【最新】要介護認定の「認定調査」とは?調査項目の内容・当日の準備・申請の流れ・不服申し立てまで徹底解説

「親の歩行が怪しくなってきた」「物忘れが増えて在宅での生活に支障が出始めた」など、ご家族の介護が必要になったとき、最初に利用することになるのが「介護保険制度」です。

介護保険サービス(デイサービスやヘルパー、施設入所など)を受けるためには、市区町村から「要介護認定(要支援1〜2、要介護1〜5)」を受ける必要があります。その判定の基礎となる最も重要なステップが、自宅等に専門員が訪問して行う「認定調査(訪問調査)」です。

認定調査での伝え方や準備を誤ると、実際には介護が必要であるにもかかわらず軽い認定が出てしまい、必要なサービスが受けられなくなるおそれがあります。

本記事では、40代・50代からの介護に直面するご家族に向けて、認定調査の目的や判定の仕組み、74項目の調査内容、当日の「つくろい行動」対策、事前準備のコツ、判定結果への不服申し立て(審査請求・区分変更申請)まで分かりやすく徹底解説します。

目次

スポンサーリンク

介護における「認定調査」とは?目的と判定の仕組み

要介護認定を受けるためには、対象者の身体機能や認知機能、日頃の介護の手間を客観的に評価しなければなりません。そのための判断材料として実施されるのが「認定調査」です。

【要介護認定を決める2つの柱】

  • ① 認定調査員による「訪問認定調査票(基本調査・特記事項)」
  • ② かかりつけ医が作成する「主治医意見書」

認定調査の目的

認定調査の最大の目的は、調査員が実際に本人の居場所(自宅や病院、施設)を訪れ、生活動作や認知症状、日頃受けている介護の手間を直接確認することです。

書面(主治医意見書)の情報だけでは見えにくい「実際の日常生活での困りごと」や「家庭での動作状況」を把握し、公正な判定を行うための基礎データを作成します。

要介護認定が決まる「2段階の判定プロセス」

認定調査の結果は、コンピューターによる「一次判定」と、専門家が集まる「二次判定」を経て最終決定します。

判定ステップ判定を行う主体判定方法・内容
一次判定コンピューターシステム(全国一律の解析アルゴリズム)認定調査の基本調査項目と主治医意見書の一部データを入力し、1日あたりに必要な「要介護認定等基準時間」を推計して暫定区分を算出します。
二次判定介護認定審査会(保健・医療・福祉の専門家で構成)一次判定結果、訪問調査の「特記事項」、主治医意見書の詳細を専門家が総合的に審査し、最終的な要介護度(非該当・要支援1〜2・要介護1〜5)を決定します。

スポンサーリンク

認定調査の申請手順と必要書類・申請先

要介護認定は、介護が必要になったからといって自動的に行われるわけではありません。ご本人やご家族が市区町村の指定窓口へ自ら申請手続きを行う必要があります。

申請に必要な書類一覧

  • 要介護(要支援)認定申請書(役所窓口で配布、自治体のホームページからもダウンロード可能)
  • 介護保険被保険者証(ピンクや緑色の紙の保険証。65歳以上の第1号被保険者に交付。40〜64歳の第2号被保険者は健康保険証を提示)
  • 主治医の情報(病院名・医師の氏名・所在地。申請書に記入欄あり)
  • 申請者の身分証明書・マイナンバーが確認できる書類
  • 委任状および代理人の身分証(ご家族やケアマネジャーが代理申請する場合)

申請窓口(相談先)

お住まいの自治体によって名称が異なりますが、主に以下の窓口で受け付けています。

  • 市区町村役場の「介護保険課」「高齢者福祉課」等の窓口
  • 地域包括支援センター(地域の高齢者介護に関する総合相談窓口)

ご家族が遠方に住んでいる場合や手続きに不安がある場合は、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所に事前相談すると、申請の代行手続きを依頼することも可能です。

また、近年ではマイナポータル(ぴったりサービス)などを利用したオンライン申請に対応する自治体も増えています。

認定調査員がチェックする「基本調査74項目」の内容

訪問調査当日は、都道府県や市町村から委託を受けた「認定調査員(ケアマネジャーや社会福祉士、看護師などの有資格者)」が自宅等を訪れます。

調査内容は、「概況調査」「基本調査(74項目)」「特記事項」の3つで構成されています。

【基本調査(74項目)の6つの群】

  • 第1群:身体機能・起居動作(13項目)
  • 第2群:生活機能(12項目)
  • 第3群:認知機能(9項目)
  • 第4群:精神・行動障害(15項目)
  • 第5群:社会生活への適応(6項目)
  • その他:特別な医療(過去14日間の処置12項目)

主な調査項目の具体例

  • 身体機能・起居動作:麻痺や関節の拘縮の有無、寝返り、起き上がり、立ち上がり、歩行、片足立ち、洗身、爪切り、視力・聴力など。
  • 生活機能:ベッドからの移乗、室内移動、嚥下(飲み込み)、食事摂取、排尿・排便、着替え、整髪、洗面など。
  • 認知機能:意思の伝達ができるか、毎日の日課の理解、生年月日・年齢・自分の名前を言えるか、短期記憶(直前の出来事を覚えているか)、季節や場所の理解など。
  • 精神・行動障害(BPSD):物盗られ妄想、作り話、感情の不安定、昼夜逆転、同じ話を繰り返す、大声を出す、介護への抵抗、一人で外に出たがり戻れない(徘徊)など。
  • 社会生活への適応:薬の内服管理、金銭管理、意思決定、買い物、簡単な調理など。
  • 特記事項:基本調査の選択肢だけでは表現しきれない具体的な介護の手間や、日によってムラがある行動の頻度などを調査員が文章で書き留める最も重要な記述欄。

スポンサーリンク

正しい判定を得るための「事前準備」と「調査当日の注意点」

認定調査で最も多い失敗が、「調査員が来たときだけ、本人が張り切って普段できないことまで『できる』と答えてしまうこと(つくろい行動)」です。

正当な評価を受けるために、ご家族が実践すべき事前準備と当日の立ち回り方のコツです。

調査前の事前準備

日頃の介護状況・困りごとをメモ(ノート)に記録する

認知症の方や高齢者は、他人が来ると緊張感から一時的にシャキッとしてしまい、普段は介助が必要な歩行や着替えを一人でこなしてみせたり、「食事も掃除も一人で問題なくやっている」と回答してしまう傾向があります。

調査員に日常の真の姿を理解してもらうため、「どのような場面で、どれくらいの頻度で、どんな介護の手間がかかっているか」を事前にメモに書き出しておきましょう。

介護メモの記述例
  • 「普段は足腰が痛むため、一人で立ち上がれず介助が必要」
  • 「『ご飯を食べていない』と言って夜中に何度も起き出し、週に3回は排泄の失敗がある」
  • 「物忘れを指摘すると怒り出し、薬を飲み忘れてしまうため、毎食後家族が服薬を確認している」

かかりつけ医との相談(主治医意見書対策)

主治医意見書も重要な判断材料です。日頃の通院時に「最近の自宅での転倒状況」や「物忘れの進行」「家庭で困っていること」を医師に伝えておくことで、実態に即した意見書を作成してもらえます。

調査当日に注意すべき4つのポイント

必ず日頃介護している家族が同席する

原則として、日常的に介護を担っているご家族が同席してください。ご本人のみで調査を受けると、実態と乖離した「軽すぎる判定」が出てしまう可能性が極めて高くなります。

本人の前で言いづらいことは「別室」または「事前メモ」で渡す

本人の目の前で「おもらしをする」「暴言を吐く」「何もできない」と伝えると、本人の自尊心が傷つき、不機嫌になったり調査を拒否してしまうことがあります。

事前に作成した「困りごとメモ」を玄関先で調査員にそっと手渡すか、調査終了後に「別室」や「玄関の外」でこっそり実態を補足説明するのが賢明なアプローチです。

「できる・できない」ではなく「頻度や介護の手間」で伝える

例えば、「自分でトイレに行けますか?」と聞かれた際、「一人でトイレに入ることはできるが、ズボンの着脱や後始末ができないため、結局毎回家族が付き添って清掃している」といったように、「結果としてどれだけ家族の手間がかかっているか」を具体的に伝えましょう。

日によって波(ムラ)がある場合は「一番悪い状態」を基準に話す

「調子が良い日は歩けるが、悪い日は全く動けない」「夜間だけパニックを起こす」という場合は、一番状態が悪いときのエピソードを伝えましょう。

認定調査は「最も介護の手間がかかる状態」をカバーするために設計されているためです。

スポンサーリンク

認定調査後の流れと要介護度別の支給限度額

認定調査と主治医意見書が揃うと、申請から原則30日以内に結果通知書と新しい「介護保険被保険者証」が自宅に届きます。

要介護度ごとの対応窓口とケアプラン作成

判定結果によって、今後の相談窓口とケアプラン(介護サービス利用計画)の作成者が分かれます。

◆ 非該当(自立)
└ 介護保険サービスは利用不可。市区町村が実施する「基本チェックリスト」や一般介護予防事業を活用。

◆ 要支援1〜2(状態の維持・改善を目指す段階)
└ 地域包括支援センターの保健師・ケアマネジャーと契約し「介護予防ケアプラン」を作成。

◆ 要介護1〜5(日常的に介護が必要な段階)
└ 民間の「居宅介護支援事業所」を選んでケアマネジャーを指定し、「ケアプラン」を作成。

区分支給限度額(介護保険でカバーできる上限額)

介護保険サービスは無限に使えるわけではなく、要介護度ごとに1か月あたりに利用できる「区分支給限度額(単位数)」が定められています。

限度額の範囲内であれば1割〜3割の自己負担で利用できますが、限度額を超えた分は全額自己負担(10割負担)となるため注意が必要です。

認定区分1か月あたりの支給限度基準額(目安)状態の目安
要支援1約 50,320円(5,032単位)基本的な日常動作は一人でできるが、立ち上がり等に多少の支援が必要。
要支援2約 105,310円(10,531単位)身の回りの動作に立ち上がりや歩行のサポートが必要。
要介護1約 167,650円(16,765単位)立ち上がりや歩行が不安定。部分的な介護(排泄や入浴など)が必要。
要介護2約 197,050円(19,705単位)自力での立ち上がりや歩行が困難。身の回りの見守りや介助が必要。
要介護3約 270,480円(27,048単位)自力歩行が不可。排泄・入浴・着替え等に全面的な介護が必要(特養入所要件)。
要介護4約 309,380円(30,938単位)動きが非常に困難で、日常動作のほぼ全てに全面的な介護が必要。
要介護5約 362,170円(36,217単位)寝たきり状態で、意思疎通が困難。最重度の介護が必要。

※1単位あたりの単価(10円〜11.4円程度)は、地域の人件費割合(級地)によって異なります。

スポンサーリンク

結果に納得がいかない場合の対処法(不服申し立て・区分変更申請)

「実際の状態より軽すぎる判定が出た」「判定直後に病状が悪化して介護の手間が急増した」という場合は、判定を見直すための制度が用意されています。

介護保険審査会への不服申し立て(審査請求)

都道府県に設置されている「介護保険審査会」に対し、決定通知を受けた日の翌日から「3か月以内」に審査請求(不服申し立て)を行うことができます。

ただし、不服申し立ての審理には数か月以上の長い期間を要するため、実際の介護現場では次に紹介する「区分変更申請」を選択するのが一般的かつ実用的です。

「区分変更申請(区変)」を行う(おすすめ)

認定結果が出た後でも、いつでも役所窓口で「区分変更申請」を提出することができます。

申請を出すと、主治医意見書の再作成と訪問認定調査がゼロからやり直され、現在の身体・精神状況に合わせた新しい要介護度が再決定されます。

「調査当日にうまく伝えられなかった」「急激に認知症が進んだ」という場合は、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談の上、区分変更申請を行いましょう。

まとめ

今回の重要ポイントの振り返りです。

  • 認定調査の目的:調査員が直接訪問し、生活動作や認知症状から「必要な介護の手間」を客観的に測定
  • 判定の流れ:コンピューターによる「一次判定」と、専門家による「二次判定(介護認定審査会)」の2段階
  • 当日の準備:本人の「つくろい行動(できるフリ)」に備え、日頃の困りごとや介護の手間をまとめた介護メモ
  • 調査時のコツ:家族が必ず同席し、本人の前で言いづらい不調は事前にメモで渡すか別室での伝達
  • 結果の不満・状態変化:3か月以内の不服申し立てよりも、即効性のある「区分変更申請」の活用

要介護認定は、適切な介護サービスを受け、介護者であるご家族の負担を減らすための大切な権利です。

一度の調査で正しい認定を受けられるよう、日常の介護状況をしっかり可視化し、ケアマネジャーや地域包括支援センターのプロの力を借りながら認定調査に臨みましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
WRITTEN BY
メディカル・ケア・サービス株式会社
メディカル・ケア・サービス株式会社

学研グループが提供する介護・健康についての総合情報サイト「健達ねっと」の運営会社です。

目次