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トップページ>認知症を学ぶ>認知症予防やリハビリにも効果的?運動療法の効果から種類まで解説!

認知症予防やリハビリにも効果的?運動療法の効果から種類まで解説!

認知症の方の治療には運動療法というものがあり、今回はそんな運動療法について以下の項目を中心に解説していきます。

  • 認知症における運動療法の目的や効果
  • 運動療法の種類とメリット
  • 運動療法の注意点

この記事をご覧いただき、運動療法の理解を深めるための参考にしていただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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認知症の運動療法の目的と効果

認知症の治療には薬物療法と、薬物を用いらない非薬物療法があります。
また、非薬物療法の1つには運動療法があり、運動を通して心身機能を高める効果があります。

認知症によって二次的に衰える筋力を増強したり、関節の動きや動作を改善したりすることが期待できます。
心身機能を高めるとされている運動療法ですが、具体的な目的や効果はどのようなものなのでしょうか。

ここからは、運動療法の目的と効果をご紹介します。

目的

認知症に対する運動療法の目的には以下のことが挙げられます。

  • 認知症により低下する体力や筋力、バランス能力などの維持と改善
  • 立つ、歩く、座るなど日常生活で重要な動作の維持と改善
  • 生き生きと活動的に日常生活を送り、生活の質を高める
  • ストレス発散効果により心のバランスを保つ
  • 脳血管疾患、糖尿病、高血圧症などの生活習慣病の予防と改善
  • 筋肉や骨に刺激を与え、筋肉の萎縮や骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の予防

効果

認知症を発症すると徐々に自分の力で行えることが減り、筋力や関節可動域、持久性や耐久性など身体機能が低下します。
身体機能が低下することでさらに日常生活に必要な動作が困難となり、寝たきりや転倒のリスクが高くなります。

認知症の方が日常生活を満足に送れないことで抱える不安やストレスは増加し、心身にもたらされるダメージは計り知れません。

そして、認知症の方に必要な介助量が増えれば、介護者である家族の負担も大きくなります。
しかし、運動療法を行うことで認知症によって低下する身体機能を維持し、生活の質を保つことができます。

さらに、生活の質を保つだけではなく、介護でかかる負担を軽減することもできます。
運動療法は身体機能を維持するほか、身体を動かすことでストレス発散効果も期待できるため心の安定に繋がります。

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認知症の運動療法の種類

認知症に対する運動療法にはいくつかの種類があります。

ここからは、認知症の運動療法の種類を4つご紹介します。

関節可動域訓練

関節可動域訓練とは、関節を動かすことで関節の動きを改善したり、関節拘縮を予防したりする訓練です。
関節拘縮とは何らかの原因で関節が動きにくく状態です。

介護者が介助を行う他動運動と、本人が自ら行う自動運動の2種類があります。
関節の動きが制限されている箇所は人によって異なるため、どの訓練を重点的に行うべきかは専門家に相談する必要があります。

筋力増強訓練

筋力増強訓練とは、筋力を増やすことで身体機能の回復や向上を図る訓練です。
他人の力や機械によって負荷をかける抵抗運動と、自分自身で行う自動運動があります。

また、筋肉の収縮別に関節の運動を伴わない等尺性収縮、関節の動きを伴う等張性収縮、筋肉の収縮を一定で行う等速性収縮があります。

両手を壁について力一杯押したり、椅子に座って足を真っ直ぐ伸ばした状態でキープしたりする動作は等尺性収縮にあたります。
対して等張性収縮は、バーベルやダンベルなどの道具を押し上げる動作です。
等速性収縮では、アイソキネティックマシーンと呼ばれる特殊なマシーンを用いて行われます。

ストレッチ

ストレッチは筋肉の柔軟性を高めたり、関節の可動域を広げたりする効果があります。
激しい動きを伴わないため、気軽に取り組みやすいのがメリットです。

有酸素運動

有酸素運動は、身体に軽〜中程度の負荷をかけながら継続して行う運動です。
有酸素運動で代表的なものには、ウォーキング、ジョギング、水泳、ヨガなどがあります。

酸素が体内を巡り全身の血行が良くなることで、脳細胞や前頭葉の活性化の効果が期待できます。

運動療法を行うメリットは?

運動療法には運動を行うことで得られる効果だけではなく、様々なメリットがあります。
ここからは、運動療法を行うメリットを4つご紹介します。

心身機能が同時に高まる

身体機能が低下することで影響を受けるのは身体だけではありません。
気分が落ち込みやすくなったり、何に対してもやる気が起きなくなったりするなど心の健康を損なうことにも繋がります。

気分が落ち込むことにより、認知症がさらに進行する可能性もあります。

しかし、運動療法では身体機能を維持・改善すると同時に、ストレス発散やリラクゼーション効果などから心の安定を得ることができます。
心身機能を同時に高める運動療法は、認知症の方の生活をより豊かにする効果をもたらしてくれるのです。

日常生活に取り入れやすい

運動療法は特別な道具がなくても行うことができるため、日常生活に取り入れやすいのがメリットの一つです。
中でもウォーキングやストレッチなどは気軽に始めることができるので、運動が苦手な方や初心者の方でも取り組みやすいです。

認知症が進行しても継続しやすい

運動療法は、認知症が進行しても継続しやすいこともメリットとして挙げられます。
なぜなら、認知症の方は習慣化したものや体で覚えたことは記憶に残りやすいからです。

運動を生活の楽しみや喜びとして習慣化すれば、認知症が進行した場合でもその後の生活を支える生きがいとなるでしょう。

介護者も楽しめる

認知症の方の介護をしていると、介護者は自分の健康まで気にかける時間がなくなってしまいます。
しかし、認知症の方と一緒に運動を楽しむことで、介護者の健康状態の維持や改善効果も期待できます。

認知症の方の健康は非常に重要ですが、介護者がいてこそ成り立つものです。
そのため、認知症の方と介護者の両方の立場にメリットがある運動療法は、今後の生活を支えてくれるでしょう。

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運動療法の注意点

運動療法は、認知症の方にとって非常に効果的であることはご理解いただけたと思います。

しかし、やり方によっては効果が半減してしまうこともあります。
以下で注意点について解説します。

過度になりすぎない程度に行う

認知症の方は、自分が無理していることを伝えられない、プライドによって伝えるのが遅くなるといった可能性があります。
また、高齢のため、無理な運動をすれば捻挫や骨折などの怪我にもつながりかねません。

認知症の方の身体状況を把握するために、事前にかかりつけ医や看護師などに相談しておきましょう。

目的を忘れない

運動療法の目的は、楽しみながら心身の健康を維持することにあります。
認知症を治すことではありません。

レクリエーションが難解すぎる、認知症の方にとって辛いものになっているといった状況は本質的ではありません。

本来の目的に沿ったプログラムを作ることに注力しましょう。

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その他の非薬物療法は?

認知症における非薬物療法は、運動療法以外にも様々なものがあります。
ここからは、運動療法以外の非薬物療法を4つご紹介します。

回想法

回想法とは、昔の写真や使用していた馴染み深い家庭用品などを見たり、実際に触れたりしながらこれまでの経験や思い出を語り合う心理療法の1つです。

昔の経験や思い出を実際に言葉にして話したり、他者の話を聞いたりすることで脳が活性化する効果があります。
また、活動性や自発性が向上し、認知症の進行を遅らせることも期待できます。

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音楽療法

音楽療法とは、認知症の方が好きな曲を聞いたり歌ったり、演奏をしたりする療法です。
認知症の方が抱える不安や痛みを軽減し、心の安定や自発性の促進に繋がります。

たとえ意思疎通が困難な方であっても、音楽を通すことでコミュニケーションがとりやすくなります。

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アロマテラピー

アロマテラピーはアロマ療法とも言われており、アロマの香りによって脳を活性化させる効果があります。
また、アロマにはストレスを軽減する効果もあるため、認知症の方が持つ不安や悲しみなどを解消してくれます。

アニマルセラピー

アニマルセラピーは、実際に動物と触れ合うことで心に癒しを与える、活動性の向上を促すことなどを目的として行われます。
中でも犬や猫がアニマルセラピーに用いられることが多いです。

普段は表情の変化や自発性がみられない方でも、実際に動物と触れ合うことで笑顔になったり、積極的に触ったりするなどの良い変化をもたらす効果が期待できます。

認知機能と運動機能に着目したコグニサイズ

コグニサイズとは、認知課題と運動課題を同時に行うことで脳と身体機能の向上を図るものです。
ステップを踏みながら3の倍数で手を叩いたり、歩きながらしりとりをしたりするなどのトレーニングがあります。

コグニサイズは複数人で行えるので、楽しみながら実践することができます。

たとえ間違えてしまったとしても、笑って考えながら楽しむことが大切です。
動きながら話せる程度の強度で行い、一回の時間が短くても毎日継続するとさらに効果が期待できます。

薬の使い方

認知症と運動療法のまとめ

今回は、認知症に対する運動療法についてご紹介しました。

要点を以下にまとめます。

  • 運動療法の目的は体力や筋力の維持や向上など
  • 運動療法には、認知症の方の生活の質を保つといった効果もある
  • 運動療法の種類には、関節可動域訓練、ストレッチ、有酸素運動などがある
  • 運動療法には、心身機能を同時に高める、日常生活に取り入れやすいなどのメリットがある

これらの情報が皆さまのお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
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  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
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