認知症

down compression

介護

down compression

健康

down compression

専門家コラム

down compression

連載マガジン

down compression

おすすめ書籍

down compression
健達ねっと>健康・生活>脳卒中>【完全保存版】脳卒中は「生活習慣病」の最終警告?脳梗塞・脳出血を防ぎ、健康寿命を守るための徹底ガイド

【完全保存版】脳卒中は「生活習慣病」の最終警告?脳梗塞・脳出血を防ぎ、健康寿命を守るための徹底ガイド

「脳卒中(脳血管疾患)」と聞くと、ある日突然バタリと倒れる……そんな恐ろしいイメージをお持ちではないでしょうか。
確かに発症は突然ですが、その原因は何年も、何十年もかけて体の中で静かに進行しています。
その正体こそが、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった「生活習慣病」です。

厚生労働省のデータによると、「介護が必要となった主な原因」の第2位が脳血管疾患(16.1%)です[*1]。
命を取り留めたとしても、麻痺や言語障害、そして「血管性認知症」といった重い後遺症が残りやすく、ご本人だけでなくご家族の生活も一変させてしまうのが、この病気の最も恐ろしい点です。

しかし、裏を返せば「生活習慣病をコントロールできれば、脳血管疾患は防ぐことができる」ということでもあります。
この記事では、生活習慣病がどのように脳を壊すのか、そのメカニズムを解説するとともに、命と健康寿命を守るための具体的な予防策、そして万が一発症してしまった際のリハビリや認知症との関連性までを徹底ガイドします。

スポンサーリンク

脳血管疾患(脳卒中)とは?「詰まる」と「破れる」の違い

脳血管疾患(脳卒中)とは?「詰まる」と「破れる」の違い

「脳血管疾患」は医学的な名称で、一般的には「脳卒中」と呼ばれます。
「卒」は突然、「中」はあたる(倒れる)という意味があります。
大きく分けて、血管が「詰まる」タイプ(脳梗塞)と「破れる」タイプ(脳出血・くも膜下出血)の2つがあります。

脳梗塞(血管が詰まる)

脳の血管が詰まり、血流が途絶えて脳細胞が壊死する病気です。
脳卒中全体の約4分の3を占め、近年増加傾向にあります[*2]。
詰まり方によってさらに3つに分類されます。

  • ラクナ梗塞: 脳の細い血管(穿通枝)が詰まるタイプ。
    高血圧が主な原因で、日本人に多いとされてきましたが、近年は減少傾向にあります。
  • アテローム血栓性脳梗塞: 太い血管に動脈硬化のコブ(プラーク)ができ、そこで血流が止まるタイプ。
    生活習慣の欧米化に伴い増えています。
  • 心原性脳塞栓症: 心臓(主に心房細動という不整脈)でできた血の塊(血栓)が血流に乗って脳へ飛び、太い血管を突然塞ぐタイプ。
    重症化しやすく、死亡率も高いのが特徴です。

脳出血・くも膜下出血(血管が破れる)

  • 脳出血: 脳の中の細い血管が高い血圧に耐えきれず破れて出血し、血腫が脳細胞を圧迫します。
    高血圧が最大の原因です。
  • くも膜下出血: 脳の表面にある動脈瘤(こぶ)が破裂します。
    「バットで殴られたような」と表現される激痛が特徴で、緊急手術が必要です。

▼ 脳血管疾患の基礎知識については、以下の記事もご参照ください

スポンサーリンク

すべての元凶は「動脈硬化」。血管が老いるメカニズム

すべての元凶は「動脈硬化」。血管が老いるメカニズム

なぜ、血管が詰まったり破れたりするのでしょうか。
その背景にあるのが「動脈硬化」です。
生まれたばかりの赤ちゃんの血管は、弾力があり、内側もツルツルしています。
しかし、加齢や生活習慣の乱れによって、血管は徐々に厚く、硬く、脆くなっていきます。

サイレントキラーが血管を蝕む

高血圧で常に強い圧力がかかったり、高血糖で血管の内壁が傷ついたりすると、その修復過程でコレステロールが入り込み、プラーク(粥状の塊)が形成されます。
これにより血管の通り道が狭くなったり、血管自体が脆くなったりします。
動脈硬化は自覚症状がほとんどなく進行するため、「サイレントキラー(沈黙の殺人者)」と呼ばれています。
気づいた時にはすでに手遅れ、という事態を防ぐには、定期的な健診と生活習慣の管理しかありません。

おすすめ記事

脳梗塞というと、突然倒れて意識を失うイメージを持っている方が多いかもしれません。しかし、それは脳梗塞の症状のほんの一部なのです。脳梗塞の原因や症状についてよく理解することで、もしもの時に適切な対応ができるようにしましょう。また、[…]

脳を狙う「生活習慣病」の4大リスクファクター

脳を狙う「生活習慣病」の4大リスクファクター

動脈硬化を加速させ、脳血管疾患の引き金となるのが生活習慣病です。
これらは単独ではなく、重なり合うことでリスクが倍増します。

【高血圧】脳卒中の最大の危険因子

脳血管疾患にとって、最大かつ最悪のリスクファクターが高血圧です。
高い圧力が常に脳の血管にかかり続けることで、血管壁が傷み、動脈硬化が進行します。

特に「脳出血」や「ラクナ梗塞」は、血圧管理が予防の鍵を握ります。
収縮期血圧(上の血圧)が10mmHg上がるごとに、脳卒中のリスクは約20〜30%増加すると言われています[*3]。

  • 目標値: 家庭血圧で125/75mmHg未満(75歳以上は135/85mmHg未満)[*4]

【糖尿病】血液ドロドロが血管壁を傷つけ、詰まりやすくする

血糖値が高い状態(高血糖)は、血管の内皮細胞を直接傷つけます。
さらに、血液がドロドロになり固まりやすくなるため、脳梗塞のリスクを2〜4倍に高めます。
糖尿病は痛みがないため放置されがちですが、全身の血管をボロボロにする病気であることを認識しましょう。

【脂質異常症】プラークが血管を塞ぐ時限爆弾

悪玉(LDL)コレステロールが多いと、血管壁に入り込んでプラークを作ります。
これが破れると急速に血栓ができ、太い血管を一瞬で詰まらせてしまいます(アテローム血栓性脳梗塞)。
また、中性脂肪が高いことも血液の粘度を高め、リスクとなります。

【心房細動(不整脈)】心臓でできた血栓が脳へ飛ぶ恐怖

生活習慣病とは少し異なりますが、高齢者に多い不整脈「心房細動」は見逃せません。
心臓が小刻みに震えて血流がよどみ、心臓内に巨大な血栓ができます。
これが脳へ飛ぶと、太い血管を詰まらせ、広範囲の脳梗塞(心原性脳塞栓症)を引き起こします。
「脈が飛ぶ」「動悸がする」といった症状がある場合は、必ず循環器内科を受診しましょう。

▼ リスク要因と特徴についての詳細はこちら

「TIME IS BRAIN」見逃してはいけない前兆とFAST

脳卒中は時間との勝負です。
「Time is Brain(時は脳なり)」という言葉があるように、発症から治療までの時間が早ければ早いほど、脳細胞を救える可能性が高まります。

早期発見が生死を分ける「FAST」チェック

米国脳卒中協会などが推奨する、脳卒中を疑うサイン「FAST」を覚えておきましょう[*5]。

  • F (Face) 顔: 片側の顔が歪む。
    イーッと笑うと口角が下がる。
  • A (Arm) 腕: 両腕を前に上げた時、片方が下がってくる。
    力が入らない。
  • S (Speech) 言葉: ろれつが回らない。
    言葉が出てこない。
    他人の言うことが理解できない。
  • T (Time) 時間: 上記の症状が一つでもあれば、発症時刻を確認し、迷わず救急車(119番)を呼ぶ。

一過性脳虚血発作(TIA)は最終警告

一時的に脳の血管が詰まり、手足のしびれや脱力、片目が見えなくなるなどの症状が出たものの、数分〜24時間以内に消える発作を「一過性脳虚血発作(TIA)」と言います。
「治ったから良かった」ではありません。

これは「近いうちに本物の脳梗塞が起きますよ」という最終警告です。
TIAを起こした人の約10〜15%が3ヶ月以内に脳梗塞を発症し、その半数は48時間以内に起きるとされています[*6]。
症状が消えても、必ずすぐに医療機関を受診してください。

▼ 前兆と症状についての詳細はこちら

血管を強くする!脳卒中を防ぐ「食事」の鉄則

高血圧や動脈硬化を防ぐために最も重要なのが、日々の食事です。

日本人の課題「塩分」をどう減らすか

高血圧を防ぐために最も重要なのが「減塩」です。
日本高血圧学会では1日6g未満を推奨していますが、日本人の平均摂取量は約10gと大幅にオーバーしています。

  • 汁物は残す: ラーメンやうどんの汁には数グラムの塩分が含まれます。
  • 「かける」より「つける」: 醤油やソースは直接かけず、小皿にとって少しずつつける。
  • 加工食品を控える: ハム、ウィンナー、練り物は塩分が多いです。
  • 酸味や香辛料を活用: 酢、レモン、スパイスで味にメリハリをつける。

血管をしなやかにするカリウムとDHA/EPA

  • カリウム: 野菜、果物、海藻に含まれるカリウムは、体内の余分な塩分(ナトリウム)を排出する働きがあります。
  • DHA/EPA: 青魚(サバ、イワシなど)に含まれるオメガ3系脂肪酸は、血液をサラサラにし、血管の弾力性を保つ効果が期待できます。
  • 食物繊維: 野菜から先に食べる「ベジ・ファースト」は、食後の急激な血糖値上昇を抑え、血管へのダメージを防ぎます。

▼ 予防のための食事・生活習慣についての詳細はこちら

今日からできる「生活習慣」の改善アクション

血圧サージを防ぐヒートショック対策

冬場、暖かい部屋から寒い脱衣所やトイレへの移動、熱いお風呂への入浴などは、急激な血圧変動(血圧サージ)を招き、脳卒中の引き金になります(ヒートショック)。

  • 脱衣所やトイレを暖房で暖める。
  • お風呂の温度は41度以下にし、長湯を避ける。
  • かけ湯をしてから入る。

脱水予防と有酸素運動

水分不足は血液をドロドロにし、血栓を作りやすくします。
特に就寝中や入浴後は脱水になりやすいため、「寝る前・起きた後・入浴前後」の水分補給を習慣にしましょう。
また、ウォーキングなどの有酸素運動は、血管内皮機能を改善し、血圧や血糖値を下げる効果があります。
1日30分程度、無理のない範囲で続けましょう。

▼ 原因と予防の総合情報はこちら

脳血管疾患と「認知症」の深い関係

脳卒中の後遺症として、麻痺と言語障害に並んで注意が必要なのが「血管性認知症」です。
アルツハイマー型認知症に次いで多く、認知症全体の約2割を占めます。

アルツハイマー型とは違う「血管性認知症」の特徴

脳の血管が詰まったり破れたりすることで、脳細胞の一部が死滅し、認知機能が低下します。

  • まだら認知症: 記憶力は低下しているが判断力は保たれているなど、できることとできないことが混在します。
  • 感情失禁: 感情のコントロールが効かなくなり、些細なことで泣いたり怒ったりします。
  • 階段状の進行: 脳卒中を再発するたびに、ガクンと症状が悪化します。

つまり、脳卒中の再発を防ぐことが、そのまま認知症の進行予防になるのです。

▼ 認知症との関連についての詳細はこちら

スポンサーリンク

発症後の道のり:治療、入院、そしてリハビリ

万が一脳卒中を発症した場合、どのような経過をたどるのでしょうか。

急性期から維持期までの流れ

  • 急性期(発症〜数週間): 病院での集中治療。
    命を救い、脳のダメージを最小限に抑える時期です。
    血栓を溶かすt-PA療法や、カテーテル手術などが行われます。
    ベッドサイドでの早期リハビリも始まります。
  • 回復期(〜発症後3〜6ヶ月): リハビリテーション病院などに転院し、機能回復のための集中的なリハビリを行います。
    この時期のリハビリが、後の生活の質(QOL)を大きく左右します。
  • 生活期(維持期): 自宅や施設に戻り、獲得した機能を維持しながら生活します。
    訪問リハビリやデイサービスなどを活用します。

家族ができるサポートとは

脳卒中の後遺症は、ご本人の辛さはもちろん、支えるご家族にとっても大きな不安となります。
麻痺による身体介助、高次脳機能障害による性格変化への対応など、専門的な知識とサポートが必要です。
一人で抱え込まず、ケアマネジャーや医療スタッフと連携することが大切です。

▼ 治療・リハビリ・入院生活についての詳細はこちら

スポンサーリンク

まとめ:健康診断の数値は「未来からの手紙」

脳血管疾患は、発症してからの治療も進歩していますが、何より大切なのは「発症させないこと(一次予防)」です。
健康診断で「血圧が高め」「血糖値が少し高い」と言われた時、「まだ大丈夫」「薬を飲むほどではない」と放置していませんか?
その数値は、あなたの血管が悲鳴を上げ始めているサインであり、「このままだと数年後に倒れますよ」という未来からの手紙です。

  • 塩分を控える
  • 野菜を食べる
  • 適度に歩く
  • 禁煙する
  • 血圧を測る

今日からできるこの小さな積み重ねが、10年後、20年後のあなたとご家族の笑顔を守ります。
不安な症状がある場合や、数値が気になる場合は、早めにかかりつけ医に相談しましょう。

  • [*1] 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
  • [*2] 国立循環器病研究センター「脳卒中とは」
  • [*3] 日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン2021」
  • [*4] 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」
  • [*5] American Stroke Association (ASA)
  • [*6] 日本神経学会「脳卒中治療ガイドライン」等に基づく一般的知見

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売

スポンサーリンク