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トップページ>健康お役立ち記事>廃用症候群の症状を解説!知っておきたい原因や予防・対策も紹介

廃用症候群の症状を解説!知っておきたい原因や予防・対策も紹介

廃用症候群は、寝たきりや安静状態が長い方にあらわれやすい疾患です。

全身に様々な悪影響を及ぼし、ときには命を危険にさらすこともあります。

廃用症候群の症状や、予防はどのようにして行えば良いのでしょうか。

本記事では廃用症候群の症状について、以下の点を中心にご紹介します。

  • 廃用症候群とは何か
  • 廃用症候群の主な症状
  • 廃用症候群の予防方法

廃用症候群の症状について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。

ぜひ最後までご覧ください。

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廃用症候群とは


廃用症候群は、長期間の安静状態が原因で、心身にさまざまな悪影響が出た状態です。

たとえば、

  • 筋力の低下
  • 関節の動きが悪くなる

といった症状が代表的です。

廃用症候群は、

  • 寝たきり状態の方
  • ケガ・病気などで長く安静にしている方

など身体を動かすことが少ない方に起こります。

廃用症候群によって身体機能が低下すると、さらに身体を動かす機会が減少します。
結果、症状が進行して悪循環が起こることも少なくありません。

最悪の場合は、廃用症候群から寝たきり状態に移行することもあります。

そして廃用症候群の特徴は、

  • 症状の進行が早い
  • 回復に時間を要する

といった点です。

とくに高齢者の回復は困難になります。
また、多くの場合は一度廃用症候群になると、完全に以前の状態に戻ることは不可能です。

廃用症候群について、もっと詳しく知りたい方は、こちらもあわせてお読み下さい。

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廃用症候群の症状


廃用症候群の悪化を防ぐには、気づいた時点で早めに対策を打つことが重要です。
早めに対処するには、廃用症候群の症状について知っておく必要があります。

廃用症候群の主な症状は以下の通りです。

  • 筋骨格系の症状
  • 呼吸器系の症状
  • 循環器系の症状
  • 消化器系の症状
  • 精神神経系の症状
  • 泌尿器系の症状
  • その他の症状

順番に解説していきます。

筋骨格系の症状

廃用症候群の代表的な症状は、

  • 筋肉
  • 関節

などのトラブルです。

具体的には、

  • 筋肉が減少する
  • 筋力が低下する
  • 関節の動きが悪くなる
  • 骨が脆くなり、骨折しやすくなる
  • 腰痛

などの症状です。

そして骨格筋系の最も代表的な症状は「筋肉の減少」です。

たとえば、ベッドで寝たきりの状態が1週間続きます。
すると、およそ1~2割もの筋力が低下すると指摘されています。

筋力低下は、自力で身体を支えられなくなります。
さらに、自力で身体を支えられなくなると、一人で立ち上がることや歩行が困難になります。

そして、自力での立ち上がりや歩行が困難になると、

  • 膝やひじの関節が固まり、歩行に支障が出る
  • 骨が脆くなり、骨粗鬆症のリスクが高まる

などの症状が悪化することで、さらに廃用症候群が進行し悪循環になります。

呼吸器系の症状

廃用症候群では、以下のような呼吸器系の症状があらわれます。

  • 息切れ
  • 誤嚥

息切れ

筋肉といえば腕や脚のイメージが強いですが、のどや体内にも存在します。
たとえば呼吸をするときは、呼吸筋(横隔膜と肋間筋)が収縮します。

呼吸筋が衰えると、

  • 肺の伸縮がうまくいかなくなる
  • 肺の中の空気を十分に出し入れできなくなる

ことにより、軽い運動でも息切れしやすくなります。

誤嚥

のどの筋肉が衰えると「誤嚥」が起こりやすくなります。
誤嚥とは、食べ物や水などをうまく飲み下せず気管に入ることです。

飲み込んだものが気管支に入り、むせたり肺炎になったりすることも少なくありません。
誤嚥による肺炎は「誤嚥性肺炎」と呼ばれ、高齢者には命の危険のある疾患です。

循環器系の症状

循環器系にあらわれる症状は、

  • 息切れ
  • 動悸
  • 心拍の低下
  • 急に立ち上がるとふらつきが出る
  • 静脈内に血栓ができる

などがあります。

活動量が減ること心機能が低下し、軽い運動でも息切れや動悸が起こりやすくなります。

また、「起立性低血圧」も廃用症候群の代表的な症状です。
起立性低血圧とは、安静状態から立ち上がったときに目まいがする症状です。
原因は、血圧の調整機能の衰えにより、立ち上がったときに瞬時に下肢から心臓に血液を送り返せなくなるためです。

廃用症候群の中で特に注意すべきなのが静脈での血栓です。

静脈での血栓は、

  • 運動量が減る
  • 全身の血液循環が悪くなる
  • 血液がドロドロになる
  • 静脈内に血栓という血の塊ができる

ことで起こります。

血栓は特にふくらはぎにあらわれやすく、むくみや痛みの原因になります。

また、血栓は血流にのって全身に運ばれ、血管を詰まらせることがあります。
たとえば肺動脈を詰まらせる肺血栓塞栓症が代表的です。
肺血栓塞栓症は「エコノミークラス症候群」という名称でも知られています。

肺血栓塞栓症になると、肺での酸素・血液の交換がうまく行われなくなり、

  • 息切れ
  • 低血圧
  • 背中に痛みが出る

といった症状があらわれます。

症状を放置すると、呼吸不全や低血圧によって命を落とすこともあります。

消化器系の症状

廃用症候群による消化器官の症状は、以下の通りです。

  • 逆流性食道炎
  • 便秘

逆流性食道炎

逆流性食道炎とは、胃酸が食道まで逆流してくる現象です。
逆流性食道炎は、胸やけや口の中が酸っぱいといった症状が特徴的です。

胃と食道の間には「下部食道括約筋」というフタがあります。
胃酸は括約筋により、胃の中に押しとどめられるため逆流はしません。

しかし、

  • 廃用症候群によって全身の筋力が低下する
  • 括約筋の機能が低下する
  • 胃酸が胃から食道に逆流しやすくなる

ことで、逆流性食道炎が起こります。

便秘

廃用症候群になると食欲が低下しやすくなります。

食欲が低下し食事量が減ることで、便秘になることも少なくありません。

精神神経系の症状

廃用症候群は、

  • 認知機能の低下
  • 気分が落ち込む
  • 幻覚・幻聴・意識の混濁
  • 時間・場所や家族の認識ができない

など精神面にも不調をもたらします。

ベッドの上での安静状態が続くと、外部からの刺激が少なくなります。

外部の刺激とは、

  • におい

などがあります。

外部からの刺激が少なくなることで脳が不活性化し、

  • 記憶機能の低下
  • 思考力の低下
  • 気分がふさぎ込む
  • 意識が混濁する

などの症状があらわれます。

脳の不活性化状態が長く続くと、脳細胞が死んでしまいます。

そして、認知症に移行することもあります。

泌尿器系の症状

廃用症候群では、

  • 失禁・頻尿
  • 尿路結石
  • 尿路感染症

といった排泄機能にもトラブルが起こります。
もっとも多いのは「失禁」や「頻尿」です。

排泄は本来、尿道にある尿道括約筋の開閉や腹圧などによって調節されます。

しかし、

  • 廃用症候群によって全身の筋肉が減少する
  • 括約筋の機能や腹圧が低下する

ことで失禁や頻尿が起こります。

また、寝たきり状態が続くと「床ずれ」が起こります。
床ずれにより下着内に細菌が発生することがあります。

細菌が尿道に侵入すると、

  • 尿路感染症
  • 尿路結石

などを引き起こします。

その他の症状

廃用症候群によるその他の症状は、以下の通りです。

  • 床ずれ
  • 糖代謝の異常

床ずれ

同じ姿勢での寝たきり状態が続くと、特定部位の血管や神経が圧迫され続けます。

結果、特定部位の血流が悪くなるため、床ずれが起こりやすくなります。

代謝機能の低下

糖代謝が低下すると、耐糖能異常が起こりやすくなります。
耐糖能異常は、慢性的に血糖値が高い状態が続く状態です。

糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病を誘発することも少なくありません。

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様々な症状が見られる廃用症候群の原因


廃用症候群の原因は、

  • 筋力の低下によるもの
  • 安静状態が長いことによるもの
  • 環境によるもの

など多岐にわたります。

それぞれ詳しく解説し、診断基準についてもご紹介します。

筋力の低下によるもの

高齢になるにつれ、活動量は減少します。

つまり筋肉を使う機会が減るため、筋力が低下しやすくなり廃用症候群に至ります。
たとえば寝たきりの状態では、1週間で約10~20%の筋力が低下すると指摘されています。

安静状態が長いことによるもの

ケガや病気によって安静期間が長くなると、その分身体を動かす機会が減ります。
結果、体力や筋力が衰え廃用症候群に至るケースは少なくありません。

廃用症候群は全身ではなく、身体の一部に起こることもあります。
たとえば、骨折によるギプスが代表的です。
ギプスの長期装着は、関節がそのまま固まり動きが悪くなります。

環境によるもの

ケガや病気でなくても、環境によって廃用症候群になるケースもあります。

たとえば、家族などによる過剰なサポートが代表的です。
家族やヘルパーが身の回りの世話を焼きすぎると、本人が自ら動く機会を奪うことになります。
結果、身体を動かすことへの意欲が低下し、廃用症候群に至ります。

あるいは住居環境も廃用症候群の一因です。
たとえば、自宅や施設内での階段の上り下りが苦になるケースがあります。

外出の機会が減ってしまうため、足腰が弱り廃用症候群につながります。

廃用症候群の診断基準は?

廃用症候群には決まった検査方法や診断基準がありません。

しかし、

  • 以前できていたことができなくなった
  • 身体が動かしづらくなった

などの症状がある場合は、廃用症候群の可能性があります。

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廃用症候群の予防と対策


高齢者の場合、廃用症候群は一度かかると完全に以前の状態に戻ることは難しくなります。
そのため廃用症候群の悪化を防ぐには、そもそも廃用症候群にならないよう注意することが大切です。

廃用症候群の予防と対策は、以下の通りです。

  • 日常生活を見直す
  • 食生活を見直す
  • 投薬治療をする
  • リハビリをする

それぞれ、詳しくご紹介します。

日常生活を見直す

廃用症候群を予防するには、身体を動かすことが最も大切です。
日常生活を見直し、外出や運動の機会が減っている場合は、意識して身体を動かしましょう。

たとえば、

  • 近所に買い物に出かける
  • 定期的な運動を習慣づける

など日常生活を見直すことが大切です。

外出が難しい方は、出来る限り家事を進んで行うなどして進んで身体を動かしましょう。

食生活を見直す

高齢者は食欲が落ちやすいため、栄養バランスも偏りがちです。
廃用症候群を予防するには、バランスの良い食事を心がけましょう。

積極的に摂取したいのはタンパク質です。
タンパク質は筋肉のもとになる栄養であるためです。

あわせて、食欲を落とさないための工夫も行ってください。

たとえば、

  • 口腔ケアで歯の健康を保つ
  • 食べ物をスムーズに飲み下すための嚥下訓練

などが大切です。

投薬治療をする

廃用症候群は、薬物治療が有効なこともあります。
医薬品で治療する場合、必ず医療機関を受診しましょう。

自己判断で市販薬などを服用すると、症状が悪化することがあります。

リハビリをする

リハビリは筋力維持に役立ちます。
よって、廃用症候群の悪化の予防が期待できます。

リハビリは、医療機関を受診し医師や理学療法士から指導を受けましょう。

運動が苦手な方は、

  • 手を開閉する
  • 座ったままつま先を上下する
  • 筋肉をマッサージする

など、小さな積み重ねで十分効果を得られます。

また、ストレッチやラジオ体操などもお勧めです。

廃用症候群の予防法についてもっと詳しく知りたい方は、こちらもあわせてお読み下さい。

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廃用症候群の症状から起こる摂食嚥下障害


廃用症候群が、「摂食嚥下障害」を引き起こすこともあります。
摂食嚥下障害とは、簡単にいえば自力で食事が摂れない状態です。

摂食嚥下障害が起こる原因の1つは、廃用症候群による「頭頚部筋の筋萎縮」です。
頭頚部筋とは、首の付け根から頭部にかけて存在する筋です。
また口を動かすための筋肉の他、表情筋や目の周りの筋肉などが含まれます。

頭頚部筋が衰えると、

  • 口や首周りの筋力が低下する
  • 物の飲み込みなどに支障が出る
  • 自力で食事ができなくなる

という状態になります。

なお、廃用症候群による摂食嚥下障害は、リハビリにより能力を回復させることが可能です。

実際に嚥下訓練によって、摂食機能が回復した摂食嚥下障害の方は少なくありません。
廃用症候群により食事が難しくなった場合でも、諦めずにリハビリに取り組むことが大切です。

出典:山本真由美「廃用症候群患者の摂食嚥下障害に対する摂食嚥下訓練の効果とその効果に影響する因子」

薬の使い方

廃用症候群の症状まとめ


ここまで廃用症候群の症状についてお伝えしてきました。

廃用症候群の症状の要点を以下にまとめます。

  • 廃用症候群とは、寝たきりや安静状態が続くことで、身体に悪影響が出た状態
  • 廃用症候群の主な症状は、筋肉の衰えや呼吸器・消化器などのトラブル、エコノミー症候群や床ずれなど
  • 廃用症候群は、積極的に体を動かし、食事バランスを整えることで予防できる

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
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