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トップページ>健康お役立ち記事>高次脳機能障害>高次脳機能障害とは?症状や原因、治療、支援制度を分かりやすく解説!

高次脳機能障害とは?症状や原因、治療、支援制度を分かりやすく解説!

高次脳機能障害は、外見上分かりにくく、本人にも自覚症状が無いことが多いです。

今回は、そんな高次脳機能障害の症状や原因を以下のポイントに沿ってご説明します。

  • 高次脳機能障害になった場合に失われる機能はどのようなものか。
  • 高次脳機能障害の主な原因は予防できるものか。
  • 高次脳機能障害の診断はどういう流れで行われるか。
  • 高次脳機能障害の治療法と回復に向かう方法はどういったものか。

ぜひ、最後までお読みください。

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高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは何かについて悩む男女

高次脳機能とは、人間の脳の「記憶」、「思考」、「判断」をする高度な機能のことです。
これらの機能を失ってしまうことを「高次脳機能障害」といいます。
そして、注意力や記憶力、感情のコントロールに問題が生じて生活に支障が出ます。

主な原因は、脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)です。
次いで、交通事故による頭部外傷や脳腫瘍、脳炎、低酸素脳症が挙げられます。
患者が高齢になるにつれて、脳卒中によるものが多くなります。

主な症状は、失語症や記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害です。
以下は、高次脳機能障害ではありません。

  • うつ病
  • 脳性麻痺
  • 発達障害
  • 統合失調症
  • 進行性疾患

高次脳機能障害の症状の多くは、外見には現れにくいものです。
そのため、本人は症状に対して自覚がない場合が多く、家族や周囲の人が気付くまでに時間がかかります。

しかし、高次脳機能障害と診断された場合は、早期に計画的な治療を行うことで回復へ近づくことができます。
また、高次脳機能障害の症状に合わせて障害者手帳や障害福祉サービスを支給申請することができます。
お住まいの市区町村の窓口に相談することをお勧めします。

また、高次脳機能障害と間違えられやすい状態として、「せん妄」や「認知症」が挙げられます。

  • せん妄」:注意力が散漫になったり、幻覚を見たり、落ち着きが無くなる状態
    高齢者に多く発症し、症状が時間とともに変動することが多く、回復が可能
  • 認知症」:全般的に脳の能力が低下し日常生活に支障をきたす状態
    記憶障害以外に時間や空間に対する認識が失われる見当識障害などが発生

ここでは、簡潔に高次機能障害について説明をいたしました。
以下では、それぞれについてより詳細に説明いたします。

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高次脳機能障害の症状と対処法とは

高次脳機能障害の症状とは何かについて悩む高齢者

高次脳機能障害には以下のような症状があります。

  • 注意障害
  • 記憶障害
  • 遂行機能障害
  • 社会的行動障害
  • 失語症
  • 失認症
  • 失行症
  • 地誌的障害

具体的な症状と対処法を以下で説明いたします。

注意障害

注意障害の症状は、以下の様なものが挙げられます。

  • いろいろな刺激に対して気が散りやすい状態になる
  • 一つのことに集中できなくなる
  • 作業中にぼんやりして眠ってしまったり、意識を持続的に保てなくなる
  • 声かけに対して反応が遅かったり速かったりする様になる

同時に二つ以上の作業を進めることが難しくなるので、電話をしながらメモをとることが難しくなります。
しかし、一つの作業であれば周囲の会話が聞こえる中でも集中できる人もいます。

本人の対処の仕方としてはできる限り静かな環境を作り作業は一つづつ行うようにします。
また、休息を十分に取るようにします。

介護者は本人と視線を合わせて言葉とジェスチャーを用いて会話し、指示は一つづつ行うようにします。
また、作業するときは危険のない環境や場所に配慮しましょう。

記憶障害

記憶障害の症状は、以下の様な点が挙げられます。

  • 新しい出来事が覚えられず、覚えたものをすぐ忘れてしまう
  • 覚えていたことを思い出せない様になる
  • 新しいことを覚える段階で上手く覚えられない

記憶障害を発症する以前の記憶があるが、発症以降の記憶は思い出せない場合があります。
そして、記憶が定着しないため覚えたとしても忘れてしまう事があります。
例えば、ついさっき友人に会ったことを忘れて「まだ友人は来ないのか」と聞いてしまう事が挙げられます。

また、長期的に記憶し続けているはずの情報を思い出せない事もあります。
例えば、通い慣れたスーパーの場所や自宅への道順が分からなくなる事が挙げられます。
患者それぞれによって記憶しやすい事柄が異なるので症状は様々です。

本人の対処の仕方はメモや手帳、カレンダーなどを活用し覚えたいことは繰り返します。
介護者の対処の仕方は、情報は短く簡潔に本人が覚えやすい方法を用いることです。

遂行機能障害

遂行機能障害とは、物事を順序立てて実行することができなくなる状態です。
スムーズに物事を遂行できないため、日常生活で起きる問題を解決することが難しくなります。
遂行機能障害を発症すると、次のような症状が起きます。

  • 何から始めていいかわからない
  • 衝動的な行動になり、要領が悪くなる
  • 無関心になり、受け身になる
  • 自己評価ができず、行動の改善ができなくなる

本人の対処の仕方は余裕のある計画を立案し手順書なども活用して行動するようにします。
また、作業は順番に一つづつこなして行くようにします。
介護者の指示は具体的(いつ・どこで・誰が・何を・どのように)に、作業はパターン化します。

社会的行動障害

社会的行動障害の症状は、以下の様なものが挙げられます。

  • 人や趣味に興味がなくなり、自発的に行動しない
  • 子供っぽい行動を取るようになり、人をすぐに頼るようになる
  • 感情のコントロールができず、怒ってしまう
  • こだわりが強くなり、状況や時間に合わせて行動することができなくなる
  • 人の気持ちを察したり、言葉の裏にある気持ちを汲み取れなくなる

比較的症状がはっきりと出ますが、外見から判断しにくいため周囲の人から誤解を招きます。
本人の自覚がない場合が多く、通常の社会生活を送ることが困難になりやすいものです。

本人の対処の仕方はイライラの原因を作らない工夫やリラックスできる方法を見つけることです。
介護者は症状を理解し不適切な行動を指摘しても叱ったりはしないようにします。

本人の行動が客観的にどう思われるかを伝えるようにしましょう。
興奮して感情のコントロールがうまくできない場合は場所や話題を変えるようにします。
また、本人のできることを積極的に取り入れて成功体験を増やすようにします。

失語症

失語症は「話す、聞いて理解する、読んで理解する、書く、計算する」など、言語の能力全般に症状が現れます。
うまく話せなかったり、思った言葉が出なかったり、字の読み書きができないといった症状が出ます。

また、話の内容を理解できない場合があります。
そのため、今起きている状況を伝えることができず、周囲の人とコミュニケーションをとることに苦労します。

本人の対処の仕方は以下のようなことを意識するようにします意識するようにします。

  • できるだけ会話をする
  • 挨拶をする
  • 字を書く
  • 日記を書く

介護者の対処法は会話はゆっくり簡潔に、身振りや手振りも交え、具体的に話すようにします。
絵やメモなども活用して行うようにします。

失認症

失認症は視覚や触覚に問題がないにもかかわらず、物や人の顔の認識ができなくなることを指します。
また、音は聞こえているが何の音か認識できなくなります。
症状としては、以下の様な点が挙げられます。

  • 知っている人の顔がわからない
  • 馴染みのある音を聞いても何かわからない
  • 見ただけではその物が認識できない

本人の対処の仕方は、見ても理解できない場合は触れたり音を聞いてみるようにします。
介護者は筆談や手振り、ジェスチャーなどの工夫をしてコミュニケーションを取るようにします。

失行症

失行症とは、意図した操作や指示された一連の動作ができなくなることを指します。
例えば、靴ひもを結ぶ、ボタンをとめる、メモをとるなどといった作業が難しくなります。

人によっては特定の動作だけが行えなくなるということも起きます。
また、立体や六角形などの複雑な図形が認識できなかったり、服の着方が分からなくなることもあります。

本人の対処法としては、できない動作は繰り返しの練習をしましょう。
介護者はできない動作を把握し、動作の簡素化を図るようにします。
介護者は本人ができない動作だけを手助けするようにします。

地誌的障害

半側空間無視、意識障害、認知症の症状がないのに、使い慣れた道で迷ってしまう・場所が分からなくなってしまうなどの障害を指します。
地誌的障害はどのような失認によるものかで、分類することができます。

  • 視覚失認によるもの:建物や風景を認識できなくなる(街並失認)
  • 視空間失認によるもの:自分の位置関係、空間の把握が困難になる(道順障害)

混同してしまいそうですが、「道順を忘れてしまい、道に迷う」のような認知症症状とは違うということを理解しておきましょう。

本人は自分自身で行動できる範囲を自覚するようにします。
介護者は、連絡先や携帯電話を身に着けるなど道に迷ったときの対処を本人と話し合っておくようにします。
また家の中では、主なところに手がかりになる目印を設置しておくようにします。

様々な高次脳機能障害の特徴

高次脳機能障害は様々な障害が絡み合って現れることが多く、「1つの症候だけ見られる」というケースはあまり見られません。
ほかにも、高次脳機能障害にはいくつか特徴があります。

見ただけで判断は出来ない

高次脳機能障害は認識・思考などの障害であるため、外見から判断することは難しいです。
普通に生活しているように見えても、実は失語や失認の症状に悩んでいる方がたくさんいます。

後天性の病気である

高次脳機能障害は先天性のものではなく、脳卒中などの疾患・交通事故などの脳損傷によって引き起こされます。

病気が進行することはない

高次脳機能障害は進行性ではないため、リハビリテーションによる改善が見込めます。
脳卒中による意識障害が初期にみられた場合は、徐々に高次脳機能障害が明らかになることもあるため、経過観察が重要となります。

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高次脳機能障害の支援制度

高次脳機能障害は予防できるか解説する介護士と高齢者

高次脳機能障害と診断された場合に役立つ支援制度を以下で説明いたします。

医療費関連の制度

生活費等関連の制度

介護関連の制度

高額療養費制度

障害年金

障害者総合支援法

自立支援医療

疾病手当金

障がい者手帳

医療費助成制度

自賠責保険

介護保険

 

生活保護

 

【医療費関連】高額療養費制度

医療費による負担が重くなることを防ぐため、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1ヶ月で上限額(自己負担額)を超えた場合、超えた額を支給する制度です。

高額療養費制度の上限額は、年齢や所得によって定められています。
世代間の公平性を保っており、高齢者や若者の負担能力に応じた負担が必要になります。

【医療費関連】自立支援医療

心身の障害を除去や軽減するために行った医療において、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。

対象者は、精神通院医療や更生医療、育成医療を受けている方になります。
対象となる主な障害は、精神疾患や肢体不自由、視覚障害、内部障害などです。
高次脳機能障害での申請には、主治医の意見書が必要です。

【医療費関連】医療費助成制度

重度の心身障害がある方の健康維持や経済的な負担を軽減することを目的とした制度です。
65歳未満で身体障害者手帳1級または2級(内部障害は3級も含む)または愛の手帳1・2度を取得されている方に対して、医療保険の自己負担分を助成する制度です。
医療費助成制度の窓口は、各市区町村の担当窓口になります。

【生活費等関連】障害年金

障害認定日に法令の定める障害状態にある場合や、65歳になるまでに障害状態になった場合に受給できます。

障害基礎年金は、年金加入者が受給対象で、障害程度によって支給されます。
障害厚生年金は、厚生年金加入者が受給対象で、障害程度で年金または一時金が支給されます。

保険料未納期間があると、受給できない可能性もありますので注意が必要です。

【生活費等関連】傷病手当金

病気や怪我により会社に行けず給料がもらえない時に、生活費を保障してくれるのが傷病手当金です。
仕事を休んだ日の4日目以降に、加入している健康保険組合などより最長1年6ヶ月まで、1日につき標準報酬日額の3分の2が手当となります。

国民健康保険に加入している人は、対象外となりますので注意が必要です。

【生活費等関連】自賠責保険

自損事故以外の事故により脳損傷や後遺症が残った場合、賠償金を受け取ることができる制度です。
後遺症の程度によって等級が決まり、75万円から4000万円が受けられます。

後遺症として高次脳機能障害が認められるには、「脳損傷がある」「認知・行動障害、人格変容がみられる」ことなどが要件としてあります。

【生活費等関連】生活保護

突然の病や、怪我により働けなくなり、生活費や医療費に困ったときの制度として生活保護制度があります。
生活が困窮している方に対して、最低限の生活費用を保障する制度です。

福祉事務所に申請することで、生活保護は開始されます。
他の社会保障や不動産などの資産、扶養義務者による扶養、働ける力を使うことが生活保護受給開始の前提となっています。

【介護関連】障害者総合支援法

医師の診断書があれば、高次脳機能障害の人でも障がい者総合支援法によるサービスを活用できます。
対象となる障害は、身体障害者や知的障害者、精神障害者、法令で定められている難病等により障害がある方で18歳以上となっています。

障害者総合支援法には、「自立支援給付」と「地域生活支援事業」があります。
自立支援給付は、介護給付、訓練等給付、相談支援、自立医療支援、補装具などのサービスがあります。

介護給付は、一人で生活が困難な方に、施設入所や在宅介護、施設通院など生活をサポートするサービスです。
訓練等給付は、自立した日常生活が送れるように、身体機能や生活能力の向上を目指した必要な訓練を受けるサービスです。
相談支援は、障害を持つ方の状況や悩みの相談を受け、より豊かに生活するために必要な福祉サービスなどを一緒に考えるサービスです。
自立支援医療は、精神科の病院や診療所の通院で行われる治療の自己負担額を軽減するサービスです。
補装具は、障害を持つ方が必要な移動や動作等が行えるように、身体の欠損や損なわれた機能を補完する用具を支給するサービスです。

地域生活支援事業は、移動支援や地域包括支援センターなどのサービスがあります。

移動支援は、障害によって屋外での移動が困難な方の外出を支援するサービスです。
地域包括支援センターは、障害を持つ方が創作的活動や生産活動の提供、社会交流の促進を図るサービスです。

出典:国立障害者リハビリテーションセンター【高次脳機能障害支援に関する制度
出典:全国社会福祉協議会【障害福祉サービスの利用について
出典:厚生労働省【地域生活支援事業

 

【介護関連】障がい者手帳

障害者手帳は、身体障害者手帳や療育手帳、精神障害者保険福祉手帳の3つをまとめた呼び方です。
高次脳機能障害による失語症や、脳卒中の運動麻痺が後遺症にある人が申請できます。
申請には医師の診断書が必要となります。

受けられるサービスは、公共料金等の割引や税金の控除・減免などがあります。
公共料金等の割引は、NHK受信料の減免や鉄道・バス・タクシーの運賃、上下水道料金、携帯電話料金の割引などのサービスを行っています。

税金の控除・減免では、所得税・住民税の控除や相続税の控除、自動車税・自動車取得税の軽減などのサービスを行っています。

なお、サービスの対象者や内容は、自治体によって異なることがあります。
お住まいの市町村の福祉担当窓口にお問い合わせください。

出典:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス

【介護関連】介護保険

介護保険は、65歳以上の方で市区町村が実施する要介護認定により、介護が必要と判断された際にサービスを受けることができます。
また、40歳から64歳までの方は、介護保険対象となる特定疾病で介護が必要と判断された場合にサービスを受けることが可能です。

介護予防・日常生活支援事業や訪問看護・介護事業、通所リハビリ、介護施設入所など、様々なサービスが受けられます。

出典:厚生労働省「介護保険とは

健達ねっとECサイト

高次脳機能障害の原因には何がある?

高次脳機能障害の原因は何があるかについて悩む男女

高次脳機能障害の原因の約八割は脳卒中、約一割が脳外傷です。
ここではそれぞれの原因について解説します。

脳外傷

交通事故や転倒、転落などにより外部からの衝撃によって脳に損傷を負うことをいいます。
頭部への打撲など直接的に力が加わり、脳がダメージを受けます。
この場合、脳挫傷(のうざしょう)や低酸素などにより広範囲にわたって脳が損傷することが多いです。

脳卒中

高次脳機能障害を引き起こす最も多い原因が脳卒中です。
脳卒中には、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の3種類があります。
脳の血管が詰まる「脳梗塞」、脳の血管が破れる「脳出血」、血管にできた動脈瘤(どうみゃくりゅう)が破裂する「くも膜下出血」です。

その他

低酸素脳症や脳性麻痺、脳炎、脳症、アルコールや薬物の中毒が原因で、高次脳機能障害を引き起こすことがあります。

薬の使い方

高次脳機能障害の治療

高次脳機能障害の治療をする医者と看護師

高次脳機能障害では、手術をする、薬を飲むというような定まった治療方法がないとされています。
そのため、本人の症状に合わせたリハビリを行うことが主な治療法です。

高次脳機能障害のリハビリ

事故や脳卒中で受診した患者は、命の危険がある状態や重い怪我をしている状態である場合がほとんどです。
まず命が危険な状態を脱することが優先され、その後に行われるのが回復期リハビリテーションです。

この時期が回復力の高い時期であり、早い段階でリハビリを行うことが重要です。
リハビリを始めるにあたって、本人がどのような障害を抱えているかを医師らが正確に把握する必要があります。

その上で日常生活や社会生活に支障がある障害を中心にリハビリを行ないます。
リハビリの方法としては、

  • 障害のある能力自体を訓練する
  • 機能が残されている脳をうまく働かせ、代わりとなる能力を養う
  • 生活環境を工夫したり、周囲の人との関わり方を工夫する

などがあります。
リハビリを行うにあたって、本人の症状や発症前の生活、職業を把握してゴールを設定します。

そして医師や看護師だけでなく、言語聴覚士、作業療法士など多くの専門家が協力して指導を行います。
合わせてご家族や職場などで本人と関わる周囲の方々の協力は欠かせません。

また、リハビリと同時に本人とご家族の今後の生活について社会的な支援を検討します。
医療ソーシャルワーカーが、障害者手帳支給手続きの援助や福祉施設や介護サービスの情報を提供します。

高次脳機能障害の認知行動療法

認知行動療法はさまざまな精神疾患の治療に活用されている心理療法です。
高次脳機能障害により、衝動的な行動をしてしまったり、怒りなどの感情コントロールができなくなったりします。

認知行動療法の例としては、自分がうまくいかないと悩んでいることを書き出します。
悩みに対する自分の感情や行動、体調の変化を書くことで、本人が自分自身を客観的に見ることができます。

そうすることで思考や行動のクセを把握し、自分の考えや行動パターンを工夫することで日常生活や社会生活に適応できるようにします。

高次脳機能障害かも?と感じたら

高次脳機能障害は自覚症状がなく、本人だけでは気づけないことが多くあります。
普段から接している周囲の人、家族の気づきが大切です。

もし、高次脳機能障害と思われる症状に直面した場合、どの医療機関を受診すれば良いでしょうか?

脳神経外科

脳神経外科では、MRIなどの画像検査で脳の病変を見つけ、適切な診断を受けることができます。
医師が必要と判断した場合、リハビリテーション処方が出され、訓練・指導を受けられます。

高次脳機能障害科・高次脳機能障害専門外来

リハビリテーションセンターや総合病院では、高次脳機能障害を専門に診療しているところもあります。
医師や看護師だけでなく、作業療法士などリハビリの専門家も所属しているため、充実したリハビリを受けることが可能です。

評価入院を実施しているところもありますが、「発症から1年以上経過している方」と対象が決められているので、確認が必要です。

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高次脳機能障害の検査

高次脳機能障害では事故や病気により受診した際に、MRI、CT、脳波検査などを行って障害の原因と考えられる脳の病変があるかを確認します。

診察時には、本人が障害を自覚していないことが多くあります。
そのため、付き添いの方やご家族、看護師などが注意を払い患者の障害を把握することが必要です。

あらかじめ、事故や病気以前の患者の情報を家族などから聴いておきます。
時間が経つにつれ、症状に変化がみられることがあるため何度も診察を行うことで正確な診断ができるよう工夫します。

高次脳機能障害は、目に見えない障害が多いため正しい評価を行うことが大切です。
症状の一つ一つに対して検査をし、診断書と合わせて総合的に診断します。

なお、厚生労働省の診断基準ガイドラインによると高次脳機能障害には診断基準があります。
現在、日常生活や社会生活に認知障害による制約がなければ高次脳障害とは診断されません。
また、先天性や周産期の様な受傷または発症以前から有する症状は除外されます。

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高次脳機能障害と間違えられやすい病気?

高次脳機能障害は評価・診断が容易ではなく、ほかの病気と間違えられやすいです。
特にせん妄、認知症との鑑別は重要です。

せん妄

せん妄は、意識障害、自分の場所や時間が分からなくなる、注意散漫になるなどの症状を引き起こします。
高次脳機能障害ととても似た症状ですが、せん妄は日内変動し、時間経過で回復することがあります。

高次脳機能障害は時間によって症状の悪化・改善が見られませんので、そうした点からも判別することが可能です。

認知症

認知症は、記憶障害・見当識障害を起こし、日常生活に支障をきたしてしまう病気です。
判別のポイントは、「進行性の症状か」「症状出現時期が明確か」の2つが挙げられます。

認知症は進行性の病気であるのに対し、高次脳機能障害は進行性の障害ではありません。
そして、認知症は発症時期が不明確であることが多いです。

高次脳機能障害の原因は脳卒中・脳損傷であるため、発症時期が明確であり、認知症と判別することができます。

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高次脳機能障害のまとめ

高次脳機能障害をまとめる高齢者

ここまで高次脳機能障害の診断の方法、様々な症状やリハビリなどの治療法を中心にお伝えしてきました。
以下に高次脳機能障害に関する本記事の概要をまとめました。

  • 高次脳機能障害になった場合には、「記憶」、「思考」、「判断」をする高度な機能を失う。
  • 高次脳機能障害の主な原因は、脳卒中なので正しい生活習慣を送ることが予防に繋がる。
  • 高次脳機能障害の診断は、画像検査と問診によって厚生労働省の診断基準ガイドラインに沿って総合的に行われる。
  • 高次脳機能障害の治療法は、手術や薬など確立したものは現時点では無く、できるだけ早い段階でリハビリを行うことが、回復へ近づける方法。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売
  • 障がい者雇用

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