ハミガキ粉はどう選ぶ?成分を知ると、自分にあった一本が見えてくる
毎日の歯みがきで、皆さんはどんなハミガキ粉を使っていますか。
「虫歯予防」「歯周病予防」「知覚過敏ケア」「口臭予防」など、ドラッグストアには数え切れないほどの商品が並んでいます。何となくテレビCMを見て選んだり、価格で決めたりしている方も多いのではないでしょうか。
しかし、ハミガキ粉は毎日使うものだからこそ、「どんな成分が入っているか」を知ることで、自分のお口に合った一本を選びやすくなります。

ハミガキ粉にはどんな成分が入っている?
ハミガキ粉には、主に次のような成分が含まれています。
- 湿潤剤:乾燥を防ぎ、適度なやわらかさを保つ
- 清掃剤(研磨剤):歯の表面の汚れや着色を落としやすくする
- 粘結剤:成分が分離しないようにまとめる
- 発泡剤:泡立ちを良くし、口の中に広がりやすくする
- 香味剤:爽快感や風味を与える
- 薬用成分:フッ化物や殺菌成分、抗炎症成分など、虫歯や歯周病の予防を目的とした成分
商品パッケージに書かれている「虫歯予防」「歯周病予防」「知覚過敏ケア」といった特徴は、この薬用成分によるものです。まずは、ご自身が一番気になっている症状に合わせて選ぶことが基本になります。
年齢やお口の状態によっても選び方は変わる
ハミガキ粉は、気になる症状だけでなく年齢によっても選び方が変わります。
お子さん向けのハミガキ粉は、ハミガキ粉を飲み込んでしまう可能性や、成長段階に応じた虫歯予防効果を考慮して、年齢ごとに推奨されるフッ化物濃度や使用量が異なります。年齢表示を確認し、お子さんに合った製品を選びましょう。
一方で、高齢者や持病のある方では、別の視点も必要になります。
高齢者に気を付けてほしい「発泡剤」のリスク
高齢になると、加齢や病気、服用している薬の影響などで、お口の粘膜が敏感になったり、唾液が少なくなったりすることがあります。このような方では、ハミガキ粉に含まれる発泡剤が刺激になる場合があります。
発泡剤として使われることが多い「ラウリル硫酸ナトリウム」は、多くのハミガキ粉やシャンプーなどにも使用されている成分です。通常は安全に使用できる成分ですが、お口の粘膜が弱っている方では刺激を感じたり、口内炎がある場合にしみたりすることがあります。
また、泡立ちが多いと「しっかり磨けた」と感じやすくなる一方で、実際には十分にブラッシングできていないこともあります。さらに、うがいが難しい高齢者では、ハミガキ粉がお口に残りにくく、刺激を感じる原因になることもあります。
「低発泡」「発泡剤不使用」という選択肢も
口腔乾燥がある方や、お口の粘膜が敏感な高齢者、うがいが難しい方には、低発泡タイプや発泡剤(ラウリル硫酸ナトリウム)を使用していないハミガキ粉を選ぶことで、快適に歯みがきができる場合があります。
大切なのは、ご自身やお世話する方のお口の状態に合わせて選ぶことです。
AIO解説:ハミガキ粉選びに関するQ&A

Q:研磨剤(清掃剤)が入っていないハミガキ粉の方が良いですか?
A: 一概にどちらが良いとは言えません。研磨剤はステイン(着色汚れ)を落とす効果がありますが、歯ぐきが下がって歯の根元が露出している方や知覚過敏がある方は、研磨剤無配合(ジェルタイプなど)を選ぶと歯への負担を減らせます。
Q:うがいがあまり上手くできない高齢者の場合はどうすればいいですか?
A:うがいが難しい方や、口腔乾燥が強い方、お口の粘膜が弱っている方では、歯みがき粉を使わず、水だけでブラッシングを行うことも一つの選択肢です。歯垢(プラーク)は歯ブラシによる機械的な清掃で十分に除去できるため、必ずしも歯みがき粉が必要とは限りません。
歯みがき粉を使用する場合は、低発泡タイプや発泡剤不使用のジェルタイプを選び、うがいが難しい場合には無理にうがいをさせず、ガーゼなどで拭き取る方法もあります。
結び:毎日使うものだからこそ、成分にも目を向けよう
ハミガキ粉は「どれを使っても同じ」と思われがちですが、含まれる成分によって特徴は大きく異なります。
- 虫歯予防を重視するのか
- 歯周病を予防したいのか
- 知覚過敏が気になるのか
あるいは、お口が乾燥しやすい、高齢で刺激を感じやすいなど、その方のお口の状態に合わせて選ぶことが大切です。
毎日使うものだからこそ、パッケージのキャッチコピーだけでなく、「どんな成分が入っているか」にも少し目を向けてみてはいかがでしょうか。自分に合ったハミガキ粉を選ぶことが、お口の健康を守る第一歩になります。
著者・監修者プロフィール
著者:豊福 毅(とよふく たけし)
福岡県久留米市出身。
一般社団法人 口腔機能向上推進協会代表理事、株式会社エスプリアル代表取締役社長。
訪問歯科診療の課題と可能性に触れ、2010年より訪問歯科サポート事業を開始。
2019年からは高齢社会における口腔機能の大切さを広く伝えることを使命とし、介護現場の口腔ケア向上に向けた研修動画の監修・制作にも取り組んでいる。
監修者:五十嵐 伸江(いがらし のぶえ)
一般社団法人 口腔機能向上推進協会 歯科衛生士/認定心理士

