高齢者向け介護施設は、国や自治体などが運営する「公的施設」と、民間企業が運営する「民間施設」の大きく2種類に分けられ、全12種類の主要な形態が存在します。被介護者の身体状況や要介護度、希望する生活スタイルや予算に合わせて適切な施設を選ぶことが重要です。
関連記事:https://mcsg.co.jp/kentatsu/kaigo/4826

スポンサーリンク
介護施設の2つの区分「公的施設」と「民間施設」
- 公的施設・介護保険施設など(自治体や社会福祉法人・医療法人などが運営。初期費用が原則不要で月額利用料も低く抑えられるが、要介護度が高い方の入居が優先されるため待機期間が長く発生しやすい)
- 民間施設・有料老人ホームなど(民間事業者が運営。初期費用や月額料金は公的施設に比べ高めだが、施設数や選択肢が多く、手厚いサービスや充実した設備・レクリエーションが備わっている)
【一覧表】全12施設の費用・要介護度・特徴の比較
| 区分 | 施設名称 | 主な対象者・要介護度 | 初期費用相場 | 月額費用相場 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 公的 | 特別養護老人ホーム(特養) | 原則 要介護3〜5 | 0円 | 5万〜15万円 | 終身利用が可能で費用を大幅に抑えられる |
| 公的 | 養護老人ホーム | 自立(経済的困窮者) | 0円 | 0万〜5万円 | 困窮高齢者の生活支援・社会復帰が目的 |
| 公的 | 介護老人保健施設(老健) | 要介護1〜5 | 0円 | 8万〜20万円 | 在宅復帰を目指すリハビリ・医療ケア中心 |
| 公的 | 介護医療院 | 要介護1〜5(医療依存度高) | 0円 | 10万〜20万円 | 長期療養と手厚い医療ケア・看取りに対応 |
| 公的 | ケアハウス(一般型) | 60歳以上/自立〜軽度 | 0万〜30万円 | 10万〜15万円 | 低料金で生活支援を受けられる個室住まい |
| 公的 | ケアハウス(介護型) | 65歳以上/要介護1〜5 | 0万〜30万円 | 12万〜20万円 | 重度化してもそのまま24時間介護を受けられる |
| 民間 | 介護付き有料老人ホーム | 自立〜要介護5 | 0万〜数千万円 | 15万〜40万円 | 24時間の看護・介護体制で手厚いケア |
| 民間 | 住宅型有料老人ホーム | 自立〜要介護5 | 0万〜数千万円 | 12万〜30万円 | 外部サービスを利用し自由度が高い |
| 民間 | 健康型有料老人ホーム | 自立(要介護者は不可) | 0万〜数千万円 | 15万〜40万円 | 温泉やジムなど趣味・娯楽が極めて充実 |
| 民間 | サービス付き高齢者向け住宅 | 自立〜要介護2程度 | 0万〜50万円 | 10万〜25万円 | 賃貸住宅感覚で安否確認と生活相談が付く |
| 民間 | グループホーム | 要支援2・要介護1〜5(認知症) | 0万〜50万円 | 10万〜20万円 | 認知症の方が少人数ユニットで共同生活 |
| 民間 | シニア向け分譲マンション | 自立〜軽度 | 数千万円(購入) | 3万〜10万円(管理費等) | 所有権を持ち自由な生活や売却が可能 |
※旧「介護療養型医療施設」は制度改定に伴い全廃され、介護医療院等へ移行完了しています。
スポンサーリンク
国や自治体が運営する「公的施設」6種類の特徴
1. 特別養護老人ホーム(特養)
常時介護を必要とする重度高齢者のための施設です。原則として要介護3以上の方が対象ですが、特定事情がある場合は要介護1・2の特例入居も認められます。費用が安く看取りまで対応する施設が多いため人気が高く、入居待ちが生じやすいのが課題です。
2. 養護老人ホーム
経済的困窮や環境上の理由(家族の虐待や孤独など)で自宅生活が困難な高齢者が利用する措置施設です。生活困窮者の自立支援が目的であり、介護サービス自体は提供されないため、常時介助が必要な場合は退去対象となります。
3. 介護老人保健施設(老健)
病院退院後などに「在宅復帰」を目指すためのリハビリ特化型施設です。医師や理学療法士・作業療法士が常駐し、原則3〜6ヶ月程度の短期集中的な機能訓練を行います。長期的な終身利用には適していません。
4. 介護医療院
長期療養と手厚い医療的ケアが必要な高齢者のための施設です。医師や看護師が手厚く配置され、たん吸引や経管栄養、インスリン注射などの医療処置が日常的に行われます。ターミナルケア(看取り)にも対応しています。
5. ケアハウス(一般型・自立型)
身の回りのことができるものの、一人暮らしに不安がある60歳以上の高齢者向け施設です。食事の提供や緊急時対応、清掃・洗濯などの生活支援が中心で、介護が必要な場合は外部の訪問介護等を個別契約します。
6. ケアハウス(介護型)
65歳以上で要介護1以上の認知症・要介護者が対象です。都道府県から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けており、施設の専属スタッフから24時間体制で直接介護や機能訓練を受けることができます。
【要リンク】
企業が運営する「民間施設」6種類の特徴
1. 介護付き有料老人ホーム
都道府県から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間体制で介護スタッフが常駐し、食事・入浴・排泄等の介助や健康管理を行います。医療連携が手厚い施設やレクリエーション重視の施設などバリエーションが豊富です。
2. 住宅型有料老人ホーム
主に自立している方から軽度の要介護者を対象とした施設です。生活支援や安否確認サービスが提供され、介護が必要な場合は外部の訪問介護やデイサービスと個別契約して利用します。
3. 健康型有料老人ホーム
介護を必要としない完全自立の高齢者を対象とした施設です。スポーツジムや温泉、プール、カラオケなどを備え、アクティブな老後を楽しめます。介護が必要になった場合は契約解除(退去)となります。
4. サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
バリアフリー構造の賃貸住宅に「安否確認」と「生活相談」の基本サービスがついた施設です。外出や外泊の自由度が高く、自宅と変わらない生活を送れます。必要に応じて外部の介護サービスと契約します(一部「介護型サ高住」もあります)。
5. グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
認知症の診断を受けた高齢者が、5〜9人の小規模なユニットで専門スタッフのサポートを受けながら共同生活を送る施設です。家事を分担して行うことで脳の活性化を図り、認知症症状の進行を和らげます。
6. シニア向け分譲マンション
高齢者が所有権を購入して暮らす分譲マンションです。バリアフリー設計で、レストランや大浴場、コンシェルジュサービスなどが備わっています。売却・譲渡・相続・賃貸への移行も自由ですが、費用は高額になります。
スポンサーリンク
後悔しないための介護施設選び8つの重要ポイント
- 立地・地域(家族が定期的に無理なく面会へ通える距離か)
- 費用面(入居一時金だけでなく、毎月の月額利用料、医療費、オムツ代、有料サービス費の合計が予算内に収まるか)
- 医療・看護・ケア体制(看護師の常駐時間、持病や必要な医療処置に対応できるか)
- 入居・退去条件(認知症の進行や要介護度の増加に伴い、そのまま住み続けられるか)
- サービス・レクリエーション内容(本人の趣味や好みに合致したアクティビティが用意されているか)
- 設備・居住空間(個室の広さ、日当たり、車椅子のすれ違いやすさ、トイレの動線など)
- スタッフの質・雰囲気(挨拶や入居者への声かけが丁寧か、離職率が高くないか)
- 食事の内容・サポート(栄養バランスや献立の美味しさだけでなく、キザミ食やミキサー食、アレルギー対応などの個別対応が可能か)
スポンサーリンク
介護施設選びの失敗しない5ステップ
- 現在の身体状況と予算の把握(要介護度、認知症の有無、希望する予算を家族で共有・整理する)
- 情報収集と資料請求(ポータルサイトやパンフレット、地域包括支援センターなどを活用して候補施設を絞り込む)
- 施設見学・複数施設の比較(1施設だけで決めず、必ず複数の施設を見学し、スタッフや入居者の実際の表情・雰囲気を比較する)
- 体験入居(数日〜1週間程度の体験入居を活用し、夜間の対応や食事の口当たり、生活リズムが本人に合っているか確認する)
- 契約・入居開始(重要な契約条項を確認した上で本契約を結ぶ)
スポンサーリンク
費用の負担を軽減する公的制度
介護施設の月額負担や医療費が高額になった場合は、以下の制度を活用することで一定額の払い戻しや上限の適用を受けられます。
- 高額介護サービス費制度(1か月あたりの介護保険自己負担額が世帯ごとの上限額を超えた場合、超過分が支給される制度)
- 高額医療合算介護サービス費制度(1年間にかかった医療保険と介護保険の自己負担合計額が所定の上限額を超えた場合、超過分が支給される制度)
- 特定入所者介護サービス費・補足給付(低所得の方が公的施設等に入所した際、居住費と食費の上限額が設定され負担が軽減される制度)
まとめ
介護施設は全12種類存在し、それぞれ対象となる要介護度や対応可能な医療処置、初期費用・月額コストが異なります。被介護者本人の「現在の身体状況」だけでなく「将来的な要介護度の進行」までを見据え、家族で無理のない予算設計を行った上で、必ず見学や体験入居を経て選定を行いましょう。

