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トップページ>健康お役立ち記事>脳卒中>くも膜下出血で残りやすい後遺症と確率|合併症とリハビリを説明

くも膜下出血で残りやすい後遺症と確率|合併症とリハビリを説明

くも膜下出血とは、脳を保護している3膜のうち、くも膜と軟膜の間にある「くも膜下腔」に出血が起こった状態をいいます。

くも膜下出血では、どのような後遺症があるのでしょうか?
くも膜下出血の後遺症は、どれくらいの確率でみられるのでしょうか?

この記事では、くも膜下出血について解説しながら、くも膜下出血で残りやすい後遺症やくも膜下出血で後遺症が残る確率などについてご紹介します。

  • くも膜下出血とは
  • くも膜下出血の後遺症とは
  • くも膜下出血で後遺症が残る確率とは
  • くも膜下出血でみられやすい合併症とは

ぜひ、最後までご覧いただき、くも膜下出血の後遺症について参考にしてください。

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くも膜下出血とは

くも膜下出血とは、脳を保護している3膜のうち、くも膜と軟膜の間にある「くも膜下腔」に出血が起こった状態をいいます。

くも膜下出血の8〜9割が、脳動脈瘤の破裂によって発症しています。
脳動脈瘤は、脳内の太い血管の分岐点でできやすく、大きさが数mmから数cmのものまでさまざまです。

脳動脈瘤ができる要因としては、高血圧や動脈硬化、加齢、喫煙、飲酒、ストレスなどがあげられます。
その他、先天性な要素も考えられていますが、明らかにはされていません。

くも膜下出血は、男性よりも比較的女性に多く発症しやすく、40〜65歳の方に多くみられます。

くも膜下出血の症状は、突発的にみられることが多く、「バットで殴られたような痛み」といわれる激しい頭痛が特徴的です。
その他の症状としては、吐き気や嘔吐、めまい、血圧上昇、意識の低下などがあります。

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くも膜下出血で残りやすい後遺症

くも膜下出血では、どのような後遺症が残りやすいのでしょうか?
くも膜下出血で残りやすい後遺症について詳しくみてみましょう。

運動障害

運動障害では、左右いずれかの上下肢が動かしづらくなることがあります。
痙性麻痺や弛緩性麻痺がみられ、一般的には下肢よりも上肢に強くあらわれます。
しかし、出血部位によっては、下肢に強くみられる場合もあります。

嚥下障害

嚥下障害では、食べ物や飲み物を飲み込みづらくなることがあります。
大脳の片側に出血が限局している場合は、回復が期待できるといわれています。
しかし、出血部位によっては、回復が難しい場合もあります。

言語障害

言語障害では、ろれつが回りづらくなることがあります。
出血部位によっては、回復しやすい場合と長期にわたり症状が残りやすい場合とさまざまです。

高次脳機能障害

高次機能障害は、脳に損傷を負うことで、知的な機能に障害がみられ、日常生活や社会生活に支障をきたす状態をいいます。
高次機能障害といっても、あらわれる症状はさまざまです。

高次機能障害について詳しくみてみましょう。

失語症

失語症には、大きく分けて2タイプあります。
運動性失語症は、言葉が出にくくなります。
感覚性失語症は、言葉を理解できなくなります。

その他にも、文字が理解できなくなったり、文字を書くことができなくなる症状がみられることもあります。

半側空間無視

半側空間無視とは、左右どちらかの空間を認識できなくなる状態をいいます。
半側空間無視の場合は、段差や壁に気づくことが難しくなり、つまずいたり、ぶつかったりしてしまいます。
半側空間無視は、右大脳半球損傷によってみられることが多いです。

記憶障害

記憶障害には、大きく分けて2タイプあります。
言語性記憶障害は、言われたことや読んだものを忘れてしまいます。
地誌的記憶障害は、道順がわからなくなってしまいます。

その他にも記憶の前後がわからなくなる見当識障害がみられる場合もあります。

注意障害

注意障害は、注意が散漫になったり、落ち着いて物事に取り組むことが難しくなります。

自発性障害

自発性障害は、自発的に乏しく、自ら進んで動作にうつすことが難しくなります。

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くも膜下出血の後遺症は損傷部位による

くも膜下出血の後遺症は、損傷部位によって異なっています。
くも膜下出血の損傷部位別に、後遺症について詳しくみてみましょう。

前頭葉

前頭葉は、感情・思考・注意する能力をつかさどり、実行に導く役割があります。
前頭葉を損傷することでみられる障害としては、

  • 注意障害
  • 言語障害
  • 遂行機能障害:効率的・計画的に仕事ができない
  • 社会的行動障害:やる気が出ない・怒りっぽい

などがあります。

前頭葉のなかでも部位によって、特有の障害がみられる場合もあります。

前頭葉の前部

前頭葉の前部を損傷すると、感情・思考・注意する能力の低下、自制が欠如し社会的に不適切な行動がみられる場合があります。
認知症でもこのような症状がみられることがあります。

前頭葉の中間部

前頭葉の中間部を損傷すると、思考・注意力・意欲の低下がみられる場合があります。
思考能力が低下するため、質問への返答に時間がかかるようになります。

前頭葉の中間部後方のブローカ野

前頭葉の中間部後方のブローカ野を損傷すると、運動性失語症がみられる場合があります。
ブローカ失語と呼ばれ、言葉を処理し、発することが難しくなります。

前頭葉の後部

前頭葉の後部を損傷すると、筋力の低下や麻痺がみられる場合があります。
左の大脳半球を損傷すると体の右側に、右の大脳半球を損傷すると体の左側に症状がみられます。

頭頂葉

頭頂葉は、触覚の能力をつかさどります。
頭頂葉を損傷することでみられる障害としては、

  • 感覚障害
  • 記憶障害
  • 半側空間無視

などがあります。

頭頂葉のなかでも部位によって、特有の障害がみられる場合もあります。

頭頂葉の前部

頭頂葉前部の左側を損傷すると体の右側に、右側を損傷すると体の左側にしびれや感覚障害がみられる場合があります。
どこの場所にどのような感覚(痛みや熱さ、冷たさ、振動など)があるのか、判断することが難しくなります。

頭頂葉の中間部

頭頂葉の中間部を損傷すると、左右の判断や文字を書くこと、計算ができなくなる場合があります。
身体の各部位がどこにあるのかを感じることが難しくなります。

非優位側の頭頂葉

優位側の頭頂葉では、特定の機能が強く制御されている傾向があり、通常は左側になります。
非優位側の頭頂葉では、身体と周囲の空間関係の認識などに関わっており、通常は右側になります。

非優位側の頭頂葉を損傷すると、失行といわれる、髪をくしでとかしたり、服の着脱など簡単な動作ができなくなる場合があります。
また、空間関係の認識が難しくなるため、物をつくったり、何かを描くことができなくなったり、道に迷ってしまう場合があります。

側頭葉

側頭葉は、聴覚の能力をつかさどります。
側頭葉を損傷することでみられる障害としては、

  • 言語障害
  • 記憶障害

などがあります。

側頭葉のなかでも部位によって、特有の障害がみられる場合もあります。

左側頭葉

左側頭葉を損傷すると、感覚性失語症がみられる場合があります。
ウェルニッケ失語と呼ばれ、言葉を記憶したり、言葉を理解することが難しくなります。

右側頭葉

右側頭葉を損傷すると、音を記憶することができなくなる場合があります。
音楽を聞いて歌を歌うことが難しくなります。

後頭葉

後頭葉は、視覚の能力をつかさどります。
後頭葉を損傷することでみられる障害としては、視覚障害があります。

両側の後頭葉を損傷すると、皮質盲といわれる状態になります。
皮質盲とは、視力は正常に機能しているにも関わらず、視覚によって物を認識することができなくなります。

小脳

小脳は、バランスをとる能力をつかさどります。
小脳を損傷することでみられる障害としては、

  • 平衡感覚障害
  • 運動障害

などがあります。

小脳を損傷すると、ふらつきがみられる場合があります。
また、右小脳を損傷すると、右手足を動かしづらくなる場合があります。

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くも膜下出血で後遺症が残る確率

くも膜下出血は、発症した3分の1の方が死亡するといわれています。
また、発症した3分の1の方に何らかの後遺症が残るといわれています。
さらに、発症した3分の1の方は、社会復帰できるといわれています。

いずれにしても、くも膜下出血は発症すると重篤になりえる疾患の1つといえます。

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くも膜下出血で起きやすい合併症

くも膜下出血では、どのような合併症がみられるのでしょうか?
くも膜下出血でみられる合併症について詳しくみてみましょう。

水頭症

水頭症とは、脳と脊髄の表面であるくも膜下腔に存在する脳脊髄液が過剰に貯留し、脳室が拡大する病態をいいます。
くも膜下出血による血液が脳内で固まってしまうことで、脳脊髄液の排出を妨げてしまう場合があります。
その結果、脳内に脳脊髄液が過剰に貯留してしまい、頭蓋内圧が上昇してしまいます。

水頭症は、くも膜下出血の急性期と慢性期でみられることがあります。

水頭症の症状としては、頭痛・眠気・錯乱・吐き気・嘔吐・意識障害・失禁・歩行障害があります。
水頭症の治療法は確立されており、脳内に溜まった水を腹腔内に流して吸収できるようにします。

脳血管攣縮

脳血管攣縮とは、血管が突然攣縮してしまう病態をいいます。

脳血管攣縮は、くも膜下出血の約25%の方に発症し、3日目以降から10日後にみられます。

脳血管攣縮後に脳血管が細くなり、血流が途絶えてしまうことで脳梗塞を引き起こしてしまう場合があります。

脳血管攣縮の予防薬はありますが、治療法はまだ確立されていません。

心肺機能の障害

心肺機能の障害には、心電図異常や肺水腫、肺炎などがあります。

薬の使い方

くも膜下出血の後遺症のリハビリ

くも膜下出血後のリハビリテーションの目的は、

  • 脳や身体機能を回復する
  • 残存した機能を強化する

ことになります。

くも膜下出血による後遺症がみられる場合は、リハビリテーションにより、機能を回復・強化することを目指します。

くも膜下出血のリハビリテーションは、急性期・回復期・維持期に分けられます。

急性期とは、発症や治療直後から14日目までの時期になります。
急性期は、全身状態が変化しやすく、危険な状態になりやすいため、生命維持が優先されます。

医師の指示に従い、主にベット上でのリハビリテーションが中心となります。
全身状態に問題がない場合は、病状に応じたリハビリテーションが行われます。

回復期とは、14日目以降の時期になります。
回復期は、残存された機能を回復・強化するために継続的なリハビリテーションが行われます。

リハビリテーションは医師の指示に従い、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが各専門分野で関わります。

くも膜下出血による脳細胞の損傷は残念ながら、治すことはできません。
しかし、継続したリハビリテーションにより、身体機能を回復・強化することは可能です。
くも膜下出血後のリハビリテーションは、諦めずに継続して取り組むことが大切です。

くも膜下出血発症後の復職率と支援制度

くも膜下出血後の復職率と支援制度について、脳卒中患者の復職支援事業報告をみてみましょう。
くも膜下出血を含む脳卒中後の復職率は30〜40%前後といわれています。

くも膜下出血を含む脳卒中後の復職では、BADLだけの確保だけでは不十分であり、IADLの向上が必要となっています。

復職を目指すためには、くも膜下出血発症後の急性期から、

  • 復職を目指したリハビリテーション
  • 本人の意欲の継続
  • ソーシャルワーカーの介入

などが必要となります。

復職するための支援窓口としては、

  • ハローワーク
  • 地域障害者職業センター
  • 国立職業リハセンター

などがあります。

くも膜下出血後で後遺症がある場合でも復職は可能です。
早期に復職を目指したリハビリテーションに取り組み、さまざまな支援体制を活用することが重要となってきます。

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くも膜下出血の後遺症のまとめ

ここまで、くも膜下出血についてやくも膜下出血で残りやすい後遺症、くも膜下出血で後遺症が残る確率などを中心にお伝えしてきました。

  • くも膜下出血とは、くも膜と軟膜の間にある「くも膜下腔」に出血が起こった状態をいう
  • くも膜下出血の後遺症には、運動障害・嚥下障害・言語障害・高次脳機能障害などがある
  • くも膜下出血で後遺症が残る確率は、3分の1程度である
  • くも膜下出血でみられやすい合併症は、水頭症、脳血管攣縮、心肺機能の障害がある

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売
  • 障がい者雇用

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