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トップページ>認知症を学ぶ>認知症の症状>記憶障害の検査ってなに?検査内容や記憶障害の原因を解説!

記憶障害の検査ってなに?検査内容や記憶障害の原因を解説!

昔の出来事や思い出がすっぽり抜け落ちる記憶障害。
認知症だけでなく、身体的疾患やストレスによって起こることもあります。

記憶に違和感がある場合、どのような検査を受ければいいのでしょうか?

本記事では、記憶障害の検査について以下の点を中心に解説します。

  • 記憶障害の検査方法
  • 記憶障害の検査にかかる費用
  • 記憶障害の受診ができる診療科
  • 記憶障害の原因となる病気

早期発見につなげるためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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記憶障害の検査方法

記憶障害の検査方法

記憶障害の検査は、大きく分けて脳画像検査と神経心理検査の2種類です。
それぞれの検査について解説します。

脳画像検査

脳の出血・萎縮の有無や程度を調べる検査です。
脳の損傷を調べることで、記憶障害の原因を特定します。

MRI検査

MRIは、磁力を利用して、脳を断層的に撮影する検査方法です。
「脳の輪切り写真」を撮影することで、脳内の様子を見ることができます。

MRIはCTと異なり、放射線や造影剤を使用しません。
そのため、身体的なリスクが少ないのが特徴です。

ただし、磁力を利用するため、体内金属がある方は利用できません。
体内金属とは、ペースメーカーなどです。

MRIは、撮影の自由度が高く、画像が精密である点が、大きな特徴です。
脳内の任意の場所を、任意の角度で撮影できます。
そのため、小さな病変でも見つけやすいというメリットがあります。

また、画像撮影には、空気や骨の影響を受けません。
脳内の様子を鮮明に撮影できるため、脳血管の様子や出血部位の特定、脳萎縮の程度を正確に把握できます。

トンネル型の装置の中に仰向けになって入ることで検査が行えます。
検査にかかる時間は、30分程度です。

SPECT検査

SPECT検査は、薬品を投与し、脳内の薬品の流動をみることで、血流を測定する方法です。
脳内の血流の様子は、すなわち脳の活動の様子です。

たとえば脳の一部で血流が滞っている場合、その部位には萎縮や損傷の可能性があります。
認知症は、脳の萎縮が大きく関わっています。
SPECT検査は、認知症を原因とした記憶障害の診断に役立ちます。

さらにSPECTは、脳の血流を直接見るため、小さな病変でも発見しやすい点がメリットです。
たとえば初期の認知症の場合、脳にさほど変容がないこともあります。

しかしSPECT検査では、脳の形ではなく、脳の活動状態そのものを調べるため、初期の認知症でも早期発見しやすいです。
認知症の初期症状として見られる記憶障害も、SPECT検査による早期発見・治療が重要です。

現在は、SPECT検査とCTを融合した「SPECT‐CT検査」も、広く利用されています。
脳の活動状態と、脳内の画像を照らし合わせることで、より正確な診断が可能となります。

SPECT検査では、まず薬品を注射することによって体内に入れます。
その後、MRI検査同様にトンネル型の装置で脳の撮影を行います。

検査時間は、注射を含めて30分程度です。

検査前の食事制限などはありません。
投与する薬品には、人体に影響がない程度の放射性物質が含まれています。

神経心理検査

神経心理検査は、記憶障害の有無や程度を調べるための検査です。
「知能検査」に似ており、簡単な質問に答えるスタイルです。

具体的には、簡単な計算や、図形やイラストの書き取りなどがあります。
検査の結果は点数化され、点数によって記憶障害や認知症の有無が診断されます。

神経心理検査には、「記憶検査」や「知能検査」など、さまざまなタイプがあります。
検査時間は、検査方法によって大きな幅があり、10分~90分程度です。

代表的な神経心理検査を3つご紹介します。

改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)

日本でもっとも利用されている認知症スクリーニングテストです。

9個の質問から成り、30点満点中20点以下で認知症の疑いありとされます。
質問内容は、簡単な計算・記憶力テストのほか、今いる時間や場所を答えるといったものです。

ミニメンタルステート検査 (MMSE)

知能検査の1つで、国際的に利用される認知症スクリーニングテストです。

質問項目は、全部で11個あり、簡単な計算・記憶力テストや、今いる時間・場所の質問なども盛り込まれています。
30点満点中、23点以下で認知症疑い、28点~24点で軽度認知症疑いと診断されます。

ウェクスラー記憶検査 (WMS-R)

国際的に利用される記憶検査です。

言語問題と図形問題から成り、検査項目は13個です。
記憶力をさまざまな角度から測定することで、認知症や脳疾患を診断します。

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記憶障害の検査にかかる費用

記憶障害の検査費用

記憶障害の検査にかかる費用相場をご紹介します。

MRI検査

MRI検査では健康保険が適用されます。
料金は、病院や使用する装置によって異なります。

一般的な費用は以下の通りです。

  • 1割負担…2500円~3500円程度
  • 3割負担…8000円~10000円程度
  • 10割負担…2万7000円~3万4000円程度

造影剤を利用する場合は、造影剤の代金が加算されます。

SPECT検査

SPECT検査では健康保険が適用されます。
料金相場は以下の通りです。

  • 1割負担…7000円~9000円程度
  • 3割負担…2万円~3万円程度
  • 10割負担…7万円~9万円程度

神経心理検査

神経心理検査では保険が適用されます。
料金は検査の種類によって異なるものの、上記の検査と比較すると安めになっています。

  • 1割負担…70円~300円程度
  • 3割負担…200円~900円程度
  • 10割負担…700円~3000円程度

記憶障害で受診するのは何科?

記憶障害で受診する科

記憶障害が疑われる場合、かかりつけ医に相談するのがよいでしょう。
かかりつけ医がない場合は以下の診療科を受診してください。

神経内科

神経内科は、脳・脊髄・神経・筋肉などの診察を行います。
記憶障害の原因の多くは、認知症などの脳疾患です。

よって、まずは神経内科で脳の診断を受けると、記憶障害の原因の特定につながります。
認知症やその他の脳疾患が原因の場合は、そのまま治療を受けることができます。

記憶障害の原因が精神的なものやその他である場合には、適切な診療科へ誘導されます。

記憶障害は、一般的には脳の障害であるため、受診する科に迷ったらまずは神経内科を受診しましょう。

精神科

精神科は、心の診察を行います。
精神的な理由から派生するさまざまな不調も、精神科の守備範囲です。

記憶障害はストレスによって起こることもあります。
たとえば「解離性健忘症」は、トラウマなどの大きな心理ダメージを原因とする障害です。

記憶障害の原因が、精神的な理由であれば、精神科での治療が可能です。
また、精神科は認知症の診察・治療も行っています。

記憶障害の原因は認知症であることが多いため、認知症診断を兼ねて、まず精神科を受診するのもおすすめです。

物忘れ外来

物忘れ外来は、物忘れのための診療科です。
認知症の方の増加に伴い、近年、設置数が増えています。

物忘れ外来では、まず物忘れの原因が認知症、またはその他の疾患なのかを診断します。
具体的な検査内容は、記憶障害の状況を聞き取る問診や、脳画像検査、神経心理学検査などです。
場合によっては、血液検査やレントゲンも行います。

物忘れに多角的にアプローチするため、記憶障害の原因を正確に特定できます。
物忘れ外来は、大きな病院に併設されていることが一般的です。

物忘れ専門の診療科であるため、記憶障害が疑われる方が最初に受診する診療科としておすすめです。

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記憶障害の原因となる疾患

記憶障害の原因疾患

記憶障害の原因となる疾患について解説します。

パーキンソン病

パーキンソン病は、全身の筋肉に異常が出る疾患です。
主な症状は、手足の震え筋肉のこわばり動作・平衡感覚の鈍化などです。

パーキンソン病の原因は、脳に異常たんぱくが蓄積することです。
脳と筋肉の情報伝達が阻害されるため、身体が自由に動かせなくなります。

脳の異常たんぱくの蓄積に伴い、記憶機能や認知機能に障害をきたすこともあります。

一過性全健忘

一過性全健忘は、一時的に起こる記憶障害ですが、原因はわかっていません。
脳や身体には何の問題もないものの、一時的に新しい情報を記憶できなくなります。

一般的には数時間~数日で回復し、再発は稀です。
ただし、回復後も、発症中の記憶は抜け落ちていることがほとんどです。

大量飲酒者や喫煙者に多く、脳卒中などの重大な疾患の前触れとして起こることもあります。

認知症

脳神経細胞が減少し、認知機能が低下した状態です。
認知機能の低下により日常生活に支障をきたす場合に、とくに「認知症」と呼ばれます。

記憶障害は、認知症の主な症状の1つです。
アルツハイマー型認知症は、記憶障害がよく見られます。

脳膿瘍

脳膿瘍とは、頭蓋骨の中にできる腫瘍です。
主な症状は記憶障害の他、頭痛・吐き気や嘔吐・視力低下・麻痺・言語障害などがあります。

症状が出る原因はさまざまですが、記憶障害の場合は、腫瘍が直接脳細胞を圧迫することが多いです。
大脳に腫瘍が発生すると、記憶障害が起きやすくなります。

高次脳機能障害

ケガや病気によって、脳が損傷を負うことが原因で起こる障害です。
具体的な原因には、転倒による脳の打撲のほか、脳卒中や脳炎などがあります。

主な症状は、記憶障害・見当識障害・実行機能障害・失語・失認などです。
理性的な行動ができなくなり、暴力や犯罪を起こすこともあります。

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認知症検査について

認知症検査について

認知症に対する検査にはどのようなものがあるのでしょうか。

ここでは、認知症診断に用いられている、脳画像検査、問診について説明していきます。

認知症脳画像検査、問診

認知症にはアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症など様々な種類が存在します。

それらを判別するためには、脳画像検査を行う必要があります。
アルツハイマー型認知症では、海馬やその周辺、頭頂葉の萎縮が顕著に見られるため、MRI・CTで脳の状態を検査します。

また、アルツハイマー型認知症になると、脳の血流や糖代謝が低下してしまうことも明らかにされています。
そのため、脳の血流を診ることができるSPECT画像検査を行い、脳の働きが低下していないかを確認することもあります。

一方のレビー小体型認知症については、こちらも同様に脳画像検査を実施し診断します。
しかし、脳画像検査だけではアルツハイマー型認知症との鑑別が難しいと言われています。
鑑別するためにはMIBG心筋シンチグラフィという検査を行い、心臓交感神経の働きを診る必要があります。

そのほか、医療機関では家族に対する問診も行われます。

  • 一緒に生活していて変化を感じないか
  • どのような症状に困っているか
  • 住宅の環境や介護環境について

認知症の方は症状を自覚できない場合が多いので、家族からの情報提供も、診断の重要な判断材料となります。
今後の介護生活に備えて、安心して療養・介護できる環境にあるか、確認されることもあるでしょう。

診断をよりスムーズにするためご家族の方も、困っていることなど情報を整理しておく必要があります。

薬の使い方

主な記憶障害の症状

記憶障害の症状

記憶障害は、タイプによって症状が異なります。
ここでは、記憶障害の主な症状を紹介します。

短期記憶障害

短期記憶障害では、数秒前~数分前の出来事を記憶することが困難です。
直前の出来事を忘れてしまい、同じ行動を繰り返します。

  • 今日の日付がわからない
  • 朝食を食べたかどうかわからない
  • 同じ話・質問を繰り返す

長期記憶障害

昔の出来事を思い出せない障害です。
子供のころの経験、昔の会社の同僚などの記憶が抜け落ちます。

健常者であれば、過去の出来事を普段は忘れていても、写真などをキッカケとして容易に思い出せます。
しかし長期記憶障害では、記憶が抜け落ちるため、ヒントをもらっても思い出すことができません。

  • 自分の小学校の名前を思いだせない
  • 自分の職業を思い出せない
  • 家族の顔を思い出せない

エピソード記憶障害

エピソード(体験)に関する記憶が、丸ごと抜け落ちる障害です。
本人に忘れた自覚はないため、周囲と話がかみ合わなくなることが多いです。

  • 家族旅行で行った場所のことがわからない
  • 自分の結婚式での出来事を覚えていない

手続き記憶障害

無意識のうちに覚えたことや、学習や練習によって習得した知識・技術を忘れる障害です。
ただし、身体で覚えた知識・技術は、比較的保たれます。

  • 自転車の乗り方がわからない
  • ピアノを弾けない
  • 料理・洗濯などの家事ができない

意味記憶障害

物・言葉の意味を忘れる障害です。
「あれ」「それ」などの指示語が多くなり、他人との会話が成立しにくくなります。

記憶障害の治療方法

記憶障害の治療法

記憶障害には治療できるものと、改善が難しいとされているものがあります。

記憶障害を引き起こしている原因(病気)が分かっている場合、その原因を取り除くことで改善が期待できます。
甲状腺機能低下症やビタミン欠乏症による記憶障害に対しては、甲状腺ホルモン・ビタミンの補充を行う治療を行います。

また、うつ病が原因で記憶障害を起こしてしまうこともあります。
その場合は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などを用い、うつ症状の改善を図ります。

一方、認知症や高次脳機能障害が原因による記憶障害は、治療が難しいと言われています。
特にアルツハイマー型認知症は、進行性の病気であるため根治は望めず、進行を遅らせることが治療の目的となります。

認知症治療には、主に下記のような方法が挙げられます。

  • 薬物療法:コリンエステラーゼ阻害薬などを用いて症状の緩和を図る
  • リハビリテーション:理学療法・作業療法による心身機能の維持

リハビリでは運動療法だけではなく、カレンダー作成や趣味活動を生かした、認知機能訓練を受けることができます。

他者との交流が少なく、活動性の少ない生活は認知症を悪化させるリスクがあります。
そのためリハビリを積極的に受けて、活発に過ごすことは認知症予防に効果的と言えます。

高次脳機能障害による記憶障害に対しても、リハビリによる治療と訓練が重要です。
記憶力の強化を図れるだけではなく、どうしても覚えられない・思い出せないときの代償動作に関しても、正しい指導を受けることができます。

現在は認知症や記憶障害の症状はないけども、今から予防していきたい方は、下記の行動を心がけると良いでしょう。

  • 運動する習慣を作る
  • バランスの取れた食事をとる
  • 十分に睡眠をとる
  • 過度なストレスを受けつづけないようにする
  • 他者と交流する機会を積極的に設ける、社会活動をする

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記憶障害以外の高次機能障害について

記憶障害以外の高次機能障害について

高次脳機能障害は、1つの症状だけが出現することはほとんどなく、多数の症状が絡み合っているケースが多いです。

この項目では、記憶障害以外の高次脳機能障害について説明していきます。

注意障害

会話や作業に集中することができなくなり、生活に支障をきたしている状態を指します。

注意障害は、さらに4つに分類することができます。

  • 選択性注意障害:必要な情報や作業に対して注意を向けられない
  • 転換性注意障害:1つの物事に集中しすぎてしまい、切り替えられない
  • 持続性注意障害:集中力を保つことができない
  • 分配性注意障害:同時に二つの作業をすることができない

また、複数の注意障害が合わさったものを「全般性注意障害」と呼ぶこともあります。

遂行機能障害

日常生活動作において、正しい手順で遂行できない、または動作の目標や計画を立てられなくなる障害です。
仕事や家事動作をしていても、あれこれと手をつけてしまい、結局どの動作も完了できなくなってしまいます。

物忘れ外来

物忘れ外来は、その名の通り、物忘れのための診療科です。
認知症患者の増加に伴い、近年、設置数が増えています。

物忘れ外来では、まず、物忘れの原因が「認知症orその他の疾患」なのかを診断します。
具体的な検査内容は、記憶障害の状況を聞き取る「問診」や、「脳画像検査」「神経心理学検査」などです。
場合によっては、血液検査やレントゲンもおこないます。

物忘れに多角的にアプローチするため、記憶障害の原因を正確に特定できます。

物忘れ外来は、大きな病院に併設されていることが一般的です。
物忘れ専門の診療科であるため、記憶障害の方が、とりあえず最初に受診する診療科としておすすめです。

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記憶障害の検査のまとめ

記憶障害の検査のまとめ

ここまで、記憶障害の検査についてお伝えしました。
要点を以下にまとめます。

  • 記憶障害の検査は、脳画像検査と神経心理検査の2種類
  • 記憶障害の検査費用は、数百円~数万円
  • 記憶障害者が受診すべき診療科は、神経内科、精神科、物忘れ外来など
  • 記憶障害の原因は、認知症、高次機能障害、脳腫瘍など

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売
  • 障がい者雇用

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