性別や年齢、障害の有無など、多様性に焦点が当てられることの多い近年。
そんな中注目を集めているのが「ユニバーサルデザイン」です。
幅広い人々が使いやすいユニバーサルデザインのアイテムは、非常に利便性の高いものだといえます。
特にユニバーサルデザインのスプーンは、介護や育児の現場で広く活用されているアイテムのひとつです。
そこでこの記事では、以下の点を中心に詳しく解説します。
- ユニバーサルデザインとは?
- ユニバーサルデザインスプーンに施されている工夫
- ユニバーサルデザインスプーンの使い道
大切な人との毎日の食卓に安心を取り入れたい人は、ぜひ検討してみてください。
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ユニバーサルデザインとは?
まず、ユニバーサルデザインについてご紹介します。
ユニバーサルデザインとは、性別や年齢、障害の有無関係なく、あらゆる人に適したデザインのことを指します。
例えば、センサー式の蛇口、音響式の信号機、自動ドアなどが挙げられます。
筋力の弱い人でも問題なく使用でき、音響式の信号機は目の不自由な人でも信号の切り替わりを認識できます。
中でも、近年特に注目を集めているのが食卓におけるユニバーサルデザインです。
本記事では、ユニバーサルデザインのスプーンに関して詳しくお伝えします。
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ユニバーサルデザインスプーンに施されている工夫
ここでは、ユニバーサルデザインスプーンに施されている工夫について、以下の6つをご紹介します。
- 持ち手が握りやすい
- 軽くて負担が少ない
- 先端が湾曲している
- 角度調整が可能
- 素材の安全性が高い
- 耐久性に優れている
詳しく見ていきましょう。
①持ち手が握りやすい
ユニバーサルデザインスプーンに施されている工夫の1つ目は「持ち手が握りやすい点」です。
持ち手に工夫が施されており、握りやすい設計になっているのが特徴です。
例えば、持ち手部分が太かったり、滑りにくい素材を使用していたりといったことです。
介護が必要な人の場合、持ち手が細いと手に負担がかかったり、食べている途中で落としてしまったりすることもあるでしょう。
持ち手が握りやすい設計になっているユニバーサルデザインスプーンであれば、握力の弱い人もしっかり握れるというメリットがあります。
②軽くて負担が少ない
2つ目は「軽くて負担が少ない点」です。
ユニバーサルデザインスプーンは軽量設計されており、高齢者や身体に障害がある人でも食べ物を簡単に口へ運べるよう工夫されています。
食事には15分から30分程度の時間がかかるため、長時間使用するスプーンは軽い方が負担が少ないでしょう。
長時間使っても疲れにくい設計になっているため、高齢者や身体に障害がある人以外に、小さな子どもも使用できます。
③先端が湾曲している
3つ目は「先端が湾曲している点」です。
先端が軽く湾曲していることで、手首の動きが不自由な人でも使いやすく設計されているのです。
また、湾曲の方向が右と左で選べるタイプのものも存在します。
これにより右利きにも左利きにも対応できるため、まさにあらゆる人に優しいスプーンだといえます。
④角度調整が可能
4つ目は「角度調整が可能な点」です。
角度調整が可能なタイプを選べば、使う人によってその都度角度を調整して使用できるのがメリットです。
もし身体的な状況が変わって調整が必要になっても、角度調整できるユニバーサルデザインスプーンであれば買い替える必要もありません。
⑤素材の安全性が高い
5つ目は「素材の安全性が高い点」です。
ユニバーサルデザインスプーンには、ステンレスなどの軽い金属、滑りにくいプラスチックやシリコンといった素材が使われる場合が多いのが特徴です。
これらの素材はスプーンを使いやすくしてくれることはもちろん、口に入れても安全性が高いため安心して利用できます。
特にステンレスなどの金属の場合、持ち手とのつなぎ目がないタイプを選べば洗う工数も減り、かつ清潔に長く利用できるでしょう。
(※全ての方に安全ということではありません。)
⑥耐久性に優れている
6つ目は「耐久性に優れている点」です。
ユニバーサルデザインスプーンは、さまざまな利用者のニーズに対応できるよう、耐久性に工夫が施されているものが多いのも特徴のひとつです。
そのため、一度購入すれば長期間使い続けられるのも大きなメリットでしょう。
中には、食洗機や煮沸消毒可能なユニバーサルデザインスプーンもあるため、清潔に保ちつつ長期間連続的に使用できるのは嬉しいポイントです。
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ユニバーサルデザインスプーンの代表的な種類
続いて、ユニバーサルデザインスプーンの代表的な種類について、以下の3つをご紹介します。
- 先割れ型
- 深型
- 形状記憶型
①先割れ型
ユニバーサルデザインスプーンの代表的な種類の1つ目は「先割れ型」です。
先割れ型とは、スプーンと同時にフォークの機能も持ったユニバーサルデザインスプーンです。
スプーンの先端が割れているため、食べ物をすくうだけではなく、刺して食べることもできます。
これにより、食べ物が落下しにくく、スムーズに口に運べるでしょう。
②深型
2つ目は「深型」です。
深型とは、先端部分が深く設計されているタイプのユニバーサルデザインスプーンのことです。
そのため、スープなどの液体やゼリーのような柔らかい食べ物をしっかりすくって食べられるというメリットがあります。
浅いスプーンと比べてこぼれにくいため、子どもの食育にもぴったりでしょう。
③形状記憶型
3つ目は「形状記憶型」です。
先述した通り、角度調整が可能なスプーンも形状記憶型のひとつです。
自由な角度に調整して、その角度を保ってくれるのです。
また、持ち手の部分を自由に変形できるタイプも存在します。
手が不自由な人でも、自分の手にフィットするよう形を変えられるため、非常に便利です。
ユニバーサルデザインスプーンの使い道
続いて、ユニバーサルデザインスプーンの使い道について、以下の5つをご紹介します。
- 介護
- 子どもの食事トレーニング
- リハビリテーション
- アウトドア
- 災害時
①介護
ユニバーサルデザインスプーンの使い道の1つ目は「介護」です。
高齢者や身体に障害がある人の日常的な食事シーンで活用されます。
握力が弱い人や、手に障害がある人が介助なしでスムーズに食事が摂れるということで、広く役立っています。
②子どもの食事トレーニング
2つ目は「子どもの食事トレーニング」です。
持ちやすい形状のユニバーサルデザインスプーンは、小さな子どもの食事トレーニングに適しています。
特に初めて自分で食べるのに挑戦する際、ユニバーサルデザインスプーンであればスムーズに口に運べるでしょう。
また、中が空洞になっているなど軽量設計されているユニバーサルデザインスプーンであれば、小さな子どもでも負担を感じることなく長時間食事に利用できます。
③リハビリテーション
3つ目は「リハビリテーション」です。
ユニバーサルデザインスプーンはリハビリテーションにも活用できます。
深型設計のユニバーサルデザインスプーンであれば、手の動きがブレてもこぼれにくく、安定して口まで運べます。
また、握力が弱い人でも、太めに設計された滑りにくい素材のユニバーサルデザインスプーンを使うことで握りやすくなるでしょう。
④アウトドア
4つ目は「アウトドア」です。
軽量設計のユニバーサルデザインスプーンであれば、キャンプなどのアウトドア活動の際にも活躍してくれます。
持ち運びが負担にならない上に、もし子どもが同行している場合であっても安心して食事に利用できます。
握りやすい素材のユニバーサルデザインスプーンであれば、間違って地面に落とす心配も少なくなるはずです。
⑤災害時
5つ目は「災害時」です。
ユニバーサルデザインスプーンの活用シーンとしておすすめなのが災害時なのです。
いつどこで遭遇するかわからない災害時に備えて、ユニバーサルデザインスプーンを常備しておくと何かと便利です。
軽量で持ち運びしやすいのはもちろん、先端の角度を変えて調理器具としても活用できます。
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ユニバーサルデザインスプーンの代表的なメーカー
続いて、ユニバーサルデザインスプーンの代表的なメーカーを4つご紹介します。
- 青芳
- 燕物産
- 斉藤工業
- 三信化工
①青芳
ユニバーサルデザインスプーンの代表的なメーカーの1つ目は「青芳」です。
青芳は、新潟県燕市を拠点とし、SDGsを積極的に支援している企業です。
ユニバーサルデザインスプーンをはじめ、フォークやお箸といったカトラリー類を扱う、ウィルアシスト(福祉用品販売事業)を展開しています。
スプーンを持つのが難しい、子ども用が欲しい、スプーンに名前を入れたいといったさまざまな悩みに寄り添う便利なカトラリーを提供しています。
ユニバーサルデザインスプーンの場合、持ち手を自在に変形できるものや深型のもの、口に入れやすい小型設計のものなど幅広く取り扱いがあります。
②燕物産
2つ目は「燕物産」です。
燕物産は、洋食器の名産地である新潟県燕市に本社工場を構える企業です。
日本最初の金属洋食器製造専門メーカーであり、高級カトラリー類を製造販売しています。
近年では需要に合わせ、ユニバーサルデザインのカトラリー類を提供するようになりました。
家族全員が使えるカトラリーという想定で製造されており、持ち手が太いものや角度調整ができるものなどが揃っています。
利便性だけではなく、美しくシンプルにまとまったデザインも特徴的です。
③斉藤工業
3つ目は「斉藤工業」です。
斉藤工業も新潟県燕市に本社を構える企業です。
戦前より金属洋食器の生産を開始し、1994年には介護などの福祉のシーンで活用できるスプーンを開発しました。
全体がステンレスで作られたユニバーサルデザインスプーンをはじめ、持ち手部分にスポンジが付いているものも販売されています。
特にスポンジ付きのものはスポンジの形が選べるため、使用者の手にフィットするものを選択できるでしょう。
④三信化工
4つ目は「三信化工」です。
三信化工は東京都港区に本社を置く企業です。
業務用・給食用のカトラリー類の製造販売を行っています。
スプーンだけではなく、ユニバーサルデザインを意識したお皿や小鉢、マグカップなどを販売しています。
素材として主に、メラミンやポリプロピレンなどのプラスチックを使った製品が多数揃っているのが特徴です。
中でもユニバーサルデザインスプーンは、エラストマーという、常温時はゴム、高温時はプラスチックの性質を持つ素材を使っており、持ちやすさと滑りにくさが追及されています。
ユニバーサルデザインスプーンを選ぶ際のポイント
最後に、ユニバーサルデザインスプーンを選ぶ際のポイントを3つご紹介します。
- 利用者の握力や動かし方を考慮する
- 手入れがしやすいものを選ぶ
- 手になじむ材質のものを選ぶ
①利用者の握力や動かし方を考慮する
ユニバーサルデザインスプーンを選ぶ際の1つ目のポイントは「利用者の握力や動かし方を考慮すること」です。
ユニバーサルデザインスプーンを選ぶ際は、利用者の握力や動かし方をあらかじめ考慮することが大切です。
例えば、握力が弱い人には持ち手が太めで滑りにくい加工が施されたものを。
手が動かしにくい人には角度調整できるものを、という具合です。
利用者に適したものを考慮して購入しましょう。
②手入れがしやすいものを選ぶ
2つ目は「手入れがしやすいものを選ぶこと」です。
食事中だけではなく、食事が終わった後のことを考えるのも大切なのです。
特に手入れのしやすさは、清潔感を保つためにも重要なポイントです。
先端部分と持ち手に区切りがないものを選べば、洗う際に手間が省ける上に、清潔に保ちやすくなります。
また、食洗機に対応している耐久性の高いものであれば、手洗いする手間が省けて非常に便利です。
③手になじむ材質のものを選ぶ
3つ目は「手になじむ材質のものを選ぶこと」です。
ユニバーサルデザインスプーンとひと口でいっても、さまざまな素材のものが販売されています。
どの素材が合っているかは利用者にもよるでしょう。
プラスチックの場合、軽量なので子どもや高齢者にも扱いやすいのがメリットです。
また、金属より柔らかい素材のため、口腔内が傷つくリスクも少ないでしょう。
シリコン製であれば、材質が柔らかく滑りにくいため、持ち手をしっかり握り込めるという特徴があります。
このように、素材によって特徴が異なる為、利用者の手になじむ材質のものを選びましょう。
ユニバーサルデザイン スプーン まとめ
ここまでユニバーサルデザインスプーンについて紹介しました。
要点を以下にまとめます。
- ユニバーサルデザインとは「あらゆる人に適したデザイン」
- ユニバーサルデザインスプーンには数多くの工夫が施されている
- ユニバーサルデザインスプーンは介護や育児だけでなくアウトドアや災害時にも活用できる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。