居宅療養管理指導とは、通院が困難な要介護者が自宅に居ながら自立した生活を送れるよう、医師や薬剤師などの専門家が訪問して療養上の指導や管理を行う介護保険サービスです。
本記事では、居宅療養管理指導の具体的なサービス内容、利用料金、訪問診療との違い、手続きの流れについてわかりやすく解説します。

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居宅療養管理指導とは?
居宅療養管理指導は、要介護者が自宅で安心・安全に療養生活を送るための「指導・助言」を中心とした介護保険サービスです。
単に患者を診察するだけでなく、担当ケアマネジャーに専門的な知見から情報提供を行い、ケアプランの質の向上に繋げる重要な役割も果たします。
訪問する専門職によって、指導内容やサポートの範囲が異なります。
専門職ごとの役割と指導内容
医師・歯科医師
- 医学的・歯科医学的観点からの総合的な療養指導・管理
- ケアマネジャーへの情報提供(ケアプラン作成のためのアドバイス)
- 利用者や家族に対する在宅介護の留意点・介護方法の指導
薬剤師(薬局・病院勤務)
- 医師・歯科医師の指示に基づく服薬状況の確認と指導
- 飲み忘れ・重複投与の防止(一包化や粉砕化の提案など)
- 残薬の確認と整理、保管方法のアドバイス
管理栄養士
- 慢性疾患(糖尿病、高血圧、腎臓病など)に応じた食事指導
- 摂食・嚥下(飲み込み)機能に応じた食事形態(刻み・ミキサーなど)のアドバイス
- 栄養アセスメントに基づく献立作成や調理方法の指導
歯科衛生士等
- 歯科医師の指示に基づく専門的な口腔ケア・歯みがき指導
- 義歯(入れ歯)の手入れ方法の指導
- 摂食・嚥下機能訓練や口の体操(口腔機能向上)のサポート
※なお、かつて存在した看護師・保健師による居宅療養管理指導は、訪問看護等のサービスとの重複を整理する目的で2018年(平成30年)4月に廃止されています。

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利用シーンと対象者
主な利用シーン
- 自力での通院や家族の送迎による通院が困難な場合
- 複数の薬を服用しており、自己管理や飲み忘れの防止が難しい場合
- 退院後や持病悪化に伴い、専門的な栄養管理や食事サポートが必要な場合
- むせ込みが増え、口腔ケアや嚥下状態の確認をしたい場合
- 家族が在宅での介助や看護方法に不安を感じている場合
対象者
居宅療養管理指導を利用できるのは、以下の条件を満たす方です。
- 65歳以上(第1号被保険者): 要介護認定で「要介護1~5」を受けている方
- 40歳~64歳(第2号被保険者): 加齢に伴う特定疾病(16種類)により「要介護1~5」を受けている方
※要支援1・2認定を受けている方は「介護予防居宅療養管理指導」として同様のサービスを利用可能です。
- がん(医師が医学的知見に基づき回復の見込みがないと判断したもの)
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
居宅療養管理指導のメリット・デメリット
メリットとデメリットを正しく理解し、他のサービスと上手く組み合わせることが大切です。
メリット
- 区分支給限度額の「枠外」で利用できる: 介護保険の支給限度額(利用上限)にカウントされないため、訪問介護やデイサービス等の利用枠を減らさずに併用可能です
- ケアマネジャーとの連携がスムーズ: 専門職の意見がケアマネジャーに直接届くため、より実態に合ったケアプランを作成してもらえます
- 本人・家族の通院・介護負担を軽減できる: 通院の手間を減らせるほか、プロによる日常ケアの助言が得られるため安心感が高まります
デメリット
- 医療行為(処置・治療)そのものは行われない: 目的は「管理・指導・助言」のため、点滴や検査などの医療処置が必要な場合は訪問診療等の利用が必要です
- 単独で利用できない専門職がある: 薬剤師・管理栄養士・歯科衛生士のサービス利用には、主治医(医師・歯科医師)の指示が不可欠です
- 利用回数に制限がある: 職種ごとに月あたりの利用回数上限(例:医師は月2回までなど)が定められています
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居宅療養管理指導の利用料金(1割負担の目安)
居宅療養管理指導の費用は介護保険が適用されます。自己負担割合(1〜3割)に応じた金額を支払います。
利用料金は、訪問する職種や「同一建物内に住む利用者の人数(単一建物居住者数)」によって細かく定められています。
| 訪問職種 | 単一建物居住者 1人 | 単一建物居住者 2~9人 | 単一建物居住10人以上 |
|---|---|---|---|
| 医師(居宅療養管理指導Ⅰ) | 約515円 | 約486円 | 約445円 |
| 医師(居宅療養管理指導Ⅱ) | 約298円 | 約286円 | 約259円 |
| 歯科医師 | 約516円 | 約486円 | 約440円 |
| 薬剤師(薬局) | 約517円 | 約378円 | 約341円 |
| 薬剤師(病院・診療所) | 約565円 | 約416円 | 約379円 |
| 管理栄養士(当該事業所) | 約544円 | 約486円 | 約443円 |
| 歯科衛生士等 | 約361円 | 約325円 | 約294円 |
※1単位=10円、自己負担1割として計算した目安額です(地域区分等により多少前後します)。
※処方された薬代や検査費用(医療保険適用)、訪問に係る交通費等は別途自己負担となります。
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往診や訪問診療との違い
よく混同される「訪問診療」「往診」との違いをまとめました。
| 項目 | 居宅療養管理指導 | 訪問診療 | 往診 |
|---|---|---|---|
| 適用保険 | 介護保険 | 医療保険 | 医療保険 |
| 主な目的 | 療養上の管理・指導・助言・情報提供 | 定期的な診察・治療・処方などの医療行為 | 急変時などの臨時・不定期な診察・治療 |
| 訪問スケジュール | 定期的(月1~2回程度) | 定期的(計画的な訪問) | 不定期(要請に応じて緊急訪問) |
| ケアマネ連携 | 情報提供が義務付けられている | 原則報告義務なし(任意連携) | 報告義務なし |
実際には「訪問診療(医療保険)を受けながら、同時に居宅療養管理指導(介護保険)も受ける」という形で併用されるケースが多く見られます。
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居宅療養管理指導を利用する手順
ケアマネジャーまたは主治医に相談
在宅での療養生活で困っていること(薬管理、食事、お口のケアなど)をケアマネジャーや主治医に相談します。
主治医による指示・判断
主治医が「通院困難であり、居宅療養管理指導が必要」と判断した場合、指導計画を立てたり各種専門職(薬剤師・管理栄養士・歯科衛生士)に指示を出します。
ケアプランの作成と調整
ケアマネジャーが、主治医の意見をもとに訪問スケジュールなどをケアプランに組み込みます。
事業者との契約・サービス開始
訪問を担当する病院・診療所・薬局・訪問看護ステーション等と契約を結び、サービス利用がスタートします。
併用して使えるその他の居宅サービス
居宅療養管理指導と併せて利用される代表的な居宅サービスです。
訪問介護(ホームヘルプ)
ホームヘルパーが訪問し、入浴・排泄・食事などの「身体介護」や、掃除・洗濯・調理などの「生活援助」を行います。

訪問入浴介護
自力やご家族だけでの入浴が困難な方向けに、専用浴槽を自宅に持ち込んで行う入浴支援サービスです。

訪問看護
看護師が訪問し、主治医の指示に基づきインスリン注射や点滴、床ずれ(褥瘡)の手当てなどの医療処置・看護を行います。

訪問リハビリテーション
理学療法士(PT)や作業療法士(OT)が訪問し、日常の基本動作の維持・向上のためのリハビリを行います。
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まとめ
介護保険の「居宅療養管理指導」について重要なポイントを振り返ります。
- 通院困難な要介護者の自宅へ専門職(医師・薬剤師・栄養士・歯科衛生士等)が訪問し、療養上の管理・指導を行うサービス
- 費用は介護保険が適用され、支給限度額の枠外で利用可能
- 訪問診療(医療保険)が「治療・処置」であるのに対し、居宅療養管理指導は「指導・ケアマネ連携」が目的
- 利用したい場合は、まずケアマネジャーや主治医へ相談する
ご自宅での介護生活に不安がある方や、服薬・食事管理に課題を感じている方は、ぜひ居宅療養管理指導の活用を検討してみてください。


