亜鉛は魚介類や肉類に多く含まれ、私たちの生命維持に欠かせない重要なミネラルです。
しかし、食生活の乱れなどさまざまな原因で、現代人は亜鉛が不足しやすい状態にあります。
亜鉛が不足すると、私たちの体にはどのような症状があらわれるのでしょうか。
本記事では、亜鉛不足について以下の点を中心に詳しく解説します。
- 亜鉛不足を引き起こす主な原因
- 亜鉛不足によりあらわれる具体的な症状やサイン
- 亜鉛を多く含む食品と効率的な摂り方
- 亜鉛の過剰摂取によるリスク
亜鉛の働きや正しい摂取方法を理解し、健康な体づくりにお役立てください。
栄養素全般の基礎知識について詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせて参考にしてください。
栄養素の基礎知識|健康を維持するためのバランスの良い食事とは?
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亜鉛不足になる3つの原因
体内の亜鉛が不足する原因は、大きく分けて「摂取不足」「吸収不全」「過剰排せつ」の3つが挙げられます。

1. 亜鉛の摂取不足
亜鉛は体内で作り出すことや貯蔵することができないため、毎日の食事から継続的に摂取する必要があります。
過度なダイエットによる食事量の減少や、インスタント食品ばかりに頼るような偏った食生活を続けていると、慢性的な亜鉛不足に陥ります。
2. 摂取した亜鉛の吸収不全
亜鉛は、同時に摂取する食品成分によって腸からの吸収率が大きく変動します。
以下の成分を過剰に摂取すると、亜鉛と結びついて体外へ排出されやすくなり、吸収率を低下させてしまいます。
- フィチン酸: 玄米などの未精製穀物や豆類に多く含まれる
- シュウ酸: ホウレンソウやタケノコのアクなどに含まれる
- ポリリン酸: スナック菓子や加工食品に食品添加物として含まれる
3. 尿や汗からの過剰排せつ
亜鉛は汗や尿と一緒に体外へ排出されます。
激しいスポーツをするアスリートは、多量の汗をかくため亜鉛不足に陥りやすい傾向があります。
また、アルコールを分解する際にも亜鉛が消費され、さらに尿中への亜鉛排せつを促進するため、多量の飲酒も亜鉛不足の大きな原因となります。
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亜鉛不足によりあらわれる主な症状
亜鉛が不足すると、細胞の生まれ変わり(新陳代謝)が滞り、全身にさまざまな不調があらわれます。
味覚障害
食べ物の味を感じ取る舌の表面の器官「味蕾(みらい)」は、細胞の生まれ変わりが非常に活発で、亜鉛を多く必要とします。
亜鉛が不足すると味蕾の働きが鈍くなり、「何を食べても味がしない」「いつもと味が違う」といった味覚障害を引き起こします。
免疫力の低下
亜鉛は、ウイルスや細菌から体を守る免疫細胞の働きに深く関わっています。
不足すると免疫力が低下し、風邪をひきやすくなったり、肺炎などの感染症にかかるリスクが高まります。
爪・皮膚の異常
亜鉛は皮膚や爪のタンパク質合成に必要不可欠です。
不足すると肌のターンオーバーが乱れ、皮膚炎、乾燥、かゆみなどのトラブルが起きやすくなります。
また、爪に横線が入ったり、割れやすくなったりするのも特徴です。
脱毛症
髪の毛の主成分である「ケラチン(タンパク質)」を合成する際にも亜鉛が使われます。
亜鉛が不足すると、髪の毛にハリやコシがなくなり、抜け毛や薄毛(脱毛症)の原因になります。
成長障害
亜鉛は成長ホルモンの働きを助け、骨の成長を促します。
成長期の子供が亜鉛不足に陥ると、身長が伸び悩むなどの成長障害を引き起こす恐れがあります。
生殖機能の低下(勃起不全など)
亜鉛は男性の体内において、精子や男性ホルモン(テストステロン)の生成に重要な役割を果たしています。
不足すると、勃起不全(ED)や精子の減少、性欲の減退を招き、男性不妊症の原因となることがあります。
女性の場合も、ホルモンバランスの乱れにより妊娠しにくい体質につながる可能性があります。
その不調、亜鉛不足かも?セルフチェックリスト
日々の不調が亜鉛不足からきているかもしれません。
以下の項目に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
- 味が感じにくい、または変な味がする
- 風邪をひきやすくなった
- 小さな傷がなかなか治らない
- 食欲が落ち、疲れやすくなった
- 抜け毛が増えたり、髪が細くなったりした
- 爪に白い斑点や横線ができやすい
- 性機能の減退を感じる
複数当てはまる場合は、食生活の見直しをおすすめします。
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舌や口のヒリヒリ感は「舌痛症」の可能性も
亜鉛不足が引き金となり、舌や口の中に違和感や痛みを感じることがあります。
見た目に異常がないのにヒリヒリと痛む場合、「舌痛症(ぜっつうしょう)」が疑われます。
舌痛症とは
口の中の粘膜面に原因不明の痛み(ヒリヒリ、ピリピリ、焼けるような痛み)があらわれる疾患です。
食事中や何かに集中している時は痛みを忘れやすく、安静時に痛みを感じやすいのが特徴です。
主な原因と治療
はっきりとした原因は解明されていませんが、亜鉛不足や鉄分不足のほか、ストレスなどの心因的要因、更年期以降の女性ホルモン(エストロゲン)の減少などが複雑に絡み合って発症すると考えられています。
根本的な治療法は確立されておらず、歯科や口腔外科での診察のうえ、必要に応じて漢方薬や抗うつ薬を用いた治療が行われます。
舌痛症や口腔ケアについて詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
口腔ケアの正しい手順とは?目的や注意点などを徹底解説
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亜鉛不足とうつ病の深い関係性
私たちの脳内では、さまざまな神経伝達物質が働いて感情や体調をコントロールしています。
その中で最も多い「グルタミン酸」の働きを調整しているのが亜鉛です。
近年、うつ病と亜鉛には深い関係があることがわかってきました。
うつ病と診断された人は、健康な人に比べて血中の亜鉛濃度が約14%低いという研究データがあり、症状が重くなるほど亜鉛量が減少する傾向が見られます。
亜鉛をしっかり摂取することは、メンタルヘルスの維持やうつ病予防の観点からも重要視されています。
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亜鉛不足を解消するための食事とポイント
亜鉛不足を防ぐためには、「多く含む食品を摂る」「吸収率を高める」「排泄を防ぐ」の3つのアプローチが重要です。
1. 亜鉛を多く含む食品を積極的に摂る
亜鉛は、主に以下の食品に多く含まれています。
- 魚介類: 牡蠣(カキ)、煮干し、ほたて
- 肉類: 豚レバー、牛肉の赤身(肩ロースなど)
- 種実類(ナッツ): カシューナッツ、アーモンド、かぼちゃの種
- その他: 卵、チーズ、納豆などの大豆製品
特に牡蠣や豚レバーは含有量がトップクラスです。
間食にカシューナッツなどを取り入れるのも手軽な補給方法としておすすめです。
亜鉛を多く含む食材やレシピについてより詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
亜鉛を多く含む食べ物とは?効率よく摂取できるレシピもご紹介
2. 吸収率を高める食べ合わせを意識する
亜鉛単体では腸からの吸収率があまり高くありませんが、「ビタミンC」や「クエン酸」と一緒に摂取することで吸収率がグッと高まります。
生ガキやカキフライに、クエン酸とビタミンCが豊富なレモンを絞って食べるのは、理にかなった最高の食べ合わせです。
ビタミンCの働きについて詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
ビタミンCの効果とは?多く含まれる食べ物や摂取量もご紹介
3. アルコールの多量摂取を控える
前述の通り、アルコールの分解には亜鉛が大量に消費され、尿からの排泄も促されてしまいます。
お酒は適量を守り、休肝日を設けることが亜鉛不足の予防につながります。
亜鉛を過剰摂取するとどうなる?
不足しがちな亜鉛ですが、サプリメントの不適切な利用などによって過剰摂取してしまうと、体に悪影響を及ぼします。
過剰摂取による症状とリスク
- 吐き気、嘔吐、食欲不振、下痢
- 頭痛、めまい
- 銅の吸収阻害(銅欠乏症による貧血など)
- HDL(善玉)コレステロールの減少
- (長期的な過剰摂取により)前立腺がんのリスク上昇の報告あり
亜鉛の耐容上限量
このようなリスクを防ぐため、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、年齢・性別ごとに1日の「推奨量」とともに「耐容上限量(これ以上摂るべきではない量)」が設定されています。
| 年齢(歳) | 男性:推奨量 | 男性:耐容上限量 | 女性:推奨量 | 女性:耐容上限量 |
|---|---|---|---|---|
| 18~29 | 11mg | 40mg | 8mg | 35mg |
| 30~49 | 11mg | 45mg | 8mg | 35mg |
| 50~64 | 11mg | 45mg | 8mg | 35mg |
| 65~74 | 11mg | 40mg | 8mg | 35mg |
| 75以上 | 10mg | 40mg | 8mg | 30mg |
通常の食事で上限量を超えることはほぼありませんが、サプリメントを利用する際は用量をしっかり守ることが重要です。
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亜鉛不足に関するよくある質問(Q&A)
Q. 亜鉛が不足するとどんな症状が出ますか?
A. 味覚障害(味がわかりにくい)、免疫力の低下(風邪をひきやすい)、抜け毛、皮膚炎、傷の治りの遅れ、慢性的な疲労感などの症状があらわれます。男性の場合は、性欲減退やEDの要因にもなります。
Q. 亜鉛不足には何を食べたらいいですか?
A. 牡蠣(カキ)、赤身の牛肉、豚レバー、卵、チーズ、カシューナッツなどのナッツ類、納豆などの豆類を意識して摂るのがおすすめです。
Q. 亜鉛不足になりやすい人はどんな人ですか?
A. 極端なダイエットや偏食をしている人、ファストフードや加工食品をよく食べる人、日常的に激しい運動(発汗)をするアスリート、お酒をたくさん飲む人は特に注意が必要です。また、高齢者や妊娠・授乳中の女性も不足しやすいため意識的な摂取が求められます。
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まとめ
亜鉛不足の原因と症状、対策について解説しました。
要点をまとめると以下の通りです。
- 偏った食事や過度なアルコール摂取、激しい運動による発汗などが亜鉛不足の原因になる。
- 不足すると、味覚障害、免疫力の低下、抜け毛、肌荒れ、うつ症状など全身に影響が出る。
- 牡蠣、赤身肉、レバーなどに多く含まれ、ビタミンCと一緒に摂ると吸収率がアップする。
- サプリメントによる過剰摂取は吐き気や銅欠乏症などの副作用があるため、用量・上限量を守る。
毎日の食事をバランス良く整え、亜鉛不足を防いで健やかな毎日を送りましょう。


