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トップページ>認知症を学ぶ>軽度認知障害って何?認知症との違いを徹底解説します!

軽度認知障害って何?認知症との違いを徹底解説します!

軽度認知障害の段階で適切な治療をすれば、その後の認知症リスクを下げられるため、軽度認知障害に注目が集まっています。
そもそも軽度認知障害とは何なのか、認知症とどこが違うのかわからない方も多くいるのではないでしょうか。

そこで、本記事では軽度認知障害について以下の項目を中心に解説致します。

  • 軽度認知障害とは
  • 軽度認知障害と認知症の違い
  • 軽度認知障害の症状

ぜひ本記事を最後までお読みください。

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軽度認知障害とは

軽度認知障害は、「正常な状態」と「認知症」の中間地点にあたります。
軽度認知障害では、認知症と比べ症状の程度は軽微ですが、認知症とよく似た症状が現れます。

そのため、ほとんどの軽度認知障害の方は、一人で日常生活を送ることができます。
しかし、軽度認知障害を放置すると、高い確率で認知症に移行します。

実際に、軽度認知障害の方のうち、約半数は認知症に移行しています。
症状が軽微であるため、しばしば発見が遅れることも軽度認知障害の特徴の一つです。

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軽度認知障害と認知症の違いについて

軽度認知障害と認知症の大きな違いは、主に2つあります。

一つ目は、一人で自立した生活が可能かという点です。
そもそも認知症とは、認知機能が低下して日常生活に支障をきたす状態を指します。

そのため、認知症を発症すると自力での食事や排泄のほか、家事や買い物を行うことが難しくなります。
よって、認知症の方は、誰かのサポートなしに生活を送ることはできません。

一方、軽度認知障害の方は、一人暮らしを送ることができます。

軽度認知障害では、軽微な物忘れのほかにそれほど目立つ症状はありません。
障害による支障は多少あるものの、食事・入浴や家事・買い物は、問題なく行える方が多いです。

軽度認知
障害と認知症の違いの2つ目は、経過の仕方です。

認知症は、基本的に改善することはできません。
進行スピードを遅らせることはできても、症状は確実に進んでいきます。
また、一度低下した認知機能を回復させることはできません。

しかし、軽度認知障害は治療によっては改善が期待できます。
さらに、軽度認知障害の方のうち、4割程度は元の状態に戻るとされています。

軽度認知障害の初期症状

軽度認知障害の症状を解説します。
以下の症状がみられる場合は、軽度認知障害のサインだと考え、速やかに病院で診察を受けましょう。

記憶障害

記憶障害は、軽度認知障害の代表的な症状です。
記憶障害が起こると、つい最近の出来事や新しい情報が覚えられなくなります。

軽度認知障害の記憶障害は軽微であるため、いわゆる「物忘れ」とあまり変わりません。
しかし、軽度認知障害による「記憶障害」と「単なる物忘れ」には、異なる点もあります。

単なる物忘れでは、なにかを忘れたという自覚があります。
そのため、ヒントをもらうと思い出せる方がほとんどです。

一方、軽度認知障害による記憶障害では、物忘れの自覚がありません。
つまり、一度忘れてしまうと、その出来事は「最初からなかった」ことになります。

最初からなかった出来事ですので、ヒントや物忘れの指摘をされても、本人は思い出すことができません。
ただし、軽度認知障害の程度によっては、物忘れを自覚している場合もあります。

もう一つの違いは、体験そのものを忘れる点です。

単なる物忘れでは、体験の一部を忘れても、体験自体を忘れることはありません。
しかし、軽度認知障害では体験が丸ごと抜け落ちます。

つまり、食事のメニューではなく、昨夜食事したこと自体を忘れてしまいます。
そのため、軽度認知障害による記憶障害が起こると、「自分の記憶」と「周囲の記憶」にすれ違いが起こります。

もしも、自分と周囲の認識が食い違うことが増えるようでしたら軽度認知障害による記憶障害が疑われます。

【具体的な症状例】

  • 同じ話を何度も繰り返す
  • ヒントをもらっても思い出せない
  • 物の置忘れが増える
  • 人や物の名前を思い出せない
  • 体験を丸ごと忘れる

注意力・集中力の低下

注意力や集中力が低下し、ささいなミスが増えます。
会話においても、話がすこし複雑になると、理解できなくなります。

そのため、他人とのコミュニケーションに若干の支障をきたすことがあります。

その他にも、本やテレビの内容が理解しづらくなるようでしたら、軽度認知障害の可能性が高いです。

【具体的な症状例】

  • 簡単な計算ができない
  • 複雑な会話についていけない
  • 本やテレビの内容を理解できない
  • 仕事や家事で、ケアレスミスが増える

無気力

意欲や自発性が低下し、なにごとにもやる気が起きず、仕事や家事・趣味に打ち込むことが億劫になります。
また、他人への関心がなくなるため、身だしなみのエチケットにも配慮できません。

感情も乏しくなり、部屋に閉じこもりがちになることも見られます。

【具体的な症状例】

  • 元気がでない
  • やる気が起こらない
  • 趣味などを楽しいと感じない
  • 仕事を無断欠勤する
  • 身だしなみに気を使わない
  • 他人に配慮できない

計画をたて、実行できない

「実行機能障害」と呼ばれる状態で、物事の計画を立て、段取り通りに実行することが難しくなります。
手慣れた料理であっても、なにから手をつければよいのか分からなくなります。

一つ一つの作業自体に問題はないため、的確な指示があれば、料理の完成は可能です。

また、複数の作業を同時進行できなくなることも、実行機能障害の特徴です。
料理であれば、「味噌汁を作りながら魚を焼く」のように、同時に二品完成させるのが困難になります。

実行機能障害があらわれても、軽度認知障害の段階ならば、症状は比較的軽めです。
しかし、症状が軽いからといって安心はできません。

慣れた作業や家事が手間取るようになったら、軽度認知障害を疑い、早めに病院を受診しましょう。

【具体的な症状例】

  • 慣れた作業に時間がかかるようになった
  • 家事をしたいが、なにから手をつければいいか分からない
  • 同時に複数の作業を進められない
  • 想定外のハプニングにうまく対応できない

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軽度認知障害(MCI)の検査内容と診断基準

軽度認知障害を疑ったときには、まず物忘れ外来などで検査を行うことが大切です。

検査内容

軽度認知障害には、主に次のような検査を行います。 

  • 日常生活に関する問診
  • 認知機能検
  • 画像検査
  • MCIスクリーニング検査

日常生活に関する問診では、これから行っていく検査の検討材料にもなります。
本人、あるいはご家族が困っていることなどをメモしていくといいでしょう。

認知機能検査は、高齢者ドライバーの免許更新時にも採用されている検査です。
診断を確定するためにMRIやCTなどの画像検査を行います。

 MCIスクリーニング検査は、早期発見するために注目される血液検査です。
アルツハイマー型認知症の原因となる「アミロイドβペプチド」の蓄積状況がわかります。

健忘症なのか、軽度認知障害なのかが他の検査ではっきりしない場合もあります。
この検査では、ほぼ80%の精度で軽度認知障害を発見することができます。

診断基準

軽度認知障害の基準としては、次のようなものがあります。

  •  以前よりも明らかに認知機能の低下がある
  • 「記憶」「摘以降」「注意」「言語」「空間認知」のうちひとつ以上の障害がある
  • 基本的な日常生活には支障がないが、時間がかかったり、間違いが多くなる
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軽度認知障害で介護認定を受けることは可能?

軽度認知障害の場合は、介護認定を受けられるか、受けられないかギリギリのラインです。
場合によっては、介護認定を受けられないケースも少なくありません。

以下の表を目安に、お住まいの地域包括支援センターで相談してみてはいかがでしょう。

区分

心身の状態

要支援1基本的な日常生活は自立しているが、一部に見守りやサポートが必要
要支援2歩行や立ち上がりが不安定で、将来介護が必要になる可能性が高い
要介護1日常生活で歩行や立ち上がりに一部介助が必要。認知機能の低下が少し見られる
要介護2要介護1よりも日常生活に介助が必要。認知機能の低下が見られる
要介護3日常生活全般に介助が必要。移動には杖や歩行器、車椅子が必要。認知機能が低下し見守りが必要
要介護4要介護3よりも、生活のあらゆる面で介助が必要。理解力にも著しい低下が見られる
要介護5ほとんどの日常生活で介助が必要。コミュニケーションを取るのが難しい 
薬の使い方

軽度認知障害への対応

周りの方で「何か変だな」と思うことがあれば、軽度認知障害かもしれません。
軽度認知障害が疑われる場合、かかりつけ医がいればできるだけ早く相談してみましょう。

なぜなら、軽度認知障害は症状が悪化する可能性が高いからです。
放置すると、およそ半分程度の方が認知症に進展していくといわれています。

早めに相談して適切に治療すれば、進行を遅らせたり財産管理の手続きなどもしやすくなったりします。

軽度認知障害には、予防的対策が重要であるため、以下でいくつか紹介します。

  • 食生活:バランスのとれた食事(肉・魚・野菜・果物を積極的に)と減塩を意識する
  • スポーツや運動:適度に動いて筋肉を働かせ、全身の血流改善や脳活性化を図る
  • 規則正しい生活:十分な睡眠をとり、朝起きて夜眠るリズムを作る
  • 頭を使う活動:将棋・囲碁・麻雀・簡単な計算・なぞなぞなどで脳を働かせる
  • 指先を使う活動:指先の細かい作業により脳への刺激を増やし活性化を図る
  • 他者交流:友人との会話・外出・散歩などによりコミュニケーションの機会を作る

など行うとよいでしょう。

また、上記内容を複数組み合わせて行うとより効果的です。
2つのことを同時に行うことを二重課題といいます。

例えば

  • 簡単な計算をしながら散歩する
  • しりとりをしながらスクワットする

などは簡単に行えるものです。

二重課題は通常1つのことをするよりも脳の血流が増えやすいといわれています。
簡単にできることから始めてみましょう。

軽度認知障害の相続問題

軽度認知障害の相続問題には、以下のようなものがあります。

  • 遺言書作成
  • 生前贈与

などは、認知機能障害があると無効とされるケースがしばしばあります。

遺言書は、自分が死亡後に財産をどのように分けるか記した文書のことです。
認知症になり判断力が低下すると、遺言書の効力は薄れてしまいます。

成年後見人がいて一定の条件を満たせば遺言書の有効性が認められますが、大変手間がかかるといわれています。

生前贈与とは、生きている間に予め財産を贈与してしまうことです。
軽度認知症の場合、意思決定能力があれば生前贈与が可能ですが、無効になる場合もあります。
なお成年後見人がついていても、本人の財産を減らすことは基本的にできません。
そのため生前贈与は原則できません。

遺言書や生前贈与は、判断力や意思決定能力が低いとみなされると、所定の手続きが無効となるケースがあることを知っておきましょう。

上記の問題を解消できる制度として、家族信託というものがあります。
遺言書と生前贈与を兼ねて行うものです。

あらかじめ贈与する額を設定し、一定額の贈与を毎年続けることが可能です。
加えて、本人の代わりに家族が財産を管理したり預貯金を引き出せたり、後見制度も兼ねています。

軽度認知障害が疑われたら、できるだけ早く財産に関する取り決めをしましょう。
そしてご本人を含め家族で話し合い、必要に応じて家族信託を利用するとよいでしょう。

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軽度認知障害の運転

軽度認知障害の方の運転が危険だとは一概に言えません。

75歳以上の方が運転免許証更新時に受ける認知機能検査の結果は、以下に分類されます。

  • 第1分類:認知症の恐れがある
  • 第2分類:認知機能低下の恐れがある
  • 第3分類:低下の恐れがない

第1分類と判断された方は受診が義務付けられ、認知症と診断されると免許の停止・取り消しとなってしまいます。

しかし、死亡事故を起こした75歳以上のドライバーの割合を見ると、半数以上が第3分類なのです。
つまり、認知機能低下があってもなくても、事故の割合はほぼ同じであることがわかります。

認知症という診断がついただけで、実際の運転技術の確認等を詳細に行わず、免許停止になってしまう人が少なからずいるのです。

一方海外では、再試験制度や条件付きでの運転許可が出ている国もあり、日本での対応に疑問を抱く方も多いでしょう。
認知機能が低下しているというだけで、高齢者の移動手段や楽しみが奪われてしまう現実があるのです。

高齢化社会が進んでいる日本ではさらに認知症患者が増えるでしょう。
軽度認知障害の方が認知症に進展するにつれ、免許停止される人が増えると移動に困る高齢者であふれてしまうことも考えられるでしょう。

日本の免許更新制度の在り方も再考が必要なのではないでしょうか。

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軽度認知障害は早期発見が大切!

軽度認知障害は、早期治療によって回復が期待できます。
早期治療につなげるためにも、早期発見することが大切です。

軽度認知障害を放置すると、高い確率で認知症に移行します。
実際に、軽度認知障害の方の約半数は、5年以内に認知症になるとされています。

特に認知症への移行リスクが高い方は、高血圧といった生活習慣病を抱えている方です。
また、運動不足や偏った食生活などの生活習慣の乱れも、認知症のリスクを高めます。

認知症は進行性であり、一度発症すると進行を完全に止めることはできません。
しかし、軽度認知障害は進行の停止や、元の状態への回復が可能です。

つまり、軽度認知障害の段階で発見・治療を開始すれば、認知症を回避できます。

しかし、軽度認知障害は症状がさほど目立たないため、見逃されることも少なくありません。
早期治療につなげるためにも、物忘れや理解力に気になることがあれば、早めに病院を受診しましょう。

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軽度認知障害まとめ

ここまで、軽度認知障害に関する事柄についてお伝えしてきました。

  • 軽度認知障害は、認知症の一歩手前の段階
  • 軽度認知障害と認知症の違いは、一人での自立した生活が可能かどうか
  • 軽度認知障害の症状は、記憶障害のほか、理解力の低下・無気力など

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売
  • 障がい者雇用

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