腰痛は、多くの方が抱える身体のトラブルです。
腰痛は仕事や日常生活に支障をきたすこともあるため、早く治したいとお悩みの方も多いでしょう。
辛い腰痛の治し方とは一体どのようなものなのでしょうか。
腰痛を防ぐためにはどんなことに気をつけたらいいのでしょうか
本記事では、「腰痛の治し方」について以下の点を中心に紹介します。
- 腰痛の治し方
- 腰痛の予防方法
- 湿布を使った腰痛の治し方
腰痛の治し方について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぎっくり腰と腰痛の違いについても説明していますので、ぜひ最後までお読みください。
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腰痛となるそもそもの理由
腰痛に適切に対処するには、まず腰痛の原因を知ることが大切です。
腰痛の主な原因をご紹介します。
解剖学的な理由
身体的なトラブルは、腰痛の代表的な原因だといわれています。
具体的にトラブルとは次のようなものがあります。
- 悪い姿勢(猫背・反り腰)
- 背骨・骨盤のゆがみ
- 椎間板ヘルニア
- 筋筋膜性腰痛
- 脊柱管狭窄症
- 血行不良による筋肉の硬直
生理学的な理由
内臓の病気が腰痛を引き起こすこともあります。
代表例は次の通りです。
- 子宮内膜症
- 月経困難症
- 尿路結石
- 腎盂腎炎
- がん
- 胃・十二指腸潰瘍
心因性の理由
心の問題で、腰痛が起こることもあります。
代表的な原因は次の通りです。
- うつ病
- ストレス
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腰痛の治し方
腰痛の治し方を紹介します。
ぜひ参考にしてください。
薬物療法
「薬物療法」は腰痛の代表的な治療法です。
たとえば、痛みを抑える鎮痛薬の利用が代表的です。
腰痛によく用いられるのは、非ステロイド系抗炎症薬です。
非ステロイド系抗炎症薬の代表的な成分は次の通りです。
- ロキソプロフェン
- ジクロフェナク
- イブプロフェン
- インドメタシン
上記の成分を含んだ鎮痛薬は、市販でも購入可能です。
薬の形態は内服薬・湿布薬・塗り薬とさまざまです。
非ステロイド系抗炎症薬以外にも、腰痛に効く薬剤はあります。
代表的な薬剤は次の通りです。
- オピオイド
- アセトアミノフェン
- リリカ
- タリージェ
- 筋弛緩薬
神経ブロック療法
痛みが強い場合は、神経ブロック療法が選択されることもあります。
「神経ブロック療法」とは、局所麻酔で痛みを抑える方法です。
神経ブロック療法では、痛みを感じている神経に局所麻酔を施します。
すると一時的に神経が麻痺するため、痛みを感じにくくなります。
主な施術法は次の通りです。
星状神経節ブロック | 交感神経に局所麻酔をかけて、痛みを伝える神経回路を遮断する |
硬膜外ブロック | 脊髄の組織に局所麻酔をかけて、痛みを伝える神経回路を遮断する |
仙骨ブロック | 骨盤の組織に局所麻酔をかけて痛みを抑える |
トリガーポイント注射 | 痛みのある部位に局所麻酔をかけて痛みを抑える |
装具療法
「装具療法」は、治療用の装具を装着する治し方です。
代表的なのはコルセット・腰痛ベルトです。
装具療法の主な目的は次の2つです。
- 腰の動きを制限する
- 腰を強化する
いずれも腰の負担を減らすので、腰痛の軽減・回復が期待できます。
理学療法
「理学療法」とは、光・熱・電気などの物理的手段を使う治療法です。
理学療法も、腰痛の代表的な治し方です。
主な目的は、病気・ケガがある方の身体機能・運動機能の回復・維持です。
腰痛では次のような理学療法が用いられることが一般的です。
温熱療法 | 患部を温めて血行を促進する |
運動療法 | 運動によって腰回りの筋肉を強化する |
牽引療法 | 機器を利用して腰の筋肉・骨を引っ張り、正しい状態に戻す |
電気治療 | 腰の筋肉に微弱な電気を流して筋肉の硬直をほぐす |
手術療法
重度の腰痛には、外科手術が選択されることもあります。
たとえば脊柱管狭窄症・椎間板ヘルニアの方が該当します。
代表的な手術方法は次の通りです。
- 経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD法)
- 経皮的内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア摘出術(PELD)
- 経皮的内視鏡下腰椎椎間孔拡大術(PELF)
- ハイブリッドレーザー治療
上記はいずれも内視鏡手術です。
小型のカメラがついた細い管を体内に入れ、腰痛の原因を取り除きます。
内視鏡手術は傷口が小さいのが特徴です。
身体への負担が小さく、さらに傷跡が残りにくいというメリットもあります。
最近は再生手術も増えています。
再生手術とは、傷ついた椎間板を取り除き、かわりに培養した椎間板を移植する方法です。
なお、具体的な手術方法は、腰痛の状態・原因によって変わってきます。
現場で行われている治療方法は?
シオノギ製薬の調査結果を参照します。
病院では腰痛に対して次のような治し方が実践されています。
薬物療法:99.1%
理学療法:56.8%
ブロック療法:43.2%
装具療法:31.5%
もっとも一般的なのは薬物療法です。
ほぼすべての患者に対して、行われていることが分かります。
治療によって患者の生活状況が改善されたと考える医師は、全体の62.2%にのぼりました。
加えて、患者が治療に満足していると答えた医師は全体の半数を超えました。
ツボ押しなら即効で腰痛が治る?
「ツボ押し」も、腰痛の代表的な治し方です。
即効性が高いため、痛みが我慢できないときなどにおすすめです。
腰痛に効くツボには次があります。
命門(めいもん) | 背骨の上で、おへその真裏にあたる部位 |
腎喩(じんゆ) | 命門の左右に指2本分離れた部位 |
京骨(けいこつ) | 外くるぶしから指3本分離れた部位 |
腰腿点(ようたいてん) | 手の甲の人差し指・中指の付け根と中指・薬指の付け根の部位 |
委中(いちゅう) | 膝のうしろの中心の部位 |
ツボを押すと、全身の血行が促進されます。
すると腰回りの筋肉の緊張がほぐれやすくなるため、腰痛の緩和が期待できます。
ツボ押しに期待できるのは、あくまで腰痛の一時的な緩和です。
腰痛を完治させるには、根本原因を治療する必要があります。
腰痛を予防するには
腰痛の予防方法を紹介します。
ぜひ参考にしてください。
筋トレ
「筋トレ」は、腰痛予防に役立ちます。
特におすすめなのは、インナーマッスルの筋トレです。
インナーマッスルは、腰回りの深部にある筋肉で、姿勢を保持する役割があります。
インナーマッスルを鍛えると、腰にかかる負荷が分散されやすくなります。
そのため腰痛の予防・改善が期待できます。
インナーマッスルを鍛える筋トレのやり方をご紹介します。
【プランク】
- 1 うつ伏せになる
- 2 肘とつま先を床につける
- 3 2の状態で肘とかかとに力を込め、身体を浮かせる
- 4 肩から踵が一直線になる姿勢を10秒保つ
【ドローイン】
- 1 仰向けになる
- 2 膝を曲げる
- 3 お腹を膨らませるように大きく息を吸う
- 4 息を吐きながら限界までお腹をへこませる
- 5 4の状態のまま深呼吸を繰り返す
姿勢を矯正する
腰痛を予防するには、正しい姿勢を保つことが大切です。
姿勢が悪いと、身体を支えるために腰に余計な負荷がかかるためです。
代表的な悪い姿勢が、猫背・反り腰です。
特に猫背は、背骨のゆがみを招くため、ヘルニアなどのリスクが高まります。
背骨のゆがみなどを防ぐためにも、正しい姿勢を保つことを心がけましょう。
姿勢をチェックするには、次のような方法があります。
- 1 壁を背にして立つ
- 2 かかと・お尻・肩・後頭部・ふくらはぎを壁につける
- 3 腰の後ろに手の平を差し入れたとき、ぎりぎり入るくらいが正しい姿勢です
2で、どこか1カ所でも壁につかない場合は猫背の可能性があります。
3で手の平を入れたとき、腰と壁の間に大きな隙間がある方は反り腰が疑われます。
ストレッチ
ストレッチには、筋肉・関節の柔軟性を高める効果があります。
身体の柔軟性がアップすると腰への負担が少なくなるため、腰痛が起こりにくくなります。
ストレッチには全身の血行を促進する効果もあります。
腰回りの血行がよくなると筋肉の硬直がほぐれるため、痛みの緩和につながります。
おすすめなのは腸腰筋のストレッチです。
腸腰筋が硬直すると、身体を動かすときに腰に負担がかかりやすくなるためです。
腸腰筋のストレッチのやり方は次の通りです。
- 1 膝立ちになる
- 2 片足を大きく前に1歩出す
- 3 踏み出した方の膝に両手を添え、背、腰をまっすぐ安定させる
- 4 姿勢をまっすぐ保ったまま前に出した足に体重をかけていく
- 5 前に出した膝の角度は90度を保つ
- 6 股関節が伸びていることを感じたら、そのまま20秒キープ
- 7 踏み出した足を元の位置に戻す
- 8 反対の足も同様にする
痛みが強いときのストレッチは控えましょう。
無理やり筋肉を動かすと、かえって腰痛が悪化することがあります。
食生活の改善
腰痛予防には、食生活の見直しも重要です。
具体的には、骨・筋肉を強化するような栄養素を摂りましょう。
骨を丈夫にするのはカルシウム・マグネシウムなどです。
豊富な食品には乳製品・小魚・緑黄色などがあります。
筋肉を増やすには、たんぱく質を積極的に摂りましょう。
たとえば肉・魚・卵類・大豆製品がおすすめです。
なお、肥満している方はカロリーを制限した食事を心がけましょう。
肥満している方は、腰にかかる負荷(体重)も大きくなるためです。
寝ながらでもできるストレッチ方法
ストレッチは、腰痛の代表的な治し方の1つです。
ただし腰痛がひどいときなどは、立ってストレッチするのが辛いこともあります。
そこでここからは、寝ながらできるストレッチをご紹介します。
腰痛にお悩みの方は、無理のない範囲で取り組んでみてください。
仰向けで行うストレッチ
仰向けで行うストレッチのやり方は次の通りです。
【やり方1】
- 1 仰向けになる
- 2 両手を上にあげる
- 3 気持ちよいと感じる程度に全身を伸ばす
【やり方2】
- 1 仰向けになって両手を上げる
- 2 片膝を曲げて持ち上げる
- 3 2の曲げた足を、反対の足の方に倒し腰をひねる
- 4 両肩はしっかり床につける
- 5 反対側も同じように行う
【やり方3】
- 1 仰向けに寝る
- 2 両膝のうらに手を回して胸に引き寄せる
- 3 息を吐くのにあわせて、ゆっくり膝を胸に近づけていく
- 4 近づけるところまで近づいたら10秒キープ
うつ伏せで行うストレッチ
うつ伏せで行うストレッチのやり方は次の通りです。
【やり方1】
- 1 うつ伏せに寝る
- 2 太もも・お腹は床につけたまま、膝をお尻の方に曲げる
- 3 かかとでお尻を左右10回ずつ叩く
- 4 難しければ、手で足首をもってかかとをお尻につける
【やり方2】
- 1 うつ伏せに寝る
- 2 両膝を90度になるように立てる
- 3 膝を動かさずに、両足を外側に開く
- 4 無理のない範囲まで開いたら足を元に戻す
- 5 3~4を15回程度繰り返す
ぎっくり腰と腰痛の違い
「ぎっくり腰」と「腰痛」は、何が違うのでしょうか。
実は、ぎっくり腰の正式名称は「急性腰痛」といいます。
「ぎっくり腰」は、腰痛の1種です。
腰痛の中でも、急激に起こるものを「ぎっくり腰」と呼び分けているに過ぎません。
ぎっくり腰の主な原因は、腰に大きな負担がかかる動作をすることです。
たとえば腰をひねる・重いものを持ち上げるなどの動作が代表的です。
ぎっくり腰は、他の腰痛と違い回復が早いのが特徴です。
個人差はありますが、長くとも1ヶ月以内には症状が軽快することがほとんどです。
対して、長期にわたって続く腰痛は慢性腰痛と呼ばれます。
慢性腰痛は急性腰痛から発展することもあります。
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湿布を使う際の注意点
腰痛を治すために、湿布を使うという方も多いでしょう。
ところで湿布には、温冷の2種類があります。
「腰痛に効く」のは、温湿布と冷湿布のどちらでしょうか。
答えは、「症状にあわせて使い分ける」です。
具体的には、急性の腰痛には冷湿布が適しています。
たとえばぎっくり腰・筋肉痛が該当します。
対して慢性的な腰痛には温湿布がおすすめです。
腰を温めることで血行が促進され、痛みが緩和されやすくなるためです。
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腰痛の治し方まとめ
ここまで腰痛の治し方についてお伝えしてきました。
腰痛の治し方の要点を以下にまとめます。
- 腰痛の治し方は痛み止めの服用・理学療法など
- 腰痛の予防方法は筋トレ・姿勢の改善など
- 湿布を使った腰痛の治し方は、急性の痛みには冷湿布・慢性の痛みには温湿布を用いる
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。