認知症グループホーム(認知症対応型共同生活介護)における看護師の主な役割は、入居者の日々の健康管理、医療機関との連携、介護スタッフへの医療的アドバイス、そして看取り(ターミナルケア)への対応です。
病院や他の介護施設と異なり、高度な医療処置よりも「生活に寄り添った健康サポート」が中心となります。本記事では、グループホーム看護師の役割や行える医療行為の範囲、配置基準と医療連携体制加算、給与相場、看護師として働くメリット・注意点を解説します。

※関連記事:【最新】認知症グループホームとは?入居条件・費用相場・有料老人ホームとの違いからメリットまで徹底解説

※関連記事:ケアワーカー(介護職員)とは?仕事内容や給料、介護福祉士との違いを解説
スポンサーリンク
グループホームにおける看護師の役割
認知症グループホームは、認知症の高齢者が少人数(1ユニット5〜9人)で家庭的な環境のなか共同生活を送る「住まい」です。病院のような医療機関とは異なり、看護師には以下の役割が求められます。

1. 入居者の日常的な健康管理とバイタルチェック
認知症の方は体調不良や痛みをうまく言葉で訴えられないことが少なくありません。看護師は日々のバイタルチェック(体温・血圧・脈拍等)や皮膚状態、排泄状況を観察し、病気の早期発見や重症化防止に努めます。
2. 医療機関・訪問看護・主治医との連携・調整
入居者の主治医(訪問診療医)や提携医療機関、訪問看護ステーションとの連絡窓口となります。定期受診の調整や、体調急変時の指示受け、緊急搬送の手配などを行います。
3. 介護スタッフへの医療指導・サポート
グループホームの現場で24時間入居者と接するのは介護スタッフです。看護師は介護スタッフに対し、感染症対策、応急手当、経管栄養やたん吸引の注意点、服薬管理などの指導や助言を行います。
4. 看取り(ターミナルケア)の推進
グループホームでの看取りニーズが高まるなか、医師や介護スタッフ、ご家族と連携しながら、最期まで穏やかに過ごすためのターミナルケア体制を構築します。
スポンサーリンク
看護師が行う医療行為・ケアの範囲
グループホームで看護師が対応する主な医療処置やケアの範囲は以下の通りです。
- バイタルチェック・健康観察: 体温・血圧・脈拍・酸素飽和度(SpO2)の測定、表情や皮膚状態のチェック
- 服薬管理・指導: 薬のセット、与薬確認、副作用の観察、主治医への処方相談
- インスリン注射・血糖測定: 糖尿病患者へのインスリン投与および指導
- じくそく(床ずれ)や創傷の処置: 軟膏塗布、ガーゼ交換、皮膚トラブルの予防ケア
- 摘便・浣腸・カテーテル管理: 膀胱留置カテーテルの管理や排便コントロール
- たん吸引・経管栄養(胃ろう・腸ろう): 呼吸・栄養管理が必要な方のケア
- 感染症の予防と対応: インフルエンザやノロウイルス等の感染予防マニュアル作成、発生時の初期対応
介護業務の兼務について
グループホームの看護師は、医療ケアだけでなく生活支援(食事の配膳、掃除・洗濯のサポート、食事・入浴・排泄介助、レクリエーション)を介護スタッフと協力して行うケースが多いのも特徴です。
グループホームの看護師配置基準と加算制度
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)において、看護師の配置は「原則として義務(必須)ではない」と定められています。
しかし、入居者の高齢化や重度化に伴い、医療ニーズに応えるため看護師を配置したり、訪問看護ステーションと連携したりする事業所が増加しています。
医療連携体制加算(介護報酬)
看護師の配置や医療機関との連携体制を整えることで、施設側は公的な「医療連携体制加算」を算定できます。
医療連携体制加算の主な要件:
- 看護師(常勤・非常勤、または訪問看護ステーションとの連携)の確保
- 24時間連絡・対応できる体制の構築
- 重症化時の対応や看取りに関する方針を定め、本人・家族の同意を得ていること
- 痰吸引や経管栄養が必要な要介護者の受入れ実績、看取り実績などに応じた加算区分の設定
施設内に常勤看護師を配置することで、最上位の加算区分が算定でき、施設全体の経営安定と医療対応力の向上に繋がります。
スポンサーリンク
グループホームで働く看護師の給与・給料相場
厚生労働省の調査等に基づく、グループホームで働く看護師の平均給与の目安は以下の通りです。
| 雇用形態・資格 | 平均月給目安 | 平均年収目安 |
|---|---|---|
| 正看護師(常勤) | 約33万〜38万円 | 約420万〜480万円 |
| 准看護師(常勤) | 約29万〜33万円 | 約370万〜420万円 |
| 看護師(非常勤・パート) | 時給1,500円〜2,000円 | — |
一般的な介護職員(平均月給約31万〜33万円)と比較すると、資格手当等を含めて高めの給与水準となっています。夜勤の有無や手当の支給状況によっても前後します。
スポンサーリンク
看護師にとってグループホームで働くメリットと注意点
メリット
- 日勤中心で残業が少ない: 病院のような夜勤が少なく、オンコール対応(電話待機)で済む施設が多いため、ワークライフバランスを保ちやすいこと
- 一人ひとりとじっくり関われる: 少人数制(1ユニット9人以下)のため、入居者の生活や人柄に深く寄り添った看護ができること
- 緊急処置のストレスが少ない: 高度な医療行為や突発的な救急対応が病院ほど頻繁ではないため、プレッシャーが比較的少なめなこと
注意点・デメリット
- 医療処置のスキルアップ・維持がしにくい: 高度な医療機器や最先端治療に触れる機会が少ないため、臨床看護技術を高めたい方には物足りないと感じる場合があること
- 施設内で医療職が自分一人(少人数)になりやすい: 医療面の判断を一人で求められる場面があり、介護スタッフとのコミュニケーションや人間関係の構築が重要となること
スポンサーリンク
まとめ
- グループホームにおける看護師の役割: 入居者の日常的な健康管理、主治医・医療機関との連携、介護スタッフへの医療指導、看取り対応
- 医療行為の範囲: バイタルチェック、服薬管理、インスリン注射、床ずれ処置、たん吸引、胃ろう管理など
- 配置基準: 配置自体は義務ではないが、看護師の配置や訪問看護連携により「医療連携体制加算」が算定可能
- 働き方の特徴: 日勤中心で残業が少なく、入居者の生活に密着した心温まるケアを提供できること
グループホームにおける看護師は、認知症の方が安心・安全に自分らしい生活を送るための頼れる存在です。医療と生活ケアの両面から高齢者を支えたい看護師にとって、非常にやりがいの大きい職場と言えます。

