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トップページ>介護お役立ち記事>介護施設>【介護食の調理】種類や工夫について解説します!

【介護食の調理】種類や工夫について解説します!

平均寿命が年々上がっており、それに伴って介護食が必要な人口数も増加しています。
介護食にはさまざまな調理法があります。

そもそも介護食とはどういったものなのでしょうか?
介護食の調理のコツはあるのでしょうか?

本記事では介護食の調理について以下の点を中心にご紹介します。

  • 介護食の調理方法について
  • 介護食を食べてもらう工夫とは
  • 介護食の調理に関わる介護食士とは

介護食の調理方法について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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介護食とは


介護食とはどういったものなのかご存知でしょうか
介護食とは、加齢や病気などによって介護が必要な方に対して作られた食事のことです。
飲み込む力が弱まった高齢者でも安心して食べられるように工夫されたものです。

参考:【栄養士が解説】介護食とは|LIFULL介護(旧HOME’S介護) (homes.co.jp)

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介護食調理|種類


まずは介護食の調理方法の種類を紹介していきます。
以下に代表的な種類を挙げるので、ぜひご覧ください。

参考:介護食5つの種類と特徴をくわしく解説!市販の介護食の区分も紹介 | 食と健康コラム (familyset.jp)

ゼリー食

【調理方法】
ゼリー食とは固形の食べ物をミキサーでペースト状にしてからゼリー状に固めたものです。
固める際にはゼラチンやでんぷん、寒天などが使われることが一般的です。

【適している方】
咀嚼能力が弱まり、嚥下障害のある方に適した食事です。

【注意点】
固めすぎると、ゼリーが固まって気管に詰まる恐れがあるので、注意が必要です。

ミキサー食

【調理方法】
ミキサーでポタージュのようなややとろみのあるスープ状にしたものです。
固形物にスープやだし汁を加えて調理されることが多いです。

【適している方】
噛む力や飲み込む力が弱くなった方

【注意点】
ほとんどが水分なので、少ない量であっても満腹感を得られやすいです。
ですが、栄養状態が悪化しないよう注意する必要があります。
また、食べ物の形が感じられず見た目的には食欲がわかないこともあります。

ソフト食

【調理方法】
圧力鍋などを使用して一般的な食事よりもやわらかくします。
繊維を切って噛みやすくするため、調理に手間や時間がかかる傾向にあります。

【適している方】
加齢にともない、噛む力や飲み込む力が低下した方
また、入れ歯が合わない方や抜歯後の方であっても少ない力で食べることができます。

【注意点】
食べる方の状態に合わせてやわらかさを調整する必要があります。

きざみ食

【調理方法】
食材を細かくカットして食べやすくしたものです。

【適している方】
細かくカットしている分、噛む回数が少なくて済むので入れ歯が合わない、抜歯後、噛む力が弱い方などに適しています。

【注意点】
水分が少ない食事の場合は、きざむことで口の中の水分がなくなり、飲み込みにくくなることがあります。
このようなケースだと余計にむせ込みのリスクが上がってしまうので、注意が必要です。

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介護食調理|咀嚼がうまくできない方

次は咀嚼がうまくできない方に対する介護食の調理方法の工夫について紹介していきます。
以下で詳しく説明していくので、参考にしてください。

参考:介護・栄養と食事のコラム |嚥下(えんげ)しやすい食品・しにくい食品 | e健康ショップ (ekenkoshop.jp)

飲み込みやすい食品と飲み込みにくい食品 | 【公式】まごころ弁当 (magokoro-bento.com)

咀嚼しやすい食材

噛む力が弱まっている方に対しては、噛まなくても良いものがおすすめです。
また、少しの力で噛むことのできるやわらかいものであれば負担を軽減できます。
これらのことを踏まえて、咀嚼しやすいおすすめの食材を以下に挙げます。

例えば、プリンやゼリー、絹豆腐や卵豆腐のようなゼリー状のもの
オムレツなどの歯茎でつぶせて水分があるものもおすすです。

咀嚼しにくい食材

逆に咀嚼しにくい食材の特徴としては、水分が少なくパサパサとしているものです。
また、固くて弾力があり噛み切れないものや、繊維質のもの、大きいものなどが挙げられます。

食べ物の例としては、パンやクッキー、イモ類、タコやイカ、ゴボウやキノコなどです。
噛む力が弱まっている人に対しては、一口で入らないような大きい食べ物なども避けましょう。

調理の工夫

咀嚼が上手にできない方は、入れ歯が合わない場合や口内炎、歯が抜けているなどの理由があります。

この他にも加齢や病気などで噛む力自体が衰えているようなケースもあり、さまざまな要因が考えられます。
このようなケースでは、調理の工夫が必要になるので以下で紹介します。

イカやタコなどのような弾力の強いものは、隠し包丁を入れ、噛み切りやすくしましょう。
また、イモ類はスープに入れ、パンは牛乳やスープなどに付けて食べると食べやすいです。
さらに一口大にカットしておくことで安全に食べることができます。

このように工夫次第で咀嚼が難しい方であっても、楽しみながら食事をすることができます。

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介護食調理|嚥下障害のある方


次に
嚥下障害のある方の介護食について紹介していきます。
嚥下障害の原因としては、脳梗塞などの病気や加齢などが挙げられます。
このようなケースでの対応について以下で詳しく説明していきます。

嚥下しやすい食材

まずは飲み込みやすい食材から紹介します。
プリンやゼリー、ヨーグルト、茶碗蒸しなどのなめらかでやわらかいものは飲み込みやすいです。

また、口の中でまとまりやすいものも飲み込みやすい傾向にあります。
あんかけや山芋などのとろみがついているものがおすすめです。

嚥下しにくい食材

次は逆に嚥下しにくい食材を紹介します。
焼き芋やパン、ゆで卵のような水分の少ないものや、水やお茶などのサラサラした飲み物は誤嚥のリスクがあります。

また、きな粉や粉薬のような粉類もむせ込む可能性があるので注意が必要です。
そぼろなどのバラバラとしてまとまらないものも避けましょう。

調理の工夫

飲み込みにくい食材を食べると、誤嚥して肺に食べ物が入ってしまい、肺炎を起こすことがあります。

肺炎が重症化すると命に関わるため、予防することが大切になります。
そこで、ここからは調理方法の工夫について紹介していきます。

状態に合わせてある程度とろみがあるとむせ込みのリスクが低くなります。
ゼラチンや寒天、市販のとろみ粉などを利用してとろみを付けましょう。

口の中でまとまりやすくするためのつなぎの食材としては以下のものがおすすめです。
例えば、納豆や山芋、オクラやマヨネーズなどを利用して調理すると良いでしょう。

健達ねっとECサイト

介護食調理|食べてもらえる工夫


次は
介護食を食べてもらえるようにする工夫を紹介していきます。
以下で詳しく説明していくので参考にしてください。

参考:【初心者向け】介護食の基本・食べる力に合わせた調理法と注意点|栄養お役立ち情報 | ネスレ (nestle.jp)

レベルに合った形状にする

最初の章で説明したように食事形態には「刻み食」、「ソフト食」、「ゼリー食」、「ミキサー食」があります。
嚥下状態に合った食事形態を選択することが大切です。

栄養バランスについて考える

噛む力や飲み込む力がなくなると、食べれるものが限られてくるので、栄養が偏りがちになります。
そのため、健康補助食品やサプリメントなどを利用してバランス良く栄養を摂取できるような工夫が必要です。

食欲が湧くような工夫

介護食は食べやすいようにペースト状にすることもあるため、見た目がいまいちなものが多くあります
そのため、食欲がわくように、ハーブやスパイスなどを使用することをおすすめします。

この他にも、季節感を味わえるような見た目やお皿、形などを工夫してみると良いでしょう。

好きなメニューを取り入れる

工夫を施してもなかなか食事が進まない方に対しては、好きな食べ物を取り入れることをおすすめします。

例えばパンが好きな人であれば、フレンチトーストやパンがゆなどにアレンジしてみましょう。
お刺身が好きな人であれば、たたきにしたり、長いもでとろみを付けたりすると良いです。

この他にも、イモが食べたいときにはポテトサラダなどにしてみるとむせを防ぐことが出来ます。

薬の使い方

介護食調理|安全に食べてもらうには


介護食では安全に食べてもらうための工が大切になります。
簡単に取り入れられるものも多いので以下を参考にしてください。

参考:嚥下体操・訓練 嚥下(えんげ)体操(嚥下準備体操) | 日医工株式会社 (nichiiko.co.jp)

食事前の準備

誤嚥を予防するために食べるときの準備体操を行うことをおすすめします。
嚥下体操をすることで筋肉の緊張がほぐれ、習慣化することで飲み込むための筋力もUPします。

方法を以下に簡単にまとめます。

①首をゆっくりと回す。
②肩を上げ下げして最後に回す。
③頬を膨らませたり、引っ込めたりする。
④舌を出したり引っ込めたりして左右に動かす。
⑤「パパパ、ラララ、カカカ」→「パラカ」と繰り返し発声する。

食事環境

まずは、食事に集中できる環境を整える必要があります。
例えば、テレビやラジオは消すことをおすすめします。
静かすぎる環境で食事することに違和感がある方は、BGMをかけるなどしましょう。

食べるときの姿勢

食べるときの姿勢は、足がしっかりつくイスの高さで、軽い前傾姿勢が取れるようにしましょう。
猫背や横を剥いたり、顎が上がったりしていると誤嚥のリスクがあるので、注意が必要です。

補助具の利用

最近では誤嚥のリスクがある方に対しても負担の少ない補助具がたくさん出ています。
例えば、底が滑りにくく、すくいやすい形状の食器などがあります。
また、麻痺などで不自由な方でも握りやすい箸やスプーンなどを活用するといいです。

介護食調理|ユニバーサルデザインフード


ユニバーサルデザインフードとは、
食べやすく作られた食品のことです。
状態に合わせてやわらかさやとろみの段階が分けられています。

そのため、噛む力や飲み込む力が弱い方であってもストレスなく、安全に食べることができます。
ユニバーサルデザインフードには、以下のマークが付いています。

出典:日本介護食品協議会「ユニバーサルデザインフードとは

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介護食調理|スマイルケア食


スマイルケア食とは、
噛む力や飲み込む力が弱い方に向けた介護食の1つです。
スマイルケア食は、栄養面や見た目、おいしさのバランスが取れていることが特徴です。
対象者別に3種類に色分けしているので、以下にまとめます。

区分対象者
青マーク噛んだり、飲み込んだりする力は問題ないが、栄養補助が必要な方向けの食品。
黄マーク噛む力が弱い方向けの食品。
赤マーク飲み込む力が弱い方向けの食品。

出典:農林水産省「スマイルケア⾷の取組について

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介護食調理|便利な調理器具


介護食には作る際の手間が必要になるので、作る方の負担も大きいです。
そのため、ここからは介護食を作るのにおすすめの調理器具を紹介していきます。

参考:介護食作り時に、あると便利な調理器具 | 【公式】配食のふれ愛 (h-fureai.com)

介護食の作り方と注意点|高齢者の食べる能力に沿った調理方法をご紹介 | 【公式】まごころ弁当 (magokoro-bento.com)

ミキサー

噛む力が弱い方に向けて食材をポタージュ状にするときにはミキサーがおすすめです。

フードプロセッサー

食材をペースト状やみじん切りにする際には、フードプロセッサーがおすすめです。

圧力鍋

圧力鍋であれば、固い野菜などであっても短時間で食材に火を通すことができます。

こし器

こし器でミキサー食を作れば舌触りがなめらかな食感を楽しめます。

ゴムベラ

介護食ではやわらかくてペースト状の食材が多いので、ゴムベラがあると便利です。

すり鉢・すりこぎ

少量の食材であればすり鉢やすりこぎを使用して食材をつぶすといいです。

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介護食調理|介護食士


介護食士
とは、内閣総理大臣が許可した公益社団法人全国調理職業訓練協会によって認定された資格のことです。
介護食が必要な方に対する専門知識や技術を学んだ方に対して与えられる資格になります。

この資格には3級から1級まであるので、以下にまとめて紹介します。

資格内容受講資格講習内容
介護食士3級高齢者がおいしく楽しく安全に食べられる介護食について学びます。
講習を修了した後に試験に合格することで資格を取得できます。
受講資格不要なため、一般の方でも受講可能。学科(25時間)
食品衛生学、介護食士概論、高齢者の心理、食品学、医学的基礎知識、栄養学

実習(47時間)
調理理論・調理実習Ⅰ、調理理論・調理実習Ⅱ
介護食士2級医学的知識や高齢者の心理などを学び、おいしくて食べやすい介護食の知識や作り方を学びます。
3級に合格した人が対象で、より専門的な知識を学べます。
介護食士3級を取得した方が受講可能。学科(16時間) 
栄養学、医学的基礎知識、食品衛生学、
高齢者の心理、食品学


実習(56時間)
調理実習、調理理論
介護食士1級加齢や病気による身体機能の低下に対応した介護食が提供できるような知識や技術を学びます。
介護食士の資格の中で1番専門性が高いものになります。
介護食士2級を取得し、その後2年以上介護食調理の実務に従事した25歳以上の方が受講可能。学科(32時間)
栄養学、医学的基礎知識、食品衛生学、
高齢者にかかわる制度、食品学


実習(40時間)
調理理論、調理実習

出典;公益社団法人 全校調理職業訓練協会「介護食士」「資格の種類

高齢者の「食」に対する意識


高齢者自身が食に対してどのように思っているのか理解することで、介護食の理解が深まります。
そこでここからは、高齢者の「食」に対する意識について紹介していきます。

出典:厚生労働省「在宅高齢者の口から食べる 楽しみの支援の在り方に関する 調査研究事業 報告書

回答者の属性について

今回の調査対象者の詳細を以下にまとめます。

年齢

調査対象の年齢としては、70代が38.4%、80代が37.9%と全体の7割以上を占めています。

性別

調査対象者の性別は以下の通りです。

性別割合
女性62.1%
男性35.6%
無回答者2.3%

身体の自立度

身体の自立度を以下にまとめます。

介護度割合
自立65.8%
要支援10.5%
要介護6.8%
無回答16.9%

世帯類型

回答者の世帯の割合を以下にまとめます。

世帯割合
子どもや孫と同居39.7%
夫婦のみ世帯35.6%
ひとり暮らし15.5%
その他・無回答9.1%

健康状態

健康状態に関しては、「よい」「どちらかというとよい」と回答した割合が、66.2%でした。

口腔等の状況

口腔等の状況を以下にまとめます。

口腔等の状況はいいいえ
入れ歯をお使いですか68.9%29.2%
この 6 か月間で 2~3kg 以上の体重減少がありましたか15.1%84.5%
半年前に比べて固い物が食べにくくなりましたか34.2%64.8%
お茶や汁物等でむせることがありますか19.6%79.9%
口の渇きが気になりますか23.7%75.8%

現在の食事が楽しいかどうか

厚生労働省の調査結果を以下にまとめます。

回答割合
楽しい35.2%
ふつう63.0%
楽しくない1.4%

食事を用意してくれる人の有無

「一人で生活することになった場合、食事を用意してくれる人がいるかどうか」の質問に対する回答について紹介します。

はいいいえ無回答
全体42.0%52.1%5.9%
ひとり暮らし55.9%41.2%2.9%
夫婦のみ23.1%71.8%5.1%
子や孫との同居54.0%39.1%6.9%

こうして見ると、「いいえ」と回答した割合は「夫婦のみ世帯」が最も多かったです。
そのため、夫婦のどちらかが亡くなった場合に頼る人がいなくなる可能性が高いことが予想されます。

食べられるものが少なくなった場合の食事

最後に歯の本数や入れ歯の不具合などの何らかの理由によって食べられるメニューが減った場合の対処について紹介します。

「現在より食べられるメニューが少なくなった場合にどのような形で食事を摂りたいか」という質問に対する回答を以下にまとめます。

回答割合
品数が減っても「普通食」を食べたい79.5%
食材の歯ごたえを減らした「やわらか食」が食べられれば良い28.3%
食材を細かく刻んだ「きざみ食」が食べられれば良い19.6%
食材をミキサーで混ぜた「ミキサー食」が食べられれば良い3.2%
「ミキサー食」よりも水分の多い「流動食」を食べられれば良い2.3%
胃ろう(直接胃に栄養を入れる栄養投与法)であっても栄養が取れれば良い2.3%
わからない5.0%
その他0.9%
無回答0.5%

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介護食の調理まとめ

訪問介護
ここまで介護食の調理についてお伝えしてきました。
介護食の調理の要点を以下にまとめます。

  • 介護食の調理方法にはゼリー食やミキサー食、ソフト食などの種類がある
  • 好きなものを取り入れたり形状を工夫したりすると介護食でも食べやすい
  • 介護食士とは介護食が必要な方に対する専門知識や技術を学んだ人のこと

【記事の要点のポイント】

  • 介護ではユニバーサルデザインフードを取り入れることがおすすめ
  • 食事前に体操をすることで誤嚥を予防することができる
  • 介護食を作る際にはミキサーやすり鉢などを活用すると良い

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売
  • 障がい者雇用

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