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脳卒中はなぜリハビリが必要なの?目的やリハビリ内容など解説

脳卒中は、日本人の死因の第4位となっている病気です。
医学の進歩により死亡率は下がりましたが、後遺症が残りやすい病気です。

脳卒中の後遺症にはどんなものがあるのでしょうか。
脳卒中のリハビリにはどんなものがあるのでしょうか。

本記事では脳卒中のリハビリについて以下の点を中心にご紹介します。

  • 脳卒中の後遺症とは
  • 脳卒中のリハビリ内容とは
  • 脳卒中のリハビリ費用について

 脳卒中のリハビリについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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脳卒中とは

脳卒中とは、脳の血管に障害が起こる病気の総称です。
脳卒中は、一命をとりとめたとしても、後遺症が残ることが多い病気です。
介護が必要になる人のうちの約20%が脳卒中によるものです。

脳卒中の種類・原因

脳卒中の種類には大きく分けて3つあります。

  • 血管がつまる「脳梗塞」
  • 血管が破裂する「脳内出血」
  • 血管のコブが破裂する「くも膜下出血」

脳梗塞は脳卒中のなかで発症する患者数が最も多い病気です。
脳の血管が詰まることが原因で、脳に酸素や栄養が運ばれなくなり、脳細胞が壊死します。

 脳出血は脳の血管が破裂することで出血し、脳細胞が壊死する病気です。
脳梗塞と同じように、脳の障害された部分によって症状が違ってきます。

くも膜下出血は、血管にできた「脳動脈瘤」が破裂することで起こる病気です。
脳の表面に出血が起こり、今まで経験したことのないような頭痛が起こります。

主な症状

脳卒中の主な症状には以下のようなものがあります。

  • 片方の手足がしびれる「半身麻痺」
  • ろれつが回らない、言葉が出ない「言語障害」
  • バッドで殴られたような「激しい頭痛」
  • フラフラする、意識がなくなる「意識障害」

最も多いのは半身麻痺です。
顔の半分、片手、片足が突然動かなくなります。

次に多いのが言語障害です。
突然ろれつが回らなくなって、言葉が出なくなります。

くも膜下出血では、激しい頭痛が起こることが多いようです。
意識障害を起こし、軽度の場合は何となくぼんやりしている程度です。
しかし、重度になるとつねっても反応がないことがあります。

他にも嚥下障害で食事をとりにくくなるケースもあります。

主な後遺症

脳卒中は、障害を受けた脳の部分によって、以下のようなさまざまな後遺症が残ります。

  • 麻痺
  • 失語症
  • 嚥下障害
  • 高次機能障害
  • 排尿障害

麻痺には運動麻痺、感覚麻痺があり、左右どちらかに起こることが多い後遺症です。
手足の先だけに麻痺が残る軽度のものから、全く動かなくなる重度のものまであります。

失語症でも「運動性失語症」と「感覚性失語症」があります。
運動性失語症は、思った通りに話せなくなるケースです。
感覚性失語症は、的外れなことを答えてしまうケースです。
どちらも周囲とのコミュニケーションが取りにくくなります。

嚥下障害は、運動・感覚麻痺によって口や舌がスムーズに動かなくなることで起こります。
食べ物や飲み物がうまく飲み込めず、誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。

高次機能障害は「失認」や「失行」といった症状があらわれます。
物を認識できなくなったり、物の使い方や衣服の着方がわからなくなったりします。

排尿障害は、排尿をコントロールする神経回路に障害が起こり後遺症となります。
頻尿や失禁を繰り返します。

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発症後にリハビリする目的と必要性

脳卒中の後遺症は、脳の損傷場所によって実に多種多様です。
初期治療に時間がかかると、長期にわたって寝たきりになります。
筋肉の萎縮、関節の拘縮といった廃用症候群が加わって、日常生活に支障が出ます。
また、痴ほう症になる可能性も高まります。

リハビリの目的は次のようなものがあります。

  • 脳の機能を回復する
  • 残された機能を維持・強化する
  • 環境を整える

脳の機能回復を最大限に目指します。
たとえ右手が使えなくても、左手を使えるように機能を強化します。
さらに、手すりを付けるなど生活環境を整えます。

リハビリは単に筋トレだけでなく、病後の生活全般の向上を目指すものです。
リハビリはできるだけ早く始めることが大切です。
焦らず、諦めず、コツコツと取り組むことで予後の生活の向上につながります。

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脳卒中の主なリハビリ内容・種類

脳卒中の主なリハビリには次のようなものがあります。

  • 作業療法
  • 理学療法
  • 心理療法
  • 言語聴覚療法

それぞれ詳しくみていきましょう。

作業療法

作業療法は、脳出血の発症から比較的早期に行われるリハビリです。
専門の作業療法士が麻痺した手や足を動かしたり、使ったりする練習をします。
また、自分で身の回りのことができるように支援します。

座位訓練

座った姿勢を維持するための訓練です。
座ったまま奥へ手を伸ばす動作、バランスを練習します。
作業療法士が患者の麻痺した側に座って、倒れないようにサポートします。

電気刺激療法

低周波治療器を装着して、電気的な刺激を与えるリハビリです。
この治療器を使うことで筋力をサポートしたり、繰り返すことで筋力を高めます。

日常生活動作訓練(ADL訓練)

日常生活動作訓練とは「日常生活を送るために最低限必要な動作」の訓練です。
たとえば、食事、トイレ、着替え、入浴、移動などのためのリハビリをします。

理学療法

理学療法は運動療法をはじめ、装具療法、物理療法などを使ってリハビリをします。
また、最近ではロボットを使用した歩行練習なども注目されています。

運動療法

運動療法とは「立つ」「座る」「歩く」といった基本的な姿勢や動作の向上を目指します。

車いす訓練

移動するときに車いすが必要な場合には、車いす訓練をします。

患者の体格に合わせて車いすの種類を選びます。
姿勢や動き方に合わせて理学療法士が調整し、身体的機能のリハビリをします。

装具療法

麻痺で動かしにくくなっている部分に装具を装着して、アシストするリハビリです。
患者さんに合った装具を選び、微調整などをしてリハビリをスムーズにします。

ロボットリハビリ

ロボットを使ったリハビリでは、主に歩行訓練をします。
患者さん一人ひとりの歩行能力に合わせて、ロボットがきめ細かく調整します。
より長く、より速く歩く能力を回復するサポートをします。

心理療法

運動や感覚が麻痺することで、体が思うように動かなくなるのが脳卒中です。
突然の発症によって後遺症が残り、不安ばかりが募ります。
気持ちが落ち込んだり、イライラしたり、リハビリへの意欲を失うこともあります。
心理療法ではカウンセリングなどで不安を取り除き、前向きなリハビリへと導きます。

カウンセリング

脳卒中の後遺症により、混乱した感情を整理するサポートをします。

カウンセリングでは感情を自由に表現し、思っていることを言葉にすることを促します。そして、今の自分と向き合うためのリハビリをします。

認知行動療法

現在ある障害への認知を促して、対処法を一緒に考えます。
課題をクリアしながら、生活のいろいろな場面で対処法を話し合うこともあります。
グループでのリハビリもあります。

言語聴覚療法

脳卒中で、コミュニケーションや食べる・飲み込むなどが不自由になることもあります。
言語聴覚士が中心となって、発症直後の急性期からリハビリをします。

摂食・嚥下訓練

舌やアゴなどの麻痺により、食べ物を上手く嚙んで飲み込めない。
よく食べ物を誤嚥して、むせてしまう。
このような場合には「ビデオ嚥下造影検査」「嚥下内視鏡検査」をします。
こうした検査結果を踏まえて、のど、口の運動訓練、飲み込みのリハビリをします。

口や舌の体操

口のまわりの筋肉をほぐし、動かすための体操をします。
また、食べることや発音するときに使う舌や唇を目的別にリハビリします。
具体的には「パ」「タ」「カ」「ラ」と発音して唇や舌を動かします。

構音訓練

唇、声帯、舌、軟口蓋といった発声器官に麻痺が起こると、うまくしゃべれなくなります。
口や舌の運動、呼吸や発声、正確な発音などのリハビリを行ないます。
さらに、コミュニケーション方法などの指導も行われています。

コミュニケーション訓練

患者さんと日常のコミュニケーションをとるのはご家族です。
そのため、患者さんのリハビリだけでなく、ご家族にもリハビリに参加してもらいます。
定期的に講座などを開き、効果的にコミュニケーションをとる場をもうけます。

発声訓練

母音、50音、ガ・ギ・グ・ゲ・コなどの濁音、パ・ピ・プ・ペ・ポなどの半濁音、キャ・キュ・キョなどの拗音をゆっくり、はっきり発音する訓練をします。

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脳卒中のリハビリの流れ

脳卒中のリハビリは、一般的に「急性期」「回復期」「維持期」に分けられます。
それぞれのリハビリの流れを見ていきましょう。

急性期:発症直後〜数週間

急性期は、発症直後の治療と並行して行われるリハビリです。
体の機能へのダメージを最小限に抑えるリハビリをします。

急性期では、寝たきりに伴う廃用症候群を防ぐためのリハビリをします。
ある程度の安静は必要ですが「座位」「立位」「歩行」など体を動かします。

症状に合わせ、早期にベッドから離れられれば、後遺症改善につながります。
急性期は、リスク管理のもとで慎重に行う必要があり、病棟でのリハビリとなります。

回復期:数週間〜数ヶ月

入院中の病院などでの集中的なリハビリの結果、機能回復が見られる時期です。
日常生活に必要な動作や機能が回復するまでの期間です。
回復期のリハビリは、病院から回復期リハビリ病院に転院して行われます。

病棟生活をしながら、実際の生活動作を通じて機能回復を図ります。
在宅復帰を目指すためのリハビリという位置づけです。

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの専門家とともに心身の回復を図ります。

維持期・生活期:数ヶ月〜6ヶ月以降

急性期、回復期を経て、自宅に戻ってのリハビリになります。
回復期に取り戻した機能を維持しながら、社会復帰と生活の自立を目指します。
維持期、生活期のリハビリは通院、あるいは自宅や施設で行われます。
施設としては「介護老人保健施設」「地域包括ケア病棟」などがあります。

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脳卒中患者のリハビリに関する基準

リハビリを開始するには、患者さんの容態を把握し、慎重に進める必要があります。

リハビリの開始基準

リハビリをいつ始めるかは、MRIやMRAでの検査結果によります。

検査結果には次の種類があります。

  • ラクナ梗塞
  • アテローム血栓性梗塞

ラクナ梗塞なら診断当日からベッドを離れてリハビリをします。
アテローム血栓性梗塞なら経過観察を経て、神経症状の悪化がないことを確認します。

リハビリの中止基準

リハビリ中に以下のような症状が見られた場合には、中止します。

  • 中等度の呼吸困難
  • めまい
  • 吐き気
  • 狭心痛
  • 脈拍が140を超えた
  • 収縮期血圧の数値が40mmHg以上、上がった
  • 拡張期血圧の数値が20mmHg以上、上がった

一時的に中止し、回復を待ってリハビリを再開することもあります。

薬の使い方

脳卒中のリハビリにかかる費用は?

脳卒中の後遺症を改善するためには、リハビリは必要不可欠です。
しかし、リハビリは長期にわたって行うものです。
気になるのはリハビリにかかる費用ではないでしょうか。

リハビリは、時間や介護度、施設によって異なってきます。
たとえば「通所リハビリ」で「1時間以上2時間未満」行う場合は 

  • 要介護1 366単位
  • 要介護2 395単位
  • 要介護3 426単位
  • 要介護4 455単位

通常の医療では1単位=10円ですから、要介護1の場合は3,660円です。
実際には介護保険によって1割、3割負担となります。
1割負担の場合には、360円となります。

リハビリの治療をサポートする人たち

脳卒中のリハビリ治療は、さまざまな専門家たちによるチーム医療です。
リハビリは、医師の機能評価、目標設定、疾病管理などリハビリ処方に基づいて行われます。

  • 理学療法士は、運動を中心とした治療・訓練をする、動作のリハビリの専門家です。
  • 作業療法士は、作業を通して「体」と「心」のリハビリをする専門家です。
  • 言語聴覚士は、会話や嚥下障害、コミュニケーション能力回復をする専門家です。
  • 医療ソーシャルワーカーは、患者さんやご家族が抱える悩みや問題に寄り添う専門家です。
  • 義肢装具士は、患者さんの生活の質を向上させる専門家です。

もちろん、病院でのさまざまなシーンで看護師の存在も欠かせません。
このように脳卒中のリハビリには、さまざまな専門家がサポートしてくれます。

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訪問リハビリテーションの利用もおすすめ

通所リハビリだけでなく、訪問リハビリという方法もあります。
理学療法士や作業療法士などの専門家が自宅に訪問してくれます。

以下のような方は、訪問リハビリを利用するとよいでしょう。

  • リハビリを継続したいけれど、何らかの理由で通院できない方
  • あるいは、自宅でのリハビリ方法や家族が行うときに指導してもらいたい方

訪問リハビリを利用している方は、脳卒中と骨折が最も多く、利用者は15万人以上です。
訪問リハビリを利用している人の要介護度を見てみると以下のようになっています。

  • 要介護1 16.6%
  • 要介護2 23.5%
  • 要介護3 16.6%
  • 要介護4 14.7%
  • 要介護5 12.4%

また、ほとんどの方が40分程度のリハビリをしています。
さらに、リハビリ期間は1年以内という方が70%以上となっています。
訪問リハビリの6ヶ月経過した成果をみると、約4割で日常生活動作が改善されています。

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脳卒中のリハビリとは

ここでは、脳卒中のリハビリについて紹介してきました。
その要点を以下にまとめます。

  • 脳卒中の後遺症には「麻痺」「失語症」「嚥下障害」などがある
  • 脳卒中のリハビリ内容は「作業療法」「理学療法」などがある
  • 脳卒中のリハビリ費用は、介護度や施設などによって違ってくる

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売
  • 障がい者雇用

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