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トップページ>認知症を学ぶ>認知症の治療>パーソンセンタードケアとは?認知症の高齢者に寄り添う支援

パーソンセンタードケアとは?認知症の高齢者に寄り添う支援

パーソンセンタードケアとは、「認知症の方を一人の人間として尊重してケアしていく」という考えのもとで行う認知症ケアのことです。
認知症高齢者が落ち着いて過ごしていくために、とても大切な考え方です。
ではパーソンセンタードケアとは、具体的にどのように行っていけばよいのでしょうか?

本記事では、パーソンセンタードケアに関して以下の点を中心に解説していきます。

  • 認知症とは
  • 認知症の症状
  • 認知症への理解を深める
  • 5つの心理的ニーズを満たそう

パーソンセンタードケアの理解を深め、認知症の方の対応の参考になれば幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

認知症とはどんな病気?

パーソンセンタードケアについて知るためには、まず認知症がどのような病気か理解することも大切です。
認知症とは、脳の障害やさまざまな障害により認知機能などが低下し、日常生活に支障をきたす病気です。
高齢になって、一般的に物忘れから始まるのが「アルツハイマー型認知症」です。

脳の萎縮が原因で認知機能の低下がみられ始めます。
他にも、脳卒中が原因で発症する「血管性認知症」や「レビー小体型認知症」などさまざまな種類があり、症状の出現にも違いがあります。
参照:厚生労働省「認知症」

認知症の症状

認知症の症状は、認知機能障害と認知機能障害に伴う認知症の行動・心理症状に大きく分けられます。
認知機能障害に伴う認知症の行動・心理症状は、BPSDと呼ばれることもあります。

認知機能障害

認知機能障害は中核症状と言われる部分で、以下のようなものがあります。

  • 記憶障害
  • 見当識障害
  • 理解力・判断力の低下
  • 失認
  • 失語
  • 失行 など

参照:厚生労働省「認知症
参照:「記憶障害」「失語」「失認」「失行」「実行機能障害」とは

認知機能障害に伴う認知症の行動・心理症状

認知症の行動・心理症状とは、中核症状から付随して出てくるもので、周辺症状と言われています。
症状としては、以下のようなものが該当します。

  • せん妄
  • 抑うつ
  • 興奮
  • 徘徊
  • 睡眠障害
  • 妄想 など

認知機能障害に伴う認知症の行動・心理症状は、次のようなケースで多く見られます。

  • 中核症状による記憶障害や見当識障害などから不安になる
  • 1で生じた不安な思いをうまく言葉で伝えられない

認知症の方の症状で困ってしまうのが、行動・心理症状である周辺症状です。
周辺症状に対応する際の考え方として、パーソンセンタードケアがあります。
追加参照:認知症の中核症状と行動・心理症状(BPSD/周辺症状) 

認知症の状態の判断方法

認知症の状態が悪化しているときと、良好な状態のときの判断方法について解説していきます。

悪化すると出現する症状・行動

悪化すると出現してくる症状や行動には、以下のようなものがみられます。

  • 表情が険しい
  • 怒り出す
  • 暴言暴力が出る
  • 徘徊する など

このような症状が出始める前には、何かしらサインを出していることも多いです。

良好な状態で見られる表情や言動

良好な状態で見られる表情や言動には、以下のようなものがあります。

  • 意思を表現できる
  • 周囲に思いやりをもっている
  • ユーモアを示している
  • 喜びを表現でき、笑顔になる
  • 自尊心を維持している(汚れなどを気にしている) など

良好な状態のときには、認知症の症状も落ち着いていることが多いです。

しっかり観察してケアする準備をしよう

症状が出る前には、認知症の方はしっかりとサインを出しています。
そして、そのサインは日ごろから認知症の方を観察していれば、すぐに分かります。
以下のような場合には注意が必要なので、きちんと観察して対応していきましょう。

  • 忙しいからとほったらかしにしている
  • イライラした感情で接している
  • 子どもに接するような対応をしている など

認知症への理解を深める

パーソンセンタードケアを効果的に行うためには、認知症の方への理解も必要です。
理解すべき内容について見ていきましょう。

認知症の方の行動にも意味がある

介護する側からすると、認知症の方の行動は問題行動だと捉えてしまいがちです。
しかし、認知症の方の行動にも意味があります。
その意味を考えるには、認知症の方の立場に立つことが一番分かりやすく、対処の方法も見えてきます。

認知症の方の立場に立って考える

認知症の方の理解を深めるのに有効なのが、認知症の方の立場になってみるということです。
もし車に乗っていてウトウト眠ってしまったあとに、目が覚めたら周りは知らない人だらけで、知らない場所についていたらどうでしょうか。
不安で逃げ出したくなるという方も多いでしょう。

また車から降りるときに手を引っ張られたら、どこに連れて行かれるのか不安になります。
怒ったり、何とか逃げなければと叩いたりする方もいるでしょう。
これが、認知症の徘徊や暴言暴力が起こる原因だと考えることができます

認知機能が低下しても感情やプライドは残っている

認知症の方は、認知機能が低下していても感情やプライドは残っています。
特に上から押さえつける言い方をされたり、子ども扱いされたりしたときには、プライドが傷つけられたと感じる方もいるでしょう。
また認知症の方は、感情のコントロールがうまくできない方も多いです。

プライドが傷つけられて怒りの感情が出たときに、普通なら我慢すべきところでも、怒りが爆発してしまうことがあります。
認知症の方にも、プライドが残っていることを理解して対応することで、困っている行動への対処方法も見えてくるでしょう。

参照:「パーソンセンタードケア」を実践するための5つの要素|認知症のコラム
参照:パーソンセンタードケアとは?認知症ケアの考え方と活用例を徹底解説

愛を中心に5つの心理的ニーズを満たそう

パーソンセンタードケアを実施していくにあたって、心理的ニーズを知ることが大切です。
パーソンセンタードケアの心理的ニーズには、以下の5つがあります。

Identity(自分らしさ)

自分が自分であると認識するためには「過去があって今の自分がある」と、認識することが必要です。
しかし、認知症の場合はその記憶が断片的になります。
すると自分が何者であるか分からなくなり、生きる気力も失われかねません。

つまり、とてもナイーブな要素であるといえます。

Attachment(結びつき・愛着・こだわり)

パーソンセンタードケアの5つの心理的ニーズでは、人とのつながりだけでなく、ものへの愛着やこだわりも含まれます。
認知症になると、最近のことはなかなか覚えられない傾向がありますが、昔のことはよく覚えています。
断片的な記憶しかない中で、昔からよく知る人やものとつながり安心を得ようとする行動は、ごく自然な流れといえるでしょう。

Occupation(携わること)

認知症になると、徐々にできなくなることが多くなり、周りの手を借りることも増えてきます。
しかし、一人の人間として何か役に立ちたいという気持ちは、人として当然のことです。
Occupationには「職業」という意味もあります。

昔から培ってきた技術や知識を活かし、さまざまなところで手伝いをすることで感謝されます。
すると自分が必要とされている実感がわき、孤立感も取り除かれていくのです。

Inclusion(共にあること)

認知症の方も、集団の一員であることに安心感を得ます。
しかし、認知症になると言葉も出なくなってきます。
するとコミュニケーションも取りづらくなり、疎外感を覚えることも出てくるでしょう。

不安感や孤独感から、ますます認知症が進行してしまうこともあります。
したがって、人の輪の中で安心感を覚えることも、認知症の方には大切です。

Comfort(くつろぎ)

認知症の方にとって、くつろぎがあることで周辺症状が落ち着いてくることも多々あります。
職員や他の人とのふれあいによる安心感を得ることで、くつろぐことができます。
また同じ姿勢で長時間いないか、おむつ交換はされているかなど、苦痛や不快な思いを取り除くことも大切です。

パーソンセンタードケアに大切な5つの心理的ニーズは、一つ満たされると他のニーズも連鎖的に満たされていきます。
すると、心理的に落ち着いて過ごすことができるようになります。
さらに、認知症の方の困る行動も減少してくるでしょう。

参照:「パーソンセンタードケア」を実践するための5つの要素|認知症のコラム

認知症の方とのコミュニケーション術

認知症の方が落ち着いて過ごせるようになるためには、コミュニケーション術も重要です。
認知症の方とのコミュニケーションのポイントを紹介します。

否定しない

認知症の対応でまず大切なことは、否定しないことです。
たとえば「ご飯を食べていない」と訴えてきたときには、食べたばかりでも認知症の方にとっては、食べていないのが事実です。
それを「さっき食べたでしょ」と言っても、納得してもらえません。

事実と違うことを訴えられた場合は、認知症の特徴である「忘れること」を利用する対処方法がよいでしょう。
料理の下ごしらえを手伝ってもらったり、他の作業をお願いしたりして「食べていない」という思いを忘れてもらうことです。

また、認知症の方に別の人と間違えられたり、知らない人と認識されたりすることもあります。

間違えられても、否定せずに受け入れることが大切です。
それも、認知症の症状の一つです。
人によっては、少しすればまたきちんと認識できることもあります。

生い立ちを知り行動の根拠を理解する

認知症の方の行動には、何かしら意味があります。
例えば、次のような言動が聞かれることもあるでしょう。

  • 家にいるのに、突然「帰る」と言い出す
  • 「仕事に行かなければ」と言い出す
  • 「子どもの夕飯を作らないと」と言う

現実ではない言動を否定すると、反対に訴えを強くしてしまうこともあります。
そんなときには今までの生い立ちを知り、行動の根拠を知ることが大切です。
認知症の方が納得できる声掛けや対処をすることで、落ち着かせることもできます。

例えば仕事一筋で「仕事に行かなければ」と言うのであれば、今までの仕事を活かせる作業をしてもらうとよいでしょう。
仕事をしたいといった気持ちに寄り添うこともひとつの方法です。

性格に合ったケアを提供する

性格に合ったケアをすることも、介護者に行って欲しい行動をとってもらうためには必要です。
ほめて持ち上げたら気分が良くなり、お願いを聞いてくれる人もいます。
逆に「お世辞ばっかり」と怒り出してしまう人もいるでしょう。

また、プライドの高い人は失敗を人に見られたくないため、失禁などしたときに隠したり、嘘をついたりすることもあります。
そこで、叱責などを受けるとさらに自尊心を傷つけられ、逆効果になりかねません。
よってその人の性格を知り、一人ひとりに合った対応をしていくことが大切です。

嘘をついたり子ども扱いしたりしない

認知症の方に対して「分からないから」「すぐ忘れるから」と、嘘をついたり子ども扱いしたりしてしまうことがあります。
しかし、この行為によって反対に状況を悪化させてしまう可能性があるため注意しましょう。
とにかく「否定しないこと」「生い立ちを知って行動を理解すること」が大切です。

ただし現実とは違い、介助者からすると嘘につながることもあるでしょう。
しかし認知症の方からすれば事実で、安心を与えるための行為です。
ここで言う「嘘をつかない」とは、この場を収めるためだけに嘘をつくということです。

不安を取り除くことなく言う嘘は、本当の嘘になります。
また、認知症高齢者は、さまざまな経験をしてきた人生の先輩です。
高齢者よりも人生経験の少ない人たちに子ども扱いされては、プライドが傷ついて怒り出したとしても、当たり前のことと言えるでしょう。

スキンシップなどの非言語コミュニケーションも必要

人と人のつながりとして、もちろん言葉でのつながりも必要です。
それだけではなく、スキンシップなどの非言語コミュニケーションも大切です。
認知症の方は、昔のつらいことを思い出して泣いてしまう方も大勢います。

そんなときは言葉だけでなく、身体をさするなどスキンシップを図ることで、落ち着くこともあります。
それだけ、非言語コミュニケーションは大切なものです。

参照:「否定しない」が大原則。認知症の方との接し方と上手なコミュニケーション方法|認知症のコラム
参照:自尊心を傷つけない認知症の方とのコミュニケーション方法

パーソンセンタードケアまとめ

ここまでパーソンセンタードケアについてお伝えしてきました。
パーソンセンタードケアの要点をまとめると以下の通りです。

  • 認知症とは、脳の障害などにより認知機能が低下し、日常生活に支障をきたす病気
  • 認知症の症状には、認知機能障害と認知機能障害に伴う認知症の行動・心理症状がある
  • 認知症への理解を深めるためには、認知症の方の立場に立って考えることが大切
  • パーソンセンタードケアでは、5つの心理的ニーズを満たすことが大切

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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