以前は出かけるのが好きだったのに、最近は家の中で過ごす時間が増えています。
- 「家にばっかりいないで、外出でもして気分転換しようよ。」
- 「家にいるのが合ってるのよ。」
このようなやりとりが続くと、周囲の人は「どうしてこんなに頑ななのだろう?」と感じるかもしれません。
しかし、ここには「現状維持バイアス」が強く影響しています。
年齢を重ねると、現状を維持しようとする心理が強まり、「今の生活が安定している」という感覚が優先されやすくなります。
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心の内側をのぞくと…「現状維持バイアス」の影響とは?
引きこもり生活が続くと、その生活が「安心できる状態」として固定化されやすくなります。年齢を重ねると、「今の生活が最も安定している」という感覚が強まり、変化への抵抗感が強くなるのです。
現状維持バイアスとは、「今のままで十分」と思い込み、新しい行動を避けようとする心理的傾向です。特に、長期間引きこもり生活を続けていると、家の中が「唯一の安心できる場所」として認識され、外出が「リスクを伴う行為」と感じられるようになります。
例えば、「無理に外出して疲れたらどうしよう」「失敗したら取り返しがつかない」といった不安が先行し、「変化を避けることで安心感を保ちたい」という心理が働きやすくなります。
さらに、過去の経験が「成功体験」として固定化されることで、「これで問題ない」「外に出なくても生活できている」と思い込むことも少なくありません。
加えて、外出への自信の低下も影響します。「外に出ても楽しめるかわからない」「誰かに会ったらどう対応して良いかわからない」といった不安が、「家の中にいれば安心」という選択を強化してしまうのです。
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ナッジを活用して「行きたくなる理由」を作る
現状維持バイアスが強い相手に外出を促す際は、「外に出よう」と直接言うのではなく、「行きたくなる理由」を自然に作ることが効果的です。
感情に響く出来事や季節の行事を上手に活用することで、「それなら行ってみようかな」と思わせるきっかけを提供できます。
例えば、「来月最後の教え子の卒業式があるのよ」という話が出たとき、「それはぜひ、おめかしして出かけたいよね!」と共感することで、過去の良い記憶や感情に結びつけながら外出の動機づけができます。
無理に外出の必要性を押し付けるのではなく、本人が自然に「行きたくなる理由」を見つけることがポイントです。
季節の行事や新しい出来事も効果的なアプローチです。
「桜が咲いているから、お花見に行かない?」「新しいカフェができたみたいよ。お茶でもしに行こう。」といった形で、「外出そのもの」を目的にするのではなく、「楽しみの延長線上に外出がある」という流れを作ることで、現状維持バイアスの抵抗感を和らげることができます。
相手が心を開いたタイミングを見計らい、「無理に連れ出す」のではなく、「行きたくなる状況」を作ることで、自然に行動を促せるようになります。
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外出を促す際に心がけたいポイント
現状維持バイアスが強い相手に外出を促す際は、「無理に連れ出そう」とするのではなく、自然な形で行動を引き出す工夫が求められます。
以下のポイントを意識しましょう。
- 過去の良い記憶をきっかけにする: 昔の楽しみや思い出に関連する出来事を提案することで、抵抗感を和らげやすくなる
- 季節の行事や新しい出来事を活用する: 「桜が咲いているよ」「新しいカフェができたみたい」と自然な会話の中で外出のきっかけを作る
- 命令ではなく提案の形で伝える: 「出かけなきゃダメ」ではなく、「気分転換に○○してみない?」と、選択肢を与える形で促す
外出そのものを目的にするのではなく、「行きたくなる理由」を自然に提供することで、現状維持バイアスを刺激せずに行動を引き出しやすくなります。
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