「介護認定調査員について、一体どういう役割があるのだろう?」
「介護認定調査員になるための条件や、平均月収などは?」
といった疑問を抱えている方がいることでしょう。
介護認定調査員とは介護保険に関する認定を行う情報を集める業務であり、その役割は多岐に渡ります
本記事では、介護認定調査員について以下の点を中心にご紹介します。
- 介護認定調査員の役割
 - 介護認定調査員の調査内容
 - 介護認定調査員になる方法
 - 介護認定調査員に求められること
 
介護認定調査員に関する疑問を解消するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
介護保険について詳しく知りたい方はこちらもお読みください。
高齢化が進み、要介護者の増加や介護期間の長期化などがみられるようになりました。また、老老介護という言葉もあるように介護する家族も高齢化しています。そういった現状を踏まえ、介護の負担を減らすために作られた制度が介護保険です。[…]
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介護認定調査員とは

介護認定調査員とは、介護保険の要介護認定(1次判定)を行ううえで必要な情報を集め、聞き取り調査を行う方を指します。
介護保険とは介護を理由に国からお金を支給される保険制度です。
介護保険証について知りたい方はこちらもお読みください。
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介護認定調査員の役割

介護認定調査員の主な役割としては、調査対象者の自宅へ訪問し、申請者である対象者本人や対象者家族に聞き取り調査を実施し、その内容を調査票や意見書にまとめます。
介護認定調査員の役割は以下の通りです。
- 調査日時や場所の調整
 - 必要なものの準備
 - 申請者への訪問調査
 
一つずつ項目を具体的に解説します。
調査日時や場所の調整
介護認定調査員が認定調査を実施するには、まず調査日時や場所の調整を行います。
調査日時や場所の調整は、申請者である調査対象者本人や対象者家族に電話を掛けて予約を行います。
電話を掛けて予約をする際に、不審者と思われない様に介護保険認定調査員であることをしっかり伝える必要があります。
また電話をした理由・趣旨を相手に伝えることを心がけましょう。
対象者本人の日常の生活状況をしっかりと認識できるため、調査場所は自宅が望ましいです。
自宅は、対象者本人がリラックスして調査を受けられる環境ともいえます。
さらに要介護者が身体的・精神的に不安定な場合もあるため、介護者同伴のもと落ち着いて話のできる時間帯がおすすめです。
調査日時の直前で対象者本人の都合が悪くなるなど、緊急な連絡が必要となるときのためにも事前に調査員・調査対象者・介護者の間で連絡先を交換しておくことが大切です。
また調査の実施に時間が掛かる可能性があるため、地域の駐車場・駐輪場の確認も行いましょう。
必要な物の準備
介護認定調査員が認定調査の実施をするときは、携行物品を準備する必要があります。
認定調査の実施に必要な携行物品はいくつかあり、具体的には以下の通りです。
- 介護支援専門員証や調査員証などの身分証
 - 視力確認票
 - 調査票と特記事項用紙
 - 認定調査員テキスト
 - 筆記用具
 
また短期記憶の調査を実施する際に、ペン・時計・タオルなど身近なものを用います。
上記の物を持ち合わせていない場合は、普段持ち歩いている物でも十分とされています。
申請者への訪問調査
介護認定調査員の認定調査の実施の際に、準備を整え当日には申請者への訪問調査を行います。
介護認定を適正に行うため、同席者の有無・認知症状の確認などを事前に行います。
同席者の有無を把握することは大切で、調査対象者の日頃の状況を正確に知る第三者がいるかどうかで判断材料も大きく異なります。
そのため、できるだけ身近な家族や介護者の立ち合いを求めることがおすすめです。
認知症状の確認は認定調査上必要ですが、対象者にとって不愉快と受け取られる可能性があります。
そのため必ず形式上の質問であることを伝え、対象者の自尊心に配慮することを心がけましょう。
ただ対象者が認知症状を否定し、調査をする中で認知症状と判断できる可能性もあります。
この場合は調査対象者が離席したあと、家族や介護者など身近な方に個別に聞き取るようにしましょう。
介護認定調査員が行う調査の内容

介護認定調査員の調査の内容は以下の通りです。
- 概況調査
 - 基本調査
 - 特記事項
 
一つずつ項目を具体的に解説します。
概況調査
介護認定調査員の認定調査の一つは、概況調査です。
概況調査では、対象者本人が置かれている大体の様子について聞き取りを行います。
概況調査は、以下の4種類の項目から構成されています。
- 調査実施者(記入者)
 - 調査対象者
 - 現在受けているサービスの状況(在宅利用・施設利用など)
 - 置かれている立場・環境など(調査対象者の親類家族の状況、住宅居住環境など)
 
調査実施者が、調査実施日や調査場所と氏名や所属機関、対象者本人の過去の認定歴や氏名・性別・住所・生年月日・電話番号などを記入していきます。
基本調査
基本調査は対象者本人の身体的・精神的な状態を具体的な項目ごとに聞き取りし、評価を行う調査です。
基本調査は、以下の6種類の項目から構成されています。
- 1:「身体機能・起居動作」(13項目)
 - 2:「生活機能」(12項目)
 - 3:「認知機能」(9項目)
 - 4:「精神・行動障害」(15項目)
 - 5:「社会生活への適応」(6項目)
 - 6:その他「過去14日間にうけた特別な医療について」(12項目)
 
1 : 「身体機能・起居動作」は、以下の13種類の項目から構成されています。
- 麻痺等の有無
 - 拘縮の有無
 - 寝返り
 - 起き上がり
 - 座位保持
 - 両足での立位保持
 - 歩行
 - 立ち上がり
 - 片足での立位
 - 洗身
 - つめ切り
 - 視力
 - 聴力
 
2 : 「生活機能」は、以下の12種類の項目から構成されています。
- 移乗
 - 移動
 - えん下
 - 食事摂取
 - 排尿
 - 排便
 - 口腔清潔
 - 洗顔
 - 整髪
 - 上衣の着脱
 - ズボン等の着脱
 - 外出頻度
 
3 :「認知機能」は、以下の9種類の項目から構成されています。
- 意思の伝達
 - 毎日の日課を理解
 - 生年月日や年齢を言う
 - 短期記憶
 - 自分の名前を言う
 - 今の季節を理解する
 - 場所の理解
 - 徘徊
 - 外出すると戻れない
 
4 : 「精神・行動障害」は、以下の15種類の項目から構成されています。
- 物を盗られたなどと被害的になる
 - 作話
 - 泣いたり、笑ったりして感情が不安定になる
 - 昼夜の逆転がある
 - しつこく同じ話をする
 - 大声をだす
 - 介護に抵抗する
 - 「家に帰る」等と言い落ち着きがない
 - 一人で外に出たがり目が離せない
 - 色々なものを集め、無断でもってくる
 - 物を壊したり、衣類を破いたりする
 - ひどい物忘れ
 - 意味もなく独り言や独り笑いをする
 - 自分勝手に行動する
 - 話がまとまらず、会話にならない
 
5 : 「社会生活への適応」は、以下の6種類の項目から構成されています。
- 薬の内服
 - 金銭の管理
 - 日常の意思決定
 - 集団への不適応
 - 買い物
 - 簡単な調理
 
6 : その他「過去14日間にうけた特別な医療について」は、以下の12種類の項目から構成されています。
- 点滴の管理
 - 中心静脈栄養
 - 透析
 - ストーマ(人工肛門)の処置
 - 酸素療法
 - レスピレーター(人工呼吸器)
 - 気管切開の処置
 - 疼痛の看護
 - 経管栄養
 - モニター測定
 - じょくそうの処置
 - カテーテル
 
特記事項
特記事項は、概況調査と基本調査に記入した内容の補足や注釈の記入を行います。
例えば基本調査で選択を迷う項目であれば、選択肢ではなく文章で記入することができます。
また特に重要と判断される点について取りまとめておく箇所でもあります。
介護保険法について詳しく知りたい方はこちらもお読みください。
介護認定調査員になるには?必要な資格や研修

介護認定調査員になるには、2種類の条件があります。
- 1:必要資格を有し介護実務に5年以上従事もしくは過去、認定調査に1年以上従事すること
 - 2:都道府県らが実施する調停調査員研修、委託元市町村が実施する研修を修了すること
 
主に介護認定調査員は、申請を受けた市町村が主体となって行います。
しかし市町村の職員だけでは調査の手が足らず、指定居宅介護支援事業者や介護保険施設またはそこに属する介護専門員(ケアマネージャー)が委託による認定調査を行います。
つまり介護認定調査員になるには、2種類の条件を満たし市町村職員になるか委託を受ける団体に属することで可能になります。
介護認定調査員に求められること

介護認定調査員に求められることは以下の通りです。
- コミュニケーション能力
 - 観察力
 - 書類作成能力
 
一つずつ項目を具体的に解説します。
コミュニケーション能力
介護認定調査員に向いている方は、コミュニケーション能力の高い方です。
介護認定調査は、初対面の調査対象者や立会人から情報を聞き取らなくてはいけません。
また調査対象者の身体的・精神的な配慮も必要になるため、一般人との会話よりも柔軟で高度なコミュニケーションが必要となります。
観察力
コミュニケーション能力のほかに、観察力も重要です。
介護認定調査では、対象者の言葉や表情から多くのことを把握しなければいけません。
少しでも正確な情報を引き出すため、コミュニケーション能力と合わせて観察力も必要です。
また認定調査には少しばかり時間を要します。
そのため対象者の容態の急変など、体調の変化にも配慮する必要があります。
観察力があれば調査対象者に身体的・精神的なストレスを与えにくいとも考えられます。
書類作成能力
介護認定調査において対象者から訴えや状況を調査票に書き込む必要があります。
主治医や介護認定審査委員と連携を取るため、簡潔で表現力・要約力の高い書類作成能力が重要です。
介護認定調査員に向いている人の特徴

介護認定調査員に向いている人は、以下が挙げられます。
- コミュニケーション能力の高い人
 - 観察力・注意力の高い人
 
介護認定調査員は、仕事柄、初対面の方に聞き取りを行います。
そのため、コミュニケーション能力が高ければ、スムーズな聞き取りができるでしょう。
また、対象者が話していることを聞きながらメモを取るため、観察力も必要です。
観察力や注意力があれば、話の内容をうまくまとめつつ、必要なことを正確に判断できます。
介護認定調査員の主な職場

介護認定調査員の主な職場は、自治体の介護保険課の非常勤職員としてが多いでしょう。
認定調査は、市町村の職員や事務受託法人が行うため、こうした職場で募集が多いです。
もちろん地域によっても職場は異なるので、上記の場所以外でも就業は可能でしょう。
法人は、社会福祉法人や社会福祉協議会といった組織が挙げられるでしょう。
給与や雇用形態に関しては、それぞれの自治体や事務受託法人によって異なります。
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介護認定調査員の収入・給料事情|平均月収は?

介護認定調査員の給与・待遇面は、実際に就職する場所によって大きく変動することがわかっています。
平均月給は、およそ15万円からおよそ20万円前後が多いとされています。
勤務形態に関しては、正社員の求人募集のほかパート・アルバイトとしても採用されています。
職場により日給制・時給制を採用している場所もあります。
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介護認定調査員のまとめ

ここまで、介護認定調査員について解説してきました。
要点は以下の通りです。
- 介護認定調査員の役割は、調査日時や場所の調整・必要なものの準備・申請者への訪問調査など
 - 介護認定調査員の調査内容は、概況調査・基本調査・特記事項など
 - 介護認定調査員になるには、必要資格を取得し実務経験や研修を行う必要がある
 - 介護認定調査員に求められることは、コミュニケーション能力や観察力、書類作成能力など
 
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 



 
 






  
  
  
  
  


