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トップページ>認知症を学ぶ>認知症の方は無気力になりやすい?うつ病との違いや対応法を解説!

認知症の方は無気力になりやすい?うつ病との違いや対応法を解説!

日々の生活に突然やる気が湧かなくなる無気力。
無気力と聞くと、うつ病や精神疾患などをイメージする人が多いかもしれません。

しかし、認知症によっても無気力が引き起こされることをご存知ですか?

本記事では、認知症による無気力について以下の点を中心にご紹介します。

  • 無気力の状態とは
  • 無気力を伴う認知症の種類
  • 認知症とうつ病のちがい

認知症と無気力の関係を理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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無気力とは


無気力とは、すべてのことに興味・関心がなくなる状態です。
アパシーと呼ばれることもあります。

認知症によって無気力になると、何をするのにも億劫になります。
具体的には、趣味や社会的交流に興味を示さなくなり、自室に閉じこもりがちになります。

身だしなみや住環境にも関心がなくなるため、洗顔や入浴のほか、洗濯、掃除などがおろそかになる方も多いです。

また、自発性の低下により、自身の健康管理も困難になりがちです。
基本的に、自分からなにかを訴えることが少ないため、体調が悪くても、周囲が気づけないこともしばしばあります。

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無気力が起こる認知症の種類


無気力症状を伴う認知症の種類や、
無気力症状があらわれやすい段階についても解説します。

ただし、各認知症とも、症状のあらわれ方には個人差があります。

アルツハイマー型認知症

認知症の原因疾患のうち、最も大きな割合を占めるのがアルツハイマー病です。
アルツハイマー病が原因で発症する認知症が、アルツハイマー型認知症です。

海馬の萎縮によって発症し、主に記憶障害が目立ちます。

アルツハイマー型認知症では、無気力があらわれるのは中期以降が一般的です。
中等度のその他の症状としては、著しい記憶障害や、手慣れた作業ができなくなる遂行機能障害などがあります。

無気力症状は、中期から末期以降にかけてさらに重症化していきます。
とくに末期には自発性の低下が顕著になり、会話が難しくなることも少なくありません。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、脳にレビー小体という異常物質が蓄積して発症します。
記憶障害はさほど目立たず、かわりにパーキンソン症状や幻視などが目立ちます。

さらに、無気力が起こりやすいのも、レビー小体型認知症の特徴です。
無気力は、初期~中期段階と比較的早い段階からあらわれます。

レビー小体型認知症では、一日の中でも症状の変動が大きいです。
たとえば朝は活発だった方が、夕方には無気力状態になる、といったケースがあります。

血管性認知症

血管性認知症は、脳血管障害を原因とする認知症です。

まだら認知症と呼ばれることもあります。
脳血管障害が起こる部位によってあらわれる症状が異なる、短時間で症状が変動するという理由からまだら認知症と呼ばれています。

血管性認知症は、症状のあらわれ方の個人差が大きいです。
そのため、無気力があらわれる具体的な段階は、一概には言えません。

血管性認知症は、無気力症状の出現率が高いという傾向があります。
理由は、血管性認知症の方の多くは、認知症の自覚があるからです。

認知症への不安や孤独感から、無気力状態になる方も少なくありません。

無気力とうつ病の違い


うつ病と認知症は、共通した症状がいくつもあり
見分けが難しいです。
しかし、うつ病と認知症には、異なる点も多々あります。

具体的な違いについて解説します。

気分

認知症による無気力では、感情の波がなくなります。
喜びや楽しいといった感情のほか、悲しみや怒り、不安なども感じにくくなります。

一方、うつ病は不安感や焦燥感が強いのが特徴です。
常に気分が沈みがちで、絶望や孤独を感じることも少なくありません。

症状の自覚

認知症による無気力状態では、症状の自覚はありません。
仮にあったとしても、症状の改善や、周囲に助けを求めることはほとんどありません。
無気力状態では自発性が低下するため、たとえ自分のためであっても本人が能動的に動くことがないからです。

一方、うつ病では症状の自覚があることがほとんどです。
苦しみから逃れるために、自分から病院を受診したり、周囲に助けを求めたりすることも多くあります。

危険行為の有無

危険行為とは、暴力や自傷行為をさします。
認知症による無気力状態では、危険行為に走ることは稀です。

理由は、自身や周囲への関心がなく、また、感情の起伏も少ないからです。
簡単に言えば、暴力に発展するほどの怒りや悲しみを感じにくいのです。

対して、うつ病は、危険行為を伴うことが多いです。
強い不安感や焦燥が、苛立ちに変わり、周囲や自分への暴力としてあらわれます。

治療

認知症による無気力には、有効な治療法が確立されていません。
抗うつ薬やカウンセリングによる治療が一般的ですが、十分な効果がないこともあります。

うつ病には、抗うつ薬が有効です。
また、認知症が完治を見込めないのに対し、うつ病は完治が可能な点も大きく異なります。

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無気力な認知症の方への対応法


認知症の方に無気力症状があらわれた場合の対応法について解説します。

規則正しい生活

認知症の方が規則正しい生活を送れるよう、サポートしましょう。
具体的には、毎日の起床・食事・入浴・就寝時間を明確に決めます。

1日のスケジュールが固定されることで、本人が自発的に行動しやすくなります。
意欲を促すために、タイムテーブルに沿って周囲が声掛けを行うことも大切です。

サポートのしすぎに注意

なにもかも介護者任せになるのは危険です。
認知症の方が「自分は何もしなくていいんだ」と思ってしまい、ますます自発性がなくなるからです。

本人が一人でできることには手を貸さないようにしましょう。
このとき、本人のペースに合わせることも大切です。

認知症の方は、時間をかければ、一人での着替えや食事が可能な場合も多いからです。

まずは見守る姿勢を大切にし、必要な時にだけ手を貸すようにしましょう。

薬の治療

場合によっては、薬物療法が用いられることもあります。
認知症による無気力に用いられるのは、抗うつ薬や抗認知症薬です。

脳内の神経伝達を活発にし、意欲を向上させる作用があります。
ただし、薬物療法は副作用を伴うことがあるため、判断は慎重に行いましょう。

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無気力を伴う意欲低下の原因


無気力の原因は認知症やうつ病だけでなく、本人の性格や周囲の環境である場合もあります。
そのため、無気力の原因を取り除けば、症状の改善を見込めることもあります。

環境の変化

大きな環境の変化があったときは、無気力になりやすいです。
定年退職や子供の自立など、今までの生きがいを失うケースが該当します。

今まで打ち込んできたことを失うと、自分の存在価値を見失いやすいからです。
社会的なつながりが切れることも多く、孤独感から、何も手につかないという無気力状態に至ります。

肉親やパートナーとの死別も、やはり無気力を誘発しやすいです。

また、住環境の変化も、認知症や無気力を悪化させる原因の一つです。
認知症の方は、思考力や判断力が低下しているため、環境の変化にうまく対応できないことが多いからです。

住環境の変化には、部屋の模様替えや引っ越しなどがあてはまります。
もし、引っ越しや介護施設への入居が避けられないなら、できる限り住み慣れた環境を再現しましょう。

加齢

加齢に伴い、感情も鈍化します。
理由は、感情をつかさどる脳器官が老化するためです。

感情をつかさどる前頭葉は、加齢に伴って萎縮しやすい部位です。
前頭葉が委縮すると、感情の起伏が少なくなるため、無気力に至ります。

身体的苦痛

病気やケガによって寝たきり状態になると、脳への刺激が少なくなるため、感情機能が低下しやすいです。
たとえ寝たきりは避けられても、身体を動かすのが不自由になると、やはり活動意欲が低下するため、無気力になりやすいです。

また、身体的苦痛は、イライラや悲しみといった精神的苦痛を伴います。
精神的ストレスが積み重なった結果、抑うつ状態となり、無気力に至る場合もあります。

薬の使い方

認知症の方におこる無気力のまとめ

まとめ
ここまで、認知症と無気力についてお伝えしました。
要点を以下にまとめます。

  • 無気力とは、何事にも意欲・関心がわかなくなる状態
  • 血管性認知症の場合症状を自覚している方が多く、無気力になりやすい
  • 認知症とうつ病の違いは、感情の起伏の有無や病識の自覚、治療の有効性など

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
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