「親の物忘れが増えてきたけれど、もしかして認知症だろうか」「認知症にはどんな種類があり、どれくらいの割合で発症するのだろう」と不安を感じていませんか?
超高齢社会を迎えた日本において、認知症は誰にとっても身近なテーマとなっています。認知症は単一の病気ではなく、原因となる脳の病変によっていくつかの種類に分かれ、それぞれ症状や進行の仕方が異なります。
近年では、アルツハイマー病の進行を抑える新薬の登場や、血液で早期リスクを調べる最新検査の開発など、医療技術も大きく進化しています。正しく予防・対策を行うためには、認知症の種類ごとの割合や特徴を正しく理解することが第一歩です。
本記事では、日本における認知症の最新有病率をはじめ、種類別の発症割合(4大認知症+その他の認知症)、男女比・年代別の傾向、介護現場の現状まで分かりやすく解説します。

スポンサーリンク
日本における認知症の最新発症率・有病率の現状
日本では高齢化の進展に伴い、認知症の当事者数が増加を続けています。
【日本の認知症に関する現状のポイント】
- 65歳以上の高齢者のうち「約5人に1人(約20%)」が認知症になる推計
- 認知症の前段階である「軽度認知障害(MCI)」を含めるとさらに増加
- 早期診断技術(血液検査・画像検査)や新薬の登場による早期対応の重要性の高まり
高齢者人口の推移と認知症患者数
65歳以上の高齢者人口は増加傾向にあり、日本の総人口に占める割合も高い水準を維持しています。
厚生労働省などの最新推計によると、2025年以降、65歳以上の高齢者のうち約5人に1人(約20%)が認知症を発症すると見込まれています。
軽度認知障害(MCI)の重要性
認知症の前段階とされる「軽度認知障害(MCI:Micro Cognitive Impairment)」の該当者も数多く存在します。
MCIの段階で適切な運動、食事改善、脳トレ、生活習慣病の管理などの予防的アプローチを行うことで、認知機能を正常な状態へ回復させたり、認知症への進行を遅らせたりできることが分かっています。
スポンサーリンク
認知症の種類別の割合と主な特徴(4大認知症)
認知症の原因となる疾患の中で、特に発症頻度が高い上位4つを「4大認知症」と呼びます。
【認知症の種類別・発症割合の目安】
- アルツハイマー型認知症:約67.6%(圧倒的1位)
- 脳血管性認知症:約19.5%(第2位)
- レビー小体型認知症:約4.3% (第3位)
- 前頭側頭型認知症:約1.0%
- その他(アルコール性・頭部外傷・正常圧水頭症など):約8%
① アルツハイマー型認知症(割合:約67.6%)
日本で最も多く、認知症全体の約7割近くを占めるのがアルツハイマー型認知症です。
原因:脳内に「アミロイドβ」や「タウ」と呼ばれる異常なタンパク質が長年かけて蓄積し、神経細胞が破壊されて脳(特に記憶を司る海馬)が萎縮することで発症します。
主な症状:
- 初期:直前の出来事や会話を忘れる「短期記憶障害」、日付や曜日が分からなくなる「時間の見当識障害」
- 進行期:道に迷う「場所の見当識障害」、服の着方が分からなくなる「失行」、徘徊や物盗られ妄想などの周辺症状(BPSD)
② 脳血管性認知症(割合:約19.5%)
第2位の割合を占めるのが、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳血管障害に伴って起こる血管性認知症です。
原因:脳の血管が詰まったり破れたりすることで、その先の脳神経細胞に酸素や栄養が行き渡らなくなり、組織が損傷・壊死することで生じます。
主な症状:
- まだら認知症:できることとできないことの差が激しい(記憶はしっかりしているが計算や判断だけができない等)
- 段階的な進行:脳卒中を発症・再発するたびに階段状に症状が悪化する
- 伴いやすい症状:手足の麻痺、歩行障害、感情のコントロールがきかなくなる「感情失禁」
高血圧や糖尿病といった生活習慣病の管理が予防の鍵となります。
③ レビー小体型認知症(割合:約4.3%)
高齢者を中心に多く見られる神経変性疾患です。
原因:脳の神経細胞内に「レビー小体」と呼ばれる特殊な異常タンパク質が集積することで発症します。
主な症状:
- リアルな幻視:「部屋の隅に知らない子供がいる」「壁に虫が這っている」など、存在しないものが鮮明に見える
- パーキンソン症状:手足の震え、筋肉のこわばり、小刻み歩行、転倒しやすくなる
- 認知機能の動揺:日や時間帯によって、頭がしっかりしている時と混乱している時の波が激しい
- レム睡眠行動障害:睡眠中に大声を出したり、激しく暴れたりする
④ 前頭側頭型認知症(FTD / ピック病など)(割合:約1.0%)
思考や理性を司る「前頭葉」や、言語・記憶を司る「側頭葉」が局所的に萎縮する病気です。
原因:前頭葉や側頭葉の神経細胞が徐々に脱落・萎縮していきます。65歳未満で発症する「若年性認知症」の割合が比較的高いことが特徴です。
主な症状:
- 社会性の欠如・人格変化:理性やブレーキがきかなくなり、万引き、赤信号での横断、他者への配慮の欠如など社会ルールを無視した行動(脱抑制)をとる
- 刻印付け行動・周刻的行動:毎日全く同じ時間に同じコースを散歩する、同じ物を食べ続けるなどパターン化した行動に執着する
- 言語障害:言葉の意味が分からなくなったり、同じ言葉を繰り返し発する
その他の認知症(治る可能性のある認知症など)
認知症の中には、過度の飲酒や頭部のケガが原因で起こるものや、医療機関での早期手術・治療によって症状が回復する「治る認知症」も含まれます。
アルコール性認知症(割合:約4%)
長年にわたる過度なアルコール摂取や、それに伴うビタミンB1不足などが原因で発症します。
記憶障害、感情の起伏、作話(辻褄を合わせるために嘘をつく)、手の震えなどが見られます。早期の節酒・禁酒と栄養補給によって進行を食い止めることが可能です。
頭部外傷による認知症・慢性硬膜下血腫(割合:約4%)
転倒や交通事故などで頭を強く打った後、数週間〜数か月かけて頭蓋骨と脳の間に血液が少しずつ溜まり(慢性硬膜下血腫)、脳を圧迫することで物忘れや歩行障害が起こります。
外科手術で溜まった血液を排出すれば、認知機能が大幅に改善・完治する代表的な疾患です。
4大認知症・主要認知症の比較一覧表
| 認知症の種類 | 割合の目安 | 主な原因 | 代表的な初期症状・特徴 |
|---|---|---|---|
| アルツハイマー型 | 約67.6% | アミロイドβ・タウの蓄積 | 短期記憶障害、時間の見当識障害、緩やかな進行 |
| 脳血管性 | 約19.5% | 脳梗塞・脳出血などの脳血管障害 | まだら認知症、歩行障害、感情失禁、段階的進行 |
| レビー小体型 | 約4.3% | レビー小体の蓄積 | リアルな幻視、パーキンソン症状、調子の波 |
| 前頭側頭型 | 約1.0% | 前頭葉・側頭葉の萎縮 | 人格変化、社会性の欠如、同じ行動の反復 |
| アルコール性 | 約4.0% | 大量飲酒・栄養障害 | 記憶障害、作話、感情障害 |
| 頭部外傷性(硬膜下血腫等) | 約4.0% | 頭部打撲による出血圧迫 | 歩行障害、物忘れ(※手術で完治可能性あり) |
スポンサーリンク
認知症の「男女別」・「年代別」の割合・有病率
認知症の発症率は、性別や年代によって明確な差が存在します。
男女別の発症割合(なぜ女性の方が多いのか?)
統計データによると、認知症の有病率は男性よりも女性の方が高いことが分かっています。
【年代別の男女別・有病率の例】
- 85〜89歳:女性 48.5% / 男性 35.6%
- 90歳以上 :女性 71.8% / 男性 42.4%
女性の割合が高い理由として、主に以下の要因が挙げられます。
- 女性の方が平均寿命が長い:認知症最大の危険因子は「加齢」であるため、長寿である女性の方が発症リスクに晒される期間が長くなる
- アルツハイマー型の女性好発性:認知症の7割を占めるアルツハイマー型認知症自体が、男性よりも女性に発症しやすい傾向がある(※逆に、血管性認知症は男性にやや多い傾向がある)
年代別の有病率割合(年齢とともに急増)
認知症の発症率は、75歳を境に急激に上昇します。
- 64歳以下:非常に稀(若年性認知症)
- 65〜74歳:10%未満
- 75〜79歳:約10.4%
- 80〜84歳:約22.4%(約5人に1人)
- 85〜89歳:約44.3%(約2人に1人)
- 90歳以上 :約64.2%(約3人に2人)
80代後半以降になると、半数近くの方が何らかの形で認知機能の低下を経験することになります。
スポンサーリンク
認知症の方を支える「介護現場」の現状と課題
認知症患者の増加に伴い、介護サービスやケアを担う「介護職員」の確保が大きな社会課題となっています。
要介護認定者数と介護人材
全国の要介護・要支援認定者数は650万人を超えて推移しており、介護サービスを必要とする高齢者は増え続けています。
一方で、介護労働安定センターなどの調査によると、介護サービス事業所の約6割〜8割近くが「職員の不足感」を抱えていると回答しています。特にホームヘルパーなどの訪問介護員における人手不足が深刻化しています。
ご家族だけで抱え込まないアプローチ
40代・50代の介護世代において、親の認知症介護と仕事・育児との立腹(ビジネスケアラー問題)が表面化しています。
在宅介護を限界まで一人で背負い込むのではなく、早期から地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、デイサービスやショートステイ、訪問介護などの介護保険サービスを計画的に取り入れることが、家族全員の笑顔を守る鍵となります。
スポンサーリンク
まとめ
認知症の種類や割合についての重要ポイントの振り返りです。
- 認知症の割合はアルツハイマー型が約7割で最多(次いで脳血管性、レビー小体型の順)
- 高齢者の「約5人に1人」が認知症になる時代(85歳以上では約2人に1人に跳ね上がる)
- 女性の方が有病率が高い(平均寿命の長さやアルツハイマー型の好発性が影響)
- 早期発見・適切な診断が必須(治療で治る認知症や進行を抑えられるケースが増加)
「物忘れが増えたな」と感じたときは放置せず、物忘れ外来や脳神経内科、地域包括支援センターへ早めに相談しましょう。正しく種類を見極め、プロのケアと連携しながら備えていくことが大切です。

