訪問入浴サービス(訪問入浴介護)とは?手順・所要時間・費用相場や訪問介護との違いを解説

訪問入浴サービス(訪問入浴介護)は、自宅の浴槽での入浴や通所が困難な要介護者に対し、看護師を含む専門スタッフが専用の移動式浴槽を持参して自宅内で安全に入浴を提供する介護保険サービスです。

本記事では、訪問入浴サービスの一連の流れや所要時間、利用対象者、費用相場、訪問介護(ホームヘルプ)との違い、事業所の選び方まで分かりやすく解説します。

※関連記事:老人ホーム・介護施設の種類一覧!特徴や費用・選び方をわかりやすく解説

目次

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訪問入浴サービス(訪問入浴介護)とは?

訪問入浴サービスとは、看護師1名と介護職員2名(※要支援向けは看護師1名・介護職員1名)の計3名程度の専門スタッフが専用の訪問入浴車で自宅を訪れ、分割式の移動浴槽を部屋の中に搬入して入浴を介助するサービスです。

寝たきり状態の方や拘縮(こうしゅく)のある方、点滴・カテーテル・人工呼吸器などの医療処置を行っている方でも、医師の許可があれば安全に湯船に浸かることができます。

【訪問入浴サービスの基本体制】

  • スタッフ体制: 原則として看護師1名+介護職員2名の計3名体制
  • 持参する器材: 分割型移動浴槽、ボイラー給湯設備(または車載タンク)、給排水ホース、防水シートなど
  • 設置スペース: 居室やリビング等に約2畳分のスペースを確保して設置

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訪問入浴サービスの流れと所要時間

訪問入浴サービスは、搬入から片付けまで全体で約45分〜60分で完了します(実際の入浴時間は約10分〜15分)。

【一連の流れと時間配分】

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工程主な内容所要時間目安
1. 訪問・健康チェックバイタル測定(血圧・体温・脈拍)、問診、体重測定約10分
2. 機材搬入・入浴準備防水シートの敷設、浴槽の組み立て、給湯・温度確認、脱衣約10分
3. 入浴・洗髪・洗身浴槽への移動、洗髪、洗身、湯船での温浴、上がり湯(シャワー)約10〜15分
4. 上がり湯・着衣・スキンケア身体の拭き上げ、軟膏塗布・褥瘡ケア・処置、着衣約10分
5. 片付け・事後チェック浴槽の排水・消毒・搬出、部屋の復元、入浴後のバイタル測定約10分

詳細なステップ

健康チェック: 看護師が血圧・体温・脈拍を測定し、皮膚状態(かぶれや褥瘡)や体調を確認します。血圧が著しく高い場合や発熱(37.5度以上など)が見られる場合は、無理に浴槽へ入らず、部分浴(足浴・手浴)や温タオルでの清拭に変更します。

入浴準備: 畳やフローリングに防水マットを敷き、畳2畳分程度のスペースに軽量浴槽を組み立てます。お湯は訪問入浴車から給湯ホースで引き込むか、ご自宅の浴室・給湯器のお湯を使用します。

入浴: ネットや担架シートを使って体重を分散させながら、安全に浴槽へ移動します。看護師や介護士が肌を傷つけないよう優しく髪や身体を洗い、お湯に浸かってリラックスしてもらいます。

着衣・処置: 上がり湯のあと、ベッド上等で身体を丁寧に拭き上げます。必要に応じて主治医の指示に基づく軟膏の塗布、創傷・褥瘡の処置、ガーゼ交換などを行います。

排水・片付け: 使用したお湯は専用の排水ポンプでご自宅の浴室排水口やトイレへ排水し、器具を消毒して搬出します。移動させた家具を元に戻して完了します。

訪問入浴サービスの対象者

訪問入浴サービスを利用するためには、以下の要件を満たす必要があります。

1. 要介護1〜5の認定を受けている方

日常生活全般に介護が必要で、自宅の浴室での入浴やデイサービス等への通所入浴が困難な方が主な対象です。寝たきり状態や重度の麻痺、重度認知症の方も含まれます。

2. 医師から入浴の許可(指示)を得ている方

心疾患、呼吸器疾患、高血圧などの持病がある場合でも、主治医からの利用許可(または診療情報提供書・指示書)があれば利用可能です。チューブ類(胃ろう、在宅酸素、留置カテーテル等)が挿入されている方でも入浴できます。

3. 要支援1・2の方(介護予防訪問入浴介護)

要支援認定の方でも、「自宅に浴室がない」「著しい身体機能低下や感染症などの理由で施設通所が困難」など、特別な事情がある場合に限り「介護予防訪問入浴介護」を利用できます。

※関連記事:要介護度とは?1〜5の基準や状態、受けられるサービスを解説

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訪問入浴サービスの費用相場

訪問入浴サービスは介護保険が適用されるため、ご利用者の自己負担額は原則1割(一定以上の所得がある方は2〜3割)となります。

【1回あたりの利用費用目安(1割負担の場合)】

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サービス種別単位数(1回)1割負担の費用目安(1単位=10円計算)
訪問入浴介護(全身浴)1,260単位約1,260円
訪問入浴介護(部分浴・清拭)1,134単位(全体の90%)約1,134円
介護予防訪問入浴介護(要支援)852単位約852円

※地域区分(1単位あたりの単価:10円〜11.40円程度)や、サービス提供体制強化加算、介護職員等増進加算などの加算状況によって実際の支払額は若干変動します。

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訪問入浴サービスのメリット・デメリット

メリット
  • 身体・精神的効果: 温浴効果により血行が促進され、新陳代謝の向上、筋緊張の緩和、褥瘡予防、睡眠の質の向上が期待できること
  • 介護者の負担を大幅削減: 家族が重度の要介護者を抱えて入浴させる危険や体力的負担から完全に解放されること
  • 感染予防と皮膚の清潔保持: プロの手による清拭・洗身と看護師による皮膚観察・処置を受けられること
デメリット
  • 訪問介護(ヘルパー)の入浴介助より費用が高い: 3名体制で機材を持ち込むため、訪問介護の入浴介助より費用が高く設定されていること
  • 駐車スペースと搬入スペースが必要: 訪問入浴車(軽自動車〜普通車サイズ)を停める駐車場と、部屋の中に機材を置く約2畳のスペースが必要なこと
  • 異性のスタッフに見られる抵抗感: 他人に裸を見られることに対する精神的ストレスが生じることがあること(※同性スタッフの配置を希望できる事業所もあります)

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訪問介護(入浴介助)・デイサービス入浴との違い比較

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サービス種別訪問入浴サービス訪問介護(ホームヘルパー)デイサービス(通所介護)
使用する浴槽持ち込みの専用移動浴槽自宅の浴室・浴槽施設の浴室・機械浴槽
スタッフ体制3名(看護師1名・介護士2名)1〜2名(介護福祉士等)施設の介護・看護スタッフ
看護師の同行必ず同行(毎回健康チェック)原則同行なし施設に常駐
向いている方自宅浴室での入浴や移動が困難な重度者自宅浴室で一部介助があれば入浴できる方外出・通所が可能で集団交流もしたい方

トラブル防止と事業者選びのポイント

同性介護(スタッフの性別配慮)が可能か確認する

女性のご利用者が男性スタッフによる入浴介助に拒否感を示すケースは少なくありません。性別の希望に対応できる体制があるか確認しましょう。

訪問看護が併設されている事業所を選ぶ

持病のある方や体調が変化しやすい方の場合、訪問看護ステーションを併設・連携している事業者を選ぶと、急変時にも迅速な医療連携が得られます。

スケジュールに無理のない事業者を選ぶ

拘縮が強い方や会話に時間がかかる方に対し、次の訪問時間に追われてせわしなく対応されるのを防ぐため、柔軟に時間を確保してくれる事業者を選ぶことが大切です。

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サービス利用開始までの手続きの流れ

  • ケアマネジャーへ相談: まずは担当のケアマネジャーに「訪問入浴を利用したい」旨を相談し、ケアプランへの組み込みを検討する
  • 主治医の診断・指示確認: 主治医から訪問入浴の利用許可(指示書等)を得る
  • 事業所の選定・見学・説明: ケアマネジャーから紹介された事業者から、サービス内容や費用の説明を受ける
  • 自宅の下見・搬入ルート確認: 事業者の担当者が自宅を訪問し、入浴車の駐車場所、搬入ルート、設置スペース、お湯の確認(自前か自宅給湯か)を行う
  • 契約・サービス開始: 契約を交わし、訪問日時を決定して利用スタートとなる

※関連記事:ケアプラン(介護サービス計画書)とは?作成の流れや費用を解説

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まとめ

  • 訪問入浴サービスとは: 看護師を含む3名体制で移動浴槽を持参し、自宅居室で安全に入浴を提供するサービス
  • 所要時間と費用: 全体で約45分〜60分(入浴自体は約10〜15分)。費用は要介護1〜5で1回約1,260円(1割負担時)
  • 最大の魅力: 寝たきりや重度の要介護者でも、看護師の体調管理のもとで安全に温浴のリフレッシュ効果を得られる

自宅での入浴介護に限界や不安を感じている場合は、決して一人で抱え込まず、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談して訪問入浴サービスの活用を検討してみましょう。

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