夕方になると足がパンパンになり、靴がきつく感じることはありませんか。
40代から50代にかけて、代謝の変化や筋力の低下により、このような「むくみ」の悩みを抱える方が増えてきます。
単なる見た目の問題と捉えがちですが、放置すると冷えや、さらには高血圧などの生活習慣病につながる可能性もあるため注意が必要です。
- 夕方の足のむくみ・重だるさ
- なかなか取れない顔のむくみ
- 塩分の多い食事への嗜好
- 将来の健康や病気への不安
この記事では、むくみ解消の鍵となる栄養素「カリウム」について、以下のポイントを中心に解説します。
- カリウムがむくみに効くメカニズム
- 効率よく摂取できる食べ物ランキング
- 栄養を逃さない調理のコツと注意点
正しい知識と食生活の改善で、体の内側から水分バランスを整え、スッキリとした健康的な毎日を取り戻しましょう。
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カリウムが「むくみ解消」に効果的な理由とは?メカニズムを解説
カリウムは、私たちの体内で水分バランスを調整する重要なミネラルのひとつです。
なぜカリウムを摂ることがむくみの解消につながるのか、そのメカニズムを塩分との関係性から紐解いていきます。
むくみの正体は「余分な水分」と「塩分の摂りすぎ」
むくみ(浮腫)とは、細胞の間に余分な水分(組織間液)が溜まってしまった状態のことです。
大きな原因のひとつに「塩分(ナトリウム)の摂りすぎ」があります。
人間の体には、体内の塩分濃度を一定に保とうとする働きがあるため、塩分を多く摂ると、その濃度を薄めるために水分を溜め込もうとします。
これが、塩辛いものを食べた翌日に顔や手足がむくむ理由です。
特に日本人の食生活は塩分過多になりがちといわれています。厚生労働省も、生活習慣病予防のために減塩を推奨しています。
むくみの最大の敵である「塩分」の摂りすぎは、高血圧の原因にもなります。具体的な減塩のコツや食事療法については、以下の記事でも詳しく解説しています。
「高血圧といわれたらどんな食事をとったら良いの?」「高血圧だとなぜ塩分に気をつけなければならないの?」高血圧は日本人の3人に1人が診断されている、もはや国民病といっても過言ではない疾患の1つになっています。今回は高血圧につい[…]
カリウムが余分な塩分(ナトリウム)を排出してスッキリさせる
カリウムには、腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制し、体内の余分なナトリウム(塩分)を尿として排出する働きがあります。
細胞内にあるカリウムと、細胞外にあるナトリウムがバランスを取り合うことで、血圧や水分量を正常に保っているのです。
カリウムを十分に摂取することで得られるメリットは以下の通りです。
- 利尿作用: 余分な水分と塩分の排出によるむくみ軽減
- 血圧の調整: ナトリウム排出による血圧上昇の抑制
- 筋肉の働きを助ける: 筋肉の収縮の正常化
つまり、カリウムは「天然の利尿剤」ともいえる役割を果たし、むくみ知らずの体を作るために欠かせない栄養素なのです。
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【食品一覧】カリウムを多く含む食べ物・飲み物ランキング
毎日の食事で効率よくカリウムを摂取するために、身近な食材の中から含有量の多いものを紹介します。
「これなら続けられそう」と思える食材を見つけて、食卓に取り入れてみてください。
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野菜・芋類(アボカド、ほうれん草、里芋など)
野菜や芋類は、毎日の食事に取り入れやすいカリウム源です。
特にアボカドは果物としても扱われますが、トップクラスの含有量を誇ります。
また、切り干し大根などの乾物は、水分が抜けている分、栄養が凝縮されています。
| 食品名 | カリウム含有量 | 特徴 |
|---|---|---|
| パセリ | 1,000mg | 薬味や彩りとして手軽に追加可能 |
| ほうれん草(生) | 690mg | お浸しやソテーで量を食べやすい |
| 里芋(生) | 640mg | 芋類の中ではカロリーが低め |
| アボカド(生) | 590mg | 「森のバター」とも呼ばれ栄養豊富 |
※数値は日本食品標準成分表2020年版(八訂)を参照しています。
芋類はカリウムが豊富ですが、糖質も含まれるため、食べ過ぎには注意が必要です。
果物類(バナナ、キウイ、メロンなど)
果物は調理の手間がなく、生でそのまま食べられるため、カリウムの損失が少ないのが魅力です。
朝食や間食に取り入れるとよいでしょう。
- バナナ: エネルギー補給にも最適
- ドライフルーツ: 少量でも効率よい摂取
- メロン・キウイ: 水分補給やデザートへの活用
ただし、果物には果糖も含まれています。
ダイエット中の方や血糖値が気になる方は、ドライフルーツよりも生の果物を選び、適量を心がけてください。
海藻・豆類(昆布、納豆、大豆製品)
和食に欠かせない海藻や豆類も、優秀なカリウム供給源です。
日々の食事に「あと一品」として追加するのに適しています。
- 昆布: 汁物に入れるだけの手軽な摂取
- 納豆: たんぱく質とカリウムの補給
- ひじき: 様々な料理への活用
特に納豆や豆腐などの大豆製品は、女性ホルモンに似た働きをするイソフラボンも含まれており、40代以降の女性には積極的に摂っていただきたい食材です。
毎日の味噌汁や小鉢で意識的に取り入れましょう。
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損していませんか?カリウムを無駄なく摂る「調理・摂取のコツ」
「カリウム豊富な食材を食べているのに効果が感じられない」という場合、調理法に原因があるかもしれません。
カリウムの性質を知り、無駄なく摂取するためのコツを押さえましょう。
カリウムは「水に溶けやすい」!生食や電子レンジ調理がオススメ
カリウムは水溶性のため、「茹でる」「煮る」といった調理をすると、水分中に溶け出してしまいます。
ほうれん草などをたっぷりのお湯で茹でると、カリウムの約30〜50%が失われるともいわれています。
効率よく摂取するための調理ポイントは以下の通りです。
- 生で食べる: 最も無駄のない生食
- 「蒸す」または「レンジ加熱」: 流出を最小限に抑える蒸し・レンジ加熱
- 皮ごと食べる: 皮付近に含まれる栄養の摂取
茹で野菜を作る際は、茹で時間を短くしたり、電子レンジを活用したりするなどの工夫をしましょう。
煮汁ごと食べるスープや味噌汁なら無駄なし
水に溶け出す性質を逆手に取り、溶け出したカリウムごと摂取できる料理にするのもひとつの手です。
スープ、味噌汁、鍋料理などは、煮汁に栄養が溶け込んでいるため、汁まで飲むことで無駄なく栄養を摂ることができます。
カリウムを効率よく摂取し、同時にむくみの原因となる「塩分」を控えるためには、献立の工夫が欠かせません。
健達ねっとでは、管理栄養士が監修した「高血圧予防・改善のためのレシピ」を多数公開しています。
「白菜とえのきの味噌汁」や「小松菜とあさりのお浸し」など、カリウム豊富な食材を使いつつ、美味しく減塩するプロの知恵を是非参考にしてください。
「高血圧といわれたらどんな食事をとったら良いの?」「高血圧だとなぜ塩分に気をつけなければならないの?」高血圧は日本人の3人に1人が診断されている、もはや国民病といっても過言ではない疾患の1つになっています。今回は高血圧につい[…]
「毎日の食事で塩分計算をするのは大変…」という方へ。
管理栄養士が選んだ、塩分控えめで栄養バランスの整った食品はこちら
【年代別】カリウムの1日の摂取目安量と「摂りすぎ」のリスク
体に良いといっても、摂れば摂るほどよいというわけではありません。
適切な摂取量を知り、自分の体調に合わせたコントロールが必要です。
成人の摂取目標量(男性・女性別)
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、生活習慣病の予防を目的としたカリウムの1日あたりの摂取目標量は以下の通りです。
- 成人男性: 3,000mg以上
- 成人女性: 2,600mg以上
しかし、実際の平均摂取量はこれよりも少なく、多くの日本人がカリウム不足の傾向にあります(平成30年国民健康・栄養調査など)。
野菜や果物の摂取量が少ないと感じる方は、意識して摂取量を増やす必要があります。
まずは今の食事に「野菜の小鉢をひとつ足す」「食後に果物を食べる」ことから始めてみましょう。
腎臓機能が低下している人は要注意!「高カリウム血症」とは
カリウムの摂取において、もっとも注意が必要なのが「腎臓の機能」です。
健康な方であれば余分なカリウムは尿として排出されますが、腎機能が低下している方がカリウムを摂りすぎると、排出が追いつかず、不整脈などを引き起こす「高カリウム血症」になるリスクがあります。
特に、健康診断で腎臓の数値を指摘されたことがある方は、自己判断でのカリウム摂取は避け、必ず医師の指示に従ってください。
腎臓病の方に向けた具体的な食事の注意点は、以下で専門的に解説しています。
体の中には様々な栄養分があり、カリウムもその1つです。カリウムは普段の食事から十分に摂取が可能なため、不足や過剰摂取になることは少ないとされています。では、カリウムが不足したり過剰摂取になるとどのような症状が見られるのでしょうか?本[…]
カリウムだけじゃない!むくみ解消のために今日からできる習慣
食事による内側からのケアと合わせて、生活習慣を見直すことで、むくみ解消効果をさらに高めることができます。
今日からすぐにできる簡単な習慣を紹介します。
ふくらはぎのポンプ機能を高める運動・ストレッチ
ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれ、下半身に溜まった血液や水分を重力に逆らって心臓に戻すポンプの役割を果たしています。
この筋肉を動かすことで、水分の排出がスムーズになります。
- かかとの上げ下げ: かかとの上げ下げ動作の繰り返し
- 足首回し: 座ったまま行う足首回し
- 階段を使う: 階段の積極的な利用
デスクワークなどで長時間同じ姿勢が続く場合は、1時間に1回は足首を動かすなど、こまめなケアを心がけてください。
体を冷やさない工夫と入浴習慣
体が冷えると血行が悪くなり、代謝が低下して水分が滞りやすくなります。
むくみを解消するには、体を温めて血流を良くすることが大切です。
特に夏場でもシャワーだけで済ませず、湯船に浸かることをオススメします。
38〜40度くらいのぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、水圧によるマッサージ効果も期待でき、足の疲れも取れやすくなります。
また、冷房の効いた部屋ではレッグウォーマーやひざ掛けを活用し、足首やふくらはぎを冷やさないようにしましょう。
そのむくみ、病気のサインかも?病院へ行くべき症状チェック
多くのむくみは生活習慣によるものですが、中には病気が原因で起こるものもあります。
「たかがむくみ」と軽く見ず、体のサインを見逃さないようにしましょう。
数日経っても治らない、片足だけむくむ場合は注意
通常、夕方のむくみは一晩寝れば治ることがほとんどです。
しかし、以下のような症状がある場合は注意が必要です。
- 数日経っても引かないむくみ
- 血管のボコボコとした浮き出し(下肢静脈瘤の可能性)
- 片足だけの急激なむくみ(血栓の可能性)
- 指で押しても戻りにくい状態
このような症状が見られる場合は、早めに医療機関を受診してください。
特に片足だけの急なむくみや痛みは、深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)などの血管トラブルの可能性があります。
心臓・腎臓・甲状腺…むくみが症状として現れる病気
むくみは、内臓機能の低下を知らせるサインとして現れることがあります。
特に心臓や腎臓、甲状腺の病気は、むくみを伴うことが多いです。
- 心不全: 足やすねのむくみ・息切れ
- 腎臓病: 水分や老廃物の排出困難
- 甲状腺機能低下症: 顔や手足のむくみ
また、もしこの記事を読んでいるあなたが40代〜50代で、ご自身だけでなく「高齢のご両親の足のむくみ」が気になっている場合は、さらに注意が必要です。
高齢者のむくみは、加齢による筋肉量の低下だけでなく、心不全や腎不全などの重大な病気が隠れているケースが少なくありません。「高齢者特有のむくみの原因と対処法」については、以下の記事で詳しく解説しています。
足のむくみに悩まされていませんか。もしくは足にむくみがある人の介護や看護を行った経験がありますか。足がむくむ原因には様々なものがあります。本記事では足のむくみの原因と対処法について、以下の点を中心にご紹介します。 […]
まとめ
今回は、むくみ解消に効果的なカリウムについて解説しました。
ポイントは以下の通りです。
- むくみの原因となる余分な塩分の排出
- 野菜・果物・海藻などへの含有
- 水に溶けやすい性質を考慮した生食やレンジ調理の推奨
- 腎機能低下時の摂取量の注意
カリウムを上手に摂り入れつつ、適度な運動や入浴習慣を組み合わせることで、むくみにくい体を作ることができます。
しかし、なかなか改善しない場合やご家族のケアで悩まれた際は、専門家の力を借りることも選択肢のひとつです。
ご自身やご家族の健康管理において、「食事だけでは改善しない」「自宅でのケアに限界を感じる」という場合は、専門家の力を借りることも選択肢の一つです。
メディカル・ケア・サービスが運営する「健達ねっと」では、認知症ケアに特化したグループホームなど、全国の介護施設を探すことができます。
将来の備えとして、どのような施設があるかを知っておくだけでも安心につながります。










