亜鉛とは体内に存在する量が最も多いミネラルです。
生命維持に欠かせない役割を担っている栄養素の1つでもあります。
この記事では、亜鉛について解説しながら、亜鉛が多く含まれる食べ物や亜鉛を手軽に効率よく摂る方法などについてご紹介します。
本記事では、以下の内容についてご紹介します。
- 亜鉛の働きと摂取方法
- 亜鉛の1日の必要量
- 亜鉛の身体への影響
ぜひ、最後までご覧いただき、亜鉛不足にならない健康づくりの参考にしてください。
栄養素について知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
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亜鉛とはどんな栄養素?
亜鉛は主に骨格筋・皮膚・肝臓・膵臓・前立腺・脳・腎臓などの臓器に存在しています。
約300種類以上の酵素の構成要素として重要な働きを担っている必須ミネラルの1つです。
しかし、人の身体は亜鉛を作り出すことができません。
よって、3食の食事、サプリメントなどから摂取する必要があります。
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亜鉛が豊富な食べ物
亜鉛はどのような食べ物に多く含まれているのでしょうか?
分類別に詳しく見てみましょう。
魚介類
魚介類では生かきに最も多く含まれています。
その他、煮干し、たらこ、しらす干し、かつお節、ほたて、うなぎ蒲焼きなど
肉類
肉類では豚レバーに最も多く含まれています。
その他、牛もも肉、鶏レバー、鶏もも肉など
野菜類
切り干しだいこん、枝豆、しそ、たけのこ、ごぼうなど
豆類・ナッツ類
きな粉、油揚げ、納豆、厚揚げ、あずき、焼き豆腐など
穀類
精白米、そばなど
卵類
全卵、牛乳、プロセスチーズなど
各食材の詳しい含有量を表でまとめました。
食品名 | 亜鉛含有量(mg) | 食品名 | 亜鉛含有量(mg) |
生かき(養殖) | 13.2 | 鶏レバー | 3.3 |
煮干し | 7.2 | 鶏もも肉 | 1.6 |
たらこ | 3.1 | 切り干しだいこん | 2.1 |
しらす干し | 3.0 | 枝豆 | 1.4 |
かつお節 | 2.8 | きな粉 | 4.1 |
ほたて | 2.7 | 油揚げ | 2.5 |
うなぎ蒲焼き | 2.7 | 精白米 | 0.6 |
豚レバー | 6.9 | そば | 0.4 |
牛肩ロース | 5.6 | 全卵 | 1.3 |
牛もも肉 | 4.8 | 牛乳 | 0.4 |
注)100gあたりの亜鉛含有量
出典:文部科学省【日本食品標準成分表 2020年版(八訂)】
亜鉛は野菜類や果物類にはあまり含まれていません。
そして、穀類や卵類よりも魚や肉類に多く含まれていることがわかります。
亜鉛を手軽に・効率よく摂る方法
亜鉛の腸管での吸収率は約30%といわれています。
食べ物から十分な亜鉛の摂取が難しいという方はサプリメントで補うのも良いでしょう。
亜鉛は単独で市販されている他、ビタミン系やミネラル系のサプリメントにも含まれている場合があります。
また、亜鉛は食べ物からの摂取が理想的です。
しかし、他の食品成分との作用で吸収率が低下してしまうこともあります。
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亜鉛の吸収を助ける栄養も一緒に摂る
一緒に摂ると亜鉛の吸収率を上げる食材があります。
吸収率を上げるものとして
- クエン酸
- ビタミンC
- 動物性タンパク質
などがあります。
それでは、亜鉛の吸収率をあげる食べ物について詳しく見てみましょう。
タンパク質
動物性タンパク質は亜鉛の吸収率をあげる作用があります。
肉類、魚類、牛乳、チーズ、卵など
タンパク質について知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
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ビタミンC+クエン酸
ビタミンCやクエン酸にも亜鉛の吸収率をあげる作用があります。
レモンやかぼす、柚子などの柑橘類など
ナッツで手軽に亜鉛補給!
亜鉛はアーモンドや落花生、くるみなどにも多く含まれています。
間食として摂取してみるのも良いでしょう。
汁物はお汁まで飲む
亜鉛は水に溶けやすい性質があります。
亜鉛を効率的に摂取するための調理の工夫として
- 短時間で加熱する
- 茹で汁を捨てる調理法は避け、煮汁ごと食べられる汁物やスープ料理にする
- 電子レンジで加熱、蒸す
などがあげられます。
亜鉛を効率よく摂取する際の注意点
亜鉛と一緒に摂取することで吸収率を下げてしまう食材があります。
注意するべき栄養素として
- 植物性食品に含まれている食物繊維やフィチン酸
- 加工食品に多く含まれているポリリン酸
などがあります。
これらの栄養素の摂りすぎには注意しましょう。
また、アルコール摂取は亜鉛の排泄量を増加させてしまうため、飲酒は控えめにしましょう。
亜鉛の一日の摂取量
1日に必要な亜鉛の摂取量は、年齢や性別で異なっています。
亜鉛の食事摂取基準について詳しく見てみましょう。
年齢 | 男性の推奨量(mg) | 女性の推奨量(mg) |
18~29歳 | 11 | 8 |
30~49歳 | 11 | 8 |
50~64歳 | 11 | 8 |
65~74歳 | 11 | 8 |
75歳以上 | 10 | 8 |
*推奨量:ほとんどの人が必要量を満たす量(97.5%の人が充足)のこと。
出典:厚生労働省【日本人の食事摂取基準(2020 年版)】
18歳以上の亜鉛の推奨量は男性では10〜11mg、女性では8mgほどといわれています。
厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査」によると、亜鉛の平均摂取量は20歳以上の男性で9.2mg、女性で7.7mgです。
男女共に推奨量よりも下回っていることがわかります。
亜鉛が不足するとどうなるの?
亜鉛が不足すると、以下のような様々な症状が現れることがあります。
皮膚炎 | 脱毛 | 舌がピリピリする |
味覚異常 | 貧血 | 食欲不振 |
下痢 | 成長障害 | 生殖機能の低下 |
免疫力の低下 | 低アルブミン血症 | 認知機能の障害 |
トレーニングする人は亜鉛をしっかり摂ろう
亜鉛は汗の中に多く含まれています。
また、筋力トレーニングなど身体への負担が大きい運動ほど、亜鉛の消費量は増加します。
- トレーニングやスポーツなどを頻繁に行っている方
- 日常的に発汗量が多い方
上記に該当する方は、亜鉛不足にならないように積極的に摂取するように心がけましょう。
認知症とリハビリの関係について知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
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高齢者は亜鉛が不足しがち
65歳以上の亜鉛の摂取推奨量は
- 男性:10~11mg
- 女性:8mg
となっています。
2019年の国立健康・栄養研究所の国民健康・栄養調査データによる高齢者の亜鉛の平均摂取量を見てみましょう。
年齢 | 男性の平均摂取量(mg) | 女性の平均摂取量(mg) |
60~69歳 | 9.3 | 8.0 |
70~79歳 | 9.1 | 8.0 |
80歳以上 | 8.3 | 7.2 |
出典:国立健康・栄養研究所【栄養素等摂取量】
しかし、60歳以上の平均亜鉛摂取量は
- 男性:8.3~9.3mg
- 女性:7.2~8.0mg
と、高齢者の亜鉛の平均摂取量は推奨量よりも下回っていることがわかります。
女性よりも、特に男性が推奨量よりも大幅に下回っています。
そのため、特に男性は亜鉛を多く含む食べ物を意識した食生活を心がけることが大切です。
亜鉛の必要性のまとめ
ここまで、亜鉛の働き、亜鉛が多く含まれる食べ物、亜鉛の身体への影響などを中心にお伝えしてきました。
亜鉛の必要性をまとめると以下の通りです。
- 亜鉛は約300種類以上の酵素の構成要素として重要な働きを担っている栄養素である
- 亜鉛を手軽に効率よくとるにはサプリメントなどを活用する
- 亜鉛の1日の摂取量は男性:10~11mg、女性:8mgほどといわれている
- 亜鉛不足による症状には皮膚炎、味覚異常、貧血、免疫力の低下などがある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。