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トップページ>認知症を学ぶ>アルツハイマー型認知症>アルツハイマー病の原因は歯周病?認知症と歯周病の予防対策を解説!

アルツハイマー病の原因は歯周病?認知症と歯周病の予防対策を解説!

近年、増え続けている認知症の発症率。
しかし、認知症の根本的な治療は開発されていません。

実は、歯周病がアルツハイマー病を引き起こす原因になるということが話題になっています。
今回の記事では、アルツハイマー病と歯周病の関係について以下の内容を中心に解説します。

  • 歯周病がアルツハイマー病を引き起こすと言われる理由
  • アルツハイマー病の予防法
  • 実践すべき口腔ケアについて
  • 歯周病のセルフチェック

歯周病の予防は、快適な日常生活を送るためにも大切です。
歯周病とアルツハイマー病の関係を知り、認知症の予防をはじめ、口の健康についても意識するきっかけになれば幸いです。

歯周病のセルフチェックについても紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。

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そもそも歯周病の原因と症状は?

そもそも歯周病とは、どのような疾患なのでしょうか。

まずは歯周病の原因や症状を確認しましょう。

歯周病の原因は?

歯周病の原因は、歯や歯肉組織に歯周病原菌という細菌が繁殖することです。

歯周病原菌は歯周組織に炎症を起こし、口の中に様々な悪影響を及ぼします。
細菌が繁殖する原因の多くは、歯磨きが十分にできていないことです。
歯と歯茎の間は歯ブラシが届きにくいため、どうしても食べかすや汚れがたまりがちです。

細菌は歯の間にたまった食べかす・汚れをエサにして繁殖し、やがてプラークという歯垢を作ります。
プラークは簡単にいえば細菌の巣です。

1mgあたりに1億を超える細菌が住み着いているとも指摘されています。

プラーク内の細菌は毒素を生み出すことで、歯肉に炎症を引き起こします。
すなわち歯周病と呼ばれる状態に至るわけです。

歯周病の症状は?

歯周病は軽度であれば症状が出ないこともあります。
重症化するにつれ、歯肉の炎症が目立ちはじめます。

具体的には、歯茎の腫れ・赤み・痛みなどの症状があらわれます。
さらに症状が進行すると、炎症は歯肉から顎の骨へと移行します。

結果、歯を支える骨が溶けるため、歯のぐらつきなどの症状があらわれます。
最悪の場合は、歯が抜けることもあります。

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歯周病がアルツハイマー病を引き起こす?

歯周病の方は歯周病ではない方に比べ、アルツハイマー病を発症する確率が高いと言われています。

九州大学の研究チームによると、歯周病菌を投与したマウスは、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβが10倍近くも増えるということが発表されました。

歯周病菌が増えすぎると、免疫細胞が過剰な攻撃を始め、免疫細胞自体にも炎症が起きます。
炎症物質が免疫細胞を刺激することで、アミロイドβが作られます。

そのため、歯周病菌によって作られたアミロイドβが脳へ取り込まれ、蓄積するとアルツハイマー病を引き起こすリスクが高まります。

また、歯周病により歯が抜けたり弱くなったりする場合があります。
歯が抜けたり弱くなったりすると噛む行為が減ってしまいます。
その結果、脳機能の低下にもつながり、認知症の発症リスクも高まると考えられています。

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歯周病は様々な病気も引き起こす?

歯周病はアルツハイマー以外の疾患を誘発するとも指摘されています。
歯周病と関わりのある疾患について、代表的なものをご紹介します。

誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎は、誤嚥が引き起こす肺炎です。
誤嚥とは、食べ物などが誤って気管に入ることです。

誤嚥が起こると、食べ物・唾液に含まれる細菌が気管支・肺に侵入します。
結果、細菌が肺に感染して肺炎を引き起こすというわけです。

肺炎の原因菌の1つが歯周病原菌です。
実際に誤嚥性肺炎患者の肺の中を調べると、高い確率で歯周病原菌の繁殖がみられます。

狭心症・心筋梗塞

狭心症・心筋梗塞は、血管内が狭くなり、心臓に十分な血液が届かなくなる状態です。
重症化すると死に至ることもあります。

歯周病は狭心症・心筋梗塞などのリスクを高めます。
理由は、歯周病原菌が心臓で炎症を起こすためです。

歯周病原菌は血液に乗って全身に運ばれ、やがて心臓に達します。
心臓に入った歯周病原菌は、心臓壁にへばりついて炎症を起こすことがあります。

炎症が起こった部分の血管は大きなダメージを受け、最終的に動脈硬化が起こります。
すると血管が脆くなるため、心臓への血流が悪くなり、結果狭心症・心筋梗塞のリスクが高まります。

脳梗塞

脳梗塞とは脳内の血管が詰まる疾患です。
詰まった部分には血液が届かなくなるため、脳細胞が死亡し、結果として脳機能の低下に陥ります。

脳梗塞の主な原因は動脈硬化です。
動脈硬化が起こると血管内が狭くなるため、脳の血流が悪くなります。

あるいは、血栓という血の塊が脳血管を防ぐこともあります。

歯周病は動脈硬化と血栓の生成の両方に関わっています。
歯周病菌が生み出す毒素は血管を傷つけることで、動脈硬化のリスクを高めます。
あるいは、歯周病菌がプラークという物質を血管内に作り出すこともあります。

血管内にプラークができると血流が阻害されるため、血液がよどみやすくなります。
すると血液成分の一部が沈殿し、血栓を作り出します。

血栓が血流に乗って脳に運ばれた結果、脳血管を詰まらせて脳梗塞を引き起こすというわけです。
血栓は動脈硬化によって作られることもあります。

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糖尿病

歯周病は糖尿病と相関関係にあることが分かってきました。

すなわち糖尿病は歯周病を併発しやすく、反対に歯周病は糖尿病を誘発する確率が高いのです。

 

糖尿病とは、血糖値が慢性的に高くなる疾患です。

原因として、インスリンという血糖値を下げるホルモンの働きが悪くなることが挙げられます。

インスリンの働きが悪くなる原因の1つが歯周病原菌です。

より具体的には、歯周病原菌が生み出す毒素がインスリンの働きを妨げます。

そのため、歯周病がある方は、ない方と比べると、糖尿病のリスクが高まります。

実際に糖尿病の方は、歯周病の治療を行うと血糖値が改善しやすいとも指摘されています。

その他の病気

歯周病が引き起こしやすいその他の疾患は以下の通りです。

  • 骨粗鬆症
  • 早産・低体重児出産
  • がん
  • 関節炎・腎炎
  • メタボリックシンドローム

全身疾患と歯周病が思いもよらぬ形で相互作用を起こしていることがあります。

健康を保つためにも、口腔ケアをしっかり行って歯周病をケアすることが大切です。

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歯周病のセルフチェック

医師解説

歯周病はいつの間にか発症し、気付いた時にはかなり進行していることもあります。
自分が、歯周病かどうか以下の項目をチェックしてみてください。

  1. ​​歯ぐきが赤く腫れている、もしくはドス黒い
  2. 歯みがきの時に歯ぐきから、出血がある
  3. 歯ぐきに痛みを感じる
  4. 歯が伸びたように見える
  5. 噛む時、歯の動揺がある
  6. 歯と歯の間に隙間が空いてきた
  7. 口臭が気になる

4つ以上当てはまる方は、歯周病が発症し、進行している可能性が高いと考えられます。
また、4、5、6番の項目に一つでも当てはまる場合は、早めに歯科医院を受診するようにしましょう。

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歯周病予防にはしっかりとした口腔ケアを!

歯周病は、アルツハイマー病をはじめ、身体全体に悪影響を与えることがわかっています。
そこで、ここからは歯周病を発症させないために、実践すべき毎日の口腔ケアについて解説していきます。

食後の歯磨き

口の中の食べかすを放置しておくと、歯周病菌の栄養となり、菌が増える原因となります。
しかし、食後すぐは口の中が酸性になっています。

口の中が酸性のまま歯磨きをすると歯の表面を傷つけてしまうので、食後30分~1時間後に歯磨きをするようにしましょう。

頻繁に間食をしない

頻繁な間食は、歯に歯垢がたまりやすくなります。
10時と3時など、間食の時間を決めましょう。

また、だらだらと時間をかけて食事をとるのも歯の歯垢の原因となります。

よく噛んで食べる

よく噛むと唾液の分泌が増え、口腔内を綺麗にしてくれます。
また、よく噛むことは胃への負担を減らしたり、脳を活性化させたりする効果もあります。

フロスや歯間ブラシを使う

歯の隙間は、通常の歯ブラシでは取りきれない汚れが溜まっています。
フロスや歯間ブラシが歯の隙間の汚れをとるのに最適ですが、サイズが合ったものを使わないと歯茎を痛めてしまうので、注意が必要です。

舌の掃除をする

舌にも汚れが付着するので、定期的に清掃することが大切です。
舌は口の中でも面積が大きく、舌の汚れは口臭の原因にもなります。

歯ブラシや、舌専用ブラシで優しくこすって汚れをとります。

薬の使い方

アルツハイマー病を予防するには?

アルツハイマー病の根本的な治療法はまだ確立されていませんが、発症リスクを下げるために実践できる予防法はあります。
ここからは、アルツハイマー病の予防に効果的があるとされている方法について紹介します。

適度な運動

週に3〜4回、1回30分以上の有酸素運動が、アルツハイマー病の予防に効果があると言われます。
強い負荷がかかるものではなく、ウォーキングや軽いジョギングなど無理なく続けられるものでも、効果が期待できます。

また最近では、運動と脳トレを同時に行うことで、より脳が活性化され、アルツハイマー病予防の効果も高いことがわかっています。
例えば、ウォーキングでも計算をしながら歩くと脳にも負荷がかかり、脳が活性化されます。

睡眠の質をあげる

睡眠の質を上げることは、アルツハイマー病の予防につながるということがわかっています。

睡眠中にも脳は働いており、老廃物の排出をしています。
排出される老廃物には、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβも含まれます。
したがって、睡眠不足で老廃物の排出機能が滞ると、アミロイドβが蓄積しアルツハイマー病が発症するリスクも高まります。

そのため睡眠不足を解消し睡眠の質を上げ、老廃物の排出を促すことが大切です。

禁煙・節酒

喫煙や過度の飲酒は、アルツハイマー病を発症させるリスクを高めます。
喫煙には、動脈硬化を発症させる危険性があります。

動脈硬化により、脳の血液循環が滞ることで、アルツハイマー病の発症リスクが高まると考えられています。
また、喫煙は脳への酸素の供給を減らすので、脳の老化を早めますし、脳卒中や高血圧など認知症につながる病気の原因にもなります。

飲酒は適量なら、リラックス効果が期待できたり、ワインなどはポリフェノールを摂取できたりと良い面もあります。

しかし、摂取しすぎると脳が小さくなる脳萎縮が起きます。
脳萎縮により、脳の機能が低下することで、アルツハイマー病が発症する確率も高くなるので、過度な飲酒、喫煙には注意しましょう。

生活習慣に気を使う

アルツハイマー病を発症する原因は、乱れた生活習慣に起因することも多いです。
生活が乱れていると、生活習慣病など多くの病気の発症率が上がります。

健康的な生活を送るためにも、まずは生活習慣を見直しましょう。
運動や禁煙など、何か特定のことだけを行うより、生活習慣全般に気を使うことがアルツハイマー病の予防によりいっそう効果的です。

バランスの良い食事を心がけ、適度な運動を行い、睡眠時間をしっかり確保する、喫煙や過度の飲酒を控えるというように、生活全般を見直すことが大切です。

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まとめ:アルツハイマー病と歯周病の関係

ここまで、アルツハイマー病と歯周病の関係やアルツハイマー病の予防法などを中心に書いてきました。
この記事のポイントをおさらいすると、以下の通りです。

  • 歯周病によりアミロイドβが増えるため、アルツハイマー病の発症リスクが高まる
  • アルツハイマー病の予防には、適度な運動、上質な睡眠、禁煙、節酒、生活習慣の見直しが効果的
  • 食後の歯磨きや間食を減らすなど、日頃の口腔ケアが大切
  • 歯や歯ぐきの状態で歯周病をチェックし、進行を防ぐことが重要

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧くださり、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
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