高齢の親に宅配食サービスを勧めても、「ご飯くらい自分で用意できるわよ!」と断られてしまうことは少なくありません。
特に、長年家事を担ってきた人ほど、食事の準備を「自分の役割」として考えているため、他人に頼ることに抵抗を感じるのです。
しかし、実際には毎日の食事作りが負担になっていることもあります。
親の本音を考えると、宅配食サービスを利用すれば楽になることは分かっていても、「自分の意思ではなく他人に説得されて決めること」に対する抵抗感があるのかもしれません。
そのため、直接説得しようとするよりも、受け入れやすい形で提案することが大切です。
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ナッジを活用した自然な提案
ナッジ(Nudge)とは、行動経済学で使われる手法で、「強制や説得ではなく、自然と望ましい選択を促す」アプローチです。
宅配食サービスを受け入れてもらうために、ナッジの考え方を取り入れてみましょう。
気軽に「いいよ」と答えやすい頼み方
いきなり「宅配食サービスを利用してほしい」と頼むのではなく、もっと気軽に受け入れられる形にするのがポイントです。
例:「友だちがお弁当屋さんを始めたの。配達お願いしてみる?」
これなら「宅配食サービスを使ってほしい」という説得ではなく、「友人を助けるためのお願い」という形になります。
これに対し、「尚ちゃんかい?もちろんいいよ」と、親が自然に受け入れやすくなるのです。
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「説得っぽさ」をなくす工夫
ポイントは、いかに「説得している」と思わせずに、親が自分の意志で決めたと感じられるようにするかです。
そのために、次のような工夫を取り入れてみましょう。
人助けの文脈を作る
「宅配食サービスが便利だから使ってほしい」ではなく、「友人の仕事を応援するため」「お試しで一度頼んでみるだけ」といった形で提案すると、親も受け入れやすくなります。
自然な流れで試してもらう
例えば、「試食会をやるみたいだから、一緒に行かない?」と誘ってみるのも良い方法です。
「試してみるだけなら」と、気軽に利用してもらえるかもしれません。
「一度だけ」という提案をする
「毎日配達を頼もう」ではなく、「一回だけ試してみようよ」と、ハードルを低くすることで、受け入れやすくなります。
一度体験してみれば、「意外と便利だな」と思ってもらえる可能性が高まります。
高齢の親に宅配食サービスを勧めるときは、説得ではなく、ナッジの手法を活用することがポイントです。
「人助け」「お試し」「気軽さ」を意識した頼み方をすれば、親も自然と受け入れやすくなります。
宅配食サービスの利用が親の負担軽減につながるよう、上手な伝え方を工夫してみましょう。
日本では、介護の需要が高まっているのが現状です。介護に関して不安ばかりという方も多いのではないでしょうか?介護保険制度を活用すれば、さまざまなサービスを利用できます。今回は、介護するときの流れについて以下の点を中心にご紹[…]
介護のことになると親子はなぜすれ違うのか
親が高齢になり、「介護」を考えるとどんどん出てくる家族のお悩み――――
親子だから、家族だからこそのすれ違い――――
もう、悩まなくていいんです!
介護をラクにする相手に伝わるコミュニケーション術が親に効く!
行動経済学と福祉社会学、看護の専門家がそれぞれの家族介護経験と専門知識、
ノーベル経済学賞を受賞した「ナッジ(※1)」を用いてみなさまを解決へ導きます。
本書では、8家族の事例を紹介し、それぞれの親が持つ「わかってはいるけど、できない心理(高齢者によく見られる認知バイアス)」が親子のすれ違いに関係していると解説しています。
この「認知バイアス(※2)」に対して、著者3名が自らの家族介護経験と専門知識、そして「ナッジ」を用いて解説しています。
※1:直訳すると「そっと後押しをする」「ひじでつつく」という意味の英語。
2017年にノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラー博士が提唱した理論で、
「ついそうしたくなる心理」をくすぐって、直感的に望ましい行動をしたくなる仕掛けを指す。
※2:人の脳が持つ、自分に都合よく、解釈を歪めてしまう習性。
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