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健達ねっと>介護お役立ち記事>在宅介護>嚥下食とは?初心者でもわかる!ポイントや注意点まで徹底解説

嚥下食とは?初心者でもわかる!ポイントや注意点まで徹底解説

高齢になり噛む力や飲み込む力がなくなると、嚥下食を考えなくてはいけません。
しかし嚥下食も作り方を間違えてしまうと逆効果になることがあります。
むせてしまったり食欲が低下したりするのです。

ではどのように嚥下食を選んでいけばよいのでしょうか?
本記事では嚥下食について以下の点を中心にご紹介します。

  • 嚥下食とは
  • 嚥下食のポイント
  • 嚥下食の注意点
  • 嚥下食ピラミッドの考え方

嚥下食について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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嚥下食とは?


嚥下食とは、噛む力や飲み込む力が落ちている
高齢者でも食べやすい食事のことです。
高齢者の状態に合わせて形状を変えます。

普段私達は食べ物を噛み砕いて、飲み込みます。
しかし高齢者になると歯が抜けたり、口の周りの筋肉が落ちたりします。
そして噛む能力が落ちてしまいます。

唾液が分泌されにくく喉の周りの筋肉も落ちてしまうため、飲み込む能力も落ちています。
噛む能力や飲み込む能力が低い人が普通の食事をすると、むせてしまい窒息してしまう恐れがあります。

従って普通の食事を

  • 一口大にする
  • ミキサーにかける
  • 増粘剤でとろみをつける

などして食べやすくします。

後の項目では嚥下食の役割やポイント、注意点についても解説していきます。

介護予防についても解説しているので、こちらもあわせてご参考ください。

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嚥下食の役割


嚥下食の役割には

  • QOLの低下を防ぐ
  • 低栄養を防ぐ
  • 誤嚥を防ぐ

の3点があります。
それぞれ解説していきます。

QOLの低下を防ぐ

嚥下食はQOLの低下を防ぎます。
QOLとは、生活の質という意味です。

私達は普段食べたいときに好きなものを食べて、味わう事を楽しんでいます。
ところが高齢者になり食べる能力が低下すると、好きな食べ物が食べられなくなります。

そうなると食べたいものを食べるという生きがいを失ってしまいます。
そこで嚥下食を利用することで、食べる能力が低下しても、好きな食べ物を食べることができます。

好きなものを食べられることは、生きがいや生活の質に直結します。
従って嚥下食はQOLの低下を防ぐのです

低栄養を防ぐ

嚥下食は低栄養を防ぎます。
食べる能力が低下してしまうと、むせにくい特定の食品以外食べる機会がなくなります。

高齢者は体力も低下し、必要な食事を取る前に疲れてしまい食べきれない場合もあります。
さらに認知症が進行していると食べ終わるまでに時間がかかってしまいます。
なぜなら食事に集中できないため手が止まってしまうからです。

嚥下食であれば、噛む時間も短くなり食事にかける時間も短くできます。
食べやすい食事であるため、食事のバランスも取りやすいです。
従って嚥下食は低栄養を防ぐ事ができるのです。

誤嚥を防ぐ

嚥下食は誤嚥を防ぎます。
誤嚥とは、食べ物が気道に入ってしまうことです。

食べる能力が低下して通常の食事をすると、飲み込める大きさになるまで噛めません。
そのまま飲み込んでしまい飲み込むのに時間がかかり、気道に入ることがあります。

元気な人であれば、咳き込むことで気道に詰まった食事を吐き出すことができます。
しかし食べる能力が低下している方では、そのまま肺に入って窒息や誤嚥性肺炎をおこします。

嚥下食であれば、飲み込みやすい食事であるため肺に入ってしまうリスクは少ないです。
噛む時間や飲み込む時間が短ければ、誤嚥してしまうことも少ないです。
従って嚥下食は誤嚥を防ぐ事ができるのです。

誤嚥性肺炎についても詳しく解説しているので、興味のある方はあわせて参考にしてください。

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嚥下食のポイント


嚥下食のポイントについて

  • 刻み食は避ける
  • とろみ剤を使う
  • 調理器具を活用する

の3点をそれぞれ解説します。

刻み食は避ける

刻み食を避けることがポイントです。
刻み食とは、食材を細かく刻むことで食べやすくした食事です。

しかし細かく刻む過程において菌を繁殖させる恐れがあります。
まな板や包丁に食中毒菌が付着していることがあるからです。
また刻み食を作り置きしてしまうと、雑菌が繁殖して食中毒のリスクが高まります。

また、食事を刻んだときに、食材の硬い部分と柔らかい部分が同じ大きさになってしまいます。
口の中で硬い部分と柔らかい部分が混ざってしまうと、飲み込みにくくなります。

飲み込みにくいと、誤嚥してしまう恐れがあり危険です。
従って刻み食は、食中毒と誤嚥のリスクがある食形態なので避けるべきです。

とろみ剤を使う

正しいとろみ剤を使い、食べやすくすることがポイントです。
とろみ剤とは水分をゼリー状にして食べやすくする材料で、ゼラチン増粘剤があります。

ゼラチンには、

  • そのまま食材に混ぜられる顆粒タイプ
  • 水になじませてから使用する粉末ゼラチンと板ゼラチン

があります。

それぞれ硬さやなじませる温度があるので、注意が必要です。
口の中で溶けてしまうとむせ込みの原因となってしまいます。

増粘剤は、混ぜるだけでとろみをつけられるとろみ剤です。
お味噌汁やお茶にそのまま混ぜて使用できます。
しかし量を間違えるととろみがきつくなり飲み込みにくくなってしまうので注意しましょう。

調理器具を活用する

嚥下食を作るにはいろいろな調理器具があります。
調理器具を上手に活用することがポイントです。

【ミキサー】
食材をなめらかなポタージュ状やペースト状にするのが得意です。
水分を含んだ1品を食べやすくするときに便利です。

【フードプロセッサー】
食材をペースト状やみじん切りにするのが得意です。
水分が少なくても使用できるため、水分の少ない食品に使うときに便利です。

【ブリクサー】
食材をペースト状にするのに特化した調理器具です。
水分が少なくてもペースト状にできます。

【ミルサー】
1人分の食材を粉末状やペースト状にするのが得意です。
かつおだしやだし昆布を粉末にしたり、硬い食べ物を食べやすくします。

【ハンドミキサー】
1人分など少量をミキサーにかけるのが得意です。
アタッチメントを変えることで、形状を数種類変えられます。

【業務用ミキサー】
一般的なミキサーよりもパワーがあり多くの量を作るのが得意です。
耐久性も高く、ミキサーではできないような硬さの材料を細かくできます。

【パコジェット】
ミキサーよりもなめらかなムース状態にするのが得意です。
冷凍した食品を細かくするため、食材の風味が良く衛生管理面でも優れています。

それぞれの調理器具の特徴を活かし、高齢者に合わせた食事作りに役立てるのがポイントです。

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嚥下食の注意点


嚥下食の注意点について

  • 向かない食品は使わない
  • 水分量に気をつける
  • 食事中は姿勢に気をつける

の3点をそれぞれ解説します。

向かない食品は使わない

嚥下食に向かない食品は

  • 固くて噛みにくいもの
  • ポロポロしてまとまらないもの
  • ベタベタ、ペラペラして喉にはりつきやすいもの
  • パサパサして水分が少ないもの
  • サラサラした水分

がむせ込みやすい食品になります。

もし好物であれば、いずれも適した調理器具を使用して食べやすくします。
好物でなければ、向かない食品は避けるようにしましょう。

水分量に気をつける

注意点として水分量に気をつけると良いです。
水分についてはとろみをつけることで飲みやすくします。

食材によっては汁気が多く含まれており、その汁気でむせてしまう恐れがあります。
もし汁気が多い食品を出すときは、水分を切るか、あんかけで食べやすくすると良いです。

食事中は姿勢に気をつける

注意点として食事中の姿勢に気をつけると良いです。
嚥下食を食べるときには常に安全を考えましょう。

目が覚めていなかったり、寝そべるような姿勢で食事を食べるのは危険です。
しっかり飲み込めないため、誤嚥してしまいます。

食事をするときは椅子に深く腰掛けてもらい、あごを引いて食事をします。
もし椅子に座るのが難しい場合は、ベッドの背もたれを45〜60度の角度にします。
そして頭の後ろに枕をおいてあごを引く姿勢にします。

介護中の食事に関する注意点についても解説しているので、こちらもあわせて参考にしてください。

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嚥下食ピラミッドを活用しよう


高齢者の噛める力や飲み込む力はそれぞれ違います。
そこで高齢者の食べる能力に応じて嚥下食のレベルを分けた、嚥下食ピラミッドを活用すると良いです。

嚥下食ピラミッドとは、嚥下食を食べるときの難易度を6段階に分けた表です。

レベル状態
レベル5普段私達が食べている食事
レベル4固すぎずスプーンや箸で切れる柔らかさ
レベル3形があり、歯がなくても押しつぶせる柔らかさ
レベル2口の中に含んで、舌で押しつぶせる柔らかさ
レベル1噛む必要がなく、口の中でまとまるゼリー状
レベル0ゼリー状で、そのまますくって丸のみにできる。

出典:「嚥下食の基礎知識

以上の6段階に分けられています。
高齢者が食事するときにむせ込んでしまう場合は、レベルを下げることで安全に食べられます。

ただレベルだけを下げてしまうと、見た目から食欲が下がる場合もあり注意が必要です。
以上の6段階に分けられています。
高齢者が食事するときにむせ込んでしまう場合は、レベルを下げることで安全に食べられます。

かならずレベル0やレベル5から試す必要はなく、高齢者に合わせたレベルから開始していくのが良いでしょう。

食事介助についても解説しているので、こちらもあわせてご参考ください。

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嚥下食のレシピ例

嚥下食ピラミッドの各レベルごとに、嚥下食レシピの一例をご紹介します。

【レベル0:緑茶とグレープフルーツのゼリー】

材料(2~3人分)

<緑茶ゼリー>

  • 水 100cc
  • 砂糖 3g
  • 緑茶 30g
  • ゼラチン 2.5g

<グレープフルーツゼリー>

  • グレープフルーツジュース 40cc
  • 砂糖 2g
  • ゼラチン 0.6g

【つくり方】

準備:緑茶ゼリー、グレープフルーツゼリーのゼラチンをそれぞれ少量の水でふやかしておく。

<緑茶ゼリーを作る>

  • 1.  お茶を淹れる。
  • 2.  鍋にゼラチン以外の材料を入れ、中火で混ぜながら加熱する。
  • 3.  2にゼラチンを入れて、よく混ぜる。
  • 4.  3のゼリー液をグラスに入れ、粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やす。

<グレープフルーツを作る>

  • 5. 緑茶ゼリー同様にゼリー液を作る
  • 6. 固まった緑茶ゼリーに5を2層になるように静かに注ぐ。
  • 7. 冷蔵庫で冷やし固める。

【レベル1:お粥ゼリー】

材料

  • ご飯 茶碗1杯分
  • 水 300ml
  • スベラカーゼ 小さじ1/2

【つくり方】

  • 1.  鍋に米と水を入れてふつふつしたら弱火で約5分煮てから、火を止めて蓋をして約10分蒸らす
  • 2.  1とスベラカーゼをミキサーに入れ混ぜ、茶碗によそう

 【レベル2:だし巻き卵】

材料(1人分)

  • だし巻玉子 卵1個分
  • だし汁 50ml
  • ミキサー&ソフト 1g 

【つくり方】

  • 1.  だし巻玉子、だし汁、ミキサー&ソフトを加えて1分ほどミキサーにかける
  • 2.  1をラップを敷いたバットなどに流し、形を整える
  • 3.  2が冷めたら切って盛り付ける

【レベル3:フレンチトースト】

材料(1人分)

  • 食パン 1枚(6枚切り)
  • 牛乳 100ml
  • 砂糖 大さじ2
  • バター 大さじ1

【つくり方】

  • 1.    牛乳、砂糖、溶き卵を混ぜ合わせる
  • 2.    食パンを1に片面10分ずつ浸す
  • 3.    フライパンにバターを入れあたためる
  • 4.    食パンを片面ずつ焼いて焼き目を付ける
  • 5.    弱火でじっくり片面5分ずつ焼く

ダイエットをされている方には、食パンを低糖質にする、砂糖をカロリーゼロの甘味料に変えるなど材料を置き換えることでカロリーをカットできます。

【レベル4:カツとじ】

材料(豚カツ1枚分)

  • 豚カツ 1枚
  • 醤油 大さじ1
  • 砂糖 小さじ1
  • だし汁 1/2カップ
  • 卵 1個

【つくり方】

  • 1.    豚カツを小さく、または削ぎ切りで切る
  • 2.    鍋に豚カツと醤油、砂糖、だし汁を入れ煮込む
  • 3.    溶き卵を鍋に回し入れ更に煮込む

嚥下食まとめ


ここまで嚥下食について書いてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。

  • 嚥下食とは食べる力が落ちた高齢者でも食べやすい食事
  • 刻み食よりも、とろみ剤や調理器具を使って食べやすくする
  • 向かない食材はなるべく使用せず、水分はとろみを付けて正しい姿勢で食べる
  • 嚥下食ピラミッドを参考に高齢者の食事を調節する

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売
  • 障がい者雇用

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