- 「高齢の親の在宅介護が始まり、訪問介護(ヘルパー)の利用を検討している」という悩み
- 「ヘルパーさんにはどこまで家事を頼んでいいのだろう?家族の分の食事や掃除も頼める?」という疑問
40代・50代を迎えて親の介護に直面した際、在宅生活を支える心強い味方となるのが「訪問介護員(ホームヘルパー)」です。
介護保険制度を利用してヘルパーを依頼することで、家族の介護負担を大きく減らすことができます。しかし、公的介護保険のルール上、「ヘルパーができること」と「制度上絶対にできないこと(禁止事項)」が厳格に定められています。
ルールを知らずに無理な依頼をしてしまうと、事業者とのトラブルにつながることもあるため注意が必要です。
本記事では、訪問介護ヘルパーの基本的な役割をはじめ、できること・できないことの具体的なOK/NG例一覧、同居家族がいる場合のルール、要介護認定からの利用手順、費用(単位数)の仕組みまで専門的な視点からわかりやすく解説します。
親の在宅介護をスムーズに進め、家族の負担を減らすためのガイドとして、ぜひ最後までお役立てください。
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訪問介護員(ホームヘルパー)とは?基本概要と役割
まずは、訪問介護で活躍する「ホームヘルパー」がどのような存在なのか確認しておきましょう。

自宅での自立した生活を支える介護のプロ
ホームヘルパー(訪問介護員)とは、要介護・要支援の認定を受けた方の自宅を直接訪問し、「自立した日常生活を送るためのサポート」を行う介護の専門職です。
介護福祉士や介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)、実務者研修などの専門資格を持ったスタッフが訪問し、身の回りの介助や家事支援を行います。
ヘルパーの主な目的
- 利用者の「自立支援」:手出しをしすぎず本人ができる動作の活用による在宅生活維持
- 「身体介護」と「生活援助」の提供:直接的な身体ケアと日常家事のサポート
- 家族の「介護負担軽減(レスパイト)」:家族の就労・生活維持に向けたケアの分担
ただし、ヘルパーは何でも頼める「家政婦(便利屋)」ではありません。あくまで「要介護者本人の日常生活に不可欠な支援」に限定されている点が大きな特徴です。
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介護保険でヘルパーが「できること」一覧
介護保険が適用される訪問介護サービスは、大きく分けて「身体介護」「生活援助」「日常的な体調管理(条件付き医行為)」の3つに分類されます。
① 身体介護(利用者の身体に直接触れて行う介助)
利用者の身体に直接触れて行う介助や、ともに動いて行う自立支援のためのケアです。
- 食事介助:自力摂食困難者への食事サポートおよび服薬確認
- 排泄介助:トイレ移動・立ち上がり補助、オムツ交換、陰部清拭
- 入浴・身体清拭介助:浴室での身体洗浄、手足清拭、洗髪
- 更衣介助:洋服・パジャマの着脱お手伝い
- 移乗・移動介助:ベッド・車椅子間の乗り移り補助、室内歩行介助
- 通院・買い物同行:病院への通院および日常生活必需品買出し時の外出付き添い
② 生活援助(利用者の身の回りで行う家事支援)
単身で暮らしている場合など、本人が自力で行うことが困難な日常の家事を代行・支援します。
- 調理(炊事):利用者の日常食の準備・調理・配膳・下膳
- 掃除(清掃):主に利用者が生活する居室、トイレ、風呂場、台所等の掃除機掛け・ゴミ出し
- 洗濯:利用者の衣類・シーツの洗濯、干し・取り込み・畳み・収納
- 日常品の買い出し:近所店舗での日用品・食材買出し
- その他:薬の受け取り、ベッドメイク、衣類の補修
③ 医療行為に当たらない医行為(健康管理の補助)
原則としてヘルパーは「医療行為」を行えませんが、厚生労働省の定めにより、一定の条件を満たした「医行為に当たらない行為(日常的な健康管理の補助)」を行うことができます。
- 体温測定・血圧測定・パルスメーター(酸素濃度測定器)の装着
- 軽微な応急手当(ガーゼ交換を含む切り傷・すり傷・擦過傷の処置)
- 湿布の貼付・塗布薬(軟膏等)の塗り直し
- 目薬の点眼・服薬介助(薬を飲ませるサポート)
- 座薬の挿入・鼻腔スプレーの介助
- 耳垢の除去(耳垢塞栓を除く)
- 爪切り・爪やすりかけ(爪や周囲の皮膚に異常がない場合に限る)
- 口腔ケア(歯みがき補助や口内の清潔確認)
- ストーマパウチの排泄物廃棄(カテーテル固定部分のケアを除く)
- 市販の浣腸器を用いた浣腸
※「喀痰吸引(かくたんきゅういん)」や「経管栄養(けいかんえいよう)」については、所定の研修を修了し、都道府県に登録された事業者(認定介護福祉士等)に限り、医師の指示のもとで限定的に行うことができます。
3. 知っておくべき!ヘルパーに「できないこと」と禁止事項
介護保険の訪問介護では、「費用を出せば何でもやってもらえる」わけではありません。制度上の目的から外れる行為は、法律や自治体の指導により明確に「禁止(NG)」とされています。
① 本人が「不在」のときのサービス
ヘルパーは要介護者本人の直接支援を行うため、本人が自宅に不在のときに家事や準備を行うことは一切できません。
- 本人デイサービス等外出中の留守宅掃除・洗濯
- 買出し帰宅時における本人の不在(15分以上連絡不能時)
- 本人不在時の車での送迎や迎車
② 日常生活の範囲を超える「特別・手間の掛かる行為」
要介護者の「最低限の日常の暮らし」を越える、贅沢品や特別な作業は対象外となります。
- 身の回り:理美容行為(散髪・ヘアカット)
- 調理:おせち料理やパーティ用ごちそう等の手間がかかる調理
- 清掃:普段不使用の部屋の掃除、大掃除、換気扇・エアコンの分解清掃
- 買い物:酒・タバコ・高級嗜好品・コレクション品・宝くじ等の買出し
- 外出:墓参り、観劇、パチンコ、旅行、個人的趣味の外出付き添い
③「家族や同居人・他人」のためのサービス
ヘルパーは「要介護者本人」のみを支援する職種であるため、同居しているご家族や他人のための家事を行うことは固く禁じられています。
- 調理:同居家族や孫の分の食事のまとめての調理
- 清掃・洗濯:家族共用スペースの清掃、家族衣類の洗濯・アイロン掛け
- ペットの世話:ペットの餌やり、散歩、ゲージ清掃
- その他:草むしり・水やり・洗車・来客対応・家具移動・引越し作業
【比較表】ヘルパーの「できること」「できないこと」一覧
| 区分 | できること(OK) | できないこと(NG) |
|---|---|---|
| 食事・調理 | 本人の日常的な食事の準備・調理・介助 | 同居家族の分の調理、おせち料理などの特別なごちそう作り |
| 掃除・清掃 | 本人が使用する居室・トイレ等の日常掃除 | 家族共用スペースの掃除、庭の草むしり、大掃除・エアコン清掃 |
| 洗濯 | 本人が着用する衣類・使用タオルの洗濯 | 同居家族の衣類の洗濯、未使用布団の虫干し |
| 買い物 | 近所の店での日常生活用品・食材の買い出し | お酒・タバコなどの嗜好品買出し、家族の買い物代行 |
| その他 | 病院への通院介助、爪切り・目薬などの医行為外ケア | ペットの世話、散髪、墓参りや趣味の外出付き添い |
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4. 同居家族がいる場合の「生活援助」利用ルール
訪問介護の「生活援助(掃除・洗濯・調理など)」を検討する際、最もトラブルになりやすいのが「同居家族がいる場合の制限」です。
原則:同居家族がいる場合、生活援助は使えない
介護保険のルールでは、「要介護者に同居している家族がいる場合、原則として生活援助サービスは利用できない」と定められています。
同居家族がいる場合、「家事全般は家族が分担して行うべきである」という考え方が前提にあるためです。
例外:生活援助が認められる「やむを得ない事情」
ただし、同居家族がいても一切利用できないわけではありません。以下のような「やむを得ない特別な事情」があり、ケアマネジャーや自治体が認めた場合は、例外的に生活援助を利用することが可能です。
- 同居家族が高齢、または疾病・障害により家事実施が困難な場合
- 同居家族が介護や仕事を理由に長時間の認容が困難であり、家事の余裕がない場合(日中家族不在等)
- 家族関係に深刻な問題があり、家族支援が著しく困難と認められる場合
※同居家族がいる状態で生活援助の導入を希望する場合は、まず担当のケアマネジャーに家庭の詳しい事情を相談し、検討してもらう必要があります。
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5. ヘルパーを利用するための条件と手続きの流れ
実際に訪問介護ヘルパーを利用するまでの具体的な手順について解説します。
利用するための必要条件
ヘルパーを公的介護保険(1〜3割負担)で利用するための必須条件は、「要支援1・2」または「要介護1〜5」の認定を受けていることです。
利用開始までの4つのステップ
- 市区町村窓口での要介護認定申請
- 訪問調査・審査判定の受審(約30日)
- ケアマネジャーとの相談による「ケアプラン」作成
- 訪問介護事業者との契約およびサービス利用開始
ステップ1:要介護認定の申請
お住まいの市区町村の介護保険課や「地域包括支援センター」の窓口で、要介護認定の申請を行います。
申請には、申請書のほか「介護保険被保険者証(65歳以上)」または「健康保険証(40〜64歳の第2号被保険者)」が必要です。
ステップ2:認定調査と結果の通知
認定調査:自治体から派遣された調査員が自宅を訪問し、本人の心身状態や日常生活動作をチェックします。
審査判定:一次判定(コンピューター判定)と、主治医意見書に基づく二次判定(介護認定審査会)が行われ、要支援1・2、要介護1〜5、非該当のいずれかに認定されます。
結果通知:申請から原則30日以内に結果が通知されます。
ステップ3:ケアプラン(介護サービス計画書)の作成
要支援1・2:地域包括支援センターの担当者が「介護予防ケアプラン」を作成します。
要介護1〜5:居宅介護支援事業所の「ケアマネジャー」を指名し、本人の状態や希望に応じた「ケアプラン」を作成してもらいます。どの時間帯にどんな内容でヘルパーに入ってもらうかを計画に組み込みます。
ステップ4:訪問介護事業所の選定と契約
ケアプランに基づき、地域にある訪問介護事業所の中から適切な事業者を選び、契約を結びます。事前の顔合わせ(サ責・ヘルパーとの面談)を経て、ヘルパーの訪問サービスがスタートします。
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6. 訪問介護の費用仕組みと支給限度額(単位数)
介護保険サービスは、利用したサービス内容や時間に応じて「単位数」が決められています。
自己負担割合は「1割〜3割」
かかった総費用(単位数×地域単価)のうち、本人の前年の収入・所得に応じて1割(原則)、2割、または3割を自己負担額として支払います。
要介護度ごとの区分支給限度額(単位数)のイメージ
介護保険では、要介護度ごとに1ヶ月間に利用できる上限(区分支給限度額)が「単位数」で設定されています。
厚生労働省の「介護給付費等実態統計」等に基づく受給者1人あたりの平均的な利用単位数の目安は以下の通りです。
| 要介護区分 | 1ヶ月あたりの利用単位数の目安(平均値) |
|---|---|
| 要介護1 | 約 3,249 単位 |
| 要介護2 | 約 4,545 単位 |
| 要介護3 | 約 7,966 単位 |
| 要介護4 | 約 11,210 単位 |
| 要介護5 | 約 14,826 単位 |
要介護度が高くなる(重度になる)ほど支給限度額(単位数)が増え、より頻繁にヘルパーや他の介護サービス(デイサービスやショートステイ)を組み合わせて利用することが可能になります。
7. 「自宅に他人を入れるのが嫌」本人が拒否する場合の対処法
「他人が家に入ってくるのが嫌だ」「見知らぬヘルパーに介護されたくない」と、本人が抵抗を示すケースも少なくありません。
本人のプライドと不安に寄り添う
長年暮らしてきた自宅に他人が入ってくることや、食事や着替えを手伝われることに対して、強い抵抗感や恥ずかしさを感じるのは当然の心理です。
最初は短い時間・少ない頻度から:
最初から週何回も頼むのではなく、「週1回、30分のゴミ出しや掃除だけ」など、スモールステップで慣れてもらいましょう。
「家族のサポート」として伝える:
「お父さんの介護のため」と言うとプライドが傷つきます。「お母さん(家族)の腰痛がひどいから、少しだけ手伝ってもらうね」と、家族を助けるための導入として伝えると受け入れやすくなります。
民間の「自費・家事代行サービス」や「配食サービス」の活用
介護保険の厳格なルールが合わない場合や、保険外の柔軟なサービス(大掃除や家族分の調理など)を頼みたい場合は、全額自己負担の民間サービスを組み合わせるのも賢い方法です。
民間家事代行サービス:
1時間数千円からのスポット利用が可能で、家族の料理や大掃除、ペットの世話なども自由に依頼できます。
配食サービス(宅配弁当):
栄養バランスの計算された高齢者向けのお弁当を毎日自宅まで届けてくれるサービスです。ヘルパーによる調理にこだわらず配食を活用することで、毎日の食事準備の負担を大幅に削減できます。
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8. まとめ
今回は、介護保険の訪問介護(ヘルパー)で「できること・できないこと」や利用の流れについて詳しく解説しました。
- できること(OK):要介護者本人の「身体介護(食事・入浴・排泄介助等)」、「生活援助(日常の調理・掃除・洗濯等)」、「日常的な体調チェックや医行為外ケア」
- できないこと(NG):本人不在時のサービス、同居家族の分や共用部分の家事、大掃除や草むしり、ペットの世話、嗜好品の買出し、趣味の外出同行
- 利用の条件:要支援1〜2、または要介護1〜5の認定が必要(同居家族がいる場合は、やむを得ない事情がない限り原則として生活援助不可)
訪問介護ヘルパーは、ルールを守って正しく活用することで、在宅介護の限界を広げ、家族の笑顔を守る最大の味方になります。
「どこまで頼めるのだろう?」と迷った際は、一人で抱え込まず、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターの専門職に気軽にご相談ください。
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