- 「最近、疲れが取れないからカフェインが手放せない」
- 「でも、夜眠れなくなるのは怖い……」
- 「親がトイレを気にして水を飲んでくれない。お茶なら飲むけれど、大丈夫?」
40代・50代になると、自分自身の体調変化に加え、親の介護や健康管理についての悩みも増えてきます。
特にカフェインは「眠気覚まし」というメリットがある反面、睡眠の質低下や頻尿の原因にもなるため、付き合い方が難しい成分です。
実は、最もカフェインが多い飲み物はコーヒーではありません。
この記事では、飲み物ごとの正しいカフェイン含有量と、年代や生活シーンに合わせた「賢い飲み分け方」を解説します。
- 飲み物ごとのカフェイン含有量ランキング
- 年代別の1日に摂取してもよい安全な目安量
- 高齢者の脱水を防ぐための飲み物の選び方
- 夜でも安心して飲める「代替ドリンク」の提案
正しい知識を身につけ、あなたと大切なご家族の健康を守るためにお役立てください。
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飲み物のカフェイン含有量ランキング【一覧表付き】
「カフェイン=コーヒー」というイメージが強いですが、実は日本茶の一部にはコーヒーを上回るカフェインが含まれています。
まずは、主要な飲み物の100mlあたりの含有量を確認しましょう。
カフェインが多い飲み物TOP5
以下は、文部科学省「日本食品標準成分表」のデータを元にしたランキングです。
【飲み物別カフェイン含有量比較表(100mlあたり)】
| 順位 | 飲み物 | カフェイン量 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 玉露 | 160mg | コーヒーの約2.5倍。旨味成分を引き出すため低温でじっくり抽出される。 |
| 2位 | コーヒー | 60mg | 浸出液の値。豆の種類や焙煎度合いにより異なるが、マグカップ1杯で約120〜150mgになる。 |
| 3位 | 紅茶 | 30mg | 浸出液の値。抽出時間が長いほどカフェインが出やすい。 |
| 4位 | 煎茶・ウーロン茶 | 20mg | ほうじ茶も同程度。日常的に飲みやすいが、ガブ飲みには注意。 |
| 5位 | エナジードリンク | 30〜300mg | 製品により大きく異なる。カフェイン濃度がコーヒー以上のものもあるため要注意。 |
※出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」を基に作成
ポイントは以下の通りです。
- 玉露の圧倒的なカフェイン量: 高級茶として少量(湯呑み一杯など)を味わうものだが、含有密度は非常に高い
- エナジードリンクの罠: 100mlあたりの数値は製品によるが、1缶(250ml〜500ml)飲むと総摂取量は非常に多くなる傾向
農林水産省も清涼飲料水のカフェイン過剰摂取について注意喚起を行っています。
※参考:農林水産省「カフェインの過剰摂取について」
カフェインが少ない・ノンカフェインの飲み物
カフェインを控えたい時や、就寝前には以下の飲み物が適しています。
【カフェインが少ない・ゼロの飲み物】
| 飲み物 | カフェイン量 | 備考 |
|---|---|---|
| 玄米茶 | 10mg | 煎茶に玄米を混ぜているため、茶葉の量が少なくカフェインも控えめ。 |
| 麦茶 | 0mg | 大麦を焙煎したもの。ミネラルも豊富で水分補給に最適。 |
| ルイボスティー | 0mg | 妊婦さんにも人気。抗酸化作用も期待できる。 |
| 黒豆茶 | 0mg | 香ばしい風味が特徴。 |
「デカフェ」や「カフェインレス」と表示されているコーヒーや紅茶も、90%以上カフェインがカットされているため、選択肢のひとつとしてオススメです。
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【年代・属性別】1日のカフェイン摂取量の目安と許容範囲
カフェインの感受性(効きやすさ)には個人差がありますが、国や国際機関が示している目安を知っておくことは大切です。
特に40代以降は代謝が落ちるため、若い頃と同じ感覚で飲むと体に負担がかかることがあります。
健康な成人の場合(40代・50代の注意点)
日本では明確な「上限」は設定されていませんが、食品安全委員会は欧州食品安全機関(EFSA)などのデータを紹介しています。
- 1回あたり: 3mg/kg(体重60kgの人で約180〜200mg=コーヒー約3杯分)
- 1日あたり: 400mgまで(コーヒー約5〜6杯分)
ただし、40代・50代の方は注意が必要です。
加齢に伴い、カフェインを分解・排出する肝臓の機能や代謝が徐々に低下します。
「昔は夜コーヒーを飲んでも平気だったのに、最近眠れない」と感じる場合、体の処理能力を超えている可能性があります。
夕方以降は控えるなど、自分自身の体調に合わせて調整しましょう。
妊娠中・授乳中の方、子どもの場合
胎児や乳児は肝機能が未熟なため、カフェインの影響を強く受けます。
【摂取量の目安】
- 妊婦・授乳中: 世界保健機関(WHO)は1日300mgまで、英国食品基準庁(FSA)は1日200mgまでを推奨
- 子ども(4歳〜6歳): 1日45mg以下
- 子ども(7歳〜9歳): 1日62.5mg以下
- 子ども(10歳〜12歳): 1日85mg以下
※カナダ保健省などのデータを参考
※参考:厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A」
特にエナジードリンクは、子どもがジュース感覚で飲むとすぐに上限を超えてしまうため、家庭内での管理が重要です。
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カフェインの効果と副作用!カフェイン入りの飲み物を飲む際のメリット・デメリットを正しく理解
カフェインは「毒」ではありません。適切なタイミングと量で摂取すれば、私たちのパフォーマンスを上げてくれる頼もしい味方になります。
メリットとデメリットの両面を理解しましょう。
カフェインの主なメリット
仕事や家事の合間にコーヒーを飲むことで、以下のような効果が期待できます。
- 覚醒作用: 脳の中枢神経を刺激し、眠気を防いで集中力を高める
- 利尿作用: 老廃物の排出を促し、むくみを解消する(ただし脱水には注意)
- 脂肪燃焼: 自律神経の働きを高め、エネルギー消費を促進する
- リラックス効果: コーヒーや紅茶の香りには、脳をリラックスさせる効果もあるといわれる
過剰摂取によるデメリットと中毒症状
一方で、短時間に大量に摂取したり、慢性的に飲みすぎたりすると、体に悪影響が出ます。
【過剰摂取のサイン】
- 心身の不調: めまい、心拍数の増加(動悸)、興奮、不安、震え、不眠
- 消化器症状: 胃痛、吐き気、下痢
【致死量・急性中毒について】
個人差はありますが、短時間に1g(1000mg)以上摂取すると重篤な症状が出る可能性があり、3g以上では死に至るリスクがあるとされています。
これはコーヒーでいうと数十杯分に相当するため、通常の飲料で達することは稀です。
しかし、カフェインの錠剤(サプリメント)とエナジードリンクを併用するなどして、若年層が搬送されるケースも報告されています。
【介護・認知症予防の視点】高齢者とカフェイン飲料の付き合い方
高齢のご家族がいる場合、カフェインの管理は「ご本人の健康」だけでなく「介護者の負担軽減」にも直結する重要なテーマです。
高齢者の「隠れ脱水」と利尿作用のリスク
高齢になると、「喉の渇きを感じにくい」「腎臓の機能が低下して水分を保持しにくい」という特徴があります。
ここにカフェインの強い利尿作用が加わると、摂取した以上の水分が尿として排出され、脱水状態に陥るリスクがあります。
また、私たちメディカル・ケア・サービスが運営する介護現場では、「高齢者の脱水は、認知症の症状を急激に悪化させる最大のリスク」として特に注意を払っています。
高齢者の体内の水分量は体重の約50%(成人は約60%)と少なく、たった1%の水分を失うだけで「意識障害」や「せん妄(幻覚や興奮状態)」が引き起こされることがあります。
カフェインの利尿作用によって水分が排出されすぎると、「お茶を飲んでいるから大丈夫」と思っていても、いつの間にかこの危険ラインを越えてしまうことがあるのです。
「高齢者は脱水になりやすい」という話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。実は高齢者が脱水になりやすいことには明確な理由があります。今回は高齢者が脱水になりやすい理由や脱水にならない方法など、脱水に関して詳しく[…]
カフェインの利尿作用は、気付かないうちに体内の水分を奪います。
特に高齢者は喉の渇きを感じにくいため注意が必要です。
高齢になると、飲み込む力が弱まり、サラサラしたお茶や水でむせてしまうことがあります。
そうした場合は、水分量の多い食事や、飲み込みやすさに配慮された食品を活用するのも一つの手です。
▼【管理栄養士監修】水分補給と栄養管理を美味しくサポート
>健達ねっと厳選|高齢者の健康を支える「食事・栄養食品」を見てみる
睡眠の質と夜間トラブル(頻尿・転倒)の防止
認知症ケアの現場では、「1日1,500ml以上」の水分摂取を目標に掲げることがあります。
実際に、メディカル・ケア・サービスのグループホームで実践されているケアモデルでは、1日1,800mlの水分摂取を維持することで、85%以上の方に認知機能や行動心理症状(BPSD)の改善が見られました。
この目標を達成するためには、利尿作用のある濃い緑茶やコーヒーばかりに頼るのではなく、カフェインを含まないお水や麦茶、スポーツドリンクなどを合間に挟み、体内に水分をしっかり「留める」工夫が必要です。
認知症ケアの現場では、1日1,500ml以上の水分摂取が推奨されています。
適切な水分補給は、認知症の周辺症状(BPSD)を和らげる可能性があります。
超高齢社会の日本において、年々増加している認知症。記憶障害や見当識障害の他にも、症状は多岐にわたります。認知症症状の一つに頻尿があることをご存知ですか?本記事では、認知症と頻尿の関係について以下の点を中心にご紹介します。[…]
また、夕方以降にカフェインを摂りすぎると、利尿作用で夜中に何度もトイレに起きることになります。
夜間のトイレ移動は転倒骨折のリスクを高めるだけでなく、介護をするご家族にとっても大きな睡眠妨害となります。
夕食後のお茶は、ほうじ茶(カフェイン少なめ)や麦茶に切り替えることを強くオススメします。
夕方以降にカフェインを摂ると、睡眠の質が低下しやすくなります。もし「最近よく眠れない」と感じている場合は、カフェインを控えるだけでなく、生活リズム全体を見直すことも大切です。
夜中に何度も起きて仕事の成果が落ちている。睡眠不足な日々を送り続けて限界を感じる。上記のような症状は、不眠症の一つである「中途覚醒」かもしれません。 「中途覚醒は、治らない病気なの?」と疑問を持つことがあると思います。実[…]
【生活シーン別】カフェイン入り飲料の効果的な摂取タイミングと選び方
これまでの内容を踏まえ、1日の生活リズムに合わせた飲み分けのモデルケースを紹介します。
集中したい朝・昼食後のオススメ
朝や昼食後は、カフェインの覚醒作用を最も有効に使える時間帯です。
- 朝(起床から1時間後以降): 起床直後は「コルチゾール」というホルモンが分泌されているため、すぐ飲むよりも少し時間を空けてからコーヒーを飲むのが効果的という説がある
- 昼食後(13時〜14時頃): 「ランチ後の眠気」対策として、コーヒーや濃い目の緑茶が適している。15分〜20分程度の仮眠(パワーナップ)の前に摂取すると、目覚める頃にカフェインが効いてきてスッキリ動ける
夕方以降・リラックスタイムの代替案
夕方以降は、体内からカフェインを抜いていく時間です。
カフェインの効果は4時間〜最大8時間程度続くため、就寝時間から逆算して飲み物を選びましょう。
国立精神・神経医療研究センターなどの専門機関でも、良質な睡眠のためには就寝前のカフェイン摂取を避けることが推奨されています。
「夜眠れないけれど、何か温かいものを飲んでリラックスしたい」という方には、ノンカフェインのお茶だけでなく、「ホットミルク」や「ココア」もおすすめです。
牛乳やカカオに含まれる「トリプトファン」という成分は、睡眠ホルモンと呼ばれる「メラトニン」の材料になります。
特にココアを飲む場合は、カフェインが微量に含まれるため、就寝直前ではなく夕食後のリラックスタイムに取り入れるのがポイントです。
寝つきの悪さが気になる方は、これらを「入眠儀式」として取り入れてみてはいかがでしょうか。
「寝る前にココアを飲んでもいいの?」「ココアが睡眠や美容に良いって本当?」寝る前のココアについて調べている方の中には、睡眠の質や美容への影響について知りたい方も多いのではないでしょうか。ココアには、カカオポリフェノールや食物[…]
夕方以降にカフェインを摂ると、睡眠の質が低下しやすくなります。
もし「最近よく眠れない」と感じている場合は、カフェインを控えるだけでなく、生活リズム全体を見直すことも大切です。
夜中に何度も起きて仕事の成果が落ちている。睡眠不足な日々を送り続けて限界を感じる。上記のような症状は、不眠症の一つである「中途覚醒」かもしれません。 「中途覚醒は、治らない病気なの?」と疑問を持つことがあると思います。実[…]
まとめ:自分と家族の健康のために賢く飲み分けよう
カフェインは、正しく付き合えば生活にメリハリを与えてくれる有用な成分です。
しかし、含有量や自分の体質、年齢による変化を無視して飲みすぎると、健康を損なう原因にもなります。
- 最もカフェインが多いのは「玉露」。エナジードリンクの飲みすぎにも注意
- 40代以降は代謝が落ちるため、夕方以降の摂取は控えるのが無難
- 高齢者の場合、カフェインの利尿作用が「脱水」や「夜間頻尿」を引き起こすリスクがある
- 麦茶、ルイボスティー、ホットミルクなどを活用し、シーンに応じて飲み分けることが大切
ご自身のリラックスタイムを楽しむためにも、そして大切なご家族の健康を守るためにも、今日から飲み物の選び方を少しだけ変えてみませんか。
親の水分管理や夜間のトイレ介助にお悩みの方へ
高齢のご家族が「水を飲みたがらない」「夜中に何度もトイレに起きる」といった状態が続き、ご自宅でのケアに限界を感じている場合は、決して一人で抱え込まないでください。
認知症の方の水分補給や生活リズムの調整には、専門的な知識と環境が必要です。
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