日本の平均寿命は伸長を続けており、それに伴い認知症を発症する方の数も増加しています。40代・50代の方にとっても、「親が認知症になったらどうしよう」「自分自身の将来は大丈夫だろうか」という不安は決して他人事ではありません。
認知症は早期に発見し、適切なお金の手続きや介護サービスの手配、生活環境の整備を行うことで、本人も家族も自分らしく穏やかな生活を長く続けることができます。
本記事では、「認知症かもしれない」と感じた際の相談先から、診断後に直面するお金や生活の問題、利用できる公的制度(成年後見制度・家族信託・介護保険)、最新の治療動向や向き合い方まで分かりやすく解説します。
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【まず結論】この記事の重要ポイント
- 「認知症かも」と思ったらすぐ相談:まずは「かかりつけ医」や「物忘れ外来」、自治体の「地域包括支援センター」へ相談
- 早期発見のメリットが拡大:血液検査による認知症診断技術の進歩やアルツハイマー病新薬の登場による早期治療介入の重要性の高まり
- お金の問題は「事前の備え」が鍵:認知症進行時の銀行口座凍結リスクに備えた「成年後見制度」や「家族信託」の検討
- 日常生活は介護保険でサポート:要介護認定によるデイサービスや訪問介護などの専門サービスの利用
- 認知症基本法と共生社会:本人の意思が尊重され、地域で自分らしく暮らし続けられる仕組みづくり

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「認知症かも?」と感じた時の最初の行動と相談先
ご自身やご家族の「最近、物忘れが増えた」「同じことを何度も聞く」といった変化に気づいた時、最初にとるべき行動は一人で悩まず専門機関へ相談することです。
【相談・受診の流れ】
[普段の様子を知る「かかりつけ医」へ相談]
または
[自治体の「地域包括支援センター」へ相談]
↓
[必要に応じて「物忘れ外来」「神経内科」「精神科」等の専門医療機関を受診]
1. かかりつけ医への相談
最も受診のハードルが低いのが、普段から通院している「かかりつけ医」です。日頃の健康状態や生活背景を把握しているため、加齢による自然な物忘れなのか、疾患としての認知症なのかの変化に気づいてもらいやすいメリットがあります。必要に応じて専門医への紹介状を書いてもらえます。
2. 物忘れ外来・メモリークリニックの受診
認知症の鑑別診断や治療に特化した専門外来です。専門医や臨床心理士が在籍しており、詳細な心理テスト(MMSEやHDS-Rなど)や画像検査を実施して的確な診断を行います。
近隣に物忘れ外来がない場合は、以下の診療科を受診しましょう。
- 神経内科・脳神経内科
- 精神科・心療内科
- 脳神経外科
3. 地域包括支援センター(自治体の総合窓口)
「本人が受診を拒否している」「どこを受診すべきか分からない」という場合は、各市区町村に設置されている地域包括支援センターへ相談しましょう。保健師や社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門職が、受診のアドバイスや利用できる福祉サービスを案内してくれます。
近年、認知症(特にアルツハイマー病)の診断において、少量の採血で原因物質(アミロイドβなど)の蓄積度合いを調べる「血液バイオマーカー検査」の臨床導入が進んでいます。また、病気の進行そのものを抑える新薬(抗アミロイドβ抗体薬など)が登場したことで、症状が軽度な段階(MCI・軽度認知障害)での早期発見と早期治療介入の価値が大きく高まっています。
認知症診断後に直面する「2つの大きな問題」
認知症の診断を受けた場合、本人とご家族は主に「お金・資産管理の問題」と「日常生活の問題」という2つの課題に向き合うことになります。
① お金・資産管理の問題
認知症が進行すると、計画的な金銭管理や適切な契約判断が困難になります。
- 無駄遣い・高額契約:計算ができなくなり年金を使い果たしてしまったり、不要な高額商品を契約させられたりすること
- 詐欺・悪質商法の被害:判断能力の低下を狙った還付金詐欺や点検商法に巻き込まれやすいこと
- 銀行口座の凍結リスク:本人の判断能力が失われたと金融機関が把握すると、資産保護のため本人の口座からの引き出しや解約が凍結されること(家族であっても本人の医療費や介護費を自由に出金できなくなるため、注意が必要)
② 日常生活・家事の問題
今まで当たり前にできていた料理、買い物、掃除、服薬管理、公共料金の支払いなどが難しくなっていきます。どこまで自分でできて、どこからサポートが必要なのかを正確に把握することが重要です。
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お金・資産凍結問題を乗り越える「権利擁護制度」
認知症による金銭トラブルや口座凍結を防ぐため、公的な権利擁護・資産管理制度があらかじめ用意されています。
1. 成年後見制度(任意後見と法定後見)
認知症などで判断能力が不十分な方に代わり、後見人が財産管理や介護・医療の契約手続き(身上監護)を行う制度です。
| 制度区分 | 利用できるタイミング | 特徴・後見人の選任 |
|---|---|---|
| 任意後見制度 | 元気なうち(判断能力があるうち) | 将来に備え、自分が希望する後見人(家族など)や支援内容をあらかじめ契約で決めておく制度。 |
| 法定後見制度 | すでに認知症が進行している時 | 家庭裁判所に申し立てを行い、裁判所が適切な後見人(弁護士・司法書士等の専門家が選ばれる場合もある)を選任する制度。 |
※法定後見制度で専門家が選任された場合、本人の財産から月額の報酬を支払う必要があります。
2. 家族信託
判断能力がしっかりしているうちに、自分の資産(不動産や預貯金など)の管理・処分権限を信頼できる家族に託す契約仕組みです。
メリット:認知症発症後も受託者(子供など)が本人のために口座から資金を動かしたり、実家を売却して介護費用に充当したりできるため、実質的に口座凍結を回避できます。
3. 日常生活自立支援事業
都道府県の社会福祉協議会が実施している制度です。認知症の症状がまだ軽度な方を対象に、福祉サービスの利用手続きや毎月の公共料金の支払い、通帳の保管など日常的な金銭管理を安価な利用料でサポートしてくれます。
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日常生活と介護の壁を乗り越える手立て
日々の生活への支障が増えてきた際は、医療と介護の専門サポートを組み合わせて生活の質(QOL)を維持しましょう。
1. 医療による進行予防・症状緩和
認知症の根本治療は現在のところ難しいものの、お薬による薬物療法や、脳刺激・運動・音楽・回想法などの非薬物療法を組み合わせることで、進行を遅らせ穏やかな状態を長く維持することが可能です。
2. 介護保険サービスの利用
40歳以上で認知症と診断された場合、公的な介護保険サービスを利用できます。お住まいの市区町村へ要介護認定を申請し、「要支援1〜2」または「要介護1〜5」の認定を受けることで、1〜3割の自己負担で以下のようなサービスを受けられます。
- 居宅サービス:訪問介護(ヘルパーによる家事・身体介護)、訪問看護、デイサービス(通所介護)など
- 施設・住まいのサービス:ショートステイ(短期入所)、認知症高齢者グループホーム、介護老人保健施設(老健)、特別養護老人ホーム(特養)など
- 環境整備:手すり設置や段差解消などの住宅改修費補助、車椅子や介護ベッドのレンタル補助
3. 家族の接し方のポイント
認知症の方と接する際は、「否定しない」「責めない」「本人の世界観を受け止める」ことが鉄則です。
失敗したことを問い詰めたり無理強いしたりすると、本人は強い不安や恐怖を感じ、介護拒否や妄想・暴言などの行動・心理症状(BPSD)が悪化してしまいます。本人ができることを尊重しつつ、できない部分をさりげなくサポートする姿勢を心がけましょう。
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認知症基本法が目指す「共生社会」とこれからの向き合い方
2024年に施行された「認知症基本法(共生社会の推進)」では、認知症になっても希望を持って自分らしく暮らせる社会の実現が掲げられています。
「認知症になったら終わり」という旧来のネガティブなイメージは過去のものです。
現在では、認知症当事者本人が自身の体験や希望を発信する「本人発信」の場(認知症カフェや当事者ネットワークなど)が全国に広がっています。「保護される存在」としてだけでなく、一人の人間として地域社会の中で役割を持ち、生きがいを感じながら暮らせる環境が整備されつつあります。
介護者であるご家族も、「何でも家族だけで抱え込まなければならない」と考えず、地域のサポートチーム(主治医、ケアマネジャー、地域包括支援センター、地域住民)と協力しながら支え合っていくことが大切です。
認知症の予防と進行抑制のためにできること
認知症の発症や進行には、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病が深く関係しています。40代・50代のうちから生活習慣を整えることが最大の予防策です。
【今日からできる認知症予防習慣】
- 有酸素運動 ─────> ウォーキングや水泳などを週150分を目安に継続すること
- 食生活の改善 ────> 地中海食(野菜・果物・魚・オリーブオイル)を意識すること
- 脳の活性化・社会参加 > 趣味の継続、地域活動、友人との会話を楽しむこと
- 質の良い睡眠 ────> 体内時計を整え、脳内の老廃物排出を促すこと
日常の中で楽しみながら続けられる改善策を少しずつ取り入れていきましょう。
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まとめ:早期相談と制度活用で安心した生活を
認知症への備えと対応についてまとめます。
- 「認知症かも」と感じたら、かかりつけ医や地域包括支援センターへ早期に相談する
- お金のトラブルや口座凍結を防ぐため、任意後見制度や家族信託などの準備を進める
- 介護保険制度を活用し、プロの助けを借りて家族の介護負担を軽減する
- 認知症を正しく理解し、否定せず寄り添う姿勢でチームで支えていく
認知症について正しい知識を持ち、利用できる制度を早めに把握しておくことで、将来の不安を安心へと変えることができます。一人で悩まず、まずは専門の相談窓口へ一歩を踏み出してみましょう。
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