- 「定年間近でうつ病になり、働けなくなってしまった」
- 「老後の資金が不安なのに、休職することになり焦っている」
- 「認知症かと思ったら『老人性うつ』と診断された」
うつ病は若者だけの病気ではありません。
中高年世代は、役職定年、親の介護、自身の健康不安など、大きなストレスにさらされやすく、「中高年うつ」や「老人性うつ」の発症リスクが高い年代です。
治療には十分な休養が必要ですが、住宅ローンや老後資金への不安から無理をして働き続け、悪化させてしまうケースも少なくありません。
そんな時に生活を支えてくれるのが「障害年金」です。
「もう歳だから」「老齢年金が近いから」と諦めていませんか?条件を満たせば、中高年の方でも受給できる可能性があります。
この記事では、中高年のうつ病における障害年金の受給要件や申請方法、そして気になる「老齢年金との関係」について、わかりやすく解説します。
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中高年のうつ病と障害年金|受給の可能性は?

障害年金は、原則として65歳未満(初診日基準)であれば申請が可能です。
「老人性うつ」や「認知症との合併」も対象になるか
中高年のうつ病は、認知症と症状が似ていることがあり、診断が難しい場合があります。
- うつ病: 気分障害として障害年金の対象になります。
- 認知症: 器質性精神障害として、こちらも障害年金の対象になります。
重要なのは、「初診日」にどの年金制度(国民年金・厚生年金)に加入していたか、そして現在どのような生活上の困難があるかです。
定年退職後でも申請できる?
初診日が「在職中(厚生年金加入中)」であれば、退職後であっても障害厚生年金を申請できる可能性があります。
初診日が「定年退職後(国民年金加入中)」の場合は、障害基礎年金の対象となります。
ただし、原則として65歳の前日までに初診日があることが必要です(例外あり)。
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障害年金をもらうための3つの要件

受給するためには、以下の3つのハードルをクリアする必要があります。
① 初診日要件
「初めて医師の診察を受けた日」が特定できなければなりません。
中高年の場合、「数年前に不眠で内科にかかった」「更年期障害だと思って婦人科に通っていた」といったケースも、うつ病に関連する受診と認められれば、そこが初診日になる可能性があります。
古いカルテが残っていない場合でも、「受診状況等証明書」などで証明する方法があります。
② 保険料納付要件
初診日の前日において、以下のいずれかを満たしている必要があります。
- 初診日のある月の前々月までの公的年金加入期間の2/3以上が、保険料納付済または免除期間であること。
- 初診日のある月の前々月までの直近1年間に、保険料の未納がないこと(初診日が65歳未満の場合)。
長年会社員として勤めてきた中高年の方であれば、この要件はクリアしていることが多いでしょう。
③ 障害状態要件(1〜3級の目安)
障害認定日(初診日から1年6ヶ月後、または治った日)において、以下の状態にあることが目安です。
- 1級: 常時の援助が必要で、寝たきりに近い状態。
- 2級: 日常生活に著しい制限があり、労働が困難な状態。(家事や身の回りのことが一人では難しい)
- 3級: 労働に著しい制限がある状態。(フルタイム勤務が難しい、軽作業しかできない等)※厚生年金加入者のみ
うつ病は、100人に6人、16人に1人という割合でかかる病気です。1日中気分が落ち込む状態が1カ月以上続いていたら、うつ病かもしれません。本記事ではうつ病について以下の点を中心にご紹介します。 うつ病の典型的な症状とは う[…]
申請前に知っておきたいデメリットと注意点
中高年の方にとって最も重要なのが、他の年金制度との調整です。
「老齢年金」との併給調整について【重要】
65歳以降になると、老齢年金の受給権が発生します。
障害年金と老齢年金は、原則としてどちらか一方を選択することになります(一人一年金の原則)。
※ただし、障害基礎年金と老齢厚生年金の組み合わせなど、特例で併給できるパターンもあります。
どちらを選んだ方が受給額が多くなるか、年金事務所で試算してもらうことが重要です。
また、障害年金は非課税であるため、手取り額で比較すると有利になるケースが多いです。
扶養や傷病手当金との関係
- 傷病手当金: 在職中または退職直後で傷病手当金を受給している場合、障害年金とかぶる期間は調整(減額・停止)されます。
- 配偶者の扶養: 障害年金の額によっては、配偶者の扶養から外れる可能性があります。
いくらもらえる?受給額の目安
障害基礎年金(国民年金・厚生年金共通)
- 1級: 年額 993,750円 + 子の加算
- 2級: 年額 795,000円 + 子の加算 (令和5年度価格)
障害厚生年金(厚生年金加入者のみ)
- 1級: (報酬比例の年金額 × 1.25) + 配偶者の加給年金
- 2級: 報酬比例の年金額 + 配偶者の加給年金
- 3級: 報酬比例の年金額(最低保証額 596,300円)
※報酬比例の年金額は、現役時代の給与額と加入期間によって計算されます。
中高年の方は加入期間が長いため、比較的高い金額になる傾向があります。
申請の流れと成功のポイント
医師への診断書依頼のコツ
うつ病の診断書は、「日常生活能力の判定」が非常に重要です。
医師との診察時間が短いと、家での困りごと(食事が作れない、入浴がおっくう、金銭管理ができない等)が伝わっていないことがあります。
診断書を依頼する際は、ご家族などが作成した「日常生活状況のメモ」を渡すなどして、現状を正確に伝える工夫が必要です。
専門家(社労士)への相談
中高年の申請は、過去の病歴が複雑だったり、年金の調整が必要だったりと、難易度が高いケースがあります。
初診日の証明が難しい場合や、書類作成に自信がない場合は、障害年金専門の社会保険労務士に相談することをおすすめします。
成功報酬制の事務所も多く、リスクを抑えて依頼できます。
よくある質問(Q&A)
Q. 60歳を過ぎていますが申請できますか?
A. はい、初診日が65歳未満であれば申請可能です。
ただし、65歳を過ぎてからの初診日(老齢年金受給開始後)の場合は、原則として障害年金の新規請求はできません。
Q. 働いていても受給できますか?
A. うつ病(精神疾患)の場合、就労できていると「症状が軽い」と判断されやすく、審査が厳しくなる傾向はあります。
しかし、職場で特別な配慮を受けている場合や、休みがちな状態であれば、認められる可能性はあります。
Q. 認知症の親の代わりに申請できますか?
A. はい、ご家族や代理人による申請が可能です。委任状が必要です。
まとめ
中高年のうつ病による障害年金の申請は、老後の生活設計を守るための重要な権利です。
「もう働けないかもしれない」という不安を抱えながら無理をするより、制度を利用して安心して療養に専念することが、結果的にご自身とご家族の笑顔を守ることに繋がります。
まずは年金事務所や、お近くの障害年金相談センターへ相談してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
※本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の受給可否を保証するものではありません。詳細は専門家にご相談ください。







