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健達ねっと>健康お役立ち記事>高齢者の病気>喀血の対応で気を付けること7選|看護に必要な知識を徹底解説!

喀血の対応で気を付けること7選|看護に必要な知識を徹底解説!

咳き込んだ拍子に血を吐いてしまうことを喀血(かっけつ)といいます。
そのような場面に直面したら、誰でもパニックになってしまうのではないでしょうか。
ご自身が喀血したり喀血している方がいたりしてもパニックにならず、適切な対応をしましょう。

本記事では喀血の対応について以下の点を中心にご紹介します。

  • 喀血の危険性とは
  • 喀血と吐血の違いとは
  • 喀血で疑われる病気とは

喀血の対応について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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喀血とは

喀血とは、気管や肺などの気道から出血したときに見られる症状です。
喀血の量が少なければ、痰に血が混じった「血痰」といいます。
喀血は血液を咳とともに吐き出す状態です。

喀血は吐血と間違われることが多い症状です。
同じ口から出る血液ですが、喀血が気道から出るのに対し、吐血は消化器官から出ます。

また、鼻血がのどに回って吐き出すのもやはり喀血と間違われやすい症状です。
それぞれ対応を間違えると、命の危険もあるので注意しましょう。

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喀血の危険性

喀血は、真っ赤な血を吐くため、命の危険があるように思うことがあります。
しかし、喀血自体はそれほど緊急性はありません。
緊急性はないものの、喀血の危険性は他にさまざまなものがあります。

喀血の他に呼吸器症状を合併する場合が多い

喀血の原因は、呼吸器系疾患であることが多く、その中には重篤な病気も含まれます。
咳とともに鮮やかな血液が出るという症状がある場合には、要注意です。

喀血の他にも咳や熱、呼吸困難、大量の出血による貧血症状がある場合も注意が必要です。
このような状態を併発している場合には、救急受診が求められます。

血液で気道が閉塞して死に至ることもある

喀血は気管や気管支、肺から出血することが原因です。
大量の血液を吐くということは珍しく、出血性ショックは起こりにくいとされています。

それでも、血液や血液の塊が気管や気管支を塞ぐと窒息してしまいます。
また、重症の肺炎を起こすことも少なくありません。

喀血そのものよりも、むしろ喀血による窒息の方が恐ろしいといえます。
対応としては、口の中に溜まった血液は、すぐに吐き出させます。

水は絶対に飲ませないことです。
横向きに寝かせて救急車を待ちましょう。

喀血の原因になる病気

喀血には、さまざまな病気が関係しています。
喀血は、隠れた病気のサインかもしれないので、病状に合わせた対応が大切です。

肺がん

肺がんは肺に発生する悪性腫瘍です。
肺で発生したがんは「原発性肺がん」と呼びます。
他から肺に転移したがんを「転移性肺がん」と呼んで区別されています。

原発性肺がんの場合には、喀血の重要な原因となります

肺塞栓症

肺塞栓症は、何らかの原因で静脈を流れてきた血栓が詰まる病気です。
突然胸が痛くなり、呼吸困難、そして喀血を伴います。
肥満、長期にわたる寝たきり状態、外傷、悪性腫瘍などで起こりやすいといわれています。

また、飛行機に長時間同じ姿勢で乗っていると起こるエコノミー症候群も同じ病気です。
多くの場合、下肢の静脈にできた血栓が血管に流れ、肺動脈で詰まってしまい起こります。
時々機内を歩き回るなどの対応が必要となります。

肺化膿症

肺化膿症は、肺の細胞組織が壊され、膿がたまった状態です。
ほとんどの肺化膿症は、誤嚥や敗血症が原因となっています。
肺化膿症を発症すると、発熱や咳、痰といった呼吸器症状があらわれます。

肺化膿症は、原因となる細菌が肺に入り込んで炎症を起こす病気です。
食べ物を誤嚥するだけでなく、睡眠中でも唾を誤嚥して起こることもあります。

気管支拡張症

気管支拡張症は、何らかの原因で気管支が元に戻らず、拡張した状態が続くことです。
気管支が拡張したままになると、拡張部分にカビ、細菌が増殖しやすくなります。
何度も炎症を起こすことでもろく細い血管が増え、血痰や喀血を引き起こします。

特発性喀血症

特発性喀血症とは、原因がよくわからない喀血のことをいいます。
特発性性喀血症は、一般的に予後は良好で、半年以内に喀血が収まることがほとんどです。

感染症

感染症による喀血には、主に3種類あります。

結核

結核は、結核菌が原因となる感染症です。
結核菌は、結核患者の咳、くしゃみの飛沫に含まれて別の人の肺に侵入します。
このため、結核は伝染病として対応が必要な病気です。

結核菌が肺に侵入すると免疫システムが働きます。
結核菌を取り囲んで小さな「核」を形成することから結核という名前が付きました。

結核は昔の病気だと思っている方も多いようです。
しかし、今でも肺結核と診断される方が多くいます。

とくに高齢者では、若いときに結核に感染したけれど発症しなかったという方がいます。
高齢になって免疫が衰えたタイミングで発病し、喀血で判明することも多いのです。

肺真菌症

肺真菌症は、カビが原因となる感染症です。
真菌を直接吸入したり血液中に真菌が入り込こんだりした場合に、肺にたどり着いて発症します。

真菌症を発症する方の多くは、免疫力が低くなっています。
たとえば、ステロイド、免疫抑制剤、抗がん剤などを使用している方です。
症状は、肺炎などの呼吸器感染症と同じで発熱、血痰、喀血、呼吸困難があらわれます。

非結核性抗酸菌症

近年、世界的に増加しているのが非結核性抗酸菌症です。
結核菌以外の抗酸菌によって発症する病気で、ヒトからヒトへの感染はありません。
しかし世界的に結核が減少しているのに対して、増加しているのが特徴です。

非結核性抗酸菌症の症状は、体重の減少、微熱、血痰、喀血です。
結核よりも進行は非常に緩やかというのが特徴です。

ただし、菌を完全に排除することが難しく、何年も投薬と経過観察が必要となります。
無症状で過ごすことも多く、健康診断で発覚することも珍しくありません。

大動脈解離などの循環器疾患

喀血というと呼吸器系の病気を疑います。
しかし、動脈解離や心不全といった循環器系疾患でも喀血することがあります。

動脈解離は、動脈にかかるストレスと動脈壁の強さのバランスが崩れて起こります。
原因の多くは高血圧、動脈硬化などの生活習慣病です。

また、心臓がうまく血液を循環させることができずに、肺の血管に血液が溜まります。
肺の血管に血液が溜まると、肺の圧力が上がって喀血につながります。

播種性血管内凝固

播種性血管内凝固とは、体の中で血栓ができやすく、出血しやすくなる病気です。
播種性血管内凝固は、さまざまな病気が原因となっています。

血栓ができ、壊れることを繰り返すため、血栓の材料がなくなってしまいます。
太い血管から出血が起こっても、血を止める材料がなく止血できずに喀血します。

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喀血と吐血では対応が違う?

喀血とよく間違われるのが吐血です。
喀血と吐血の違いによって、対応も異なるので覚えておきましょう。

血液の色を確認する|喀血は鮮紅、吐血は黒褐色

喀血と吐血では、吐いた血の色が違うことが見分ける特徴となります。
喀血は、血液そのものの色で鮮紅ですが、吐血の場合は黒褐色です。

吐血の場合は、消化器官を経由するので、胃液によって血液中の鉄分が酸化されます。
ただし食道からの出血は胃液の影響を受けないため、喀血と同じように鮮紅となります。

血液に含まれる気泡を確認する

喀血の原因となる場所は、主にです。
肺には、空気が存在するため、喀血の中に空気が混じって気泡が含まれます。

一方で吐血の場合は、胃腸などの消化器官からの出血になります。
ほどんど空気が混じることがないため、吐血では気泡を確認することはありません。

吐血喀血
嘔吐ありなし
咳・痰なしあり
性状食べ物が混じった暗赤色鮮やかな赤色・泡立ち
腹部の状態ありなし
原因となる病気胃がん・胃潰瘍・食道がん・十二指腸潰瘍など肺がん・気管支炎・肺外傷など
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喀血の対応で気を付けるべきこと7選

喀血が起こったとき、対応を適切にしておかないと命の危険にもつながります。
喀血のときの適切な対応を確認しましょう。

ショック状態に陥っていないか確認する

初めて喀血を起こした場合、本人も介抱に当たる人も、パニック状態になります。
そのため、対応が遅くなることもあります。

呼吸状態が不安定な場合には、ショック状態になっている可能性があります。
また、出血量が多い場合などは、極度の貧血状態となります。

血圧が下がり、チアノーゼを起こすこともあるため対応は緊急を要します。
すぐに救急車を呼び、待っている間は声をかけるなど、意識の持続などの対応をします。

吐物で気道を塞いでいないか確かめる

喀血で最も心配なのが、血液や血の塊による窒息です。
喀血の量にもよりますが、必ず気道確保の対応をしましょう。

対応方法としては、吐いている最中は顔を下に向けさせ、背中を軽く叩きましょう。
これは、喀血の吐き出しを助けるための対応です。
さらに、自力で吐き出せないときの対応は、ガーゼを巻いた箸を使って除去します。

その後、喀血が少量になった場合の対応は、横向きに寝かせます。
まだ大量に喀血する場合の対応は、腹ばいにして気道を確保しましょう。

自己判断で放置せず医師に相談する

喀血は、吐血ほど大量ではないことが多いものです。
そのため、症状が治まるとホッとした気持ちとともに、放置してしまうこともあります。
しかし、その後の対応が適切でなかったために、病状を悪化させてしまうこともあります。

救急車などの対応は必要でないにしても、容態が安定した段階で必ず病院に行きましょう。
もしかすると、喀血が隠れた病気のサインになることもあります。

喀血と吐血を間違わない

喀血は、肺などの呼吸器官が原因で起こります。
一方で吐血は、胃や腸などの消化器官が原因で起こります。

同じように口から血を吐きますが、どこからの出血かを間違わないことが大切です。
なぜなら、止血の対応などに大きく影響するからです。

大量に吐血したような場合、素人では判断や対応するのが難しいでしょう。
その場合は、喀血や吐血した血液を医師に見せることです。

また、スマホなどで写真に撮って医師に見せると、喀血か吐血かの判断がスムーズになります。
一刻を争う場合、治療対応がスムーズに行われることは大変重要なことです。

出血量に応じて医療機関を受診する

喀血の場合、血痰など微量の出血の場合には、それほど焦って対応する必要はありません。
夜間などは、とくに救急車や夜間対応の病院に行く必要はなく、翌日病院で検査をします。
しかし、大量出血の場合には、このような悠長な対応はできません。

大量出血の場合には、極度の貧血状態があらわれます。
貧血状態によっては、チアノーゼを起こすこともあります。

さらに、血圧の低下や脈拍の低下など、非常に危険な状況です。
このようなときの対応は、すぐに救急車を呼んで医療機関を受診することです。

症状に合う方法で検査する

喀血の症状によって、さまざまな検査方法があります。
まずは、喀血の処置として止血剤の投与が行われます。

その後、診断のための検査を行います。
血液検査や胸部エックス線検査、胸部CT検査、気管支鏡検査などが主な検査です。

原因を特定して治療をする

喀血には、さまざまな病気や原因があります。
その原因に対応しない限り、再び喀血を起こす可能性が高くなります。

抗生剤の投与だけで改善できる病気もあります。
しかし肺の気管支動脈などが傷つくと、気管支動脈塞栓手術が必要になることもあります。
肺がんの場合には、手術以外にも、抗がん剤治療によって対応します。

薬の使い方

喀血の対応まとめ

ここでは、喀血の対応について紹介してきました。
その要点を以下にまとめます。

  • 喀血の危険性は、呼吸器症状の合併と気道の閉塞による窒息
  • 喀血と吐血の違いとは血液の色と気泡の有無など
  • 喀血で疑われる病気は、呼吸器系だけでなく循環器系疾患でも起こる

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
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  • 設立: 1999年11月24日
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