- 自宅での介護が難しくなってきたので、介護施設への入所を検討したい
- 介護保険が適用される施設にはどんな種類があるの?
- 特養や老健、介護医療院の違いや費用相場について詳しく知りたい
在宅介護で介護者の負担が大きくなったとき、大きな助けとなるのが公的制度である「介護保険の施設サービス」です。
しかし、施設の種類によって目的や入所条件、滞在期間、対応できる医療処置が異なるため、どれを選べばよいか迷う方も多くいらっしゃいます。
また、かつて存在した「介護療養型医療施設」は完全に廃止され、新しい施設体系へと移行を完了しています。
本記事では、介護保険が適用される公的施設サービスの種類や特徴、入所条件、1ヶ月の費用相場、減免制度、申し込みから入所までの流れを最新情報で徹底解説します。

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介護保険の「施設サービス」とは?基礎知識と最新動向
介護保険制度における「施設サービス」とは、要介護認定を受けた高齢者が施設に入所し、24時間体制で日常生活の介護や機能訓練、医療ケアなどの提供を受ける公的なサービスです。
介護保険サービスの3つの分類
介護保険サービスは、大きく以下の3つに分類されます。
- 居宅サービス:自宅を中心に利用するサービス(訪問介護、デイサービス、ショートステイなど)
- 施設サービス:施設に入所して生活全般のケアを受けるサービス(特養、老健、介護医療院)
- 地域密着型サービス:住み慣れた市区町村で利用する小規模なサービス(グループホーム、小規模多機能など)
施設サービスの特徴とメリット
施設サービスは、社会福祉法人や医療法人、地方自治体などが運営する「公的施設」です。
民間の有料老人ホームのように数百万円〜数千万円の「入居一時金(初期費用)」がかからず、月々の利用料も所得に応じた負担軽減制度が用意されているため、比較的安価に利用できるのが最大のメリットです。
【最新動向】介護療養型医療施設は完全廃止・介護医療院へ完全移行
従来の施設サービスには「介護療養型医療施設(介護療養病床)」が含まれていましたが、2023年度末(2024年3月)をもって完全廃止され、その役割は手厚い医療機能と生活施設機能を兼ね備えた「介護医療院」へと完全に移行統合されました。
現在、介護保険の指定を受ける主な施設サービスは以下の3種類となります。
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介護保険で利用できる主要な施設サービス3選
現在、介護保険法で「介護保険施設」として規定されている3つの公的施設サービスについて、特徴や入所条件を解説します。
① 特別養護老人ホーム(特養/介護老人福祉施設)
主に社会福祉法人や地方自治体が運営する公的施設で、在宅での生活が困難になった重度の要介護高齢者を対象としています。
- 特徴:終身にわたり手厚い日常生活の介護が受けられ、看取り対応も多く人気だが入所待ちが生じやすい「ついのすみか」としての施設
- 入所条件:原則要介護3以上(特例で要介護1・2の入所もあり)
- サービス内容:食事・入浴・排泄介助などの日常生活介護、機能訓練、健康管理
② 介護老人保健施設(老健)
医療法人や社会福祉法人などが運営する施設で、病院での治療を終えた患者が自宅へ戻るための「中間施設」としての役割を担っています。
- 特徴:医師が常駐しリハビリ専門職による集中的な機能訓練が受けられ、在宅復帰を目的とする原則3〜6ヶ月の短期間の入所(3ヶ月ごとに退所判定あり)
- 入所条件:要介護1以上で病状が安定しており、リハビリを必要とする方
- サービス内容:医療管理下の看護・介護ケア、集中的なリハビリ、生活動作訓練
③ 介護医療院
2018年4月に新設され、廃止された介護療養型医療施設の受け皿として創設された新しい公的施設です。
- 特徴:長期の「医療・療養」と「生活施設」の機能を併せ持ち、医師・看護師の手厚い配置により重度の医療依存者も長期入所・看取りが可能な施設
- 入所条件:要介護1以上で長期的な医療ケアと介護が必要な方
- 区分:重度の医療・療養が必要な「Ⅰ型」と、容態が比較的安定した「Ⅱ型」
地域密着型施設サービスやその他の公的住まい
広域的な施設サービスのほか、地域密着型サービスに分類される公的な入所施設もあります。
地域密着型特別養護老人ホーム(地域密着型特養)
入所定員が29人以下の小規模な特別養護老人ホームです。
受けられる介護サービスは通常の特養と同等ですが、原則として施設と同じ市区町村に住民票がある方のみが利用できます。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
要支援2または要介護1〜5の認知症高齢者が、5〜9人の少人数ユニットで専門スタッフのサポートを受けながら、家事などを分担して共同生活を送る地域密着型施設です。
環境の変化に弱い認知症の方に適しています。
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施設サービスの費用相場と内訳
施設サービスを利用する際にかかる1ヶ月の費用は、主に以下の4つの合計金額となります。
費用(月額利用料)の主な内訳
- 施設サービス費:要介護度や施設の基準、居室タイプに応じて設定される介護サービスの対価(1〜3割自己負担)
- 食費:毎日の食事代(原材料費・調理費)
- 居住費(滞在費):お部屋の部屋代
- 日常生活費・雑費:理美容代、娯楽費、個人の日用品代など(※おむつ代は施設サービス費に含まれるため原則無料)
部屋のタイプによる居住費の違い
施設の部屋タイプには主に以下の4種類があり、プライバシー度合いが高いほど居住費が高くなります。
- 多床室(大部屋:2〜4人部屋):カーテン等で仕切られた最もリーズナブルな部屋
- 従来型個室:洗面・トイレなどが共有の個室
- ユニット型準個室:大部屋を固定パーテーションで区切った個室風の部屋
- ユニット型個室:10人前後の少人数グループ(ユニット)ごとに共有リビングと完全個室が備わったタイプ
1ヶ月の自己負担額の目安(自己負担1割・多床室〜個室の場合)
- 特別養護老人ホーム(特養):月額 約6万〜15万円前後
- 介護老人保健施設(老健):月額 約8万〜16万円前後
- 介護医療院:月額 約9万〜18万円前後
費用負担を大幅に軽くする公的減免制度
所得が低い世帯や、医療・介護費が高額になった場合、以下の公的制度を利用して費用を抑えることができます。
- 特定入所者介護サービス費(補足給付):住民税非課税世帯等を対象に、所得段階に応じて食費・居住費の上限額が設定され、超過分が介護保険から支給される制度
- 高額介護サービス費:1ヶ月の介護サービス自己負担額が上限額を超えた場合、超過分が払い戻される制度
- 高額医療・高額介護合算療養費制度:1年間の医療費と介護費の世帯合計が上限を超えた場合に超過分が支給される仕組み
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施設サービス利用開始までの具体的な流れ(5ステップ)
施設サービスの利用を検討してから実際に入所するまでの手順です。
Step 1:要介護認定の申請・更新
施設サービス利用には要介護認定(要介護1〜5)が必須です。
未申請の方は自治体や地域包括支援センターで申請し、認定済みの方は有効期限の更新手続き(有効期限終了の60日前から可能)を行います。
Step 2:希望施設の選定・比較
要介護度や必要な医療ケア、費用、立地に合わせて候補施設を選びます。
ケアマネジャーや病院のソーシャルワーカー(MSW)に相談するとスムーズです。
Step 3:施設見学と相談員との面談
実際に施設を見学し、居室環境、生活の雰囲気、医療連携体制などを確認します。
併せて相談員(生活相談員・支援相談員)と面談を行い、本人の状態や希望を伝えます。
Step 4:入所申し込み・書類提出
希望施設へ入所申込書を直接提出します。
主治医の診療情報提供書(診断書)や看護サマリーなどの必要書類を添えて申し込みます(複数施設への併願申込も可能です)。
Step 5:入所判定・契約・入所
施設内の専門職(医師・看護師・介護職・相談員等)による「入所判定会議」で受入れ審査が行われます。
受け入れ決定後、重要事項の説明と契約を行い、入所となります。
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他の介護サービス・民間施設との違い
居宅サービス・地域密着型サービスとの違い
- 居宅サービス:自宅で暮らしながらヘルパーやデイサービスを利用でき、要支援1〜2でも利用可能なサービス
- 施設サービス:施設へ生活拠点を移して24時間ケアを受ける、原則として要介護認定者(要介護1〜5)が対象のサービス
介護保険が適用されない民間施設(有料老人ホーム等)との違い
民間の「介護付き有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」などは、入居契約に基づいて住まいと介護サービス(特定施設入居者生活介護など)を提供する民間事業です。
- 公的施設(施設サービス):入居一時金が不要で、要介護度・所得に応じた明確な利用料設定
- 民間施設:数万円〜数千万円の入居一時金がかかる場合があり、設備や娯楽・サービス内容が豪華で多様
※なお、障害者支援施設などの「介護保険適用外施設」に入所する場合、特定の条件(第2号被保険者特例など)を満たすと介護保険の被保険者資格が除外され、介護保険料の支払いが免除される適用除外の仕組みがあります。
まとめ
介護保険の施設サービスに関する重要ポイントをおさらいします。
- 施設サービスの種類:特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護医療院の3つの公的施設(※介護療養型医療施設は完全廃止・移行完了)
- 施設ごとの特徴:特養は「終身利用」、老健は「リハビリ・在宅復帰」、介護医療院は「長期医療ケア・療養」が目的
- 費用と負担軽減:入居一時金は不要で、所得に応じた「補足給付」や「高額介護サービス費」を活用することで毎月の費用抑制が可能
- 申し込みのポイント:ケアマネジャーや病院のソーシャルワーカーに相談し、本人の要介護度や医療依存度に合わせた施設の選択
公的施設サービスは、在宅介護が限界を迎えたご家族や、手厚い医療・介護を必要とする高齢者にとって最も安心できる社会資源です。
一人で悩まず、ケアマネジャーや地域包括支援センターへ早めに相談し、ご本人とご家族にベストな施設を見つけていきましょう。


