- 突然、実家の親が倒れて介護が必要になった悩み
- 仕事を辞めずに親の介護を続けられるかという不安
40代・50代を迎えると、親の高齢化に伴い、突然の介護トラブルと仕事の両立に直面する方が急増します。
そんなとき、労働者の権利として法律で守られている強力な味方が「介護休暇」です。
しかし、「介護休暇は何日取れるのか」「給料はもらえるのか」「介護休業とは何が違うのか」など、具体的な仕組みを把握できている方は多くありません。また、近年は法改正により、より柔軟で使いやすい制度へと進化しています。
本記事では、介護休暇の取得条件や日数、給料の扱い、介護休業との違い、さらに介護離職を防ぐための最新の制度改正まで、専門知識をもとに分かりやすく解説します。
仕事と介護の両立に悩む方や、将来に備えたい方はぜひ最後までご覧ください。
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介護休暇とは?仕事と介護を両立するための基本制度
介護休暇は、要介護状態にある家族を介護・世話するために、労働者が短期間の休みを取得できる法律上の制度です。

法律で定められた「労働者の権利」
介護休暇は「育児・介護休業法」に基づいて定められた制度です。条件を満たした労働者が申請した場合、事業主(会社)は申請を拒否することができません。
「会社に迷惑がかかるかも……」と躊躇する必要はなく、仕事を辞めずに家庭環境を整えるための正当な権利として活用することができます。
介護離職を防ぐ「初動の一手」
家族に介護が必要になった際、一番やってはいけないのが「仕事と介護の両立は無理だ」と早まって仕事を辞めてしまう「介護離職」です。一度離職してしまうと、経済的な困窮や社会的な孤立を招くリスクが高まります。
介護休暇は、要介護認定の手続きに行ったり、ケアマネジャーと面談したり、病院への送迎を行ったりするような「介護の体制を整えるための初動」に非常に適した制度です。
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介護休暇を取得するための条件と対象範囲
介護休暇を利用するには、対象となる家族や労働者の雇用条件など、いくつかの要件を満たす必要があります。
対象となる家族の範囲
介護休暇の対象となる家族(要介護家族)の範囲は以下の通りです。同居しているか、扶養しているかは問われません。
- 父母(養父母を含む)
- 配偶者(事実婚含む)
- 子(養子を含む)
- 配偶者の父母
- 祖父母
- 兄弟姉妹
- 孫
※ 叔父・叔母(伯父・伯母)や従兄弟(いとこ)などは対象外となるため注意が必要です。
対象者の状況(要介護状態の定義)
対象となる家族が「負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」にあることが条件となります。
ここでポイントとなるのは、「行政の要介護認定を受けていなくても対象になる」という点です。要介護認定の申請中であっても、医師の診断や客観的な状態から2週間以上の常時介護が必要と判断されれば取得可能です。
対象となる労働者(雇用形態)
正社員だけでなく、以下の雇用形態で働くすべての方が取得対象となります。
- 正社員
- 契約社員・有期雇用労働者
- パート・アルバイト
- 派遣社員
※ただし、日雇い労働者は対象外です。
介護休暇の具体的な内容(日数・単位・給料・申請方法)
介護休暇を実際に使う際の、取得日数や時間単位、お給料の取り扱いについて確認しましょう。
取得可能日数:年最大5日(対象者2人以上で最大10日)
対象家族が1人の場合:1年度(※)につき最大5日まで
対象家族が2人以上の場合:1年度につき最大10日まで
※「1年度」の区切りは、会社の就業規則(4月1日〜翌3月31日や、事業年度など)によって異なります。
なお、対象家族が3人以上いる場合でも、年間の上限は10日となります。
取得単位:「1時間単位」での柔軟な取得が可能
以前は「1日単位」または「半日単位」でしか取得できませんでしたが、法改正により「1時間単位」での取得が義務化されました。
これにより、以下のような柔軟な使い方が可能です。
- ケアマネジャーと1時間だけ自宅で面談するための朝2時間の取得
- 親の通院送迎のための午後最後の2時間取得(早退)
※中抜け(勤務時間の途中に抜けて戻る)の可否については会社の規定によりますが、時間単位で取れることで仕事への影響を最小限に抑えられます。
介護休暇中の給料:無給か有給かは会社規定による
介護休暇中の賃金については、法律で支払いが義務付けられていません。そのため、「有給」か「無給」かは勤務先会社の就業規則によって異なります。
有給休暇とは別に「介護休暇を有給とする」と定めている手厚い企業もあれば、無給としている企業もあります。事前に社内規定を確認しておきましょう。
申請方法:当日の口頭申請も可能
介護休暇は急な事情で必要になることが多いため、当日の朝に電話や口頭で会社(上司)に申請しても法的効力があります。
会社によっては後日「介護休暇申請書」などの書面提出を求められる場合がありますので、社内ルールに従って手続きを行いましょう。
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「介護休暇」と「介護休業」の違いと使い分け
仕事と介護の両立支援制度には、名前が似ている「介護休暇」と「介護休業」があります。この2つは目的も取得期間も大きく異なるため、正しく使い分けることが成功の鍵です。
【比較表】介護休暇と介護休業の違い
| 項目 | 介護休暇 | 介護休業 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 単発・短期間の用事やサポート | 長期的な介護体制の構築・準備 |
| 取得可能日数 | 対象者1人につき年5日(2人以上で10日) | 対象者1人につき通算93日まで |
| 分割取得 | 1日・1時間単位で何度でも | 最大3回まで分割して取得可能 |
| 申請の期限 | 当日の申請も可能(口頭OK) | 開始予定日の2週間前までに書面申請 |
| 経済支援 | 会社の規定による(無給の場合あり) | 介護休業給付金(賃金の約67%)が支給 |
賢い使い分けのポイント
「介護休暇」がおすすめな場面
- 親の病院への送迎・付き添い
- ケアマネジャーとの自宅でのケアプランの相談・面談
- 介護保険の申請や役所での手続き
- 介護施設の見学
「介護休業」がおすすめな場面
- 退院直後の自宅介護環境や介護サービス(デイサービスやショートステイなど)の体制整備
- 施設入所の準備や引っ越し、手続きへの集中
- プロと一緒に「仕事を続けられる体制」を作り上げること
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介護休業給付金制度の仕組み
長期間仕事を休んで介護体制を整える「介護休業」を取得する際、経済的な不安を和らげてくれるのが「介護休業給付金」です。
支給額は休業前賃金の「約67%」
雇用保険から、休業開始前の賃金月額の約67%(原則)が支給されます。
受給するための主な要件
- 雇用保険の被保険者であること
- 家族が「2週間以上の常時介護を必要とする状態」であること
- 休業終了後に職場復帰することを前提としていること
- 休業開始前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が通算12か月以上あること
申請の注意点
介護休業給付金は、原則として休業が終了した後にまとめて申請・支給されます。休業中のリアルタイムでお金が振り込まれるわけではないため、休業中の当面の生活費は事前に準備しておく必要があります。
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介護離職を防ぐために知っておくべき労働制度・最新動向
近年、政府は介護離職ゼロを目指し、育児・介護休業法の改正を進めています。
介護に関する最新の法改正ポイント
法律の改正に伴い、企業側には以下のような義務や環境整備が強く求められるようになっています。
介護に直面した従業員への「個別の周知・意向確認」の義務化
従業員が「家族の介護が必要になった」と会社に申し出た際、会社側は介護休業や介護休暇などの制度内容を個別に説明し、取得の意向を確認することが義務付けられています。
雇用環境整備の義務化
企業に対し、介護休業等の研修実施や相談窓口の設置など、制度を使いやすい職場環境を整えることが義務化されています。
介護休暇以外に活用できる両立支援制度
会社で利用できる制度は介護休暇・休業だけではありません。
- 残業(時間外労働)の免除・制限(請求による残業免除)
- 深夜業の制限(16時〜翌朝9時までの時間帯における就労免除)
- 短時間勤務(時短勤務)制度(1日の所定労働時間の短縮)
- フレックスタイム制度・時差出勤制度(出退勤時間の柔軟な変更)
仕事と介護の両立を目指す際は、これらの制度を組み合わせて自分のライフスタイルに合った働き方を模索しましょう。

介護休暇に関するQ&A(よくある疑問)
介護休暇に関して、40代以上の方が抱きがちな疑問にQ&A形式でお答えします。
Q1. 公務員も介護休暇制度を利用できる?
A. はい、利用できます。
国家公務員は「一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律」に基づき利用可能です。地方公務員についても、各自治体の条例によって同様の制度が整えられています。
Q2. 同居していない(遠方で暮らす)親の介護でも取得できる?
A. 取得できます。
介護休暇の取得条件に「同居」や「扶養」の要件はありません。離れて暮らす実家の親の介護や手続き、病院への付き添いでも問題なく取得できます。
Q3. 要介護状態であることを証明する医師の診断書は必須?
A. 必須ではありません。
法律上、診断書の提出は義務付けられていません。要介護認定の通知書や、ケアプランの控え、介護サービス利用の契約書などで代用を認める会社がほとんどです。
Q4. 会社に申請を拒否されたらどうすればいい?
A. 育児・介護休業法違反の可能性があります。
正当な理由なく介護休暇の申請を拒否したり、申請を理由にハラスメントや不当な解雇を行ったりすることは法律で禁止されています。
会社との交渉が難しい場合は、各都道府県の「労働局 雇用環境・均等部(室)」へ相談しましょう。
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介護休暇まとめ
今回は、仕事と介護の両立を支える「介護休暇」について詳しく解説しました。
- 年最大5日(2人以上で10日)の取得可能性(1時間単位で取得でき、突発的な通院や手続きに最適)
- 介護休業との使い分け(単発の用事は「介護休暇」、本格的な介護体制づくりは「介護休業(通算93日・給付金あり)」の活用)
- 介護離職の回避(仕事を辞める前の会社や自治体の相談窓口、ケアマネジャーへの相談と利用可能制度のフル活用)
親の介護は、突然始まることがほとんどです。いざという時に慌てないよう、いまのうちから介護休暇の制度や社内規定を確認し、仕事と介護を両立させる準備を整えておきましょう。
さらに詳しい介護保険の使い方や両立のコツについては、以下の関連記事一覧も併せてご覧ください。

