病気や怪我、体力低下などが原因で入浴が難しい利用者の方にとって、温かいタオルで体を拭いて清潔を保つ「清拭(せいしき)」は欠かせないケアの一つです。
しかし、タオルの温度が低すぎると体温を奪って体調を崩す原因になり、高すぎるとやけどのリスクがあります。
では、清拭をおこなう際の適切な温度とは一体何度なのでしょうか?
本記事では、最新の介護知識に基づき、清拭における最適なお湯・タオルの温度、体を冷やさないためのコツ、そして注意すべきポイントについて詳しく解説します。
介護全般の基礎知識について詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてご参照ください。
介護とは?定義・介助や看護との違いから介護の始め方のススメ
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1. 清拭(せいしき)とは?その目的と効果
清拭とは、入浴が困難な方に対して、お湯で温めて絞ったタオルで体を拭き、皮膚を清潔に保つケアのことです。
ベッドに寝たままおこなえるため、入浴(全身浴)に比べて体力的な負担が少なく済みます。
全身を拭く「全身清拭」と、手足や顔など一部だけを拭く「部分清拭」があります。

清拭の目的と効果
清拭の主な目的は、汗や皮脂などの汚れを落として体を清潔に保つことと、サッパリしてリラックスしていただくことです。
また、それ以外にも以下のような重要な効果があります。
- 温かいタオルで皮膚を刺激することで、血液循環や新陳代謝を促進する
- 全身を拭きながら観察することで、発疹や床ずれ(褥瘡)などの皮膚トラブルを早期発見する
- 拭く際に手足を動かすことで、関節が固まる拘縮(こうしゅく)を予防する
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2. 清拭タオルの適切な温度とお湯の作り方
清拭において最も重要なのが「温度管理」です。
心地よく、かつ安全に清拭をおこなうためのポイントを解説します。
皮膚にあたるときの最適温度は「40~42℃」
清拭の際、利用者の皮膚にタオルが触れる瞬間の最適温度は40〜42℃です。
一般的な入浴時の温度(約40℃)に近いため、心地よい温かさを感じてもらえます。
- 40℃以下の場合: 拭く瞬間に冷たく感じ、利用者の体温を奪ってしまいます。
- 42℃以上の場合: 皮膚が薄くなっている高齢者は、やけどをしてしまう恐れがあります。
高齢者は温度に対する感覚(温度覚)が鈍くなっていることがあり、熱すぎるタオルでも反応しにくい場合があります。
また、介助者の指先も水仕事等で温度を感じにくくなっていることがあります。
そのため、必ず絞ったタオルを介助者自身の前腕(腕の内側などの皮膚が薄い部分)に当てて、適温かどうかを確認してから利用者に触れるようにしましょう。
準備するお湯の温度は「60℃程度」が目安
タオルを40〜42℃にするためには、バケツなどに用意するお湯の温度を60℃程度と高めに設定しておく必要があります。
室温が24℃前後の場合、バケツのお湯は1分間に約1℃下がると言われています。
また、タオルをお湯に浸して絞る動作の間にも温度は急激に低下します。
60℃のお湯で絞ったタオルを広げると、肌に触れる頃にはちょうど40〜42℃程度になります。
拭いている最中もタオルは1回ごとに約1℃冷めていくため、こまめにバケツのお湯に浸し直して温度を保つ工夫が必要です。
3. 体を冷やさないための「室温」と環境づくり
タオルの温度だけでなく、部屋の環境を整えることも体を冷やさないための重要なコツです。
室温は23〜25℃前後に設定
清拭中の室温は、23〜25℃前後を目安に調整しましょう。
清拭中は服を脱いで肌が露出するため、室温が低いと大きな負担になります。
また、濡れた肌にすきま風が当たると気化熱によって急激に寒く感じてしまいます。
エアコン等で室温を調整する際は、風が直接利用者に当たらないよう風向に注意してください。
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4. 清拭をおこなうときの4つの注意点
安全かつ快適に清拭を実施するためのポイントを4つご紹介します。
① プライバシーに配慮し、露出を最小限にする
清拭をおこなう前には、必ず窓やドア、カーテンを閉め、外から見えないようにします。
また、寒さ対策と羞恥心への配慮から、全身を一度に露出させることは絶対に避けてください。
拭く部位だけを露出し、拭き終わった場所にはすぐに乾いたバスタオルやタオルケットをかけて保温しましょう。
② 食事の前後1時間は避ける
食後は消化活動のために血液が胃腸に集中しており、血圧変動が起きやすく体力を消耗しやすい状態です。
また、食前も空腹により疲労を感じやすいため、食事の前後1時間は清拭を避けましょう。
高齢者の食事や注意点について詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
高齢者の食事について(食事介助の基本と注意点)
③ 声をかけ、体調の変化をチェックしながらおこなう
清拭によって服を脱いだり着たりする際の温度差(ヒートショック)や、体を動かす負担により、血圧や心拍数が急変することがあります。
常に「寒くないですか?」「痛いところはないですか?」と優しく声をかけ、顔色や呼吸に異常がないか確認しながら進めてください。
④ 正しい手順で手際よくおこなう
清拭は、きれいな部位(顔・首・腕など)から始め、汚れやすい部位(陰部・おしりなど)を最後に拭くのが鉄則です。
順番を間違えると、感染症や皮膚トラブルの原因になります。
また、もたもたしていると利用者の体が冷えてしまうため、事前にタオルやお湯、着替えなどを手元にすべて準備し、段取りを確認してからスムーズにおこないましょう。
清拭の手順について詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください。
清拭の手順・ポイントを解説!看護・介護する家族も知って欲しい
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5. 訪問介護における清拭の現状と家族介護の役割
厚生労働省のデータによると、訪問介護を利用している方の約2割が清拭や部分浴のサービスを受けています。
介護度別に見ると、要支援の方の利用は2.1%とわずかですが、要介護度が上がるにつれて割合は増加し、要介護5では51.3%と半数以上の方が利用しています。
介護度が高くなるほど自宅の浴槽での入浴が困難になるため、清拭が重要なケアとして位置づけられていることがわかります。
家族が清拭をおこなうケースも多い
介護においては、ヘルパーなどの専門事業者だけでなく、家族が清拭をおこなう場面も多々あります。
同省の調査では、清拭を必要とする方の介護体制において、「事業者のみ(43.6%)」よりも、「家族のみ(37.5%)」と「事業者と家族の共同(12.2%)」を合わせた割合(49.7%)の方が多くなっています。
ご自宅で介護をおこなうご家族にとっても、正しい清拭の知識と技術を身につけておくことは非常に大切です。
家族による介護のコツや負担軽減について知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
【最新版】介護で家族崩壊が起きる原因とは?共倒れを防ぐ予防策
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清拭の濡れタオルの温度まとめ
本記事で解説した清拭のポイントをまとめます。
- タオルの最適温度: 皮膚に当たるときに40〜42℃になるよう調整する。
- お湯の温度: タオルを絞ったときに適温になるよう、バケツのお湯は60℃程度で準備する。
- 環境づくり: 室温は23〜25℃にし、窓やドアを閉めてすきま風を防ぎ、プライバシーに配慮する。
- 注意点: 食事の前後1時間は避け、拭く部位以外はバスタオルで覆って保温し、体調を確認しながら手際よくおこなう。
適切な温度管理と環境づくりを心がけることで、利用者にとって清拭が負担ではなく、心地よいリフレッシュの時間になります。
ご自宅での介護の参考にしていただければ幸いです。


