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トップページ>健康お役立ち記事>双極性障害>双極性障害の診断の基準は?診断を複雑にする合併症についても紹介!

双極性障害の診断の基準は?診断を複雑にする合併症についても紹介!

双極性障害は、「躁うつ病」とも呼ばれ、一見すると「うつ病」と同じようにとらわれがちです。
しかし、実は症状も治療法も全く違う病気です。
双極性障害は「うつ病」と診断されるケースも多いことから、間違った治療を長年続けている人も少なくないそうです。

双極性障害の症状は複雑で、本人に自覚がないなど、早期に診断されるのが困難な病気とも言えます。
では、双極性障害の診断はどのような基準で行われるのでしょうか?

本記事では、双極性障害の診断の基準について、以下の点を中心にご紹介します。

  • 双極性障害の早期診断の重要性
  • 双極性障害の診断基準
  • 双極性障害にまつわる合併症
  • 双極性障害と診断が間違われやすい病気

双極性障害について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
どうぞ最後までお読みください。

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双極性障害とは?

双極性障害とは、異常にハイテンションのいわゆる躁状態な時期と、気分がふさぎ無気力なうつ状態の時期を繰り返す病気です。

とは言え、気分の浮き沈みは誰にでもある現象です。
ところが、家族や会社の人が心配するほど行き過ぎた状態であれば、双極性障害を疑った方が良いかもしれません。

また、双極性障害にはⅠ型とⅡ型があり、その違いは、躁状態の程度の違いです。

  • Ⅰ型は躁状態とうつ状態を繰り返す
  • Ⅱ型は軽躁状態とうつ状態を繰り返す

こうしてみると、Ⅱ型の方が軽い症状のように見られがちですが、そうではありません。

Ⅱ型は激しい躁症状がなく、入院する可能性も少ないです。
しかし、うつの期間の割合がⅠ型より長い傾向にあり、コントロールしにくいとされています。

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双極性障害の早期診断が大切な理由

双極性障害は、早期診断により、適切な治療を行うことが大切です。

ただ、双極性障害は、専門家であっても診断が難しいとされている厄介な病気です。
うつ病と診断されることも多々あり、間違った治療をしてしまうと、病気が改善するどころか、逆に悪化させてしまうこともあります。

また、双極性障害は、再発を繰り返しやすい特性があり、繰り返すことで「躁状態」と「うつ状態」のサイクルが徐々に短くなります。

再発を何度も繰り返すことで、社会的信用や職、財産を失い、家族までも失ってしまう最悪の状態になる可能性もあります。

そうならないためにも、早期に正しい診断を受け、再発させないように正しい治療をすることが最も重要です。

双極性障害の診断基準はどういったものがあるか

近年の精神科では、双極性障害の診断をICD」と「DSM」という操作的診断を基準に行っています。

操作的診断とは、「それぞれの基準にいくつ該当する症状があるか」という見方で、その結果によって病名を診断するやり方です。

ここでは、双極性障害の主な診断基準をまとめました。

躁病(躁状態)と判断される基準

  • 気分が異常に高揚した状態が持続する(最低1週間)
  • 自尊心の拡大、睡眠欲の減少、多弁、観念奔逸、注意散漫、目標志向性の拡大、計画性のない買いあさりや投資などのうち3つ以上の症状の持続
  • 重篤な気分の障害
  • 症状は物質の直接的作用ではない
  • 混合性エピソードの基準を満たさない

軽躁(軽い躁状態)と判断される基準

  • 異常な気分の高揚が少なくとも4日間連続で持続する
  • 自尊心の拡大、睡眠欲の減少、多弁、観念奔逸、注意散漫、目標志向性の拡大、計画性のない買いあさりや投資などのうち3つ以上の症状の持続
  • 気分の障害が現れている時は、性格的なものではなく、あきらかに普段の状態と違う
  • 気分の障害は、職業的機能を妨げるほどではなく、入院を余儀なくされる程でもない

抑うつ(うつ状態)と判断される基準

  • 一日中、抑うつ気分である
  • ほとんどの活動において喜びの感情や興味を持たない
  • 著しい食欲及び体重の減少、あるいは増加
  • 不眠あるいは睡眠過多
  • 精神運動性の焦燥または制止(他者により観察可能)
  • 気力の減退または易疲労性
  • 無価値観、あるいは過剰(不適切)な罪責感(時に妄想)を持つ
  • 思考・集中力の減退、または決断困難な状態
  • 反復的な自殺念慮、自殺企図

上記のうち5つ以上の症状が、2週間以上継続してほとんど毎日見られ、社会的他の領域において障害を引き起こしている。

※明らかに身体疾患及び医学的状態による精神的な影響を除く。

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双極性障害の診断を受ける必要があるかのチェックリスト

双極性障害の診断を受ける必要があるかどうか、双極性障害の出やすい症状の特徴についてまとめました。

躁病エピソード

  • 気分が異常に高揚している期間が少なくとも1週間続く
  • 徹夜や睡眠時間が短くても(3時間程度)元気に過ごせる
  • 話し始めると止まらない
  • 人の意見や話を聞かない
  • 次々とアイデアが溢れてくるが、最後まで計画的にやり遂げることはできない
  • 根拠のない過大な自信に満ち溢れている
  • 頻尿や残尿感がある
  • 必要のない買い物やギャンブルに大金をつぎ込む
  • 初対面の人にでもすぐ声をかける
  • 性的奔放になる
  • 集中力がなく、すぐ気が散ってしまう

軽躁エピソード

  • 躁病とほぼ同じ症状であるが、軽度である
  • 持続期間が短く、うつ期間の割合が多い
  • 明らかにいつもより元気で気分が高揚している期間が少なくとも4日続く
  • 積極的に人に話しかける
  • 周囲に迷惑をかけるほどのテンションではない
  • 本人や家族は「普通」と認識している場合が多い

抑うつエピソード

  • いつも憂鬱で気分が重い
  • 何に対しても興味が湧かない、楽しくない
  • 眠れないのに1日中眠い
  • ずっと寝ている
  • イライラする
  • 自己肯定感が著しく低い
  • 自責の念に駆られる
  • 自殺したくなる
  • 思考力の低下
  • 性欲の低下
  • 食欲の低下
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双極性障害の診断をするためには何科に受診するべき?

双極性障害が疑われるなら、早めに診断を受け、治療をする必要があります。
ここからは、双極性障害の診断をする為にどういった病院の何科を受診するべきか、を説明していきます。

初めて受診をする方

双極性障害は「精神科」で受診できます。
「メンタルクリニック」や「精神神経科」「神経科・心療内科」と表示している医療機関もありますが、いずれにしても、このような機関を受診してください。

他に、「内科・心療内科」「脳神経内科」という機関もありますが、そのような病院では、内科専門医が担当するケースが多いので、精神科医の受診が可能かどうか、確認しておいた方が良いでしょう。

受診のワンポイント

可能であれば、家族と一緒に受診しましょう
躁状態の時は、自分では気付かないことが多々あります。
ご家族から見た状態も診断の大きなカギとなる場合があります。

うつ病で病院に通っている方

冒頭にも触れましたが、双極性障害は、時にうつ病と間違えた診断を受けるケースがあります。
うつ病と双極性障害は異なる病気であり、治療法も違いますので、うつ病の治療をしていても症状が改善しない場合があります。

そのようなことからも、すでにうつ病の治療をしていて、双極性障害ではないかと感じている場合は、主治医に相談してみましょう。

受診のワンポイント

主治医に相談する時は、なぜ双極性障害だと思うのか、心のうちを正直に話しましょう。
その上で、改めて正しい診断をしてもらうことが正しい治療に繋がります。
もし、納得できるような説明が得られないようであれば、セカンドオピニオンを検討する方法もあります。

薬の使い方

双極性障害の診断を複雑にする合併症とは

双極性障害は、診断が非常に複雑な病気であり、様々な合併症を引き起こすことでも知られています。
専門家であっても診断が困難だとされている理由は次の3つです。

①調子が良い時は「普通」と認識してしまう

双極性障害は、躁状態になる時と、うつ状態になる時を繰り返す病気です。
その為、調子が良い時(躁状態)は「普通」と認識してしまい、調子の悪い「うつ状態」の時に受診することが多く、「うつ病」と診断されるケースが多々あります。

②うつ状態の期間が長い

しかも、「躁」の期間と「うつ」の期間では、うつの状態の方が圧倒的に長いことも、うつ病と診断される理由のひとつです。
多少の症状の違いはあるものの、双極性障害であることを見極めるのは非常に困難であり、あとから気付くことも少なくありません。

③双極性障害の診断を複雑にする合併症

双極性障害の合併症には次のような症状があります。

不安障害

最も多くあらわれる合併症が不安障害で、約75%の方に認められると言われています。

摂食障害

摂食障害は、双極性障害Ⅱ型の方に多く見られる合併症で、拒食症より過食症になる方が多く、14%の方に認められたという報告があります。

アルコールなどの依存症

アルコールや薬物への依存も合併症として強く出る傾向があり、双極性障害Ⅰ型では50%以上、Ⅱ型では37%の方が、何らかの依存症に苦しめられています。

境界性パーソナリティ障害

境界性パーソナリティ障害とは、気持ちや行動が不安定になり、対人関係に敏感になりすぎて、自分をうまくコントロールできなくなる病気です。
双極性障害の症状である気分のアップダウンに振り回されることによって、物事の捉え方が極端になり、生きづらさを抱えている方は多いです。
対人関係もうまくいかず、それが性格として固定されることで。境界性パーソナリティ障害を合併するケースもあります。

双極性障害の治療

双極性障害は、診断が非常に難しい病気ではありますが、正しい治療をすれば、回復や症状の緩和ができる病気です。
双極性障害の治療には、薬物療法心理社会的治療があります。

薬物療法

薬物療法は、症状をコントロールする目的で行います。
気分安定薬や非定型抗精神病薬が主に使用されますが、状態によって薬の使い分けをしていきます。
多様な症状を繰り返す双極性障害は、投薬のタイミングや量も非常に慎重を期するので、主治医とよく相談しながら治療を進める必要があります。

また、普通のうつ病と双極性障害のうつ状態の時に使う薬とは違うので、うつ病の治療をしていてもなかなか改善が見られない場合は、双極性障害の可能性があるかもしれません。

心理社会的治療

心理社会的治療とは、いわゆるカウンセリングとは異なり、双極性障害への理解を深めることで、症状の悪化防止や再発防止を目的とした治療です。
ただ、心理社会的治療だけで双極性障害が改善するわけではありませんが、薬物療法と併用することで、順調な治療が期待できる心理教育と言えます。

心理学的治療では、双極性障害の特徴を深く知ることで、自分自身が症状を自覚し、コントロールできるようになることが期待されます。自ら再発の兆候に気付き、素早く治療することができれば、再発防止にも繋がります。

さらに、規則正しい食事や睡眠などの生活リズムの安定化を図ることで、症状の悪化や再発防止に役立ちます。

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双極性障害と診断が間違われやすい病気

双極性障害と間違われやすい病気の代表として「うつ病」が挙げられますが、これまで解説してきたとおり、症状も治療法も違う全く別の病気です。

しかし、うつ病と診断された方の10人に1人か2人は、のちに双極性障害と診断されるケースもあります。

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双極性障害の診断についてのまとめ

ここまで双極性障害の診断についてお伝えしてきました。
双極性障害の診断の要点を以下にまとめます。

  • 双極性障害の早期診断で再発を防ぐ
  • 双極性障害の診断基準をチェックリストで確認できる
  • 双極性障害の合併症は、不安障害、摂食障害、依存症、境界性パーソナリティー障害がある
  • うつ病は、双極性障害と診断が間違われやすい病気であるが、異なる

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

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