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トップページ>健康お役立ち記事>高齢者の病気>緑内障の手術が必要な人とは?|手術内容・注意点・合併症を説明

緑内障の手術が必要な人とは?|手術内容・注意点・合併症を説明

緑内障は日本人の失明原因の第1位と指摘されています。

緑内障による失明を防ぐには、手術による治療を選択するのも1つの方法です。

ところで、緑内障の手術とはどのようなものなのでしょうか。
本記事では、緑内障の手術について、以下の点を中心にご紹介します。

  • 緑内障の手術が必要なケースとは
  • 緑内障の主な手術
  • 緑内障の手術後の注意点
  • 緑内障手術による合併症とは

緑内障の手術について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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緑内障とは

緑内障とは、視覚障害の1種です。
眼と脳をつなぐ視神経に障害が起きることで、視野が徐々に欠けていきます。

緑内障は、放置すると失明のおそれがあります。
実際に緑内障は、日本人の失明原因の第1位とも指摘されています。

緑内障は点眼薬・外科手術による治療が可能です。
ただし、治療したとしても、いちど失われた視野は復活しません

緑内障によって損傷した視神経は再生しないためです。

緑内障の治療の目的は、症状の進行をゆるやかにして、いま残されている視野をできる限り維持することです。

視野をできる限り広く保つためにも、緑内障の症状に気づいたら、早めに治療を開始しましょう。

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緑内障の手術が必要な人

緑内障の手術が必要なのは、たとえば以下のような方です。

  • 点眼薬で眼圧が十分に下がらない場合
  • 眼圧は下がったものの、視野の欠損に歯止めがかからない場合

ちなみに眼圧とは、房水による圧力のことです。
房水とは、眼球内を循環する水分です。

房水は通常、目の毛様体で生成され、線維柱帯・シュレム管を通って体外に排出されます。しかし房水の通路が何らかの原因で塞がると、房水は眼球内に留まります。

目の中に過剰な房水が蓄積されるため、眼球がふくらんで硬くなります。
房水によって眼球が高くなった状態が、「眼圧が高い」という状態です。

眼圧が高くなると、眼球が視神経を圧迫します。
結果、視野の一部が欠ける現象つまり「緑内障」が起こるのです。

多くの場合、緑内障の治療では、まず眼圧を下げる効果のある点眼薬が用いられます。
点眼薬で十分な効果が得られない場合、次の選択肢として手術が検討されます。

ただし、緑内障の発見時に症状がかなり進行していた場合などは、最初から手術が選択されることもあります。

緑内障の手術が必要なタイミングは、個人によって異なります。
納得のいく治療を受けるためにも、手術を受けるタイミングについては、かかりつけ医とよく相談してください。

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緑内障の手術内容

点眼薬による効果が十分でない場合は、手術による治療が検討されます。
あるいは、視野欠損によって日常生活に著しい支障が出ている場合も、手術を検討すべきタイミングです。

手術方法は、主にレーザー手術と観血手術の2種類があります。
どちらが適用されるかは、緑内障のタイプ・症状の度合いなどによって異なります。

レーザー手術

レーザー手術は、レーザー照射によって眼圧を下げる方法です。
観血手術に比べると、身体への負担が少ないのが特徴です。

手術時間も短めで、クリニックによっては日帰り手術を実施しているところもあります。
一方、観血手術に比べると、治療効果の持続時間が短いというデメリットがあります。

レーザー手術の適応例は以下の通りです。

  • 原発開放隅角緑内障
  • 原発閉塞隅角緑内障
  • 正常眼圧緑内障

レーザー手術は、緑内障発作を起こしている場合に選択されます。
また、将来的に緑内障発作を起こす可能性が高い場合にも利用されます。

レーザー虹彩切開術

レーザー虹彩切開術は、レーザーで虹彩を切開する術式です。
虹彩とは、水晶体と角膜の間にある膜のことです。

レーザー虹彩切開術が利用されるのは、主に原発閉塞隅角緑内障というタイプです。
原発閉塞隅角緑内障は、目の中にある隅角という部位が閉じることで発症します。

隅角は、眼球内を循環する「房水」の排出口です。
隅角が閉じてしまうと、房水は出口を失って眼球内に蓄積されます。

すると眼圧が高くなるため、眼球が視神経を圧迫して緑内障に至ります。
レーザー虹彩切開術では、虹彩に小さな穴を開けることで、房水の排出口を作ります。

虹彩にできた排出口から房水が正常に排出されれば、眼圧は低下しやすくなります。

選択的レーザー線維柱帯形成術

選択的レーザー線維柱帯形成術は、線維柱帯の詰りを解消する方法です。
原発開放隅角緑内障や正常眼圧緑内障の治療に用いられます。

原発開放隅角緑内障とは、線維柱帯が目詰まりを起こして眼圧が上昇したタイプです。
正常眼圧緑内障は原発開放隅角緑内障のうち、眼圧が20mmHg以下のタイプを指します。

線維柱帯とは、角膜と虹彩の間にあるメッシュ状の膜です。
通常、房水は線維柱帯の隙間を通過して排出されます。

もし線維柱帯の網目が詰まると、房水が通過できなくなります。
房水が排出されないと眼圧が高くなるため、眼球が視神経を圧迫します。

線維柱帯が目詰まりする原因として、メラニン色素の発生が指摘されています。
選択的レーザー線維柱帯形成術では、線維柱帯を目詰まりさせているメラニン色素に標的をしぼって、レーザーを照射します。

メラニン色素が破壊されれば、線維柱帯の目詰まりは解消されます。
房水の通り道が復活するため、眼圧が下がりやすくなるというわけです。

選択的レーザー線維柱帯形成術は、他の術式に比べると治療効果が薄いと指摘されます。
しかし身体への負担が少なく、術後の合併症のリスクも低いことから、緑内障の治療としてよく用いられています。

観血手術

観血手術はメスを使う術式です。
適用されるのは以下のようなタイプの緑内障です。

  • 原発開放隅角緑内障
  • 原発閉塞隅角緑内障
  • 正常眼圧緑内障

観血手術は、点眼薬やレーザー手術の効果が十分でない場合に選択されます。
治療の目的は、早急に眼圧を下げて、緑内障の進行を食い止めることです。

観血手術は、レーザー手術に比べると治療効果が高いと指摘されています。
そのぶん身体への負担が大きく、術後の感染症リスクも高めです。

そのため観血手術では、多くの場合、手術後の入院が必要です。

流出路再建術

線維柱帯の目詰まりした部分を切開して網目を広げ、房水の排出を促す方法です。
線維柱帯切開術あるいはトラベクトームとも呼ばれています。

手術後は眼内出血が起こり、視力が一時的に低下します。
眼内出血は日数の経過とともに収まり、伴って視力も回復することが一般的です。

流出路再建術は、観血手術の中では身体への負担が比較的少ない術式です
手術時間も短めで、術後の感染症リスクやメンテナンスの必要性もさほど高くありません

観血手術の中では治療効果が低めですが、若年者の緑内障などには高い効果が期待できます。

濾過手術

線維柱帯の一部を切り取り、房水の排出路を新しく形成する方法です。
線維柱帯切除術あるいはトラベクレクトミーとも呼ばれます。

濾過手術は緑内障手術を代表する術式です。
治療効果が高く、ほとんどすべての緑内障タイプに適用できる点がメリットです。

一方、デメリットとして術後に入念なケアが必要である点が挙げられます。
濾過手術は治療効果が高いぶん、必要以上に眼圧を下げてしまうおそれがあるためです。

そのため濾過手術では、切除した部分をあらかじめきつめに縫合しておき、房水の過剰な排出を防ぎます。

術後は定期的に眼球の様子を調べ、必要があれば縫合部分をゆるめるなどのメンテナンスをします。

チューブシャント手術

目の中にチューブを挿入することで、房水の排出路を設ける方法です。
濾過手術の効果が十分でない場合や、術後の感染症リスクが高い場合に選択されます。

チューブシャント術は、眼圧を下げる効果が高い術式です。
また、術後の感染症リスクが低い点もメリットです。

デメリットは、術後のケア・メンテナンスが十分でない場合、視力が低下する可能性があることです。

術後にチューブがずれる可能性にも留意してください。
チューブの位置がずれた場合は、再手術して固定し直す必要があります。

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緑内障の手術後の注意点

緑内障手術は、術後の感染症リスクを伴います。
感染症を患うと、視力低下や失明などが起こる可能性があります。

感染症を防ぐためにも、術後は以下のような点に注意してください。

目を叩いたりこすったりはしない

術後は、基本的に目に触れるのはNGです。
目を刺激すると傷口が開き、そこから細菌が侵入するおそれが高いためです。

特に術後1週間は、傷口が開きやすくなっています。
医師の許可が出るまでは、目をこすったり、叩いたりするのは控えましょう。

洗髪・洗顔しない

洗髪・洗顔すると、手や水によって目を刺激する可能性があります。
刺激によって傷口が開くと、細菌感染が起こりやすくなります。

術後は、顔から上を濡らすのは止めましょう。
洗髪・洗顔は、濡れタオルなどを使用してください。

洗髪・洗顔ができるようになるのは、術後1週間以降が目安です。
ただし具体的な期間は個人によって異なるため、必ず医師に相談してください。

急激な視力低下に注意する

術後は目の状態が不安定です。
特に起こりやすいのが急激な視力の低下です。

術後の視力の低下を放置すると、失明することもあります。
視力・目に違和感がある場合は、すぐにかかりつけ医に相談してください。

激しい運動はしない

手術後は、激しい運動はなるべく控えましょう。

より具体的には、汗をかくような運動は危険です。

汗が目に入ると、感染症のリスクが高まるためです。
少なくとも術後1週間は、汗をかくような運動は控えましょう。

汗をかかない程度の運動や日常動作するのは特に問題はありません。
ただし、運動してよいかは個人によって異なります。

自己判断はせず、必ず医師に相談してください。

運転しない

手術後すぐは視力が急激に変化することがあるため、運転は控えましょう。
運転ができるようになるのは、術後1週間以降が目安です。

なお、運転の是非については、必ず医師に相談してください。

飲酒・喫煙を控える

飲酒・喫煙は術後1週間程度から可能です。
ただし、緑内障かどうかにかかわらず、飲酒・喫煙はほどほどにするのが無難です。

タバコの煙は視神経をはじめ全身の神経にダメージを与えるためです。
同じく、過度なアルコールも身体への負担となります。

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緑内障手術で起こりうる合併症

緑内障の手術をすると、合併症が起こることがあります。
代表的な合併症をご紹介します。

駆出性出血

眼圧の変動によって、眼内の血管が破裂することです。
多くの場合、手術中に起こります。

大出血を伴うため、手術の続行は不可能です。
治癒後も、視力低下や失明のリスクが高くなります。

眼内炎

切開部分の傷跡などから細菌が侵入し、眼内で感染症を起こすことです。
術後すぐ起こることもあれば、数ヶ月〜数年後に発症することもあります。

眼内炎を放置すると、視力低下や失明のおそれがあります。
予防のためには、医師の指示に従って、点眼薬や抗生剤を正しく利用することが大切です。

高眼圧

術後に眼圧が上昇することがあります。
治療法としては、医師による目のマッサージや、レーザーなどによる眼圧調性が代表的です。

特に観血手術をした方は、高眼圧のリスクが高いといわれています。

低眼圧・脈絡膜剥離・濾過胞漏出

術後は眼圧が異常に下がることもあります。
低眼圧と呼ばれる状態です。

低眼圧では、眼球から必要以上の房水が流れ出てしまいます。
結果、眼球がゆがんだり、視力が低下しやすくなったりします。

術後の視力低下、視野進行

緑内障は術後に眼圧が大きく変動します。
結果、視力が低下したり、かえって視野の欠損が進行したりすることがあります。

特に視力低下のリスクが高いのは、緑内障が重症化した状態で手術を受けた方です。

異物感・充血

術後は眼内出血により、異物感・充血が起こることがあります。
異物感や充血は、日数の経過とともに収まることが一般的です。

具体的な目安は術後2〜3週間です。

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緑内障手術での入院期間と費用の目安

緑内障手術を検討する際、気になるのが入院期間や費用です。
それぞれの相場をご紹介します。

入院期間

入院期間は手術内容によって異なります。
たとえばレーザー手術では、日帰り手術が可能な場合もあります。

観血手術は数日の入院が必要となるケースが一般的です。
入院期間は、7日~10日が平均的です。

費用

費用は、手術内容によって異なります。
また、健康保険の自己負担割合の違いによっても、大きな差が出ます。

一般的には、レーザー手術のほうが、観血手術より費用が安めです。
たとえば3割負担の方の場合、レーザー手術は片目で3万円が相場です。

観血手術の場合、片目の手術で6~12万円程度がかかります。
なお、観血手術では、多くの場合入院を必要とします。

入院代と手術代をあわせると、片目の手術で総額15~23万円程度かかることが一般的です。

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緑内障患者数と年間の手術件数

緑内障の患者数は、年々増加傾向が見られます。
厚生労働省の調査によると、平成62年の緑内障の総患者数は14万3,000人でした。

平成5年には21万9,000人、平成11年には40万9,000人に増加しています。
さらに平成17年の緑内障患者数は54万4,000人、平成26年には106万人です。

緑内障患者数に対し、緑内障手術の実施数はさほど多くありません。
たとえば平成18年から平成25年までのレセプト解析によると、1年あたりの手術件数は約3万件でした。

緑内障は、手術しても、欠損した視野を回復させることはできません。
しかし、いま残された視野を維持することは可能です。

緑内障は、放置すると失明するおそれが高い眼病です。
できる限り視覚機能を維持するためにも、できれば手術による治療を受けることが大切です。
出典:厚生労働省【患者調査
出典:厚生労働省【Ⅳ-30

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緑内障の手術のまとめ

ここまで、緑内障の手術について解説してきました。
緑内障の手術の要点は以下のとおりです。

  • 緑内障の手術が必要なのは、点眼薬による治療効果が十分でないときなど
  • 緑内障手術はレーザー手術が主流になりつつあるが、効果が十分でないときは観血手術が必要
  • 緑内障の手術後は、感染症を防ぐために、目に触れたり濡らしたりすることを避ける
  • 緑内障手術による合併症とは、眼内炎・視力低下・眼圧上昇・充血などが代表的

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
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  • 食事管理
  • 栄養提供
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