超高齢社会を迎えた日本において、介護の専門知識と技術を持つプロフェッショナル「介護福祉士」の需要は年々高まっています。介護福祉士は、数ある介護系資格の中で唯一の国家資格であり、取得することで給与アップやキャリアアップ、転職時の強力な武器となります。
しかし、介護福祉士の国家試験を受験するためには、一定の「受験資格」を満たす必要があります。「働きながらどうやって資格を取るの?」「自分の今の仕事は実務経験に含まれる?」「実技試験は免除されるの?」など、ルートが複数あるため複雑に感じる方も多いでしょう。
本記事では、介護福祉士国家試験の概要をはじめ、受験資格を得るための4つのルート(実務経験・養成施設・福祉系高校・EPA)、実務経験として認められる職種(看護助手など)、実務経験証明書の取得方法、実技試験の免除条件、試験の合格率まで詳しく解説します。これから介護福祉士を目指す方は、ぜひ参考にしてください。
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1. 介護福祉士国家試験とは?(試験概要と日程)
介護福祉士になるためには、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが実施する「介護福祉士国家試験」に合格し、資格登録を行う必要があります。
試験内容
試験には「筆記試験」と「実技試験」の2つがあります。(※大半の受験者は実技試験が免除されます)
- 筆記試験:5肢択一のマークシート方式(全125問)。人間の尊厳と自立、介護の基本、認知症の理解、医療的ケアなど、11科目群から出題
- 実技試験:実際の介護現場を想定した課題に対し、5分以内で適切な介助(声かけや安全配慮など)を行うテスト
合格基準
- 筆記試験:総得点(125点満点)の約60%程度を基準とし、問題の難易度で補正された点数以上であること。かつ、11科目群すべてにおいて最低1点以上の得点があること
- 実技試験:総得点の約60%程度を基準とすること
試験日程(例年のスケジュール)
- 受験申し込み期間:8月上旬〜9月上旬
- 筆記試験:1月下旬(日曜日)
- 実技試験:3月上旬(日曜日)
- 合格発表:3月下旬
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2. 介護福祉士試験の受験資格(4つのルート)
介護福祉士の受験資格を得るためには、ご自身の学歴や職歴に応じた4つのルートのいずれかを満たす必要があります。
① 実務経験ルート(働きながら目指す最も一般的なルート)
介護施設や病院などで実際に働きながら資格取得を目指すルートです。
【受験資格の条件】
以下の2つの条件を両方満たす必要があります。
- 介護業務の実務経験が3年以上あること(従業期間1,095日以上、かつ従事日数540日以上)
- 「介護福祉士実務者研修」を修了していること(※過去に介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修を修了している方も可)
② 養成施設ルート(専門学校・大学等で学んで目指すルート)
厚生労働大臣が指定する介護福祉士養成施設(専門学校、短期大学、大学等)を卒業して目指すルートです。
【受験資格の条件】
高校卒業後、指定養成施設に一定期間(2年〜4年)通学して所定のカリキュラムを修了し、卒業すること。
※法改正により、養成施設卒業生も国家試験の受験が義務化されています(ただし、卒業年度により「卒業後5年間の経過措置」が適用される場合があります)。
③ 福祉系高校ルート
高校の福祉科などで専門的な教育を受けて目指すルートです。
【受験資格の条件】
- 福祉系高校(2009年度以降入学の新カリキュラム等)で所定の教科目・単位を修めて卒業すること
- 福祉系特例高等学校の場合は、卒業後に「9ヶ月以上の実務経験」を積むことで受験資格が得られること
④ 経済連携協定(EPA)ルート
インドネシア、フィリピン、ベトナムのEPA介護福祉士候補者が、日本の受け入れ施設で就労・研修しながら目指す特別なルートです。
【受験資格の条件】
3年以上の実務経験を積み、かつ日本の受け入れ施設で適切な研修等を受けること。
3. 実技試験は免除される?(ルート別の免除条件)
介護福祉士国家試験は、特定の条件を満たすことで「実技試験」が免除され、筆記試験のみで合否が判定されます。現在、受験者の大半が実技免除の対象となっています。
実技試験が「免除」されるケース
- 実務経験ルート:受験に必須である「実務者研修」を修了しているため、全員が実技試験免除
- 養成施設ルート:指定のカリキュラム内で実技を学んでいるため、全員が実技試験免除
- 福祉系高校ルート(新カリキュラム):2009年度以降に入学し新カリキュラムを修めて卒業した方は免除
実技試験が「必要」となるケース(特定の条件を満たせば免除可能)
- 福祉系高校ルート(旧カリキュラム)や福祉系特例高等学校卒業生は、原則として実技試験が必要。ただし、事前に「介護技術講習」または「介護過程・介護過程Ⅲ」を受講・修了すれば免除可能
- EPAルートの候補者も原則実技試験が必要だが、「実務者研修」または「介護技術講習」を修了すれば免除可能
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4. 「実務経験」として認められる施設・職種とは?(看護助手は対象?)
実務経験ルートで受験する場合、「自分の仕事が実務経験にカウントされるのか」を確認することが極めて重要です。
実務経験の対象となる主な施設・事業所
- 介護保険法関連:特別養護老人ホーム、老人保健施設、デイサービス、訪問介護事業所、グループホームなど
- 障害者総合支援法関連:障害者支援施設、居宅介護事業所など
- 病院・診療所:療養病床、一般病棟など
実務経験の対象となる主な職種
対象となるのは、利用者の身体に直接触れる主たる業務が介護等の業務である職種です。
- 介護職員、介護従事者、ホームヘルパー、訪問介護員、ケアワーカーなど
- 病院等で働く「看護助手」「看護補助者」の経験も、主たる業務が患者の入浴・排泄・食事等の身体介護であれば、実務経験として認められる
実務経験の対象に「ならない」職種
生活援助のみ(調理・掃除専門)、事務職、送迎ドライバー専従、医療行為のみを行う職種(看護師等)、相談援助業務のみ(生活相談員・ケアマネジャー等)は、原則として実務経験に含まれません。
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5. 受験申し込みに必要な「実務経験証明書」について
実務経験ルートで受験申し込みをする際、最も重要になるのが「実務経験証明書」です。
実務経験証明書とは?
「この施設で、対象となる介護業務に、規定の期間・日数以上従事した」ことを、勤務先の代表者(施設長や法人代表など)が公的に証明する書類です。指定のフォーマット(様式)を試験センターのサイト等からダウンロードして使用します。
どこでもらえる?どうやって準備する?
- 現在の勤務先(または過去の勤務先)の人事部や事務局、施設長に作成を依頼
- 発行までに数週間かかる場合があるため、受験案内の手引きを取り寄せたら、すぐに勤務先へ依頼
- 転職等により複数の事業所で実務経験を合算して「3年以上」を満たす場合は、それぞれの事業所から証明書を発行してもらうか、「従事日数内訳証明書」を別途作成して提出
「見込み」での受験申し込みも可能
試験実施年度の3月31日までに実務経験(3年かつ540日)を満たす見込みであれば、「実務経験見込証明書」で受験申し込みが可能です。ただし、試験後に必ず正式な実務経験証明書を提出しなければならず、提出できない場合や日数が足りなかった場合は試験結果が無効となります。
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6. 介護福祉士国家試験の合格率と試験対策
近年の合格率推移
介護福祉士国家試験の合格率は、過去数年間を通じて約70%〜80%前後という高い水準で安定して推移しています。国家資格の中では比較的合格率が高く、しっかりと対策を行えば十分に合格を狙える試験です。
- 第35回(令和4年度):84.3%
- 第34回(令和3年度):72.3%
- 第33回(令和2年度):71.0%
おすすめの勉強法・試験対策
- 過去問の反復演習:最も効果的なのは過去問題集を繰り返し解くことです。「3周」を目標に解き、間違えた問題の解説をしっかり読み込んで理解を深めることが合格への近道
- 実務者研修のテキスト活用:実務経験ルートの方は、実務者研修の受講内容がそのまま国家試験の範囲と重なるため、研修テキストの復習が非常に有効
7. 介護福祉士の資格を取得する4つのメリット
- 給料・年収が上がる:多くの施設で「資格手当」が支給されるほか、国の処遇改善加算の対象として基本給や賞与が優遇されやすくなること
- 全国どこでも一生使える:国家資格であるため更新が不要で、引っ越しや家庭の事情で退職しても、全国どこでもすぐに再就職先が見つかること
- キャリアアップの道が開ける:現場のリーダーやフロア長、サービス提供責任者への昇進条件となること。さらに実務経験を5年積むことで、「ケアマネジャー(介護支援専門員)」の受験資格も得られること
- 転職で圧倒的に有利:即戦力として高く評価されるため、より良い労働条件や給与の施設を自分で選んで転職することが容易になること
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8. まとめ
介護福祉士国家試験の受験資格とポイントをおさらいします。
- 受験ルート:実務経験ルート、養成施設ルート、福祉系高校ルート、EPAルートの4種類
- 実務経験ルートの条件:「実務経験3年以上」かつ「実務者研修の修了」
- 実技試験の免除:実務経験ルートや養成施設ルートなど、大半の受験者は実技試験が免除される
- 実務経験の対象:主たる業務が身体介護であれば、病院の「看護助手」の経験も実務経験に含まれる
- 準備の注意点:「実務経験証明書」は勤務先に発行してもらう必要があるため、早めの依頼が必須
介護福祉士は、これからの社会でますます必要とされる誇り高い国家資格です。ご自身の現在の状況から最適なルートを確認し、要件を確実に満たして試験合格を目指しましょう。


