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トップページ>認知症を学ぶ>アルコール性認知症>認知症と酒の関係は?アルコール性認知症について徹底解説!

認知症と酒の関係は?アルコール性認知症について徹底解説!

超高齢社会の日本において、年々増加している認知症。
原因は多岐に渡り、根本的な治療方法もまだありません。

その中で、飲酒は認知症リスクを上げる危険因子となっています。

今回は、飲酒と認知症リスクについて以下の点を中心にご紹介します。

  • 認知症と飲酒の関係
  • アルコール性認知症の症状
  • アルコール性認知症の治療法
  • アルコール性認知症の原因

認知症予防の知識を深めるためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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認知症の種類と特徴

認知症の種類と特徴

認知症とは、認知機能が低下し日常生活を送ることが困難になる状態です。

認知症にはさまざまな種類があり、以下の4つで全体の90%以上を占めます。

  • アルツハイマー型認知症
  • 脳血管性認知症
  • レビー小体型認知症
  • 前頭側頭型認知症

アルツハイマー型認知症

新しいことが覚えられなくなったり、日時や場所がわからず、家事や身の回りのことができなくなります。

脳血管性認知症

脳梗塞や脳出血が原因となり、脳梗塞や脳出血を繰り返すと脳血管性認知症になりやすくなります。

レビー小体型認知症

幻視や嗅覚低下が起こり、動作が鈍くなったり、寝ている間に大きな声を出したりします。

前頭側頭型認知症

アルコールが原因の認知症で、若くても発症してしまうことがあり、他の認知症と併発することもあります。

この他にも、アルコール性認知症やスマホ認知症は若い方でも発症する可能性が高いです。
本記事では、飲酒と関わりの深いアルコール性認知症についてご紹介します。

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飲酒による認知症へのリスク

認知症への飲酒によるリスク

アルコール性認知症の原因はアルコールです。
したがって、飲酒には気をつける必要があります。

ここでは飲酒量と認知症の関係、なぜアルコールによって認知症になるのかを中心にご説明します。

飲酒量と認知症の関係

まずは飲酒量を以下の四つに分類します。

  • 非飲酒 :全く飲まない
  • 少量飲酒:1週間に350mlの缶ビール1本未満
  • 中量飲酒:1週間に350mlの缶ビール1~6本
  • 大量飲酒:中量飲酒以上の摂取

四つの中で、一番認知症になりにくいのはどのタイプでしょうか?

実は中量飲酒の方が一番認知症になりにくいという研究結果があります。
非飲酒の方が認知症になるリスクを1とすると、中量飲酒の方のリスクは約0.4という結果です。

つまり、認知症を予防するにあたり、酒を少し飲む程度なら全く問題ありません。

しかし、大量に飲酒するとなれば話は変わります。続いて、大量飲酒の場合はどうなるのか解説していきます。

適度な飲酒でリスク減?

アルコールの過剰摂取は認知症の原因となります。
しかし、適量の飲酒であれば、逆に認知症のリスクが下がるという指摘もあります。

厚生労働省の発表によると、週に350mlのビール缶を1~6本程度消費する方は、まったく消費しない方より認知症の発症率が低くなっています。
なお、少量の飲酒は、認知症だけでなく心疾患や脳梗塞のリスク低減につながるという意見もあります。

だからといって、飲酒が推奨されているわけではありません。
健康管理のためにも、飲酒はできるだけ控えるのが無難です。

出典:厚生労働省「アルコールと認知症 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

大量飲酒は飲めば飲むほどリスク増

1週間に350mlの缶ビールを7本以上飲む方は、酒量が増えるほど認知症リスクも上がります。

非飲酒の方が認知症になるリスクを1とすると、1週間に缶ビール7~13本飲む方のリスクは約1.4。
1週間に缶ビールを14本以上飲む方のリスクは2.4以上となります。

認知症予防のためにも、お酒の飲み過ぎには十分注意しましょう。

なぜアルコールで認知症になるのか

では、なぜ大量飲酒が認知症につながるのでしょうか?

大きな原因として、アルコールによる脳の萎縮があります。
アルコールを摂取すればするほど脳の萎縮は進みます。

多くの認知症の直接的な原因は、脳の萎縮です。
アルツハイマー型認知症も、脳神経が変性し結果脳が萎縮してしまいます。

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飲酒が引き起こすアルコール性認知症の症状

アルコール性認知症の症状

飲酒が原因となるアルコール性認知症の症状をご紹介します。

アルコール依存症に似た症状もあるため注意が必要です。

記憶障害

記憶障害とは、過去の出来事や思い出がすっぽり抜ける症状です。
物忘れと違って、忘れたことさえ自覚できません。

新しいことが覚えられなくなる場合もあり、比較的気付きやすい症状です。

見当識障害

時間、場所、人を把握ができなくなるのが見当識障害です。

カレンダーを見ても今日の日付がピンとこない場合は、見当識障害の可能性が高いです。
例えば、アルツハイマー型認知症の場合、記憶障害のあと徐々に見当識障害が現れるという特徴があります。

作話

記憶障害や見当識障害のせいで辻褄が合わなくなったことを取り繕うために、話を作ってしまう症状です。

本人に嘘をついているという認識はなく、わざと嘘をついているわけでもありません。
他の認知症でも現れますが、アルコール性認知症では顕著に見られます。

アルコール依存症と似た症状

アルコール性認知症とアルコール依存症の似た症状は以下になります。

  • 歩行が危うくなる
  • 意欲の低下
  • すぐ攻撃的になり、興奮してしまう
  • 理性的な行動ができない

アルコール性認知症やアルコール依存症、さらには前頭側頭型認知症でも見られるため注意しましょう。

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飲酒が原因のアルコール性認知症の治療法

アルコール性認知症の治療法

アルコール性認知症は、他の認知症を併発していなければ改善が見込めます。
ぜひ以下の治療法を参考にしてください。

断酒

第一に、飲酒を止めてください。
どの治療法よりも断酒が大事です。

断酒は「少しくらいなら飲んで良い」ではなく、完全にお酒を飲まなくすることを指します。

アルコール性認知症は断酒によって、ふらつきや記憶障害などに改善が見込めます。

しかし、すでにアルコールで委縮してしまった脳は戻りません。
飲酒が長期間であったり量が多かったりするほど症状の改善は難しくなります。

食生活の改善

食生活の改善によって脳へ十分な栄養を送ることも治療法の一つとなります。

特に大事な栄養素はビタミンB1・B2・B12と葉酸です。

しかし、他の認知症の併発を防ぐためにも特定の栄養素に偏らないようにしましょう。
バランス良く食べることが大切です。

薬物治療

アルコール性認知症の原因であるアルコール。

断酒することが最も大事ですが、本人の意思だけでは改善できない場合もあります。
本人の意思で改善できない場合は、アルコール依存症と同様の薬物治療を行います。

一般的には以下の二種類です。

  • 抗酒薬
  • 飲酒欲を抑える薬

抗酒薬は、お酒を飲むと気持ち悪くなる薬です。
また、飲酒欲を抑える薬を飲むと、断酒しやすくなります。

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アルコール性認知症の原因疾患

アルコール性認知症の原因疾患

アルコール性認知症の原因は多岐に渡ります。
根底の原因はアルコールですが、アルコールを摂取してから認知症になるまでの経緯はさまざまです。

アルコールによって引き起こされ、認知症の原因となる疾患をご紹介します。

脳血管障害

脳血管障害はいわゆる脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の総称)です。
アルコールの多量摂取によって、脳血管障害のリスクが上がります。

脳血管障害が起きると、脳の神経細胞が壊され認知症が現れることがあります。

頭部外傷

頭部外傷とは、外部からの力によって皮膚や頭蓋骨脳などが損傷を受けることです。

頭部外傷とアルコールは一見関係がなさそうに見えますが、アルコールの過剰摂取によっては頭部外傷が重症化することがあります。

例えば、アルコールによる脳の委縮があれば脳と頭蓋骨の間に隙間ができます。
隙間に血が流れやすくなるので、頭部外傷の重症化の可能性が高まります。

また、アルコール摂取によって血管が拡張するため一度出血するとなかなか血が止まらず、頭部外傷が重症化する可能性が高まります。

さらに頭部外傷が重症化してしまうと脳の神経細胞が壊れやすくなり、認知症が引き起こされることがあります。

肝硬変

アルコール摂取によって現れる病気の中で、肝硬変は特に有名です。

肝硬変は肝臓病で、アルコール摂取によって脂肪肝→アルコール性肝炎→肝硬変と病名を変えていきます。
重い肝硬変になってしまうと腹水や吐血などの症状が見られます。

この肝硬変も、アルコール性認知症の原因の一つとされています。

糖尿病

糖尿病は、糖の代謝がうまくいかず血中の血糖値が上がってしまう病気です。
糖尿病の原因はさまざまですが、アルコールが原因となることもあります。

糖尿病になると高血糖が続くため、脳の血管に障害が起きてしまい、脳の神経細胞が壊れて認知症が引き起こされます。

栄養障害

アルコールを代謝するためには、ビタミンB1を使います。
そのためアルコールの過剰摂取によってビタミンB1が欠乏すると、コルサコフ症候群を患うことがあります。

コルサコフ症候群とは、脳の神経細胞が変質し、記憶障害や見当識障害、作話の症状が見られる病気です。

上記の三つの症状はアルコール性認知症でも見られます。
「アルコール性認知症の大部分は、コルサコフ症候群なのではないか」という意見もあります。

薬の使い方

飲酒によるアルコール性認知症の予防策

アルコール性認知症の予防策

ここまでアルコール性認知症の症状や原因を解説してきました。
では、アルコール性認知症を予防するにはどういったことをすればいいのでしょうか?

ここでは具体的な予防策について詳しく解説していきます。

早期の医療機関受診を

アルコール性認知症は、急に重い症状が現れる点が特徴的です。
他の認知症であれば、初期症状の発症後、徐々に症状が進行していきます。

アルコール性認知症は初期症状が出づらいとはいえ、記憶障害などの初期症状が見られます。
他にもアルコール依存症の症状に似た、ふらつきや興奮状態になりやすいなどの症状の併発も見られます。

よく飲酒する人に以上の症状が少しでも見られたら、すぐに医療機関で受診するよう促してください。

孤独にさせない

飲酒で寂しさを紛らわせている人はアルコールを過剰摂取しやすいです。
その結果、アルコール性認知症やアルコール依存症になりやすい傾向があります。

したがって、孤独にさせずに寂しさを感じさせない工夫をすることが大事です。

同居家族がいるのであれば、できる限り一人にさせないようにしましょう。

飲酒と認知症リスクのまとめ

飲酒と認知症リスクのまとめ

ここまで飲酒と認知症リスクについてお伝えしました。
要点を以下にまとめます。

  • 多量に飲酒すればするほど、アルコール性認知症になりやすい
  • アルコール性認知症の症状は、記憶障害や見当識障害、作話
  • アルコール性認知症の治療は、断酒や食生活の改善、薬物治療
  • アルコール性認知症の原因は、脳血管障害や頭部外傷、肝硬変

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
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