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トップページ>健康お役立ち記事>パーキンソン病>パーキンソン病の初期症状の振戦はどう治療する?

パーキンソン病の初期症状の振戦はどう治療する?

パーキンソン病の初期症状で最もわかりやすいのが振戦です。

「手がふるえて字がうまく書けない」
「自分の意志に反して手がふるえて食事がうまくできない」

このような症状が頻繁に起こるようになったら、パーキンソン病を疑います。
パーキンソン病は難病ですが、早期発見・早期治療によって進行を抑えることができる病気です。

  • パーキンソン病の主な症状
  • パーキンソン病の振戦の特徴
  • パーキンソン病の医療最前線

ぜひ最後までご覧いただき、パーキンソン病の早期発見にお役立てください。

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パーキンソン病とは

パーキンソン病は難病ですが、決して珍しい病気ではありません。

日本のパーキンソン病患者は1000人に1人~1.5人。
60歳以上では100人に約1人だといわれています。

そんなパーキンソン病には、特徴的な4つの症状があります。
一つずつ紹介します。

安静時振戦

安静時振戦は、完全に力が抜けてリラックスした状態にあるにもかかわらず、手や足が勝手にふるえてしまう症状です。
具体的な症状は以下のようなものです。

  • 何もしていないときにふるえが起こる
  • 睡眠中はふるえが収まるが目が覚めると始まる
  • 1秒間に4~6回ほどふるえる

ふるえているときに、筋肉を動かすと振戦は収まってくるのが特徴です。
初期のパーキンソン病の場合、何かをしようとして筋肉を動かすと症状が消えることが多く、日常生活に支障をきたすということも少ないという特徴があります。
日常生活に支障をきたさないためにかえってパーキンソン病の発見を遅らせてしまうこともあります。

寡動・無動

寡動や無動は、動きが素早くできず緩慢になってしまう症状です。
具体的な症状は以下のようなものです。

  • 歩くときに足が前に出なくなり、すくんでしまう
  • 話す声が小さくなったり、抑揚がなくなる
  • 文字を書くときに、今までよりも小さくなる など

筋強剛(きんきょうごう)・筋固縮(きんこしゅく)

筋肉がこわばって、動きが鈍くなる症状です。
具体的な症状は以下のようなものです。

  • 指や膝、肩などの筋肉が固くなってスムーズに動かすことができない
  • 筋肉のこわばりによって、痛みを感じることもある
  • 顔の筋肉がこわばるため無表情になる

姿勢反射障害

どこかに筋肉のこわばりや萎縮が起こることで、姿勢を保持することも難しくなります。
転倒する要因も多くなるので、骨折などに注意しなくてはなりません。
具体的な症状は以下のようなものです。

  • 身体のバランスがとりにくくなるため転倒しやすくなる
  • 歩いているときに止まることができなくなり、方向転換もままならなくなる
  • 首が下がったり、身体が斜めになったりする
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振戦とは

ここまで、4つの症状について解説しましたが、ここからは振戦に焦点を当ててご紹介します。

振戦の種類

振戦にはいくつかの種類があります。
病気が原因ではない「生理的振戦」は誰でも経験するもので、身体が冷えたとき、緊張しているときなどに起こるふるえです。

病気が原因となる振戦では、いつ起こるかに応じて分類されています。
それが、安静時振戦と動作時振戦です。

安静時振戦とは

安静時振戦とは、主に筋肉が安静な状態に起きる振戦です。
寝ているときや、椅子に座っているときなど、くつろいでいるときに起こります。

 発症する理由は、大脳基底核と呼ばれる脳の神経細胞の侵害といわれています。
安静時のふるえは、多くの場合は粗くスローな動きです。

 症状が出ている筋肉を動かすことで、振戦は目立たなくなる傾向にあります。
ただし、筋肉を動かすことで、ふるえが起きる別症状もあるので注意が必要です。

また、手足のみに限定せず、「頭部・顎・舌」にも、ふるえが起きることもあるため注意しましょう。

動的時振戦とは

動的時振戦は、身体の一部を自分の意志で動かしたときに起こるふるえです。
重症度も、変化の幅が大きく多様な振動数が生じるが、常に13Hz未満の幅になります。

 動作的振戦は、下記表のような振戦の種類に分類されます。

動的時振戦の種類症状の特徴
運動時振戦目標に向かう運動の最後に出現する、振幅(小)
企図振戦目標に向かう随意的な運動中に生じる、3~10㎐で振動が生じる
姿勢時振戦固定した肢位で重力に抗して保持している際に5~8Hzの振動が生じる

それぞれの症状は、目標および、物体に向かって動作を行う際に生じる振戦です。
そのため、なんらかの動作中に、ふるえが起きないかチェックしておきましょう。

本能性振戦とパーキンソン病振戦の違いとは

本能性振戦は神経系の異常によって起こることはわかっていますが、原因は不明とされています。
家族内で遺伝することもあります。
パーキンソン病と違って、どの年齢層でも起こる可能性のある症状です。

本能性振戦とパーキンソン病振戦では、次のような違いがみられます。

ふるえ方

パーキンソン病の振戦は安静時に見られますが、本能性振戦は動きに連動して起こることが特徴になっています。

ふるえの速さ

パーキンソン病の振戦ではゆっくりと遅いふるえになりますが、本能性振戦では速く小刻みであることが特徴的です。

好発年齢

パーキンソン病では50~70歳、高年齢になるほど発症率が高くなります。
本能性振戦では10~80歳と発症率に幅が広いのが特徴です。

好発部位

パーキンソン病で振戦がよく起こる部位としては、手と足です。

本能性振戦では、手や頭、顎や声もふるえます。

本態性振戦の治療

本態性振戦の治療には、さまざまな治療法が存在しています。
日常的なふるえから、生活面で支障がでている場合は、薬物療法が必要です。

ただし、生活に支障がない場合は、問題はありません。
 また、手術療法という治療方法もあります。

薬物療法や、国際的に主ではないボツリヌス毒素療法でも、治らない場合は手術を検討する必要がでてくるでしょう。

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パーキンソン病の振戦と間違えやすい「ふるえ」

パーキンソン病のふるえ以外に、別の要因からのふるえが複数存在します。
下記表で、振戦と間違えやすい、9種類のふるえについて解説していきます。

健康的な方でも起きるふるえ・正常でも、生理的なふるえが生じることがある

・一見振戦がないようにみえていても、センサーの計測により感知される、ふるえは、該当しやすい

・生理振戦とも呼ばれる症状である

交感神経の緊張によるふるえ・生理的な要因以外でも、ふるえが生じるパターンで、恐怖、怒り、緊張をしたときのふるえです

・ストレスに反応すると、アドレナリンなど交感神経を刺激する伝達物質が原因でふるえを引き起こします

・激しい筋トレをしたときに、疲労している筋肉を動かそうとして力を入れている際に、ふるえることがある

病気によるふるえ・特定の病気ではなく、神経系の病気から生じることが多い

・神経系の病気以外でも、考えられる

小脳の異常・小脳の病気があるときに、動作に合わせてふるえが生じます

・ある姿勢のときに1秒間に23回のふるえが続こともあります

筋肉の異常・委縮している筋肉に起きやすく、個々の筋腺維への負担が原因

・委縮の多くは、筋肉を支配している神経障害のため、神経の死や機能障害により筋肉が委縮されやすくなる

シバリング(shivering)・シバリングとは、インフルエンザなどの感染症で、熱のときに寒さで、体がふるえたときに生じるもの

・ウィルス・病原菌を殺す必要があるため、体温を上昇させます。

その際に、交感神経が働きふるえが生じる

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)・手が小刻みに震える、暑くないのに発汗する、人前で話すと胸に動悸を感じるなどの症状がみられる

・交感神経の問題から、発症しているといわれている

アルコール中毒・慢性的なアルコール中毒によるふるえで、脳への影響から生じているといわれています

・アルコールをやめた際の禁断症状から、生じるふるえで、禁酒を開始してから4872時間後に落ち着きがなくなる

            戦慄(せんりつ)・恐怖感からの、ふるえで交感神経が原因とされている

 その他のふるえは、生活習慣を見直すことでも、ある程度のコントロールが可能です。

以下のような、行動習慣を意識してみるのもよいでしょう。

  • コーヒーを控えて刺激物を減らす
  • アルコールを減らす
  • リラックスタイムを作り、慢性的な緊張をほぐす

 ただし、生活習慣のみで改善できない症状もあるため、症状が出た場合は早めに医師の診察を受けましょう。

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パーキンソン病の治療法・対処法

パーキンソン病には、さまざまな治療法・対処法が存在しています。

  • 薬物療法
  • リハビリテーション療法
  • 手術療法

 ここからは、3種類のパーキンソン病の対策についてご紹介します。

薬物療法

L-ドパ・ドパミンアゴニストなどの薬を目的に合わせて服用します。
それ以外に投薬できる薬には、以下のようなものがあります。

  • MAO-B阻害薬
  • COMT(カテコール-O-メチル転移酵素)阻害薬
  • ドパミン遊離促進薬
  • 抗コリン薬
  • ノルアドレナリン補充薬
  • ドパミン賦活薬
  • アデノシン受容体拮抗薬

 など、さまざまな薬剤が存在しています。
また、パーキンソン病の治療薬以外を併用する際は、飲み合わせに注意が必要です。

リハビリテーション療法

パーキンソン病は、症状が進行するたびに、体の自由にも支障が出ます。
そして、運動をしていないと、身体機能がより劣化する可能性があります。

 リハビリテーション療法には、体の悪化を防ぐことが可能です。

パーキンソン病の患者さんにも、以下の効果が期待できます。

  • 生活の質を高める
  • 身体機能の維持
  • 運動障害を改善

 そのため、リハビリテーションを日課に取り入れることは大切なことです。

手術療法

現代の手術治療として、脳深部刺激療法のなかでも視床下核刺激術が主流です。
脳深部刺激療法を細かく分類したものは、以下のとおりです。

 

  • 視床下核刺激術
  • 淡蒼球刺激術
  • 視床刺激術

 また、定位的破壊術という手術も存在しています。

  • 視床破壊術
  • 淡蒼球破壊術

 

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パーキンソン病の新しい治療法とは?

今までのパーキンソン病の治療には、薬やリハビリテーションによるものがほとんどでした。
しかし、最近では外科手術などによる治療方法も確立されてきました。

その代表が「DBS」と「FUS」です。

薬による治療法の効果が低下してしまった場合など、選択肢として医師に相談してみてもいいのではないでしょうか。

 DBS(脳深部刺激療法)とは

パーキンソン病のふるえは、異常な神経信号が原因になっています。
そこで脳の視床にある神経回路に対して、電気信号を流すことで異常な神経信号を阻止してふるえ症状を改善するという治療方法です。

外科手術により頭蓋骨に小さな穴を開けて、そこから刺激電極を挿入します。
胸にはペースメーカーのような刺激発生装置を移植します。 

FUS(MRガイド下集束超音波)とは

FUSは、MRI(磁気共鳴画像装置)との併用により外科的な手術は行わず、超音波発生素子により患部を熱凝固する手術方法です。

超音波は頭蓋骨を貫通するため、外科手術をする必要がなく身体への負担が少なくて済みます。
さまざまな反応を確認しながら、最終的に治療箇所を特定して患部を凝固していきます。

DBSとFUSの違いとは

DBSは脳内の組織を温存して電気刺激を与えることで、誤った神経活動を調整して症状を改善することが目的となっています。

DBSでは薬による反応がよく、年齢的に若い方の方が効果があることがわかっています。
症状が進んで薬の効果が低くなる前や高齢になる前に手術を行うと効果が期待できます。

一方でFUSは、パーキンソン病の原因となっている部位を熱凝固することで治療をします。
DBSでは、症状に合わせて刺激の強度や範囲を調整していくことになりますが、FUDでは、効果が即時的にあらわれます。

DBSは頭蓋骨に穴を開ける手術となり、感染症などが危惧されます。
FUDは合併症などの不安はないものの、狙った部位がズレてしまう、広がってしまうといったことで、周辺の組織も破壊されて術後の後遺症の危険性もはらんでいます。

いずれにせよパーキンソン病の手術をする場合には、主治医と話し合って、メリット・デメリット、症状や身体の状態を見極めたうえで選択しましょう。

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薬の使い方

パーキンソン病で見られる振戦のまとめ

まとめ

ここでは、パーキンソン病で見られる振戦について解説してきました。
要点を以下にまとめます。

  • パーキンソン病の主な症状は「安静時振戦」「寡動・無動」「筋強剛・筋固縮」「姿勢反射障害」
  • パーキンソン病の振戦の特徴は安静時に起こり、ゆっくりと遅いこと
  • パーキンソン病の医療最前線は「DBS」や「FUD」などの外科的治療

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
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