現代人に増える「栄養失調(低栄養)」の原因・症状とは?新型栄養失調や治療法を解説

飽食の時代と言われる現代の日本において、「栄養失調」は一見遠い存在に思えるかもしれません。しかし実際には、高齢者の「低栄養」や、若年層・働く世代に増えている「新型栄養失調(隠れ低栄養)」など、自覚がないまま深刻な健康トラブルを抱えている方が少なくありません。

「しっかり食べているつもりなのに疲れが取れない」「最近体重が急に減った」「歩くスピードが落ちた」と感じる場合、体内で必要な栄養素が著しく不足している可能性があります。

本記事では、現代における栄養失調(低栄養)の原因や現れやすい症状、話題の「新型栄養失調」、予防・治療法についてわかりやすく解説します。

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目次

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栄養失調(低栄養)とは?現代における実態

栄養失調とは、生命維持や身体機能の維持に必要な栄養素(たんぱく質、エネルギー、ビタミン、ミネラルなど)が不足している状態を指します。医療や介護の現場では「低栄養」または「PEM(Protein Energy Malnutrition:たんぱく質・エネルギー低栄養状態)」とも呼ばれます。

単に「食事が摂れていない(カロリー不足)」だけでなく、食事量を摂っていても必要な栄養素が体内に吸収されていなかったり、特定の栄養素だけが偏っていたりする場合も低栄養に該当します。

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栄養失調(低栄養)が起こる4つの主な原因

現代における栄養失調の原因は、単なる食糧不足ではなく、身体的・精神的・社会的な要因が複雑に絡み合っています。

食物の摂取不足・偏った食生活

過度なダイエットや偏食、無理な食事制限によって、必要なエネルギーやたんぱく質が根本的に不足するケースです。また、若年層や一人暮らしの世代に多い「手軽な麺類やパンだけで済ませる」といった簡易的な食事も摂取不足につながります。

加齢に伴う身体機能の低下(オーラルフレイル・消化吸収能力の低下)

高齢になると、噛む力(咀嚼能力)や飲み込む力(嚥下能力)が衰える「オーラルフレイル」が進行し、硬い肉や根菜類などを避けるようになります。さらに、胃腸の消化吸収能力の低下や味覚の鈍化、食欲自体の低下が重なり、低栄養に陥りやすくなります。

疾患や病気による影響

消化器疾患(潰瘍性大腸炎や胃切除後など)による栄養素の吸収障害、下痢による流出のほか、がんや慢性炎症性疾患、感染症などでは代謝が亢進し、通常よりも多くのエネルギーが消費されるため低栄養が引き起こされます。また、うつ病や認知症などの精神・神経疾患も食欲低下や欠食の原因となります。

精神的・社会的な孤立

配偶者や家族との死別(グリーフケアが必要な状態)による食欲不振、一人で食事をとる「孤食」、経済的困窮(フードインセキュリティー)、買い物が困難な地域の増加(買い物難民)など、社会的な環境の変化も栄養失調を招く大きな要因です。

栄養失調(低栄養)が引き起こす主な症状

低栄養状態が続くと、全身のあらゆる器官に悪影響を及ぼします。

  • 体重減少・外見の変化(体脂肪や筋肉量が著しく減少し、頬がこける、皮膚の弾力が失われ乾燥する、髪がパサついて抜けやすくなる)
  • 筋肉量・運動機能の低下(筋肉量が減ることで歩行速度が遅くなり、転倒や骨折のリスクが高まる。寝たきりの原因となる危険な状態)
  • 免疫力の低下(抗体や免疫細胞の材料となるたんぱく質やビタミンが不足し、風邪や感染症にかかりやすくなり、重症化しやすくなる)
  • 骨密度の低下(カルシウムやビタミンDの不足により骨がもろくなり、微細な衝撃でも骨折しやすくなる)
  • 創傷治癒の遅れ・褥瘡(皮膚の再生能力が落ち、怪我や手術後の傷が治りにくくなる。高齢者の場合、骨の突起部分の皮膚が圧迫されて床ずれが発生・重症化しやすくなる)

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現代人に多い「新型栄養失調(隠れ低栄養)」とは?

最近注目されている「新型栄養失調」とは、カロリー(エネルギー)は足りている、あるいは過剰であるにもかかわらず、特定の栄養素が著しく不足している状態のことです。特にたんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維が不足しがちです。

新型栄養失調になりやすい食生活の例

  • お昼ご飯を丼ものやカップ麺、ファストフードだけで済ませている
  • 主食(炭水化物)中心で、肉・魚・大豆製品(たんぱく質)をあまり食べない
  • 菓子パンやスナック菓子、清涼飲料水でお腹を満たしてしまう
  • 野菜や果物を食べる習慣がほとんどない

一見すると体型は標準的、あるいは肥満傾向に見えるため見落とされがちですが、体内では「慢性的な栄養不足」が起きています。だるさ、疲れやすさ、冷え、肌荒れ、貧血、集中力低下といった未病症状の原因となります。

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栄養失調(低栄養)の改善方法と治療法

栄養失調の改善には、原因に応じた多面的なアプローチが必要です。

食生活の見直しと工夫

  • バランスの良い食事(主食、主菜、副菜をそろえた食事を意識する)
  • たんぱく質とエネルギーの確保(肉、魚、卵、大豆製品、乳製品をバランスよく毎食取り入れる。一度に多く食べられない場合は、間食にゆで卵やチーズ、ヨーグルトを取り入れる「少量頻回食」が有効)

栄養補助食品(ONS)の活用

固形物の摂取が難しい場合や、通常の食事だけでは必要量に届かない場合、少量で高カロリー・高たんぱく・ビタミン・ミネラルを補給できる濃厚流動食やゼリータイプの栄養補助食品を活用します。

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医療的アプローチ(経管栄養・静脈栄養)

自力での口からの摂取(経口摂取)が困難な場合や、重度の消化吸収障害がある場合は、医師の管理のもとで医療処置が行われます。

  • 経管栄養・腸管栄養(鼻から胃へ管を通す「経鼻経管栄養」や、腹部から胃に小さな穴を開ける「胃ろう」などから栄養を直接注入する)
  • 静脈栄養・点滴(消化管が使用できない場合、末梢静脈や中心静脈から点滴で栄養素を投与する)

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栄養失調(低栄養)リスクの簡単セルフチェック

以下の項目に心当たりがないかチェックしてみましょう。

  • 過去3〜6か月間で、意図しない体重減少(2〜3kg以上)があった
  • BMI(体格指数)が18.5未満である
  • 半年前に比べて、硬いものが噛みにくくなった
  • 1日の食事で、肉・魚・卵・大豆製品などの「主菜」を食べない日が多い
  • 立ち上がりや歩行のスピードが以前より遅くなったと感じる
  • 1人での食事が多く、食欲がわかない日が続いている

※1つでもあてはまる項目がある場合、低栄養予備軍または低栄養の可能性があります。早めに食生活を見直すか、かかりつけ医や管理栄養士に相談することをおすすめします。

まとめ

現代における栄養失調(低栄養)について重要なポイントをまとめます。

  • 現代の栄養失調は「食べられない貧困」だけでなく「加齢」「疾患」「孤立」「偏食」など多様な原因で生じる
  • 高齢者の低栄養はサルコペニアやフレイルを引き起こし、寝たきりリスクを高める
  • 飽食世代でもカロリー過多・微量栄養素不足の「新型栄養失調」が増加している
  • 予防・改善には、主食・主菜・副菜を揃えた食生活、栄養補助食品の活用、必要に応じた医療アプローチが不可欠

健康な毎日を送るために、日頃から体重の変化や食事内容に気を配り、早期発見・早期対策を心がけましょう。

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