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はじめに:介護現場の「壁」を乗り越える
認知症の方々が共同生活を送るグループホーム。
「入居者様には楽しく過ごしてほしい」と願う一方で、現場の職員は常に「安全」という大きな責任を背負っています。
「何かあったらどうする?」「これは危ない、あれも危ない」「今のシフトの人数では無理かもしれない」
埼玉県にある「愛の家グループホーム桶川」でも、かつてはこうした言葉が聞かれ、新しいことを始める前にブレーキがかかってしまうことがありました。
しかし、ある一つの行事をきっかけに、ホームの空気は劇的に変わり始めます。
今回は、職員の意識改革と、それによって生まれた入居者様・ご家族・スタッフの笑顔の連鎖について、同ホームの実践事例をご紹介します。
「危ない」よりも「楽しい」を共有したい。家族を招いたクリスマス会
愛の家グループホーム桶川の転機となったのは、冬のクリスマス会でした。
それまでも季節の行事は行っていましたが、この時は「ご家族様をホームにお招きし、食事を共に楽しむ」という、桶川の長い歴史の中でも「初」となる試みに挑戦したのです。
手作りの温かさと、家族の絆
当日は、入居者様8名に対し、4組のご家族様が来訪されました。
メニューは既製品ではなく、スタッフと入居者様が協力して作った手作りのハンバーグやポテトサラダ。
ノンアルコールビールで乾杯し、ビンゴ大会やカラオケを楽しみました。
普段は施設内で過ごす入居者様も、ご家族が隣にいるだけで表情が輝きます。
フィナーレでは、入居者様(親)からご家族(子)へ、手作りのツリーをプレゼント。
「施設に入ったから離れ離れ」ではなく、「施設が家族団らんの場になる」。
そんな温かい時間が流れ、職員の中にあった「大変そう」「リスクがある」という不安は、「やってよかった」という達成感へと変わっていきました。
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日常の「買い物」から、3ユニット合同の「夏祭り」へ
クリスマス会の成功体験は、スタッフの背中を大きく押しました。
自分で選ぶ喜びを(買い物レク)
「危ないから」と遠ざけていた外出や買い物も積極的に行うようになりました。
スライドの写真には、スーパーで真剣な眼差しで商品を選ぶ入居者様の姿があります。
「お蕎麦が食べたい」「甘いお菓子がいい」
自分で見て、選んで、カゴに入れる。
当たり前のことのようですが、認知症ケアにおいてこの「自己決定」のプロセスは、脳への良い刺激になるだけでなく、生きる意欲を引き出します。
地域とつながる夏祭り
自信をつけたチームは、さらに大きな目標を掲げました。
「3ユニット合同・ご家族参加型の夏祭り」です。
これまではフロアごとに分断されがちだった活動を、ホーム全体の一大イベントにスケールアップ。
焼きそば、かき氷、ヨーヨー釣りなど、本格的な屋台を用意し、入居者様も法被(はっぴ)を着てお祭りムードを満喫しました。
「凝り固まった考えを取り払う」
新しいスタッフもベテランスタッフも、役職の垣根を超えて「どうすれば楽しめるか」を話し合う。
月1回の会議で意見を出し合い、実行委員会を発足させるなど、組織としての動きも活発化していきました。
現場のリアルな本音。「正直、最初は面倒だった」
素晴らしい成果が出ている実践報告ですが、最初から全員が前向きだったわけではありません。
ここでは、2名のスタッフ(Aさん、Bさん)の「正直な気持ちの変化」をご紹介します。
これは、多くの介護職の方が共感できるリアルな感情ではないでしょうか。
【当初の気持ち】
「手作りおやつをやる」と聞いた時、正直こう思いました。
「忙しいし、そんな時間ないのに。なんて無茶なことを言うんだ」
【今の気持ち】
「今は楽しい! 利用者さんの笑顔が見られて『やってよかった』と思える。
次は作ってあげようかな?と、自分自身も楽しみになっている」
【当初の気持ち】
「えー、面倒だなと思ってしまった。
作ることよりも、そのための材料の買い出しに行くのが面倒だな…と」
【今の気持ち】
「日曜日は『手作りおやつの日』と決まっているから自然と体が動く。
材料さえあれば作るよ! だって、利用者さんの笑顔が見られるのはやっぱり嬉しいから」
「やらされ仕事」が「やりたい仕事」へ
二人の言葉に共通しているのは、「入居者様の笑顔」が原動力になったという点です。
最初は業務負担への懸念(面倒、時間がない)が先に立っていましたが、実際にやってみて喜ぶ顔を目の当たりにすることで、意識が180度変わりました。
「次はこれを作ってあげたい」という自発的な想いは、ケアの質を確実に高めています。
まとめ:視線の先を「入居者様」に合わせる
愛の家グループホーム桶川の事例が教えてくれるのは、「スタッフ全員のベクトルを合わせること」の重要性です。
かつての課題は、スタッフが「業務」や「リスク」の方を向いてしまっていたことでした。
しかし、行事や日々の関わりを通じて、全員の視線が「入居者様個々のやりたいこと」に向くようになりました。
- 課題: スタッフ全員の方向性の統一
- 目標: 入居者様一人ひとりの想いへの寄り添いと、その人らしい生活の実現
「危ないからやめる」ではなく、「どうすれば安全にできるか」を考える。
その積み重ねが、入居者様のQOL(生活の質)向上だけでなく、働くスタッフの笑顔とやりがいにもつながっています。
MCSの運営する「愛の家」では、これからも入居者様の「やりたい」を叶える自立支援ケアに取り組んでまいります。
愛の家グループホーム 桶川

アクセスJR高崎線 北上尾駅より徒歩5分
TEL 050-1721-7383
ホーム長からのご挨拶

こんにちは!ホーム長の安田邦生です。
愛の家グループホーム桶川はJR北上尾駅から
徒歩5分の閑静な住宅街の中にあります。
我がホームは、全国に300ケ所以上ある愛の家の第1号!!
愛の家のはじまりの場所です。
歴代のホーム長の想いを繋ぎ、笑いの絶えない明るく、楽しいホームにしたいと思います。
そしてご入居者、ご家族、一緒に働く職員に「ここを選んでよかった」と思って頂けるように全力投球していきます!
是非お気軽にお声がけ下さい(^^)どうぞよろしくお願いいたします。






