カリウムと腎臓の深い関係とは?過不足による症状や腎機能低下の予防法を解説

カリウムの過不足が起こると、私たちの体の機能にさまざまな悪影響が出てきます。

特に「腎臓」の機能が低下してカリウムが体内に溜まってしまうと、最悪の場合は命に関わることもあるため、十分な注意が必要です。

では、カリウムは体の中でどのような働きをしているのでしょうか。

また、なぜ腎臓が悪くなるとカリウムが溜まりやすくなるのでしょうか。

本記事では、カリウムと腎臓の関係について、以下の点を中心に詳しく解説します。

  • カリウムと腎臓の関係について
  • カリウムの過不足により出てくる症状
  • 腎機能が低下する原因と治療・食事について
  • カリウムを抑えるための調理のコツ

カリウムと腎臓の関係を正しく学び、今後の健康維持や病気予防にお役立てください。

栄養素全般の基礎知識について詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせて参考にしてください。
栄養素の基礎知識|健康を維持するためのバランスの良い食事とは?

目次

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カリウムの働きと腎臓の関係

カリウムはミネラルの一種であり、体内の水分バランス(浸透圧)を調節する重要な役割を担っています。

また、神経の興奮を伝えたり、筋肉を正常に収縮させたりする働きにも深く関わっています。

健康な人であれば、カリウムを多く摂取しても特別な体調の変化は起こりません。

これは、体にとって不要となった余分なカリウムを「腎臓」が尿として体外へ排泄してくれるためです。

しかし、腎臓の機能が低下すると、尿の量が減ったり、カリウムを外へ出す能力が落ちたりします。

その結果、体内にカリウムが過剰に蓄積されてしまいます。

カリウムが溜まりすぎると浸透圧の調節がうまくいかなくなるだけでなく、心臓の筋肉に悪影響を及ぼし、最悪の場合は心停止を引き起こす危険性もあります。

そのため、腎臓の機能が低下した場合は、カリウムを多く含む食品の摂取を慎重に制限する必要が出てきます。

カリウムのむくみ解消効果について詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
カリウムでむくみ解消?効果的な摂取方法と注意点を解説

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1日のカリウム摂取量の目安

カリウムの摂取量は、年齢や状態によって目安が異なります。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」において、カリウムの1日あたりの摂取目安量・目標量は以下のように算出されています。

  • 乳児(目安量): 0~5カ月で400mg/日、6~11カ月で700mg/日
  • 成人(目標量): 男性2,500mg/日以上、女性2,000mg/日以上(※18歳以上)
  • 妊婦(目標量): 女性の目標量(2,000mg/日)+200mg/日 = 2,200mg/日

高温の環境下や激しい運動などで多量に汗をかいた場合は、汗と一緒にカリウムが失われるため、より多くの摂取が必要になることがあります。

しかし、通常の食事をとっていれば、健康な人がカリウム不足に陥ることはほとんどありません。

また、腎臓に疾患がなく、サプリメントなどで極端な過剰摂取をしていなければ、腎臓で十分に排泄されるため過剰症の心配もありません。

腎臓の機能が正常な人は、そこまで厳密に摂取量を制限する必要はありません。

カリウムの過不足によって起こる症状

カリウムは通常の食事で過不足することは少ないですが、特定の条件下で体内に過剰に溜まったり、逆に不足したりすることがあります。

それぞれの場合の症状と原因を解説します。

低カリウム血症(カリウム不足)

血液中のカリウム濃度の基準値は、通常3.5〜5.0mEq/Lです。

この値が「3.5mEq/L以下」になった状態を低カリウム血症と呼びます。

主な症状
  • 筋力低下、筋肉痛、筋肉の痙攣(けいれん)
  • 悪心(吐き気)、嘔吐、便秘、麻痺性腸閉塞
  • 手足のしびれ、四肢麻痺
  • 自律神経失調
  • 呼吸筋麻痺、不整脈
主な原因
  • 極端な偏食などによるカリウム摂取量の不足
  • 激しい下痢、嘔吐、多量の発汗などによるカリウムの過剰な排出
  • 血液中から細胞内にカリウムが異常に取り込まれてしまう現象

健康であればめったに起こりませんが、夏場に大量の汗をかいたり、胃腸炎などで下痢が続いたりした場合は、水分とともにカリウムなどのミネラルを意識して補給し、低カリウム血症を防ぐことが大切です。

高カリウム血症(カリウム過剰)

血液中のカリウム濃度が「5.5mEq/L以上」になった状態を高カリウム血症と呼びます。

値が7.0〜8.0mEq/Lを超えると、心臓の機能に重大な影響を及します。

主な症状
  • 悪心(吐き気)、嘔吐
  • 手足や唇のしびれ感、知覚過敏
  • 強い脱力感
  • 危険な不整脈(放置すると心停止のリスクあり)
主な原因
  • 腎機能の低下により、カリウムを尿として排出できない(最も多い原因)
  • サプリメントや特定の薬剤などによるカリウムの摂りすぎ
  • 細胞が破壊され、細胞内のカリウムが血液中に大量に漏れ出た場合

腎機能が低下している方は、適切な食事管理(カリウム制限)を行い、体内にカリウムを溜め込まないようにすることが命を守る上で極めて重要です。

カリウムが多く含まれる飲み物について知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
カリウムを多く含む飲み物とは?手軽に補給できる飲料まとめ

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腎臓機能が低下する原因と治療

腎臓の機能が低下する病気には、急激に悪化する「急性腎不全」と、長い年月をかけて徐々に進行する「慢性腎不全(慢性腎臓病)」があります。

種類主な原因特徴
急性腎不全下痢や大量出血、やけど等による急激な脱水(体液量の減少)、重症感染症、尿管結石による尿路の閉塞など。適切な治療を早期に行えば、腎機能が回復(治癒)する可能性がある。
慢性腎不全糖尿病(糖尿病性腎症)や高血圧(腎硬化症)などの生活習慣病による慢性的な負荷、加齢など。一度低下した腎機能は、劇的に回復することはない。進行を遅らせることが治療の目的となる。

腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、機能が低下しても初期段階では自覚症状がほとんどありません。

むくみ(浮腫)や尿の出が悪いといった症状に気づいたときには、すでにかなり悪化していることが多いです。

現在の医療では、一度失われた腎機能を元に戻す根本的な治療法はありません。

末期腎不全に至った場合は、腎臓の代わりに老廃物を取り除く「透析療法」か、「腎移植」を行うしかなくなります。

腎臓の代わりを果たす「透析療法」

透析には主に2つの方法があります。

  • 血液透析(HD): 病院に通い、週3回・1回あたり4〜5時間かけて、専用の機械で血液中の老廃物や余分な水分を取り除きます。針を刺す痛みを和らげるため、事前に麻酔テープを貼ることもあります。
  • 腹膜透析(PD): 自分のお腹の中にある「腹膜」を使って老廃物をろ過します。日中に数回透析液を交換する「CAPD」と、夜寝ている間に機械(サイクラー)が自動で交換する「APD」があります。通院回数が少なく、ライフスタイルに合わせやすいのが特徴です。

透析が始まると、厳しい水分制限と体重管理が必要になります。

尿が出なくなるため、喉が渇いても水を自由に飲めず、夏場は氷を舐めてしのぐような生活を強いられることもあります。

腎臓を守るための食事管理

腎臓病が進行すると、カリウムだけでなく、低たんぱく・減塩の食事を生涯にわたって続けなければなりません。

特に糖尿病や高血圧がベースにある方は、より厳格な食事管理が求められます。

腎臓に負担をかけないためには、「タンパク質と塩分を控え、エネルギー(カロリー)をしっかり摂る」ことが基本です。

今のうちから食事に気を配り、残された腎機能を維持していくことが大切です。

高齢者の食事や注意点について詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
高齢者の食事について(食事介助の基本と注意点)

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カリウムの摂取を抑える調理の工夫

腎臓の機能が低下し、医師からカリウム制限の指示が出た場合は、食事の準備に工夫が必要です。

カリウムは「水に溶け出やすい」という性質があるため、調理法次第で摂取量を減らすことができます。

カリウムを減らす調理のポイント
  • 水にさらす・ゆでこぼす: 野菜を生で食べる場合は、細かく切って5分〜15分ほど水にさらします。また、たっぷりのお湯で茹で、茹で汁を捨てる(ゆでこぼす)ことで、カリウムを効果的に減らせます。
  • 汁物は控える・汁を残す: 煮物や汁物を作ると、具材の野菜から汁の中へカリウムが大量に溶け出します。汁にはカリウムが豊富に含まれているため、具だけを食べ、煮汁やスープは必ず残すようにしてください。
  • 食材選びの注意: キャベツやほうれん草などの葉物野菜は茹でることでカリウムが抜けやすいですが、イモ類やかぼちゃなどは茹でてもカリウムが減りにくい特徴があります。また、炒め物や電子レンジ調理では水分が出にくくカリウムがそのまま残るため、一度茹でてから炒めるなどの工夫が必要です。

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日本における慢性腎臓病(CKD)の現状

現在、日本の成人の約8人に1人(約1,330万人)が、慢性腎臓病(CKD)を患っていると推測されています。

これは新たな国民病とも言える深刻な状況です。

前述の通り、腎臓は症状なく進行するため、発見が遅れるケースが後を絶ちません。

医療現場では、増え続ける患者数に対して、慢性腎臓病の専門知識を持つメディカルスタッフの不足が課題となっています。

地域のクリニック(かかりつけ医)と専門病院との連携強化や、腎臓病療養指導士などの育成を通じた、患者へのきめ細かい生活・食事指導の充実が急務とされています。

まとめ

カリウムと腎臓の関係や、過不足による影響について解説しました。

要点をまとめると以下のようになります。

ポイント
  • 体内の余分なカリウムは腎臓によって尿と一緒に排出され、適切なバランスが保たれている。
  • 腎機能が低下するとカリウムが排出できず「高カリウム血症」となり、しびれや吐き気、危険な不整脈を引き起こす恐れがある。
  • 腎機能低下の主な原因には、急激な脱水によるものや、糖尿病・高血圧などの生活習慣病によるものがある。
  • 腎臓を守るためには、塩分を控え、野菜は「水にさらす」「ゆでこぼす」などしてカリウムを減らす調理の工夫が重要である。

腎臓は一度機能が失われると回復が難しい臓器です。

日頃からバランスの良い食事と適度な運動を心がけ、定期的な健康診断でご自身の腎機能をチェックするようにしましょう。

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