「高齢出産だと子どもが発達障害になるって本当?」
「高齢出産で発達障害を持つ子どもが生まれて後悔している」
高齢出産で悩む人の中には、このように考えている人もいるのではないでしょうか。
一般的に、35歳以上の出産は高齢出産といわれ、子どもが発達障害を持つリスクが高まります。
本記事では、高齢出産と発達障害について以下の点を中心に解説します。
- 発達障害の種類や障害を持つ子どもへの接し方
- 高齢出産で後悔しないためのポイント
- 妊娠中に子どもに異常を発見したときの選択肢
発達障害を持つ子どもとの付き合い方にご興味のある方はご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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高齢出産で子どもが発達障害になる確率
まずはじめに、高齢出産で子どもが発達障害になる確率をご紹介します。
発達障害の一種である自閉症スペクトラム障害(ASD)は、父母の年齢が上がるにつれ、発症のリスクが高まります。
- 母親の出産年齢が5年遅れるごとに発症のリスクが18%増加
- 父親の年齢が10年上がるごとに発症のリスクが2倍以上
また、知的障害や発達障害を引き起こすダウン症候群の発症も、母親の出産年齢が関係しています。
母親が20歳のときの出産では1/1667、40歳のときの出産では1/106の確率での発症となり、高齢での出産には高いリスクが伴うことがわかります。
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発達障害の種類と症状について
ここでは、発達障害の種類と症状について、以下の5つに分けてご紹介します。
- 自閉症スペクトラム障害(ASD)
- 注意欠如・多動性障害(ADHD)
- 学習障害(LD)
- チック症
- 吃音
自閉症スペクトラム障害(ASD)
発達障害の種類と症状の1つ目は「自閉症スペクトラム障害(ASD)」です。
自閉症スペクトラム障害(ASD)では、症状として子どもに以下の特性があらわれます。
- 上手くコミュニケーションが取れない
- 特定の物事に強いこだわりがある
- 五感が敏感または鈍感
症状は幼少期から見られることが多く、早ければ1~2歳に行われる検診で特性に気づきます。
生まれつきの障害のため、完治は難しいですが、早期発見できれば子どもに必要な支援や療養を受けさせることが可能です。
注意欠如・多動性障害(ADHD)
2つ目は「注意欠如・多動性障害(ADHD)」です。
注意欠如・多動性障害(ADHD)の特徴的な症状には、次の3つがあります。
- 忘れ物が多いなど不注意さが目立つ
- 好きなこと以外は関心や集中力がない
- よく考えずに衝動的な行動をとる
これらの症状は2歳頃から見られることが多いですが、個人差があり、年齢が上がるにつれ特性が強く出ることもあります。
治療方法は、心理社会的治療と薬物治療があり、軽度や重度などの個人差によって適切な治療方法を選択します。
学習障害(LD)
3つ目は「学習障害(LD)」です。
学習障害(LD)は知的な遅れではなく、以下のような特定の分野だけに極端な苦手意識を持つ障害です。
- 文字の読みができない
- 漢字や文字などの書き写しができない
- 計算や推論ができない
文字を読んだり、書いたりすることのない幼少期は障害の有無が気づかれにくく、就学して勉強を始めてから気づかれることが多いです。
また、学習障害(LD)に関しても、有効な薬物療法や手術はありません。
特性に合った環境や教育を用意し、学習のトレーニングを通じて苦手な分野への困難を取り除いていきます。
チック症
4つ目は「チック症」です。
チック症とは、本人の意志とは関係なく、突発的な動作や発声を繰り返してしまう疾患です。
チック症で見られる症状には、以下のようなものがあります。
- まばたき
- 咳払い
- 急激な首振り
- 奇声をあげる
4歳頃から発症することが多く、診断後は薬物療法や心理療法を行います。
一般的には、症状が自然と改善・消失しますが、大人になってから再発したり、持続することもあるため、完治させることは困難です。
吃音
5つ目は「吃音」です。
吃音では、話すときに言葉が詰まる・言葉がすらすら出てこない、といった症状が見られます。
言葉の出し方には3つの特徴があり、以下のような特徴的な話し方の場合は吃音の可能性が高いです。
- 「ぼ、ぼ、ぼく」(語頭音の繰り返し)
- 「ぼーくは」(語頭音の伸ばし)
- 「・・・ぼくは」(語頭音が出てこない)
一般的には2~4歳頃に発症することが多く、治療には以下の方法を用います。
- 言語聴覚士による言語訓練
- カウンセリング
- 認知行動療法
- 環境調整
発症後半数以上が自然に改善するというデータもありますが、確率した治療法はないため、周りのサポートなどの環境的な配慮も大切になります。
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発達障害を持つ子どもへの接し方
ここでは、発達障害を持つ子どもへの接し方をご紹介します。
発達障害は本人の努力だけでは改善が難しいため、周りの人のサポートが重要になってきます。
発達障害を持つ子どもへの接し方は、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 本人の気持ちを否定しない
- 遠回しな表現は避ける(意図が伝わらず混乱させてしまうため)
- 良い行動はすぐ褒める
- 困っていることがないか声をかける
発達障害を持つ子どもにストレスがかかると、二次障害としてうつ病などの精神疾患を引き起こす可能性があります。
また、周りの人から否定的な発言をされると、子どもの自己肯定感が下がり、強いストレスを与えてしまうことにもつながります。
子どもの自己肯定感を高めるためにも、意見を尊重したり、肯定的な言葉をかけてあげたりするなどの配慮が必要です。
高齢出産で後悔しないためのポイント
ここでは、高齢出産で後悔しないためのポイントを6つご紹介します。
- 出生前検査を受けておく
- 基礎体力をつけておく
- 生活習慣を見直す
- 葉酸を積極的に摂取する
- 職場/家族にサポートをお願いする
- ストレス管理を行う
出生前検査を受けておく
高齢出産で後悔しないためのポイントの1つ目は「出生前検査を受けておくこと」です。
出生前検査では、お腹の中の赤ちゃんに障害や疾患の可能性がないかを調べられます。
出生前検査は主に以下の5種類があり、医療機関によって受けられる検査が異なります。
- 超音波(エコー)検査
- NIPT(新型出生前診断)
- 母体血清マーカー検査
- 絨毛検査
- 羊水検査
発達障害は子どもが発達していく段階で特性があらわれるので、出生前に調べることはできませんが、発達障害と関係のあるダウン症候群などの染色体異常の疾患は診断可能です。
検査によって事前に障害や疾患の有無を把握できれば、出産後に必要な医療や支援を把握できます。
基礎体力をつけておく
2つ目は「基礎体力をつけておくこと」です。
高齢での出産は、若いときの出産と比べて体力がありません。
体力がないと、出産時にいきむ力が弱くなるので、分娩時間が長引く恐れがあります。
また、体力の低下によって、産後の回復が遅れる可能性があり、回復が遅れることで以下のリスクが高まります。
- 子宮の形が元に戻りづらくなる(子宮復古不全)
- 疲労が溜まり、乳汁分泌不全が起こりやすい
- 産後うつ病など心の病になりやすい
運動不足が気になる人は、ウォーキングなど簡単な運動から始めてみましょう。
生活習慣を見直す
3つ目は「生活習慣を見直すこと」です。
たばこや飲酒は、お腹の中の赤ちゃんに次のような悪影響を及ぼすことがわかっています。
- 酸素や栄養の供給が下がり、体重減少や発育不全につながる
- 奇形になる可能性がある
- 早産・死産・流産のリスクが上がる
- 胎児性アルコール症候群(FAS)を引き起こす
健康な赤ちゃんを生むためには、母親が健康でなければなりません。
出産を検討している人は、禁煙や禁酒を行うなど、生活習慣の見直しを行いましょう。
葉酸を積極的に摂取する
4つ目は「葉酸を積極的に摂取すること」です。
葉酸とは、赤ちゃんの脳や神経の形成に欠かせない栄養素で、妊娠初期に不足しがちです。
妊娠中は通常の食事に加えて1日400μg(マイクログラム)の葉酸を摂取することが推奨されています。
通常の食事では推奨量の摂取は難しいため、不足分はサプリメントの服用で補うようにしてください。
また、葉酸が含まれている以下の食材を使った献立を考え、出来るだけ手作りの食事をとりましょう。
- ブロッコリー
- アボカド
- さつまいも
- いちご
- 納豆
妊娠前や妊娠初期に摂取すべきサプリについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてお読みください。
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職場・家族にサポートをお願いする
5つ目は「職場・家族にサポートをお願いすること」です。
先ほどもお伝えした通り、高齢での出産は体力的な問題があります。
子どもの障害の有無に限らず、子育てには相当の体力が必要なため、無理をすると疲労感が溜まり、免疫力低下につながります。
特に、産後は傷ついた身体を回復させる時期で、免疫力も高くありません。
- 育児休業制度を利用して仕事を他の人にお願いする
- 寝かしつけやお風呂など簡単なことは家族にお願いする
など、職場/家族にサポートを求め、負担を減らしましょう。
ストレス管理を行う
6つ目は「ストレス管理を行うこと」です。
母親が感じるストレスが、お腹の赤ちゃんに以下のような悪影響を及ぼすことがわかっています。
- 必要な酸素や栄養が届けられない
- 発育不全や低出生体重児のリスクが高まる
- うつ病や注意欠如・多動性障害(ADHD)を発症するリスクが高まる
赤ちゃんへの悪影響を避けるためにも、ストレス管理が大切です。
具体的には、適度な運動や規則正しい生活を心掛け、仕事や職場などのストレス要因は遠ざけるようにしましょう。
ストレス解消に役立つおすすめグッズに興味のある方は、こちらの記事も合わせてお読みください。
妊娠中に子どもに異常を発見したときの選択肢
ここでは、妊娠中に子どもに異常を発見したときの選択肢を2つご紹介します。
- 妊娠の継続
- 中絶手術を受ける
妊娠の継続
妊娠中に子どもに異常を発見したときの選択肢の1つ目は「妊娠の継続」です。
赤ちゃんの異常には、重篤な障害や疾患から、症状が軽くて生活に大きな支障のないものまで様々です。
障害にも個人差があるため、子育てに苦労する可能性は否定できません。
しかし、障害や疾患が早期にわかれば、子どもに必要な支援や医療などを事前に用意できるため、生活や発育に必要な対策を講じることが可能です。
ただし、生涯にわたって医療が必要なケースもあるため、金銭的に余裕があるかなどの観点を持ち、家族間でしっかり話し合いましょう。
中絶手術を受ける
2つ目は「中絶手術を受けること」です。
原則的に、発達障害などを理由とした人工中絶は認められていません。
母体保護法で人工中絶は認められるのは、次のケースに限られています。
- 妊娠の継続や分娩が身体的や経済的な理由によって母体の健康を著しく害する場合
- 暴行などによって性交を抵抗・拒絶できなかった場合
中絶手術は母親本人と配偶者(赤ちゃんの父親)の同意が必要となり、倫理的な問題がつきまといます。
また、中絶手術は母体への以下の身体的・精神的リスクが伴います。
- 感染症
- 出血
- 子宮に穴が開く
- 月経不順
- 中絶後遺症候群(PAS)などの精神的なトラウマ
中絶手術を希望する前には、倫理的な問題や金銭的な問題、リスクなどを含めて、パートナーと十分に話し合う必要があります。
子どもに発達障害があるときに受けられる支援
最後に、子どもに発達障害があるときに受けられる支援をご紹介します。
子どもに発達障害があると、お金や労力に対する様々な悩みが生じます。
このような負担や悩みを減らすためにも、国や自治体が行う助成金や手当などの種類は知っておくべきです。
国や自治体が行う発達障害を持つ子どもへの手当には、以下の種類があります。
- 特別児童扶養手当
- 障害児福祉手当
- 特別障害者手当
- 在宅重度障害者手当
また、障害者手帳の交付を受けることで税制や公共サービスなどの支援を受けられます。
- 税金の控除
- 自立支援医療制度
- 公共バスやタクシーなどの割引き
手当や支援を受けられる対象者については条件があるため、くわしくはお近くの役場にお問い合せください。
高齢出産での発達障害への後悔まとめ
ここまで高齢出産と発達障害についてご紹介しました。
要点を以下にまとめます。
- 高齢出産によって子どもが発達障害になる確率は上がり、障害の種類や症状は様々である
- 高齢出産を後悔しないためには、生活習慣の見直しや周りのサポートが大切
- 妊娠中に子どもに異常を発見したときは、妊娠継続か中絶手術の判断をすることになるが、金銭面や倫理的な問題を踏まえ、パートナーと慎重に話し合って決めること
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。