高齢化が進む中、介護施設の需要は年々高まっています。
その一方で、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者様やそのご家族の中には、「高度な医療的ケアが必要な状態でも、介護施設に入居できるのだろうか?」と不安を抱えている方も少なくありません。在宅での療養や介護に限界を感じ、施設の検討を始める方も多いでしょう。
本記事では、ALS患者様が入居可能な介護施設の種類をはじめ、入居するための基準、在宅療養で活用できる公的サービスについて詳しく解説します。
ご本人もご家族も安心して過ごせる環境を見つけるための参考にしてください。
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1. ALS患者が入居できる介護施設とは
ALSが進行すると、胃ろう、たんの吸引、人工呼吸器の管理といった「日常的な医療的ケア」が必要になるケースが多くなります。
そのため、一般的な介護施設では受け入れが難しく、「24時間体制で看護師が常駐している、あるいは医療機関と密接に連携している施設」を選ぶ必要があります。
ALS患者の受け入れが可能な代表的な施設は以下の3つです。
介護医療院
長期的な医療的ケアと介護の両方を必要とする要介護者向けの公的施設です。
日常生活の介助に加え、医師や看護師が常駐しているため、たんの吸引や経管栄養などの処置、看取りやターミナルケアにも対応しています。
医療依存度の高いALS患者様にとって、最も安心できる選択肢の一つです。
介護老人保健施設(老健)
主に退院後、在宅復帰を目指してリハビリを行うための公的施設です。
医師や看護師、リハビリ専門職が配置されており、医療的ケアに対応しています。
ただし、原則として3〜6ヶ月程度の期間限定の入居となるため、長期的な終の棲家としては適さない場合があります。
介護付き有料老人ホーム(一部)
民間が運営する施設で、24時間体制で介護サービスが提供されます。
施設によって医療体制には大きな差がありますが、「24時間看護師常駐」を掲げている施設や、地域のクリニックと連携して手厚い医療ケアを提供している施設であれば、ALS患者様を受け入れている場合があります。
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2. 介護施設の主な入居基準
介護施設に入居するためには、施設ごとに定められた基準を満たす必要があります。主に以下の項目がチェックされます。
- 要介護度: 公的施設(介護医療院など)は原則「要介護1以上」、特別養護老人ホームは「要介護3以上」などの基準の存在
- 年齢: 介護保険制度の原則により「65歳以上」とする施設が多いが、ALSは介護保険の「特定疾病」に指定されているため、40歳〜64歳の方でも要介護認定を受ければ入居対象となる場合があること
- 必要な医療的ケア: たんの吸引の頻度や人工呼吸器の有無など、施設側の看護体制で安全に対応できるかが最も重要な基準
- 保証人(身元引受人): 緊急時の連絡先や費用の支払い、治療方針の同意などのため、ほぼすべての施設での要求
- 費用(収入): 施設の月額費用を継続して支払えるかどうかの審査
3. ALS(筋萎縮性側索硬化症)の症状と必要なケア
ALSは、脳からの指令を筋肉に伝える「運動ニューロン」が障害され、徐々に全身の筋力が低下していく指定難病です。
日本国内には約1万人の患者がいるとされています。

進行に伴う主な症状
手足が動かしにくくなる、言葉が不明瞭になる(構音障害)、飲み込みが難しくなる(嚥下障害)といった症状が現れます。
病気が進行すると、自分の意思で体を動かすことが困難になりますが、視力や聴力、内臓の機能、感覚などは保たれることが多いのが特徴です。
必要となる主な医療的ケア
- 胃ろう: 飲み込む力が低下した場合の、胃に直接栄養を送るための処置
- たんの吸引: 呼吸筋やのどの筋力が低下して自力でたんを出せなくなるための、定期的な吸引の必要性
- 人工呼吸器: 自発呼吸が困難になった場合の、呼吸サポートのための装着
近年は医療やケアの進歩により、人工呼吸器を装着して10年以上の長期療養を続ける方も増えています。
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4. ALS患者が活用すべき公的制度と在宅サービス
施設への入居だけでなく、在宅療養を続ける場合でも、ご家族の負担を軽減するために公的制度やサービスを最大限に活用することが重要です。
- 医療費の助成制度: ALSは「指定難病」のため、難病医療費助成制度の利用。重度心身障害者医療費助成や高額療養費制度との組み合わせによる経済的負担の大幅な軽減
- 介護保険サービス(40歳以上): ALSは40歳からの介護保険対象。訪問介護、訪問入浴、訪問看護、車椅子や介護ベッドのレンタルなどの利用
- 障害福祉サービス(障害者総合支援法): 重度訪問介護などのサービス利用による、長時間の見守りやケアの享受
- コミュニケーション機器の支援: 視線入力装置などの意思伝達装置の、補装具や日常生活用具の給付制度を利用した導入
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5. 家族の介護負担を減らすために
ALSの介護は、夜間のたんの吸引や体位変換など、ご家族による24時間体制のケアが必要になることが多く、肉体的・精神的な疲労が蓄積しやすいのが現実です。
「家族だけでなんとかしよう」と抱え込むと、共倒れになるリスクがあります。
在宅療養を続ける場合でも、レスパイトケア(ご家族に休息を取ってもらうための短期入所サービス)を定期的に利用したり、訪問看護の回数を増やしたりして、外部の専門職を頼ることが不可欠です。
それでも在宅介護が限界に達した場合は、医療体制の整った介護施設への入居を前向きな選択肢として検討してください。
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まとめ
本記事では、ALS患者様の介護施設探しや活用できる制度についてお伝えしました。
要点は以下の通りです。
- ALS患者の受け入れには、24時間体制の医療的ケアが可能な「介護医療院」や「医療体制の整った有料老人ホーム」などが適していること
- ALSは特定疾病に指定されているため、40歳以上であれば介護保険を利用して施設入居やサービス利用が可能なこと
- 難病医療費助成や障害福祉サービスなどの社会資源を積極的に活用し、経済的・身体的負担を減らす重要性
- 家族の疲労が蓄積する前に、訪問看護や短期入所、施設入居を外部の専門職と連携して検討すること
ご本人の尊厳を守りながら、ご家族も心身の健康を保てる最適な環境づくりにお役立てください。

