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健達ねっと>健康お役立ち記事>高齢者の病気>ALSの看護|看護計画と重視すべき観察項目を詳しく解説!

ALSの看護|看護計画と重視すべき観察項目を詳しく解説!

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は原因不明の病気です。
根本的な治療法が今のところない指定難病の1つです。

ALS患者にはどのような症状があらわれるのでしょうか?
ALS患者にはどのような看護がされるのでしょうか?

本記事ではALSの看護について以下の点を中心にご紹介します。

  • ALS患者の症状について
  • ALSの看護に役立つ重視すべき観察項目について
  • ALSの看護計画を立てる際の要点について

ALSの看護について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は運動ニューロンと呼ばれる脳の運動神経の障害によって起こる病気です。
脳の運動神経の障害によって体の機能に様々な影響を及ぼします。

運動ニューロンには以下の2つがあります。

  • 下位運動ニューロン:骨格筋を支配する脊髄前角細胞や脳幹部運動諸核
  • 上位運動ニューロン:脊髄前角細胞に随意運動の為に刺激を送る大脳皮質運動神経

ALSは両方の運動ニューロンが侵される進行性の神経変性疾患です。
原因は今のところ不明で、根本的な治療法のない指定難病の1つです。

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ALS患者の症状はさまざま

ALS患者の症状はさまざまで主に以下のようなものがあります。

  • 上肢型の症状
  • 下肢型の症状
  • 進行性球麻痺
  • 呼吸障害

それぞれの具体的な症状についてご紹介します。

上肢型の症状

ALSの症状ははじめは体の一部の違和感から始まり、やがては全身に及びます。
多くの場合は発症は上肢型からですが、別のところから始まることもありさまざまです。
どこから症状が始まっても、やがては全身の筋肉がやせて力が入らなくなります。

ALSの初期症状で上肢型(普通型)にみられる症状は主に以下のようなものです。

  • 主に上半身にみられる
  • 筋肉がやせて腕や手の筋力低下がみられる
  • 下半身は体のこわばりやつっぱりがみられる

具体的には以下のような症状としてあらわれます。

指先の麻痺

指先の麻痺は上肢型の症状として初期に発症しやすい症状です。

手の筋萎縮

手の萎縮も指先の麻痺と同じく上肢型の症状として初期に発症しやすい症状です。

筋のぴくつき

上肢型の症状が進行していくと筋のぴくつきが出てきます。

関節の痛み

関節の痛みも筋のぴくつきと同じく上肢型の進行時の症状です。

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下肢型の症状

ALSの初期症状で下肢型(偽多発神経型)にみられる症状は主に以下のようなものです。

  • 下半身の足にみられる
  • 足全体の筋肉反応の低下で動きにくくなる
  • 腱反射の減少

具体的には以下のような症状としてあらわれます。

歩行時のつっぱり

歩行時のつっぱりは下肢型の症状として初期に多くみられる症状です。

足の麻痺

足の麻痺は下肢型の進行時の症状です。

転倒しやすくなる

転倒しやすくなるのも足の麻痺と同様に下肢型の初期の症状です。

足の筋萎縮

足の筋委縮も進行してくると、今までの症状に加わる症状です。

足首が上がらないなど足先の麻痺

下肢型の症状は足首が上がらないなど足先の麻痺となってあらわれることもあります。

筋のぴくつき

筋のぴくつきも足先の麻痺と同じく下肢型の症状として発症することがあります。

筋痛や関節痛

筋痛や関節痛も足先の麻痺や筋のぴくつき同様に発症することがあります。

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進行性球麻痺

ALSの進行性球麻痺型では顔や舌、のどに麻痺や筋委縮が起こることであらわれます。
主に以下のような障害があらわれます。

  • 言語障害
  • 口腔期嚥下障害
  • 咽頭期嚥下障害

具体的な症状は以下のようになります。

話しづらい

言語障害の症状として話しづらくなり自分の意思をうまく伝えることができずイライラすることがあります。

咀嚼しづらい

口腔期嚥下障害として咀嚼しづらくなり食事が十分に摂れないことでやせていきます。
やせには筋肉のやせと不十分な食事量によるやせの両方があります。

嚥下が難しい

咽頭期嚥下障害で嚥下が難しくなります。
咽頭期嚥下障害では以下のような症状があらわれます。

  • 飲み込みにくい
  • 鼻に食べ物が逆流する
  • のどに残る
  • つまる
  • むせる
  • 残留物や痰を喀出しずらい

咽頭期嚥下障害も口腔期嚥下障害と同様にやせの原因となります。

薬の使い方

呼吸障害

呼吸障害はALSの進行期によって症状が変わります。
初期の呼吸障害では以下のような症状があらわれます。

大声の出しづらさ

初期にあらわれる呼吸障害の1つで、大声を出しづらくなります。

動くとすぐ息切れする

動くとすぐ息切れがする症状も初期の呼吸障害です。

会話が困難

呼吸障害は進行期に入ると会話が困難になり、話すのに努力を要するようになります。

肺活量の低下

肺活量は進行期の呼吸障害で初期の症状に加えて症状があらわれます。

酸素飽和度の低下

酸素飽和度の低下も肺活量の低下と同様に進行期の障害として起こります。

ALSの検査、診断、治療

ALSの検査、診断、治療について以下の4点をまとめます。

  • 症状、神経所見、筋電図、MRIで総合的に診断する
  • 機能を維持するためのリハビリ療法をおこなう
  • 薬物療法をおこなう
  • 対処療法をおこなう

症状、神経所見、筋電図、MRIで総合的に診断する

ALSの診断は症状や神経所見、筋電図やMRIの検査を通じて確認していきます。
神経所見や種々の検査で類似の病気を除外して総合的に診断します。

診断の判定は以下のすべてを満たすものをALSと診断します。

  • 成人発症である
  • 経過は進行性である
  • 神経所見をみとめる(所定項目のうち2つ以上)
  • 筋電図所見をみとめる
  • 鑑別診断のいずれでもない(他疾患の除外)

出典:厚生労働省【指定難病に係る診断基準及び重症度分類等について(筋萎縮性側索硬化症)】

機能を維持するためのリハビリ療法をおこなう

ALSは根治する治療法のない病気です。
ALSの対処法の一つに痛みや筋力の低下を防ぎ、残存機能を維持するリハビリがあります。

リハビリは以下の障害に対し行います。

  • 嚥下障害
  • 言語障害
  • 運動障害
  • 呼吸障害

ALSは病気の進行が早く長期的なケアも必要なため、在宅でのリハビリが必要です。
通所リハビリテーションの利用や自宅でできるリハビリを取り入れて行います。

薬物療法をおこなう

薬物療法で使われる以下2つの薬剤をご紹介します。

  • ALS病勢進展抑制薬リルゾール
  • 抗酸化薬エダラボン

ALS病勢進展抑制薬リルゾール

ALS病勢進展抑制薬リルゾールは日本で唯一認可されているALS治療薬です。
ALS病勢進展抑制薬リルゾールは症状の進行を遅らせることができます。

ただし、運動機能や筋力回復効果を期待できる薬ではありません。
ALSの治療薬として現在のところ根治できる薬はありません。

抗酸化薬エダラボン

抗酸化薬エダラボンはALSの機能障害を遅らせる治療薬で米国FDAで承認されています。
日本では、脳梗塞急性期の治療薬として承認済みで、ALS適応追加承認されている薬です。

対処療法をおこなう

対処療法はALS患者のQOL(生活の質)の維持、ADL(日常生活動作)の改善に必要です。
以下3つの対処療法をご紹介します。

体位変換や薬物療法で痛みを緩和する

痛みを和らげる対処療法で以下のような方法があります。

体位変換マッサージ
抗てんかん薬筋緩和剤
温熱療法非ステロイド系消炎剤

心理的アプローチと薬物療法で不安やうつを和らげる

心理的アプローチと薬物療法で不安やうつを和らげる対処療法も必要です。
ALSの進行に伴う機能喪失や、各種治療などから不安やうつを生じやすくなります。

その対処療法として以下の2つがあります。

【心理的アプローチ】
ALSの発症時や病状の進行期における患者の不安に留意した心理的アプローチが大切です。
具体的な心理的アプローチとして

  • ていねいな病状の説明
  • 各種症状に対する対処療法の情報提供

【薬物療法】
薬物療法では以下のような薬を用います。

  • うつ病:選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、三環系抗うつ薬
  • 不安症状:SSRI、SNRIの他に抗不安薬

酸素投与や薬物、理学療法で呼吸苦にならないようにする

ALSの病状の進行に伴う呼吸不全の対処療法も必要です。
呼吸不全が原因で起こる不眠解消のためです。
呼吸不全の対処法は以下の2つです。

  • 人工呼吸器による呼吸補助(非侵襲的換気療法)
  • 睡眠導入薬(呼吸抑制や筋弛緩作用の少ないもの)の使用

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ALS患者の看護における看護師の役割

ALS患者の看護における看護師の役割についてまとめます。
ALS患者の看護で重要となる事項を以下に挙げました。
それぞれの具体的な理由と注意事項についてご説明します。

食形態への配慮や食事介助

ALSの進行に伴う嚥下障害を介助しQOLを向上させることは看護師の役割です。
ALS患者の嚥下状態に問題があれば、食事介助や食形態の変更が必要になります。
病状が進み経口摂取が困難になった場合は、経管栄養法や胃ろうなどを検討します。

車椅子移動の介助

ALSの進行に伴う運動障害を介助しQOLを向上させることは看護師の役割です。
ALSの進行に伴い歩行障害が起こります。

ALSの初期は歩行障害の程度は軽く、つまずきなどの転倒に注意した移動介助をおこないます。
ただし、長距離の移動や歩行障害の程度に応じ車椅子による移動の介助も必要になります。

患者の意思を尊重した排泄介助

ALSの進行に伴う排泄介助をしQOLを向上させることは看護師の役割です。
筋力の低下に伴い排泄介助が必要になります。

排泄の介助では患者の意思を尊重することが大切です。
患者の筋力低下の状態に合わせ、尿瓶やポータブルトイレなどで介助します。

おむつの使用も患者の希望に合わせて使用します。
多くの患者は本当は最後までトイレでの排泄を望んでいることを意識する必要があります。

合併症の予防や緩和に努める

合併症の予防や緩和に努めることは、ALS患者の看護ケアのポイントの1つです。
ALSの合併症には以下のようなものがあります。

滲出性中耳炎よだれが流れる
肺炎・無気肺腸管麻痺
浮腫めまい
褥瘡(床ずれ)痛み
かゆみ不眠

ALSの看護は発症のリスクが高いものから優先的に予防・緩和に努めます。

褥瘡予防のための体位変換

褥瘡はALSの合併症にもなっている皮膚トラブルの1つです。
ALSでは四肢の機能低下によって褥瘡になりやすく看護ケアが必要です。

看護における褥瘡予防には

  • 体位変換
  • ポジショニング
  • エアマットレスの使用

などがあります。
体位変換は看護する側に大きな負担がかかるのでケアする人員の確保も重要です。

ナースコールや文字盤を用いたコミュニケーション

ナースコールや文字盤を用いたコミュニケーションもQOLの維持に大切な看護ケアです。
ALSでコミュニケーション障害が起こると意思の疎通ができず孤独感などがたまります。

孤独感や様々な葛藤が起こることで患者のQOLは著しく低下してしまいます。
コミュニケーション機能が残っている段階から文字盤などを用いた療法の開始が重要です。

患者の意思決定を支援する

看護師の大切な役割の1つに患者に寄り添った看護があります。
残された時間を患者と家族がどのような思いでいるかを聞くことも大事な看護ケアです。
人工呼吸器の使用についても患者・家族の思いを十分汲み取って決定する必要があります。

不安や精神的苦痛を和らげる

看護師と患者の強い信頼関係は、患者の不安や精神的苦痛を和らげることに寄与できます。
ALS症状の進行や死への不安で患者の精神的苦痛は増していきます。
普段からの良好なコミュニケーションや寄り添う姿勢の看護は患者の精神的苦痛を軽減します。

家族の意向を聞き取り調整する

ALS患者の家族に対するケアも大切な看護ケアの1つです。
なぜならALS患者の家族も大きな身体的・精神的・社会的な負担を負っているからです。

患者家族の思いや社会的背景も把握したうえで

  • 関係情報の提供
  • ケア方法
  • 療養の環境

などについて十分な説明をし不安や負担軽減に努めることも大事な看護ケアです。

環境整備の助言をする

QOLとADLの維持・改善のために環境を工夫することも看護ケアの大切な1つです。
患者の生活活動範囲や筋力低下の程度、転倒・転落などのリスクを十分把握します。
そのうえで患者が安心・安全に活動できるような環境の整備や助言をします。

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ALSの看護に役立つ重視すべき観察項目

ALSの看護に役立つ重視すべき観察項目として以下の4つを挙げます。

  • 言語機能
  • 摂食嚥下機能
  • 日常生活動作・活動(ADL)
  • 疾患に応じた日常生活機能

それぞれの具体的な看護の観察項目についてご説明します。

言語機能

ALSの看護における言語機能の具体的な観察項目について説明します。

運動障害性構音障害

運動障害性構音障害は以下の項目から明瞭度を評価します。

  • 声の質
  • 声量
  • 声の高さ
  • 話す速さ

運動障害性構音障害は以下の筋系と神経系の疾患に起因する言語障害です。

声帯
軟口蓋
口唇

呼吸機能の低下

言語障害があらわれると呼吸機能も低下している可能性があるので問診や視診が必要です。
問診の内容は以下の通りです。

  • 疲労
  • 途中覚醒
  • 明け方の頭痛
  • 集中力の低下
  • イライラしやすい

視診の内容は以下のようになります。

  • 呼吸数
  • 呼気のリズム
  • 呼気と吸気の差
  • 胸部の運動
  • 補助呼吸器の使用(肩呼吸など)
  • 1文を区切りなく話せるか

歯と口腔の衛生状態

言語障害は摂食嚥下機能低下の可能性もあるので歯と口腔の衛生状態の看護観察が必要です。

摂食嚥下機能

ALSの看護における摂食嚥下機能の具体的な観察項目を挙げます。

むせたり咳込んだりする

むせたり咳き込んだりしないかは食事のときの看護観察の項目の1つです。
摂食嚥下運動の認知期における筋力低下による症状です。

食べ物を口の中に溜め込む

食事の時に食べ物を口の中に溜め込んでいないかも看護観察の項目の1つです。
摂食嚥下運動の口腔準備期の症状です。
食べ物をかみ砕く力の低下でうまく飲み込めずに食べ物を口の中に溜め込みます。

痰の量と性状

嚥下障害が進むと食事中や食後に痰が絡むことがあります。
痰の量や痰の性状の観察も看護観察の項目です。

食欲が落ちる

嚥下障害が進んで飲み込む力が低下していないか看護観察します。
多くの食べ物を口に入れてもうまく飲み込めなかったりして徐々に食欲も落ちていきます。

食事時間が長くなる

多くの食べ物を口に入れると飲み込みにくくなります。
何度も飲み込みを繰り返し、食事に時間がかかってしまいます。
食事に時間がかかるのも摂食嚥下機能の低下の兆候として看護観察します。

食事で疲れ果てる

嚥下機能の低下で食事に疲れ果てることが起こっていないかも看護観察のポイントです。
飲み込みにくいので何度も飲み込みを繰り返し、時間がかかり疲れ果ててしまうのです。

体重が急激に減る

ALSの初期に急激に体重が落ちることがあります。
ALSの初期の基礎代謝の高まりに必要な栄養量のバランスがとれていないのが原因です。
看護観察として体重の定期的な観察が必要です。

食事中の酸素飽和度低下

食事中にパルスオキシメーターで酸素飽和度低下を確認することも大切な看護観察です。
呼吸機能が低下で嚥下の際に息苦しくなり上手に酸素が供給できていない場合があります。

日常生活動作・活動(ADL)

ALSの看護の観察項目に日常生活動作・活動(ADL)の評価があります。
ADLの評価方法には以下の2つがあります。

  • Katzの日常生活動作スケール
  • Lowtonの日常生活動作スケール

それぞれの評価スケールについて説明します。

Katzの日常生活動作スケール

Katzの日常生活動作スケールは基本的日常生活動作(BADL)の評価方法の1つです。
Katzは以下の領域のADLに関して自立・介助の関係から自立指標の判定を行うものです。

入浴更衣
トイレの使用移動
排尿・排便食事

Lowton手段的日常生活動作スケール

Lowtonの日常生活動作スケールは手段的日常生活動作(IADL)の評価方法の1つです。
Lowtonは以下の項目からなり自立度の評価を行うものです。

電話買い物
食事の準備家事
洗濯交通手段
服薬管理財産管理

疾患に応じた日常生活機能

ALSの日常生活機能の評価方法に以下の2つがあります。

  • 日常生活機能表による
  • 自立度の高さを評価する

日常生活機能評価表

ALSの機能評価の尺度としてALS機能評価スケール改訂版(ALSFRS-R)があります。
ALSFRS-Rは以下の12項目で構成され合計点から評価されます。

言語唾液分泌
嚥下書字
摂食動作着衣、身の回りの動作
寝床での動作歩行
階段をのぼる呼吸困難
起坐呼吸呼吸不全

自立度の高さを評価する

その他、ALSの自立度の高さを評価する方法として以下の2つがあります。

  • 基本的日常生活能力(Barthel Index) 
  • 機能的自立度評価表(FIM) 

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ALSの看護計画を立てる際の要点

ALSの看護計画を立てる際の要点を以下に3つ挙げます。

  • 患者が抱える問題を明らかにする
  • 達成しやすい短期目標を設定する
  • 適切な長期目標を設定する

それぞれの内容について説明します。

患者が抱える問題を明らかにする

ALSの看護計画はまず現状において患者が抱える問題を明らかにする必要があります。
以下の3つにおける看護上の問題(看護問題)を抽出します。

ALS症状の進行と障害がどの程度あるか

ALS症状の進行と障害がどの程度あるかのフィジカルアセスメントを行います。
ALSフィジカルアセスメントの内容は以下の通りです。

問診全身状態の観察
呼吸の観察言語機能の評価
摂食嚥下機能の評価日常生活動作・活動(ADL)の評価
日常生活(活動)機能評価

さらに、検査データによるアセスメントを含め症状進行のアセスメントを理解します。

ALSの症状で困っていることはなにか

ALSの症状によって患者や家族が困っていることがないかアセスメントします。
ALSの看護においては症状の経過を踏まえたアセスメントをすることが重要です。
A疾患経過の各時期において困っていることがないかアセスメントすることです。

家庭環境や生活背景に増悪因子がないか

ALSの看護問題は身体の障害の問題以外にもさまざまな要因があります。
特に在宅療養では長期療養になるため

  • 適切な診療の提供
  • 適切な看護の提供
  • 適切な介護の提供
  • 生活上の問題
  • 家族の生活の保障

などの家庭環境や生活背景に憎悪因子がないかのアセスメントも大切です。

達成しやすい短期目標を設定する

抽出した看護問題に対する目標は、短期と長期の両方を設定することが大切です。
短期目標の立て方は以下のようにします。

  • 長くても数ヵ月で達成できる目標とする
  • 長期目標を細かい段階に分けて短期目標とする

それぞれの目標について説明します。

長くても数か月で達成できる目標にする

看護計画には、長期目標と短期目標を設定します。
長期目標は数年に及ぶ療養が必要になることも考えて設定します。

短期目標は長期目標を達成するための患者・家族の目標として設定します。
達成は長くても数ヵ月で達成できる短期の目標を挙げるようにします。

長期目標を細かい段階に分けて短期目標とする

短期目標は長期目標への過程で起こりうる看護問題を解決する段階的な設定が必要です。
したがって長期目標はいくつもの短期目標の達成で成り立ちます。
例えば以下のような目標になります。

長期目標自分でできることは自分で行い、身体機能の低下を防ぐ
短期目標転倒しないで立ち上がり自分で歩くことができる
下肢筋力を鍛え転倒しないようにする
自宅内での活動ができる
上肢や下肢の補助具の使い方を理解する
ベッド以外の場所で過ごす時間を増やす

適切な長期目標を設定する

適切な長期目標を設定するポイントは以下の2つです。

  • モチベーションを保てるような目標にする
  • 柔軟性のある目標にする

それぞれのポイントを説明します。

モチベーションを保てるような目標にする

長期目標は患者の方や家族が希望をもって達成を目指せるような目標とします。
ALSの療養は長ければ数年にも及びます。
患者や家族がモチベーションを保てるような目標にすることが大切です。

柔軟性のある目標にする

長期目標の設定は柔軟性のある目標にする必要があります。
患者や家族の心理状態、生活環境などはさまざまに異なります。

不十分なアセスメントでは患者や家族にあった看護目標になりません。
十分なアセスメントで根拠がありかつ柔軟性にとんだ目標にすることが大切です。

ALSの看護まとめ

ここまでALSの看護についてお伝えしてきました。
ALSの看護の要点を以下にまとめます。

  • ALS患者の症状はさまざまで上肢型や下肢型の症状、進行性球麻痺、呼吸障害がある
  • ALS看護の重点観察項目は言語機能、摂食嚥下機能、ADL、日常生活機能になる
  • ALS看護計画の要点は患者の問題の明確化と達成しやすい短期目標と適切な長期目標の設定

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売
  • 障がい者雇用

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