取が難しい場合に、材料となるカルシウムを補います。
必ず知っておくべき「副作用」と「顎骨壊死」のリスク
薬には主作用だけでなく、副作用のリスクもあります。
胃腸障害や、注射部位の反応などが一般的ですが、骨粗鬆症治療において特に注意が必要なのが、ビスホスホネート製剤やデノスマブを使用している時の「顎骨壊死(がっこつえし)」です。
これは非常に稀な副作用ですが、抜歯などの侵襲的な歯科治療をきっかけに、顎の骨が細菌感染を起こし、壊死してしまうことがあります。
【服用・治療中の注意点】
- 歯科治療時:
骨粗鬆症の薬を服用・注射している間は、歯科治療を受ける際に必ず歯科医にその旨(お薬手帳の提示など)を伝えてください。 - 口腔ケア:
口の中を清潔に保つことが、顎骨壊死の最大のリスク低減策です。治療開始前に歯科検診を受け、虫歯や歯周病を治しておくことが推奨されます。
治療薬の種類ごとの詳細な特徴、服用期間の目安、そして副作用への対策については、以下の記事で徹底的に解説しています。
治療中の方も、これから検討する方も必読です。
▼詳しくはこちらの記事をチェック
骨粗鬆症は、とくに女性の閉経期に多い傾向にあります。骨粗鬆症の治療は、薬を使用して治療します。骨粗鬆症の薬にはどのようなものがあるのでしょうか?本記事では、骨粗鬆症の薬について以下の点を中心にご紹介します。 骨粗鬆[…]
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骨折ドミノを防ぎ、一生歩ける体へ

骨折の連鎖「ドミノ骨折」
骨粗鬆症が怖いのは、一度骨折すると、ドミノ倒しのように次々と骨折を繰り返してしまうことです。
背骨がつぶれる(圧迫骨折)と、背中が丸まりバランスが悪くなります。
すると転倒しやすくなり、手首や腕、そして最終的には大腿骨を骨折してしまう……。
この負の連鎖を断ち切るためには、最初の骨折を防ぐこと、そしてもし骨折してしまったら、すぐに適切な治療(リエゾンサービスなど)を受けて二次骨折を防ぐことが重要です。
フレイル・ロコモ対策との連携
骨の健康は、筋肉(サルコペニア対策)や関節(ロコモティブシンドローム対策)とセットで考える必要があります。
これらが衰え、心身の活力が低下した状態を「フレイル(虚弱)」と呼びます。
3月3日の骨の健康デーをきっかけに、骨だけでなく、筋肉や栄養状態を含めたトータルな体づくりを見直してみましょう。
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まとめ:3月3日、自分の「骨」と対話しよう
骨粗鬆症は、決して「年をとれば誰でもなる仕方ない病気」ではありません。
適切な予防と治療を行えば、骨密度の低下を食い止め、骨折を防ぐことは十分に可能です。
人生100年時代、最期まで自分の足で歩き、トイレに行き、好きな場所へ出かけるために。
「骨」はあなたの自立した生活を支える、最も重要な土台です。
3月3日、骨の健康デー。
まずは牛乳を一杯飲むことから、あるいはエレベーターを使わず階段を使うことから始めてみませんか?
そして、しばらく検診を受けていない方は、ぜひ骨密度検査の予約を入れてください。
あなたの骨を守れるのは、あなた自身です。













