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トップページ>認知症を学ぶ>WHOの認知症予防ガイドライン>【WHO推奨】認知症リスク低減のためのポイント|うつ病への対応

【WHO推奨】認知症リスク低減のためのポイント|うつ病への対応

うつ病は認知症のリスクを高めるとされています。
認知症リスク低減のためにもうつ病対策は重要です。

そもそもうつ病とはどんな病気なのでしょうか?
うつ病を対策するにはどうすればよいのでしょうか?
本記事ではWHOの推奨するうつ病への対応について、以下の点を中心にご紹介します。

  • うつ病と認知症の関係とは
  • うつ病対策でできることとは
  • WHOの推奨するうつ病への対応とは
  • 家族ができるうつ病への対応とは

うつ病への対応の仕方を学ぶためにも、ご参考にしていただければ幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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うつ病とは

うつ病とはエネルギーが切れている状態のことで、疲労とは別の状態です。
うつ病になるとやる気の低下、抑うつ気分など様々な症状が出るのが特徴です。

うつ病の具体的な症状は下記のとおりです。

  • 悲しい
  • イライラする
  • 虚しい
  • 集中力が続かない
  • 死にたくなる
  • 睡眠障害
  • 将来に希望が持てない
  • 自己肯定感の低下など

上記のような症状が出るため、仕事、家庭、学校など日常生活に影響が出ます。

WHO(世界保健機関)は2030年に、うつ病が世界的な影響を及ぼすと予想しています。
WHOによると、うつ病は「健康な生活に影響を及ぼす疾病」の第1位に選ばれています。

また、うつ病患者は世界で3.5億人いることも判明しています。
10人から15人に一人はうつ病を経験するともいわれており、誰にでもなる可能性がある病気です。

厚生労働省によると、1999年から2014年の間にうつ病が2.5倍増加しています。
うつ病は増え続ける傾向にあるため、適切に対処することが社会的な課題となっています。

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うつ病と認知症の関係

うつ病と認知症の関係については長年研究が続けられており、うつ病は認知機能の低下と関連があることがわかっています。
その一方で、認知症のリスクを低減するためにうつ病の薬を使用することを推奨する科学的根拠は不十分であるとされています。

根拠となる研究は、以下の人を対象として行われました。

  • 認知機能は正常だが、重度のうつ病がある成人
  • 軽度の認知障害があり、重度のうつ病がある成人

上記の2種類の人を対象に、通常行われるケアを行う場合と全くケアしない場合とで比較が行われました。
ケアの内容は具体的に下記のとおりです。

  • 抗うつ薬の処方
  • 認知行動療法
  • 行動活性化療法
  • 問題解決療法

上記の結果、うつ病と認知症の間に十分なエビデンスが得られないことがわかりました。
薬の処方については、具体的に下記の薬で実験が行われました。

  • ボルチオキセチン
  • デュロキセチン
  • セルトラリン
  • シタロプラム
  • エスシタロプラム
  • フェネルジン
  • ノルトリプチリン

上記のうち、ボルチオキセチンに効果が見受けられました。
しかし、効果は極めて低いものでさらなる研究が求められます。
ただし、積極的な治療を否定するものではない点に注意が必要です。

うつ病の主な原因は?

うつ病の原因は一つに決められるものではありません。
様々な原因によってうつ病を発症する可能性があります。

うつ病は一般的に心の病だと考えられていますが、実際は脳の病気です。
うつ病の原因は精神的ストレス、肉体的ストレス、遺伝の3つに分けることができます。

うつ病の主な原因は下記のとおりです。

精神的ストレス肉体的ストレス遺伝
幼い頃の悲しい体験ホルモンの変化性格や考え方
リストラ疲労の蓄積
お金の問題薬の副作用
人間関係ガン、糖尿病、脳血管障害など
家庭の問題
環境の変化

ストレスによって神経伝達物質の働きが低下すると脳の働きも低下することで、うつ病が発症します。

病気や疲労の蓄積等によって体調が悪くなると、人はネガティブになりやすくなります。
「つらい」「苦しい」などの感情が引き金となってうつ状態に陥ります。

また、遺伝によってうつになる可能性は約40%だといわれています。
遺伝によるうつの原因は性格や考え方によるところが大きいとされています。

WHOは、多くの国でうつ病に対する偏見がある点を問題視してきました。
また、医療従事者が十分でない点も問題とされています。

そこで、若年層を中心とする予防プログラムの推進に力が入れられています。
予防プログラムの内容は認知療法的訓練や、高齢者向け運動プログラムも導入されています。

出典:WHO

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うつ病への対応としてできることは?

うつ病に有効な対応とは何なのでしょうか。
自分でできるうつ病への対応について具体的に解説します。

生活習慣を改善する

うつ病の対処法としては、生活習慣の改善が効果的です。
なぜなら、生活習慣を整えることでストレスに強くなる効果が期待できるからです。

うつ病になると睡眠障害の症状が現れることで夜眠れなくなったり朝起きれなくなったりするケースが多いです。
体内時計が乱れ生活のリズムが崩れると、うつ症状が悪化する可能性が高くなります。

そのため、なるべく毎日同じリズムで生活することが推奨されます。
人間の体内時計は25時間で設定されており、太陽の光を浴びることでリセットされます。
朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びるようにしましょう。

十分な睡眠をとる

十分な睡眠をとることもうつ病に効果的とされています。
睡眠によって脳と体の機能を修復し、自律神経を休ませられることがその理由です。

前述の通り、うつ病になると睡眠のリズムが崩れやすくなります。
寝付きをよくしたり睡眠の質を高めるには、下記の点に注意するとよいでしょう。

  • 昼寝は15時までに行い、15分から30分程度にする
  • 寝る前にスマホやPCを見ない
  • 夜蛍光灯の明るい光を浴びないようにする
  • 寝る3時間前に夕食を摂る
  • 自分に合う寝具を使う
  • 寝室の温度や湿度を調節するなど

寝付きをよくするためには特に寝る前の過ごし方がポイントになります。
起床後は陽の光を浴びて日中は軽い運動をするなど、朝の行動にも気をつけましょう。

適度な運動をする

うつ病に効果的なのは、適度な運動を習慣化することです。
適度な運動によってセロトニンが分泌されることがその理由です。

幸せホルモンといわれるセロトニンを多く分泌させられれば、ストレスに強くなります。

セロトニン分泌には朝日を浴びることも効果的です。
そのため、朝日を浴びながら運動すれば、運動の効果を最大化できるでしょう。

軽い有酸素運動でもうつ症状には効果があるため、無理をする必要はありません。
毎日15分程度のウォーキングやジョギングなどを習慣化しましょう。
運動の効果を得るには、継続することが何よりも重要です。

飲酒を控える

飲酒をすると、気分の浮き沈みが激しくなりやすくなります。
そのためうつ病の対策には、飲酒を控えることも効果的です。

酔っているときに陽気になっていても、酔いがさめたあとは気持ちが大きく下がる可能性が高くなります。
また、寝る前の飲酒は眠りにも悪影響を及ぼします。

なぜなら、利尿作用によって夜中にトイレに行く原因になるからです。
また、アルコール類には覚醒・興奮作用があり、睡眠の質が低下しやすくなります。
そのため、うつ対策として飲酒を控えるようにしましょう。

人と触れ合う

人とコミュニケーションをとって触れ合うこともうつ対策として効果的です。
人と触れ合うことでセロトニンが分泌されるからです。

うつ病になりやすい方は真面目な方が多く、問題を自分で抱え込みがちな傾向にあります。
すると、ストレスが溜まってうつ病を発症したり症状が悪化する可能性があります。

家族や友人、恋人など、自分の心の内を開けられる人に何でも相談するようにしましょう。
頼れる人が身近にいない場合はカウンセラーなどに頼るのも一つの方法です。

悩みに対して、具体的な解決策がわかる可能性があります。
また、人に話したり相談するだけでも気持ちが楽になるでしょう。

食生活を見直す

うつ病の対策として、食生活を見直すことも重要です。
適切な食事によってセロトニンの分泌が期待できます。

セロトニンは脳内から分泌されるのが特徴です。
セロトニンを分泌するには、必須アミノ酸のトリプトファンが必要となります。

トリプトファンは体内では生成されないため食事で補う必要があります。
トリプトファンを多く含む食品は、具体的に下記のとおりです。

  • 納豆など大豆製品
  • チーズなど乳製品
  • 米など穀類
  • 肉類
  • バナナ

うつ状態になると食欲がなくなりがちですが、上記の食品はなるべく食べましょう。
食欲がないからと食べなかったり栄養が偏ったりすると、症状が悪化する原因になります。
そのため、バランスのよい食事を摂ることが最も重要です。

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うつ病が原因の年間自殺者数

うつ病による年間の自殺者数は、高い水準にある点が特徴です。
自殺者の割合で多くを占めるのが、「病気の悩み」になります。

痛みや苦しみから自殺を選ぶ方が最も多いことが統計から判明しています。
平成27年に、健康問題を理由に自殺した方の中で最も多いのが「うつ」です。
健康問題を理由に自殺した方の、およそ4割に該当します。

うつ病になると死にたい気持ちになり、実際に死んでしまう方も多いことがわかります。
うつ病への適切な対応を行うことでうつ症状を緩和させることは非常に重要です。

薬の使い方

うつ病だと思ったら

うつ病かもしれないと思った場合、早めの処置が必要になります。
この機会にうつ病の前兆や症状について確認しておきましょう。

うつ病の前兆

うつ病は急に発症するわけではなく、前兆があるのが特徴です。
うつ病のサインは具体的に下記に示すとおりです。

  • 表情が暗い
  • 涙もろくなった
  • 落ち着かない
  • 飲酒量が多くなった
  • 食欲不振
  • 性欲がない
  • だるい
  • めまいなど

上記のように、体調不良と間違う可能性があるので注意が必要になります。
一日中気分が晴れない、なぜかやる気が出ない、などはわかりやすいでしょう。

ずっと症状が続く場合、うつの可能性があります。
「何かおかしい」と自覚したら早めに病院を受診しましょう。

うつ病の診断方法

うつ病の診断方法は、具体的に下記の方法があります。

  • アメリカ精神医学会による「DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル」
  • 厚生労働省による「簡易うつ症状尺度(QIDS-J)」

アメリカ精神医学会によるDSM-5によると、下記のチェック項目でうつ病か診断可能です。

  • ①ほぼ毎日1日中、気分が落ち込んでいる
  • ②ほぼ毎日1日中、興味も喜びも感じない
  • ③ほぼ毎日食欲低下し、体重が減少している
  • ④ほぼ毎日眠れないか、寝すぎている
  • ⑤ほぼ毎日イライラしたり落ち着きがない
  • ⑥ほぼ毎日疲れやすく、やる気が出ない
  • ⑦ほぼ毎日自分に価値がないと感じたり、自分を責めたりする
  • ⑧ほぼ毎日集中力が低下し、決断できない
  • ⑨自分を傷つけたり死ぬことを考えたり、計画を立てる

上記の内1か2を含む5つ以上の症状があり、2週間以上続くとうつ病の可能性があります。

厚生労働省による簡易うつ症状尺度(QIDS-J)では下記の項目についてチェックします。

  • 睡眠
  • 食欲・体重
  • 精神運動状態

これらの項目の重症度に応じて点数をつけていきます。
点数のつけ方は以下の表のとおりです。

症状の重さ点数
正常0-5
軽度6-10
中等度11-15
重度16-20
きわめて重度21-27

合計の点数が6点以上になる場合はうつ病の可能性があります。
症状によって日常生活に支障が出る場合はすぐに医療機関を受診しましょう。

うつ病だったら

うつ病の恐れがあると感じた場合、なるべく早く病院へ行きましょう。
具体的には、下記の症状が2週間以上続く場合が目安になります。

  • 憂鬱な気持ち
  • 食欲低下
  • 不眠

上記の症状があって生活に支障がある場合、早めに受診しましょう。
うつ病の治療も早期発見・早期治療が効果的です。
専門する医療機関は具体的に下記のとおりです。

  • 精神科
  • 心療内科
  • メンタルクリニック
  • こころのクリニックなど

体の不調がある場合は心療内科、心の不調がある場合は精神科を受診しましょう。
精神科に通うのに抵抗がある方もいるでしょうが、健康の方が重要です。
基本的にプライバシーに配慮されていますので、心配する必要はありません。

WHOのうつ病への対応まとめ

ここまでWHOの推奨するうつ病への対応についてお伝えしてきました。
WHOの推奨するうつ病への対応の要点をまとめると以下のとおりです。

  • うつ病と認知症には関連がある
  • WHOがとり組むうつ病への対応とは、予防プログラムの推進である
  • うつ病への対応としては、生活習慣の改善や十分な睡眠をとることなどが効果的である
  • 家族ができるうつ病への対応は、変化に気づいて早めに病院を受診することである

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売
  • 障がい者雇用

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